自然電力とホクトマレーシア、長期電力供給契約を締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 自然電力(本社・福岡県福岡市)は15日、グループ会社である自然マレーシアと共に、キノコ生産大手ホクト(本社・長野県長野市)の現地法人ホクト・マレーシアとの間で、約730kWp(DC)容量の屋根置き太陽光発電設備を利用したオンサイトPPAモデルによる長期電力供給契約(PPA)を締結したと発表した。自然電力がマレーシアに拠点を持つ日本企業とPPAを締結する初めてのプロジェクトとなる。

同プロジェクトでは、ホクト・マレーシアのネグリ・センビラン州バンダーエンステックに位置する工場敷地に、総面積3,309平方メートルの産業用・工業用屋根置き太陽光発電所を設置する。同工場で再生可能エネルギーを使用することで電力コスト削減を実現しつつ、20年間の契約期間中に1万1,938トンの二酸化炭素を削減する見込みだ。また、ネットエネルギーメータリング制度を活用し、工場で消費する電力を差し引いた余剰電力はマレーシアの政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)に売電する。

自然マレーシアは、マレーシアにおいて、現地企業とオンサイトPPAモデルに基づく複数の長期電力供給契約を締結しており、現在発電設備の建設を進めている。今後も地域と共生する再エネ電源の開発にEMS・蓄電池等のデジタル技術を組み合わせることで、脱炭素化やエネルギーレジリエンス強化など様々なニーズに柔軟に対応し、自然エネルギー100%の世界の実現を、パートナーと共に目指す。

パナソニックマレーシア、大規模施設管理システム展示会を開催

【クアラルンプール】 パナソニック・マレーシアは、クアラルンプールで企業向け統合ソリューションを展示する「パナソニック・フューチャーテック2.0 ソリューション・ショーケース」を開催した。

大規模施設向けのセキュリティ・施設管理ソリューションを展示するもの。具体的には、▽スマートセキュリティシステム▽インテリジェントエネルギー・空気清浄ソリューション▽来客・駐車場管理システム▽施設予約システム▽印刷管理サービス▽スマートロッカー▽キャッシュレス決済用キャンパス・イーウォレット▽統合アクセスコントロール・システムーーなどが含まれる。ビルや大学キャンパス、タウンシップなど、ニーズや対象施設の規模に応じて拡張可能で、学校、政府機関、企業施設、製造、ホスピタリティ、建設など、多様な業種での利用を想定している。また、ビル管理の「S.アイシティ・スマートビルディング・ソリューション」では、スマートライトの監視・制御、スマート水位監視、スマート灌漑、スマートエネルギーなどの機能を提供する。

システムソリューション部門長兼戦略B2B部門長であるシーラン・カンダサミー氏は、パナソニックでは、企業のオペレーションコストを削減するため、ワイヤレス化や既存機器の有効活用に重点を置きソリューションを展開しているとし、まだ使える既存機器を入れ替えるのではなく、IoTセンサーを取り付けるだけで情報を収集できるようにするとコメント。今後も生産性向上やコスト削減を可能にするIoT対応製品・ソリューションの導入を進めていくと述べた。今回のショーケースで得られた見込顧客情報を活用し、統合ソリューションの売上高1億5,000万リンギを目指すとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月16日、ハイテク・センチュリー、3月14日)

マレーシア競争委職員を対象にセミナー開催、JICAと公取委

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)と公正取引委員会(JFTC)は、3月14ー16日の日程でマレーシア競争委員会(MyCC)の職員を対象とした企業結合規制をテーマとする競争法セミナーを共同開催した。

企業結合規制の導入を柱とするマレーシア競争法改正法の施行に備えてMyCCの職員にJFTCの知見を提供し、競争法の執行能力を向上させるために実施した。JFTCの職員4人が講師として来馬し、MyCCの職員約40人が出席した。
セミナーでは、企業結合に関する届出がなされた場合における手続フローや経済分析の活用といった審査手法についてJFTCの講師が解説した。同様のセミナーは2023年内にもう1 回、来年中に2回計画している。

マレーシアでは2010年に競争法が制定され、翌2011年に競争法の執行機関である MyCC が設置された。JICAは2021年1月から1年間、さらに2022年11月からは2年間、MyCCに競争法のアドバイザー専門家を派遣している。JICAは専門家派遣を通じ、引き続きマレーシア競争法の環境整備支援を行っていくとしている

ジェトロKL、MATTAフェアで日本酒イベント実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、日本政府観光局(JNTO)クアラルンプール事務所と連携し、マレーシア最大の旅行博「MATTAフェア」で日本酒のプロモーションイベントを実施する。

クアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で17ー19日に開催されるMATTAフェアにおいて、ジェトロはジャパンパビリオンで、日本酒ポケットトークや、MITECイベントスペースでの日本酒試飲イベントを実施し、マレーシアにおける日本酒の更なる市場拡大に向けた新規潜在消費者の発掘と認知獲得を目指すとともに、日本の農林水産物・食品の輸出とインバウンドの相乗的な拡大を図る。

ポケットトークでは日本酒の魅力紹介やライブクイズを、18日16時ー16時15分、19日14時30分ー14時45分の全2回実施し、クイズ正解者にはギフトを贈呈する。日本酒試飲会では、日本酒ライブトークおよびテイスティングイベントを行う(21歳未満は参加不可)。18日16時30分ー16時50分、17時ー17時20分、19日15時ー15時20分、15時30分ー15時50分の全4回実施する。紹介する日本酒銘柄は各日3銘柄の計6銘柄を予定している。

MRTプトラジャヤ線が正式開業、3月31日まで運賃無料

【クアラルンプール】 首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線(MRT2号線)が16日に全線開通し、午後3時から正式に営業運転を開始した。アンワル・イブラヒム首相がセルダンの車両基地で開業式を行い、3月31日まで運賃を無料にすると発表した。

MRTプトラジャヤ線は、クワサ・ダマンサラープトラジャヤ間の全36駅で全長は57.7キロメートル。2期に分け工事が行われ、そのうち第1期(クワサ・ダマンサラーカンポン・バトゥ間)は昨年6月に運行を開始している。今回第2期(カンポン・バトゥープトラジャヤ・セントラル間)が開通した。ティティワンサ、アンパン・パーク、チャン・ソウリン、スンガイ・ベシなど10のインターチェンジ(出場不要乗り換え駅)、接続駅(乗り換えに出場・再入場要)を備え、総建設費は305.3億リンギ。完全自動運転で、定員1,200人の4両電車を49編成配備する。
運行時間は毎日午前6時ー深夜0時。平日朝夕のピーク時には4ー6分間隔、それ以外の時間帯では7ー10分間隔、週末は7ー15分間隔で運行する。全区間の所要時間は84分。

当初は1日10.4万人の利用が見込まれており、マジュ高速道路やスンガイベシ高速道路など、クアラルンプール市街地に通じる道路や高速道路の混雑緩和が期待されているという。
(ポールタン、3月16日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、3月15日)

IQエア大気汚染リポート、マレーシアはワースト59位

【クアラルンプール】 世界各地の大気汚染のレベルをリアルタイムで追跡しているスイスのIQエアが発表した2022年の大気質指数(AQI)リポートによると、マレーシアのPM2.5大気汚染測定値は17.7μg/m3となり、131カ国・地域で59番目に空気が汚染された国となった。

AQIは、▽緑(0ー5μg/m3)▽黄(5.1ー10μg/m3)▽◇橙(10.1ー15μg/m3 )▽赤(15.1ー20μg/m3)▽紫(20.1ー30μg/m3)▽栗色(30.1ー50μg/m3)ーーの6段階で評価しており、マレーシアは橙となった。
東南アジアからは、インドネシアが26番目(30.4μg/m3)、ベトナムが30番目(27.μg/m3)、タイが57番目(18.1μg/m3)、フィリピンが69番目(14.9μg/m3)、シンガポールが77番目(13.3μg/m3)となった。なお日本は97番目(9.1μμg/m3)となった。

マレーシア国内で最も指数が高かったのは、セランゴール州のクランで、27.1μg/m3 。2位もセランゴール州のペタリンジャヤで26.5μg/m3となった。それ以下は、ジョホール州ジョホールバルが20.μg/m3、クアラルンプールが17.μg/m3、ペラ州イポーが16.9μg/m3、パハン州クアンタンが10.3μg/m3となった。
IQエアはマレーシアの大気汚染は、工業化の発展、自動車の排気ガス、野焼き、ヘイズ(煙害)が原因だと指摘した。

米SVBの経営破綻、マレーシアへの影響はほぼゼロ

【クアラルンプール】 米国のシリコンバレー銀行(SVB)が10日経営破綻した。ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の13日の取引ではろうばい売りが見られたが、マラッカ証券のケネス・リョン上級アナリストは、ブルサやマレーシア企業への影響はわずか、あるいはゼロだとの見解を示した。ラフィジ・ラムリ経済相もツイッターへの投稿で、SVBに預金しているマレーシア企業はなく、マレーシアへの直接的な影響はないと述べた。

