LRTアンパン線、12日から6駅間で運行再開

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)の運営企業ラピッド・レールは11日、休止していたLRTアンパン線の6駅間の運行を12日午前6時より再開すると発表した。

対象となる6駅は、▽バンダラヤ▽スルタン・イスマイル▽PWTC▽ティティワンサ▽セントゥル▽セントゥル・ティムルーー。バンダラヤ駅付近で起きた線路損傷によりバンダラヤーマスジットジャメ間の運行を休止している影響でLRT車両をアンパン車両基地に戻せずメンテナンスできなくなったため、4月2日より6駅間の運行を休止していた。

6駅間の運行再開に伴い、代替バスであるLRT11、LRT13、LRT14路線の運行は終了するが、バンダラヤーマスジット・ジャメ間のLRT10路線の無料運行を再開する。

ラピッド・レールは声明で、修理作業の第1期が終了したため運行を再開したが、バンダラヤーマスジット・ジャメ間は引き続き運休するとし、今年後半の再開を見込んでいると説明。線路損傷については、隣接地で建設中のホテルの建設作業が原因だとし、現時点で修理作業の第2期は10月中旬までに終了する見込みだとした。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、5月11日)

マレーシアのゲーム産業の現状、ジェトロがリポート

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は11日、成長を遂げる東南アジアのゲーム業界への関心の高まりを受けて、「マレーシアのクリエイティブ産業ーゲーム産業を中心にー」と題するリポートを発表した。

同リポートはマレーシアのゲーム業界への進出や外部委託先としての協業を模索する際の参考にしてもらうために作成したもので、文献調査、ウェブサイトなどの公開情報源からのデータ・情報収集、日本とマレーシアで開催されたイベント会場でのヒアリング、地場および在マレーシア日系ゲーム産業関係者とのインタビューの結果を基に作成。ゲーム産業のエコシステムや主要プレイヤーを体系的に整理し、強みや課題、成長の余地を探っている。

マレーシアには日系大手のスタジオがすでに進出しているほか、大規模開発のAAA作品の制作に携わる地場スタジオもあり、近年個人や小規模チームで制作されるインディーゲームも頭角を現している。

ジェトロKLは、マレーシアのゲーム産業は歴史こそ新しいものの、産学官のステークホルダーがよく機能し、密接に連携したエコシステムが構築されていると分析。特にマレーシア・デジタル経済公社(MDEC)は、ゲーム振興部門の業界経験者がリードし、企業のニーズに寄り添ったサポートを提供しているとし、他方で人材確保においては、私立ワン・アカデミーなど主要な育成機関が、産業界との協力でカリキュラムの充実化に取り組んでいると評価している。
同リポートはジェトロのウェブサイト(https://www.jetro.go.jp/world/reports/2023/01/b6af138a1f59f686.html)からダウンロードすることができる。

住友出資のインソン洋上石油生産設備、初の生産に成功

【クアラルンプール】 洋上石油生産設備の建造、発電などを手掛けるインソン・ホールディングスの子会社、インソン・プロダクション(YP)が建造した洋上石油生産・貯蔵・積み出し設備(FPSO、船名アンナ・ネリー)がブラジルの沖合油田で7日、初の生産に成功した。これで発注者ペトロブラスによる25年間のチャーターが確定した。ペトロブラスは48年まで同FPSOで石油を生産する。
ペトロブラスは半官半民のブラジルの石油会社。19年10月にチャーター契約をYPと交わし、20年3月に正式契約を締結した。同年4月に住友商事が事業に25%出資した。

YPのFPSOがブラジルで運用されるのは初めて。YPは現在、ブラジルで使用されるFPSO2隻を建造中だ。

インソン・ホールディングスのプロジェクトマネジャー、スコット・ベンディクセン氏によると、アンナ・ネリーは全建造時間(1,790万人時)にわたり死傷者数がゼロだった。

住友商事の佐藤渉エネルギー開発部長は「アンナ・ネリーの運用はブラジル経済、地域社会に貢献する」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、5月12日)

