中国から19件、1700億リンギの投資を確保=アンワル首相

【北京】 中国を公式訪問したアンワル・イブラヒム首相は1日、中国企業との間で覚書(MoU)19件を締結し、総額1,700億リンギとなる投資を確保したと発表した。中国からの投資額としては過去最高となる。

アンワル首相は北京で開催された「マレーシア中国ビジネスフォーラム」の基調講演で、中国からの投資は、マレーシアに対する投資家の信頼を示すものだと言明。▽国民車メーカー・プロトンの親会社DRBハイコムと中国の自動車メーカー吉利汽車の親会社である浙江吉利との間でのペラ州タンジョン・マリムにおける自動車ハイテクバレー開発▽マレーシア・中国商工会議所(MCCC)と中国商工会議所との間での機械・電子製品輸出入▽デジタルウェイ・グループ、中国絲路集団(CSRG)、中国カイロス・キャピタルの3社間での廃棄物発電所の開発に向けたデジタル開発ファンド共同設立ーーなどについて、合意が得られたと述べた。また、中国の一帯一路構想(BRI)における協力関係を深め、グリーン開発やデジタル経済といった成長分野での経済協力を拡大していくとし、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とも緊密に協力し、中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)の全参加国が利益を得られるようにすると述べた。

中国は2009年以来14年連続でマレーシア最大の貿易相手国。二国間の貿易総額は2022年に4,871億リンギに達している。外国直接投資(FDI)額でトップで、2022年のFDI総額2,646億リンギのうち21%を占めている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月2日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月1日)

岩崎通信機、マレーシア生産子会社の全株式を台湾企業に譲渡

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 岩崎通信機(本社・東京都杉並区)は3月31日、推進中の中期経営計画における生産効率化施策の一環として、2023年7月末でネグリ・センビラン州に拠点を構える生産子会社・岩通マレーシアの全株式を譲渡すると発表した。

情報通信機器の生産高が減少傾向にあるため、現在2拠点で行っている情報通信機器の生産を福島県の主力工場1カ所に集約し、生産効率を高める。株式譲渡先は、電子部品製造の台湾企業ワルシン・テクノロジー(華新科技)のグループ会社シリテック。機構部品の生産や生産受託事業に携わるシリテックは、ペナン州に工場を有しており、岩崎通信機はワルシン・グループから各種生産部材を調達している。

株式譲渡に伴い、岩通マレーシアは2023年8月より連結対象から除外される。岩崎通信機は今後、ワルシン・グループからの電子部品の採用を拡大し、サプライチェーンの安定化を目指すと共に、技術的交流からスタートしビジネス協業のシナジー展開を模索していく方針だ。

マレーシアとシンガポールのQRコードを統一化、決済が容易に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアとシンガポールのQRコードが統一化された。これによりシンガポールでマレーシアにおけるのと同様にQRコードでの決済が可能になり、シンガポールの居住者もマレーシアで同様の決済が可能になる。両国の中央銀行が共同声明で31日、発表した。

両国は連携をさらに拡大する計画で、年末をめどに口座振り込みや個人間送金も可能にする。資金受け取り手の携帯電話番号と統一化QRコードだけで送金が可能になる。

統一化されたのは銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)が管理するQRコード「ドゥイットナウ」と、シンガポールの同様の機関が管理するNETS・QRコード。これを1枚のQRコードに統一し、決済に対応する。

パンデミック以前の両国の往来数は年1,200万人で、その多くはマレーシアからシンガポールへの通勤者。
統一化サービスにマレーシアから参加しているのはホンリョン銀行、マラヤン・バンキング、イーウォレットのブーストなど。シンガポールからはDBS、OCBC、UOBの3大行が参加している。

TXPメディカル、マレーシアで救急医療DXを推進

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 医療データのプラットフォーム構築・提供のTXPメディカル (本社・東京都千代田区)は、2022年8月よりスタートした「マレーシアの3次医療機関における救急医療DX実証事業」で、病院前救急診療から病院診療までデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しており、マレーシア救急診療のオペレーションの質向上の有用性を検証していると明らかにした。

同社が3月31日に発表した声明によると、マレーシアの実証事業対象病院において、救急車での搬送にて利用する「NSERモバイル」、患者向け問診システムである「TXPセルフ・アセスメント・システム」、病院内でデータを受け取り、電子カルテとの連携・業務支援を行う「ネクスト・ステージER」 (NSER) を利用して、救急医療データのワンストップ連携が行われ始めている。