SVBの破綻は過去10年余りで最大の銀行破綻と言われ、株式市場への影響が懸念されている。破綻は預金の取り付け騒ぎと増資の失敗による流動性不足が原因。
リョン氏は「銀行がこの件をきっかけに貸し付けに慎重になるといった間接的影響は考えられる」と述べた。

楽天トレードのトン・パクレン調査担当副社長もブルサへの影響はほとんどないとの意見で「マレーシアと米国の銀行システムは異なり、マレーシアの方が厳格なのでリスクは低い。13日のろうばい売りは反射的なもので、マレーシアへの影響はないと分かれば、買い戻しに来る」と語った。
(ベルナマ通信、3月14日)

マレーシア人訪日者数、2月は大幅増の3.2万人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年2月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万2,000人で、前年同月から293.6倍、前月比では18.1%増となった。

JNTOによると、日本の水際規制緩和、スクールホリデーの影響で、大幅増加した。なお2019年同月比では12.7%マイナスとなった。日本への直行便は、クアラルンプール(KL)羽田間の増便、KLー新千歳間の復便などもあり、前年同月に比べ回復傾向にある。

1−2月では5万9,100人となり、前年同期比211.1倍となったもの、2019年比13.2%減となった。

2月の世界全体の訪日者数は、前年同月から88.2倍の147万5,300人となり、2019年同月から43.4%減となった。年初2カ月では297万2,600人となり、前年同期比86.2倍、2019年比43.8%マイナスとなった。

JNTOによると、2月が桜シーズンを控えた閑散期にあたることや、前月の旧正月の反動などにより、特に東アジア市場からの訪日外客数が減少したものの、その他の市場の堅調な回復により、訪日外客数は回復率では前月を上回る結果となった。定期便においては増便・復便の傾向がみられるが、依然として多くの市場では回復途上にある。

JNTOは、今後は観光立国の復活に向けて、観光地・ 観光産業について持続可能な形で「稼ぐ力」を高めるとともに、地方誘客や消費拡大を促進しつつインバウンドのV字回復を図る必要があると指摘。個人旅行の再開や入国手続き等の実用情報の的確な発信と併せ、これからの訪日観光の柱となるサステナブルツーリズム等の情報発信や国際会議、展示会(MICE)誘致等の取組を強化していくことが求められるとした。

プロトンがタンジョンマリム工場に新ライン、部品輸入削減へ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、ペラ州タンジョン・マリム工場に1億4,000万リンギを投じ新スタンピング(プレス)ラインを導入したと発表した。

プロトンによると、スタンピングラインとしては国内最大級で、最大2,500トンの加圧能力を有し、50種類の部品を生産できる。人工知能(AI)システム連動カメラによる材料の正確な位置決めやOEM(相手先ブランド製造)企業による遠隔サポートなど、インダストリー4.0(IR4.0)技術を取り入れ、工程の98%を自動化。材料の移動にもロボット6台を活用するため、高効率で人的ミスも少ないという。部品の年間輸入量を11万5,000個削減し、サプライチェーン混乱の影響を軽減できるとしている。

ロスラン・アブドラ副最高経営責任者(CEO)は、新ラインの立ち上げは、プロトンの自動車生産において大きな付加価値となり、また部品の国内調達を増やすことは国内自動車エコシステムにとって重要で、海外への資金流出を減らすのにも役立つと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月15日、ポールタン、ベルナマ通信、3月14日、プロトン発表資料)

日馬両政府、筑波大学のマレーシアキャンパス設立に向け協力

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 在マレーシア日本大使館の髙橋克彦大使は14日、カレド・ノルディン高等教育相との間で、筑波大学のマレーシア・キャンパス設立に向けた協力覚書(MOC)を締結した。

日本の文部科学省、外務省はマレーシア政府との間で今後20年間、筑波大学マレーシア・キャンパスの設立と運営に向けた協力関係を構築する。具体的な内容としては、▽キャンパス設立のための現地調査の促進▽法律手続きなどの円滑な実施▽学生募集の促進▽学習コース・プログラム開発の促進▽研究提携の促進▽その他の協力に関しての共同決定ーーが含まれる。キャンパス設立は最短で2024年9月となる予定。

カレド・ノルディン大臣は、今回のMOC締結は、マレーシアの高等教育に対する評価の表れであり、日本との関係をさらに強固にするとコメント。ノーベル賞受賞者やオリンピック選手を輩出するなど、歴史や伝統を持つ筑波大学がマレーシアにキャンパスを構えることで、学術界、産業界からの期待に応えられるとし、日本企業や業界関係者が実践的な研究・カリキュラムに参加し教育に貢献する道を開くものだと述べた。