ファミリーマート、全店舗でアルコール飲料の販売を中止

【シャアラム】 コンビニ・チェーンのファミリーマート・マレーシアは11日、国内全店舗(360店舗)でアルコール飲料の販売を中止したと明らかにした。飲酒が禁じられているムスリム(イスラム教徒)への配慮だとしている。

ファミリーマートの店舗をフランチャイズ方式で展開するQLリソーシズのチア・リクカイ社長は、3月から順次アルコール飲料の販売停止を行っているとし、アルコール飲料の売り上げは小さいため影響は最小限で、他の飲食物でカバーできると述べた。

 チア社長はまた、ホットスナックやソフトクリーム、インスタント食品やドリンクを店内飲食できる新コンセプトの「ファミカフェ」を紹介。「ファミカフェ」のメナラU店はマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)のハラル認証を取得しているとし、現在「ファミカフェ」は16店舗が開設されているが、年内に50店舗、2025年までに300店舗を開設し、全店舗でハラル認証を取得することを目指していると述べた。食品調理センターも2019年にJAKIMのハラル認証を取得しており、4月30日時点で自社ブランドの172商品がJAKIMの公式ハラルポータルサイトに登録されている。ファミリーマートの通常店舗も段階的にハラル認証を取得する予定で、首都圏2店舗が審査を受けているという。


ファミリーマートは今後パハン州クアンタンなどマレー半島東海岸に展開する計画で、年内に20店舗を開設するとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、ザ・バイブス、5月11日)

第1四半期のGDP成長率、プラス5.6%に減速

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は12日、2023年第1四半期(1ー3月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比プラス5.6%だったと発表した。前期の7.1%を下回ったものの、個人消費の拡大や継続的な投資活動、インバウンド観光客数の増加に支えられて、6四半期連続でプラス成長を維持した。

セクター別の成長率が最も高かったのは建設業で、前期のプラス10.1%から7.4%にダウンしたものの、公共交通機関などの大規模プロジェクトなどに支えられてプラス成長を維持した。サービス業はプラス9.1%から7.3%となったが、小売業での売上高増加や観光産業の回復が見られた。製造は前期(プラス3.9%)から3.2%にややダウンしたものの、自動車産業と電気・電子産業成長を下支えした。また鉱業もプラス6.3%から2.4%に、農業もプラス1.1%から0.9%に減速した。

国内需要はプラス6.8%から4.6%にダウン。民間消費と民間投資も5.9%、4.7%となり、前期(前期7.3%、10.3%)を下回った。また公共支出は前期のプラス3.9%からマイナス0.3%に転落。プラス6.0%だった公共投資は5.7%の微減にとどまった。前期はプラス8.6%だったモノとサービスの輸出はマイナス3.3%、輸入もプラス7.2%からマイナス6.5%にそれぞれ失速した。

ノル・シャムシア総裁は、2023年通年のGDP成長率予想について4.0%ー5.0%に据え置くとし、観光産業の回復や今年度予算案に盛り込まれたプロジェクトの実施などが上振れリスクとなると説明。その一方で、世界の経済成長率が予想を下回ることや不安定な世界金融市場の動向などが下振れリスクとなるが、リスクは比較的バランスが取れているとした。またインフレ率については、年間を通じて緩やかな水準に止まるものの、コア・インフレ率は高水準で推移する見通しだと述べた。

インピアナホテルズ、飲食店運営カフェリンクを買収へ

【クアラルンプール】 ホテル運営のインピアナ・ホテルズは、レストラン運営のカフェリンク (M) の株式70%(21万7,000株)を取得すると発表した。

インピアナがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、今回の買収は同社の既存食品・飲料(F&B)事業を補完するもので、カフェリンクが首都圏・サバ州で運営するレストランブランド「ソールドアウト」と「WIP」の店舗数を増やすことでグループ資産の拡大を目指す。

インピアナのホー・ブンヒム暫定最高経営責任者(CEO)は、近年の消費者ニーズの急速な変化に伴い、競争力を維持するために事業を水平展開する必要性が高まっているとし、今回の買収により、カフェリンクがこれまで育成してきたブランドを基盤としてF&B事業を拡大していくとコメント。また、英コンサル企業グローバルデータの分析によると、マレーシアの外食産業は2021年時点での152億米ドルから年平均成長率8.9%で成長し、2026年には235億米ドル規模に達すると予想されているなど、業界の将来は明るいとし、今後も相乗効果を生む協業機会を継続的に探っていくと述べた。
(ザ・スター、5月11日、エッジ、マレーシアン・リザーブ、5月10日)