「NSERシリーズ」は医療データの分断を解決し、医療現場のDXを実現するためのプロダクトとして開発されたもので、日本の質の高い救急医療を海外に輸出して世界の救急医療にも貢献したいという思いから同プロジェクトがスタート。実証事業対象病院への度重なるヒアリングや現地調査を通じて、マレーシアでの詳細なニーズを確認した上で、約4カ月をかけて現地にローカライズしたプロダクト開発を行った。昨年12月からは各病院で「NSERシリーズ」のトライアル利用を開始。トライアル利用開始後もプロダクトは改善をさらに重ね、OCRや音声入力機能はマレーシアの言語において問題なく利用され、その適用性も確かめられた。特に同社開発のOCR機能は、マレーシアの救急医療に関わるスタッフにおいても好評で、氏名の文字数が多いマレーシアでは大変有効であることが確認されているという。

TXPは今後、同検証で得られた定量的・定性的な結果を踏まえ、プロダクトを更にブラッシュアップし、国内外の医療データのインフラ実現と、日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済産業協力関係の強化に向けて研究開発および事業開発を継続していく方針だ。

ヘルスケアのIHH、メンタルケアのインテレクトに出資

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 インテレクト・ジャパン(本社・東京都港区)は3月31日、同社の100%出資元であるインテレクト(本社・シンガポール)がマレーシアのヘルスケアプロバイダーであるIHHヘルスケアから出資を受けると共に、IHHが運営する病院ネットワークの患者、法人顧客、従業員に対して、インテレクトが提供するメンタルマネジメント・ソリューションの提供並びに、IHH向けメンタルマネジメント・ソリューションの開発およびカスタマイズを行うと発表した。

IHH向けメンタルマネジメント・ソリューションの第一弾として、IHHが運営する病院ネットワークの一つである「グレンイーグルス・ホスピタル・シンガポール」のマタニティ患者に対してインテレクトのメンタルマネジメント・ソリューションの提供を開始する。

インテレクト・ジャパンは、IHHからの出資および医療従事者、患者向けのメンタルマネジメント・ソリューションの共同開発・カスタマイズは、医療従事者だけでなく、医療を受ける全ての人が早期にメンタル不調に気がつき、適切な治療を受けることで、早期に改善施策を講じることが出来るようになると説明。ウェルビーイング経営を志す全ての企業に加え、病院やクリニックなどの医療機関、医療従事者に対してのメンタルヘルスケア・ソリューション「インテレクト」による「セルフケアプログラム」と「コーチング」提供を通じ、医療従事者及び、医療を受ける全ての人々にメンタルサポートを提供していく方針だ。

ナジブ元首相の再審請求、連邦裁が棄却

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 政府系ファンド、ワン・マレーシア・デベロプメント(1MDB)に絡む複数の汚職で有罪判決が確定したナジブ・ラザク元首相(70)が出していた再審請求について、連邦裁判所は3月31日、同請求を棄却する判断を下した。この決定により国王の恩赦以外にナジブ氏が釈放される可能性はなくなった。

ナジブ氏の弁護団は、新たな証拠の提出申請を却下した連邦裁の決定、昨年8月23日に有罪判決を下した連邦裁のテンク・マイアム・トゥアン・マット首席判事の忌避申請の却下、主任弁護士交代に伴う審理延期申請の却下など、ナジブ氏に対して不公平な裁判が行われたとして再審請求を行っていた。

再審申請に基づき連邦裁は今年1月19日から2月28日にかけ延べ6日間にわたってナジブ氏の弁護団と検察の双方から聴聞を行っていたが、これを担当した連邦裁のラーマン・セブリ首席判事は、これまでの裁判過程でナジブ氏側が主張するような偏見や自然正義に対する違反はなかったと判断すると述べ、再審請求を棄却した。
同裁判は、1MDB子会社だったSRCインターナショナルからナジブ被告のAMイスラミック・バンクの個人口座に4,200万リンギが振り込まれた件で、ナジブ被告は背任(CBT)罪3件、マネーロンダリング3件、職権乱用1件の合計7件の罪状に問われた。一審、二審、三審共にナジブ氏は有罪となり、禁固12年、罰金2億1,000万リンギの刑で2022年8月24日に収監されていた。

ナジブ氏側は国王に対して恩赦請求を行っているほか、1月5日には国連人権理事会の恣意的拘留に関する作業部会(UNWGAD)に請願書を提出している。

ニコンが半導体装置サービス拠点設立、ペナンで11月に開業へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ニコン(本社・東京都港区)は3月30日、マレーシアを中心とした東南アジアの半導体装置事業のサービス拠点として、マレーシア現地法人のニコン・プレシジョン・マレーシアをペナン州で設立したと発表した。

