コワーキングスペースのワーク、KLセントラルに5店舗目を開設

【クアラルンプール】 コワーキング・スペース(共同オフィス)運営のワーク(WORQ)は、クアラルンプール(KL)のKLセントラルにあるビジネスセンター「メナラ1セントルム」内に5号店「ワークKLセントラル店」をオープンした。

20ー21階の2フロアを占め、面積は3万4,000平方フィートで、各フロアで300人まで収容可能だ。個室の入居率80%。有効期限最長3年の会員制。

同社は、年内にKL郊外に2店舗(それぞれ1万5,000平方フィート、3万2,000平方フィート)、KL中心部に1店舗(2万平方フィート)を開設する計画だ。

ステファニー・ピン最高経営責任者(CEO)兼共同設立者は開所式のスピーチで、企業が迅速なソリューションを求めていることがコワーキング・スペースの需要につながっていると説明。2016ー2022年にオフィスの空室が3,300万平方フィートと大幅に増加し、損失額が約100億リンギとなり、経済にも悪影響を及ぼしているため、同社は空きスペースをコワーキング・スペースに転換し需要を高め、スペースの供給過多を緩和していると明らかにした。コワーキング・スペースの柔軟性や利便性から導入する企業が増えており、最近の調査では、今後2年以内に70%の企業がコワーキング・スペースを利用すると回答したという。

開所式に参加したニック・ナズミ環境天然資源気候変動相は、コワーキング・スペースは持続可能な不動産の一形態であり、昨年26%まで急増したオフィス空室率から見ても、コワーキング・スペースを活用することで家主とテナント双方が柔軟にスペースを利用できるようになるとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月20日、エッジ、ベルナマ通信、3月17日)

印尼トランスヌサ航空、KLージャカルタ線を4月に就航

【クアラルンプール 】 インドネシアの航空会社、トランスヌサ・アヴィエーション・マンディリは、4月よりクアラルンプール新国際空港(KLIA)ージャカルタ便を就航する。

同社のベルナルド・フランシス最高経営責任者(CEO)が英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対して明らかにしたところによると、マレーシアおよびインドネシア当局から、毎日2便を運航するための許可を取得した。使用機材はエアバス「A320」型機で、すでにチケットを販売しているという。

フライトスケジュールは、午前の便がジャカルタ発が7時、KLIA到着が10時10分。KLIA発が10時40分、ジャカルタ着が11時50分。午後の便はジャカルタ発が16時50分、KLIA到着が20時5分。KLIA発が20時35分、ジャカルタ着が21時45分となる。

フランシスCEOによると、当面はKLIAを乗り入れ先とするが、今後はスバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港)からジャカルタへの直行便の運航を計画している。またジョホールバルへの国内線や、ジャカルタからジョホールバルへの運航も計画しており、近く詳細を発表できる見通しだという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月18日)

高速道路料金収受システム、TnGの独占を見直し=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、国内の高速道路料金収受システムについてタッチ・アンド・ゴー(TnG)による独占状態を見直す考えを示した。

アンワル首相は19日に開催されたイベントにおける若者との対話セッションの中で、TnGによる独占に関する質問に答え、「料金徴収システムはTnGが20年以上運営しているが、システムは停滞したままで納得のいくような進展は見られない」と言明。独占状態に疑問を呈す質問者に対して「あなたは正しい。我々は(独占状態について)再検討しなければならない」と述べた。

高速道路の収受システムについては以前、ファディラ・ユソフ前公共事業相(現・副首相兼農園・一次産業相)が、TnG以外のデジタル決済方式を許可する方向で検討していると述べていた。

アンワル首相はまた公共交通機関の問題、学生運動などの問題に触れ、学生と講師の自主性を制限している「大学及びカレッジ法 」(Auku) の規定を廃止することを約束した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月20日、マレー・メイル、3月19日)

新型コロナで17万6千人の起業家が廃業=起業家開発相

【コタキナバル】 イーウォン・ベネディック起業家開発協同組合相は、新型コロナウイルス「Covid-19」パンデミックの影響で事業が立ち行かなくなったために廃業に追い込まれた起業家がマレーシア全土で17万6,000人に上ったと明らかにした。
ベネディック大臣は、2020ー2022年に廃業した起業家は17万6,426人だったとした上で、パンデミックがビジネスに大きな打撃を与え、多くの起業家が景気後退の中で会社を存続させようと奮闘していると強調。政府は起業家が事業再開したり他の事業で再出発することを後押ししていると述べ、「政府は助成金や融資、職業訓練、起業指導などの起業家支援を行っている」とした上で、厳しい状況に直面する起業家や協同組合が競争力を維持していくことを最終目標に掲げていると述べた。
また起業家開発協同組合省が下部機関やプログラムを紹介した「起業家精神プログラム2023」と題する冊子を作成したことを公表した。冊子はダウンロード(https://online.flippingbook.com/view/726095416/)可能。

