サイトアイコン asia infonet.com

2023年度予算案を再提出、歳出規模は前政権から上乗せ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は24日、下院議会に2023年度(2023年1月1日ー12月31日)予算案を再提出した。

予算案のテーマは「マレーシア・マダニ(持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやりという6つのコアバリューに基づく枠組み)の推進」。予算規模は、国内総生産(GDP)が4.5%成長するとの見通しから3,881億リンギとし、緊縮予算となるとの予想を覆してイスマイル・サブリ・ヤアコブ前政権が昨年10月に発表した予算規模を158億リンギ上回った。

歳入予想は2,915億リンギで、原油価格低迷による非税収入減少で前年の2,944億リンギを下回る見込み。国家債務総額は1.2兆リンギに達し、GDPの60%を突破する見通しだが、財政赤字の対GDP比率は前年の5.6%から5.0%に下がる見込み。アンワル首相は2025年までに3.2%に引き下げたいとしている。

一般歳出は全体の74.5%を占める2,891億リンギで、前政権の2,723億リンギを上回った。開発予算は990億リンギで、これも前政権の950億リンギを上回った。640億リンギを補助金や社会保障、優遇措置、一時金支給に充てる。省庁別では教育省が552億リンギで最も多く、保健省が363億リンギで続いている。

零細企業の法人所得税率を、15万リンギを上限に17%から15%に2%引き下げる。年収3万5,000ー10万リンギの中間所得層を対象に個人所得税を2%引き下げる。240万人が恩恵を受けるとみられる。一方で年収10万ー100万リンギの高所得者層の個人所得税を0.5%ー2.0%引き上げる。

電子タバコ製品に対して物品税を導入する。徴収した物品税の半分を、世代別に段階的に禁止するたばこ世代終焉(GEG)計画の実施に向けて保健省に割り当てる。また今年から高級時計やファッションブランドなどを対象に贅沢税を課税する。不動産利得税については、2024年からの導入を目指すとしている。

航空宇宙産業に対する優遇税制を2025年末まで延長する。製造業者がマレーシアに移転する際の優遇税制を2024年まで延長する。グリーン投資税控除(GITA)およびグリーン所得税控除(GITE)を2025年末まで延長する。医療費の税控除の上限を8,000リンギから1万リンギに引き上げる。年初から大企業を対象に値上げした電気料金については、一般世帯や中小企業に対しては据え置く。

クリエイティブ産業の振興を図るために1.02億リンギの「デジタル・コンテンツ基金(DKD)」を設立する。

2025年を「ビジット・マレーシア・イヤー」(マレーシア観光年)とし、観光客2,350万人の誘致を図り、観光収入768億リンギを目指す。サバ・サラワク州にそれぞれ65億リンギ、56億リンギの開発予算を割り当てる。

従業員積立基金(EPF)「口座1」の残高が1万リンギ以下の40ー54歳(約200万人)に対して、政府が500リンギを支給する。また月収2,500リンギ未満の低所得者「B40」に対して「慈善」一時金を子供の人数などによって最大2,500リンギ支給する。

モバイルバージョンを終了