資本金は1,300万リンギ(約3.9億円)で、ニコンのシンガポール法人であるニコン・シンガポールが100%出資する。主要事業は半導体装置の保守サービス、中古機の販売。当初は約50人体制で、11月より営業を開始する。

ニコンは、新会社設立により、半導体メーカーの投資が特に加速しているマレーシアにおけるサポート体制をより強固なものにするとともに、既にサービスビジネスを展開しているニコン・シンガポールと連携することで、今後市場が拡大する東南アジアでの半導体装置事業を一層強化する方針だ。

パナソニックマレーシア、環境団体と提携し生ごみ分別促進へ

【クアラルンプール】 パナソニック・マレーシアは、低炭素社会の実現を目指す非営利団体グリーンステップスと提携し、家庭から出る生ごみを分別し堆肥化を奨励する取り組みを行うと発表した。

マレーシアでは、ごみ分別に年間20億リンギ以上を費やしており、そのうちクアラルンプール(KL)のみで約2億5千万リンギを占めている。また、ごみの分別不足で廃棄物が十分にリサイクルできないという問題もあり、これらの課題解決を目指す。パナソニックの長期的な環境ビジョン「人や社会の幸福と持続可能な地球環境の両方に貢献する」にも合致しているという。

具体的には、KLのタマン・トゥン・ドクター・イスマイル(TTDI)の住民を対象とし、生ごみ分別や堆肥化データのグリーンステップス専用アプリへの継続的な入力を推奨する。アプリでは二酸化炭素排出量を追跡・測定でき、ポイントも獲得できるため、行動変容につながるという。4月1日ー6月30日までの3カ月間、最大1万5,000リンギの商品券を獲得できるコンテストを実施する。アプリ上でごみを3カテゴリーに分別し、堆肥化量を記録するコンテストで優秀な成績を収めた住民には、パナソニック製品に引き換えられる1万リンギの商品券とグリーンステップスのカフェでの飲食に使える5,000リンギの商品券が贈呈されるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月30日)

LRTアンパン線の6駅間、4月2日から運行休止

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)の運営企業ラピッド・レールは30日、LRTアンパン線の6駅間の運行を4月2日から休止すると発表した。再開時期は未定。

対象となる6駅は、▽バンダラヤ▽スルタン・イスマイル▽PWTC▽ティティワンサ▽セントゥル▽セントゥル・ティムールーー。ラピッド・レールは運休の理由として、バンダラヤ駅付近で起きた線路損傷により9月までバンダラヤーマスジット・ジャメ間の運行を休止している影響でLRT車両をアンパン車両基地に戻せなくなり、メンテナンスができなくなったためとしている。

代替バスとして、従来のLRT11路線に加え、LRT13およびLRT14路線を無料運行する。LRT13はマスジット・ジャメ、セントゥル、セントゥル・ティムールの各駅間を、LRT14はマスジット・ジャメーティティワンサ駅間をカバーする。道路渋滞の影響を避けるためバス専用レーンを利用し、ピーク時に10ー15分の頻度で40台のバスを運行する。一方、LRT9(ハントゥアーバンダラヤ間)およびLRT10(マスジット・ジャメーバンダラヤ間)のバスは、4月2日以降廃止するとしている。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、3月30日)

創価大学国際教養学部、マレーシア研究拠点を開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 創価大学(所在地・東京都八王子市)は3月30日、創価大学重点研究拠点の1つとして国際教養学部内に「マレーシア研究拠点」を4月1日に開設すると発表した。

マレーシア研究拠点設立の目的について、異なる宗教、言語、文化、民族が並存する「複合社会」マレーシアを人文社会科学の視角から研究し、日本・マレーシアを中心とした学術者・学生の相互連携を通じて、創価大学のグランドデザインである「価値創造を実践する『世界市民』を育む大学」の取り組みに貢献していくことにあると説明。重点研究拠点認定期間(2023年4月ー2028年3月)中に、国際教養学部教員4人とマレーシアの国立大学教員8人の計12名からなるメンバーが協力して段階的に基盤形成を行い、教育・研究活動の成果を広く社会に発信していくことを目指す。また、本年度の具体的な取り組みとしては、競争的外部研究資金獲得に向けた申請、共同研究プロジェクトの推進、国際フィールドワークI-II(マレーシア短期研修)の実施、本研究拠点主催の研究セミナー、研究成果報告会の開催を行う計画だ。