ホンダマレーシア、年内に新型モデル3車種を投入へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ホンダ・マレーシアは2023年の販売目標を発表。新型モデル3車種およびフェイスリフト版1車種を投入し、販売台数8万台、市場シェア12.3%を目指すとしている。

第3四半期にはホンダ初の小型スポーツ多目的車(SUV)を投入する。日本の大衆車メーカーとしては初めての小型SUVセグメント参入となる見込み。また、ハイブリッドシステム「e:HEV」技術の強化やアフターサービスへの2S(サービス・スペア部品)ピットストップ導入、コネクテッド技術「Honda CONNECT(ホンダ・コネクト)」の搭載車増加、スマホアプリの改修などにも取り組んでいく。

サーリー・アドル・サルクム最高執行責任者(COO)は、2023年はホンダが創立75周年を迎える大きな節目の年だとし、新モデルの発売やマーケティング活動を通じて、販売拡大に努めると言明。電動化は、自動車産業にとって世界的なトレンドでありモビリティの未来を形作るものであるため、ホンダは電気自動車(EV)の開発にも積極的に取り組んでいるが、現時点ではハイブリッド技術の導入が正しいアプローチだと考えており、最も実用的で適切な技術によりマレーシアの人々のニーズを満たしていくと述べた。

ホンダ・マレーシアの2022年の販売台数は前年比51%増の8万290台で、推定市場シェアは11.1%。2014年から9年連続で非国民車部門での1位を維持した。

インベストKLの投資誘致額、昨年は過去最高の27.9億リンギ

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)における投資誘致活動を行っているインベストKLは16日、昨年の投資誘致額が前年比13%増の27億9,000万リンギとなり、過去最高となったと発表した。

外国直接投資(FDI)が貢献し、製薬会社の米アボットや、化粧品の米エスティローダー、医薬品の米バクスターなど13社のグローバル拠点設立への投資を獲得したことで、2,805人の熟練労働者向けの雇用を創出した。

2011年以降の累計投資誘致額は215億2,000万リンギとなった。大手多国籍企業や急成長企業120社がKLにグローバル拠点を設立し、1万9,000人分の高度スキルを有する幹部クラスの雇用が創出された。うち94%の平均月給は1万3,000リンギとなっているという。

今年の目標についてインベストKLは、20億リンギに設定していると説明。デジタル・エコノミーやフィンテック(金融技術)サイバーセキュリティなど、より影響や価値が高い投資を誘致するとした。昨年の投資誘致額よりも目標を低く設定した理由については、2030年までに年間投資誘致額を50億リンギに引き上げることを目標に掲げており、その最低基準として20億リンギという数字を割り出したと説明した。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日、エッジ、3月16日)

ペナンで培養肉工場を建設、国内バイオ企業が2千万リンギ投資

【クアラルンプール】 バイオ企業のセル・アグリテックは2年以内の培養肉生産開始を目指し、ペナンに約2,000万リンギを投じ国内初の培養肉生産施設を建設している。

創業者兼製造担当副社長のン・チンエイ氏は16日にクアラルンプールで開催された「培養肉カンファレンス」で、セル・アグリテックの工場では、まず魚肉、特にマグロやウナギなどの高級魚の魚肉培養に力を入れ、養殖魚と同程度の価格で販売したいと述べた。工場は5月に着工し、2024年末の完工を見込んでいる。

培養肉は、動物から採取した肉の幹細胞をバイオリアクターという装置で培養することで作られる。細胞の成長に必要なアミノ酸は大豆、糖はトウモロコシなどが原料で、セル・アグリテックの工場では「不死化細胞株」を使用し、屠殺された動物から細胞を調達した後、数十年間肉を培養することが可能だという。

ン氏は、培養肉は抗生物質や感染症などの影響がなく安全で、廃棄部分もないので無駄を省くことができるとし、2025年までに培養肉を販売開始することを目標にしていると述べた。培養肉のハラル(イスラムの戒律に則った)認証については、当局が基準などについて最終決定しておらず、業界関係者や規制担当者との間で協議を行っているとしている。

