【クチン】 2020年からサラワク州で建設中の微細藻類大量生産施設「ちとせカーボン・キャプチャ・セントラル(C4)」が4月に操業を開始する見通しだ。建設工事は完了しており、今後2年程度で実証実験が行われる。
C4は、ちとせグループ(本社・神奈川県川崎市)の中核企業であるちとせ研究所が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、サラワク生物多様性センター(SBC)、電力会社サラワク・エナジー、エネオスと共同でサラワク州クチンの石炭火力発電所の敷地内で建設を進めていた。敷地面積は現在約5ヘクタールだが、3年後に100ヘクタール、2030年に2,000ヘクタールに拡大する計画だ。
ちとせ研究所の星野孝仁最高経営責任者(CEO)兼チーフ・バイオエンジニアは、英字紙「ボルネオポスト」の取材に対し、C4プロジェクトは2024年度末までの5年間、NEDOから約25億円(8,000万リンギ)の資金援助を受けており、2025年以降、C4を様々な製品の商業生産に活用していく計画だと述べた。微細藻類は、ジェット燃料、プラスチック、塗料、界面活性剤、トラック燃料、タンパク質、飼料・食品、医薬品・化粧品などへの加工が可能だが、特に2027年からジェット燃料へのバイオ燃料混合が義務づけされるため、微細藻類から持続可能な航空燃料(SAF)を大量生産できれば、東南アジアだけでなく、米国や欧州にも輸出できるようになると述べた。
星野CEOはまた、サラワクは年間を通じて気温が高く、淡水が豊富で、台風や地震などの自然災害が少ないことから、微細藻類の培養に適した場所として選ばれたと強調。商業的にも、日本、台湾、中国、シンガポールなどの主要市場にアクセスできる戦略的な立地にあり、有能で熟練した地元の労働力を利用できることが大きな魅力だと述べた。
(ボルネオポスト、ザ・バイブス、2月28日)