培養肉カンファレンスには、国立大学、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)、保健省、農業食糧安全省、科学技術革新省から代表者が出席。アーサー・ジョセフ・クルップ副科学技術革新相は、世界の培養肉市場が2022年の1億7,648万米ドル(7億9,187万リンギ)から、2027年には3億2,171万米ドル(14億4,000万リンギ)規模まで成長すると予想されていると述べた。
(マレー・メイル、3月16日)

国内EV充電大手3社、充電施設の横断利用を可能に

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、電気自動車(EV)充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)の間で、EVインフラでの協業に向け、三者間契約を締結した。

今後はいずれか1社のモバイルアプリから、3社が提供する充電施設すべてを横断利用できるようになる。利用範囲は、全国の全EV充電施設の3分の2以上にあたる合計550カ所。そのうちインソンは約300カ所、ジェンタリは150カ所、EVコネクションは100カ所を運営している。6月までの横断利用開始を目指す。

YGTのビジネス開発担当副社長であるスリニバス・タティ氏は、YGTは、より良いユーザー体験を提供し、EVの普及を加速するという志を共有するパートナーと協力したいと考えているとし、今回の協業はインフラ協業の第一歩であり、将来的にはさらに多くの機会にもつながると述べた。

ジェンタリのグリーン・モビリティ責任者であるシャー・ヤン・ラザリ氏は、EV普及の加速には顧客体験を重視することが不可欠であり、3社間の横断充電を6月までに可能にすることを目指すと述べた。

EVコネクションのリー・ユエンホウ社長は、充電ネットワーク全体を1つのアプリで検索できるようになるため、EV利用者の信頼をより高められると述べた。
(ポールタン、3月16日、インソン発表資料)

今年上半期の製造業は減速、コスト増や為替変動で=FMM予想

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)が実施した調査結果によると、今年上半期の製造業は、投入コストやエネルギーコストの上昇や為替変動などの要因で成長は低く抑えられる見込みだ。

FMMは、1月18日ー2月18日に全国の745人を対象に調査を実施。今後最も高いリスクは「投入コストの上昇」と70%が回答した。それに、▽ガスや電気などのエネルギーコストの上昇(64%)▽為替変動(62%)▽競争の激化(49%)▽国内熟練労働者の確保(46%)▽地政学的緊張(46%)▽金利上昇(45%)▽サプライチェーンの混乱(43%)ーーが続いた。一方、「海外熟練労働者の確保」や「資金調達」については低リスクだとしている。

ソー・ティエンライ会長は、2023年上半期の全体的な見通しについて、今後数カ月、厳しい事業環境が続く中で減速の兆しを見せていると述べた。先行指標により設備利用率、設備投資、雇用の減速が示されていることから2023年上半期の生産は低成長が見込まれ、現在の需要動向から在庫水準も低くなる可能性があるとした。他指標も水準を下回っており、今後の厳しさを示しているという。

一方、2023年の利益については「1ー24%増加する」と予想する回答者が最も多く(30%)、24%が「現状維持」、16%が「1ー24%減少する」と回答。また今後1年間で実施する予定の投資は▽新製品開発(61%)▽自動化(56%)▽従業員のスキルアップや再教育(55%)▽輸出拡大(49%)▽グリーンテクノロジーやエネルギー効率化対策の導入(37%)ーーと回答した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日、エッジ、ベルナマ通信、3月16日)

銀行システムは健全、米銀破綻受け中銀が安全性保証の声明

【クアラルンプール】 マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は米銀の破綻とクレディ・スイスの経営不安に関する報道機関の取材に対し、マレーシアの銀行は最近破綻した米国の2銀行と直接取引はなく、間接的に損失を被る可能性もごくわずかと回答した。

米国ではシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が経営破綻し、これがスイスに飛び火し、金融大手クレディ・スイスの経営不安が広がり、同行はスイス中央銀行から最大で7兆1,000億円相当を調達すると発表した。

BNMは「急な事態に耐えられるかの健全性審査を銀行に対し定期に行っており、耐えうることを確認している。不都合な事態になっても銀行は企業、一般世帯への貸し付けを継続できる」とした。健全性審査の結果は年2回公表の金融安定化報告に掲載されている

格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスによれば、ほとんどのアジア太平洋の銀行は、破綻した米の2銀行と直接の取引はなく、ごく少数の銀行が少額の損失を被る可能性があるだけという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日)