 

プロトンEV子会社、ハップセンスマートをディーラー指名

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスの電気自動車(EV)販売子会社であるプロトン・ニューエナジー・テクノロジー(プロネット)は、初の公認EVディーラーとして複合企業ハップ・セン・コンソリデーテッド(HSCB)傘下のハップ・セン・スマートを指名したと発表した。

ハップ・セン・スマートは、スマート・オートモービル(スマート)のスポーツ車(SUV)タイプEV「スマート#1」の販売を担当する。今年第3四半期に販売を開始し、第4四半期にはクアラルンプールにスマート車のショールームを開設する。続いてセランゴール州バラコンにも2店舗目を開設する計画だ。ハップ・セン・スマートはマレーシア、タイにおけるスマート車の公式輸入業者。

HSCBのハラルト・べーレント最高執行責任者(COO)は、プロネットとの協業は、プレミアムEVであるスマート車への信頼を示すだけではなく、低炭素モビリティに向けた自社の取り組みの一環でもあると述べた。ハップ・セン・スマートは、自動車販売で50年以上の歴史を持つハップ・セングループの専門知識を活用していくとしている。

スマートは、独メルセデス・ベンツと中国・吉利集団の合弁会社で、小型EVの開発・販売に携わる。プロネットはスマート車のマレーシア国内販売を担当している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月11日、ポールタン、5月10日)

親の老後の経済的面倒を見るべきとの意識、マレーシアが最上位

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 博報堂生活総合研究所が日本・中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)の生活者の意識や価値観、行動を把握することを目的として実施した初の8カ国調査「グローバル定点」の調査結果によると、マレーシアは「子どもは親の老後の経済的な面倒を見る方がよいと思う」との回答が39.3%となり、8カ国中最も回答率が高かった。

その他の調査項目で、回答率が8カ国中上位となったのは、「愛を信じる」で、回答は48.1%となり、2位。「お金が欲しい」との回答は48.3%、「人をうらやましいと思うことがよくある」が9.0%、「地球環境の保護につながる行動をしていない方だ」が18.8%、「家族と過ごす時間を増やしたい」69.4%でそれぞれ3位となった。

また「自分の将来イメージは暗い」との回答は9.6%、「高い給料よりも休みがたっぷりな方がいい」が41.3%、「人づきあいは面倒くさいと思う」が18.7%、「体力づくりや健康のために運動をしている​」が50.4%となりそれぞれ4位となった。

その一方で「今後、自分の経済状態は楽になると思う」との回答は63.3%となり、8カ国中3番目に回答率が低く、「夫婦で家事や子育て、仕事などの役割を平等に分担している(既婚者のみ回答)​」が44.9%となり、4番目に回答率が低かった。

同調査は、博報堂生活綜研(上海)および博報堂生活総合研究所アセアンの協力の下、8カ国の15ー59歳の男女1万1,000人を対象に1月10ー31日にかけてインターネットで実施した。

ちとせグループ藻類生産設備、サラワク州首相が開所式実施

【クチン】 サラワク州のアバン・ジョハリ首相は10日、ちとせグループ(本社・神奈川県川崎市)がサラワク州に建設した藻類生産設備「ちとせカーボン・キャプチャ・セントラル(C4)」の開所式を実施した。

C4は、ちとせグループの中核企業であるちとせ研究所が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として建設した世界最大規模の藻類生産設備。サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)やサラワク生物多様性センター(SBC)と共同で推進しており、隣接する火力発電所から出る排気ガス中の二酸化炭素(CO2)を活用して持続可能な航空燃料(SAF)などを製造する。敷地面積は現在約5ヘクタール(ha)だが、将来的には2,000haまで拡大する計画だ。

アバン州首相は、C4の設立は持続可能な州経済に向けた重要な節目であり、新規雇用機会を創出し、州経済の成長も促進できると言明。藻類は、SAFや食品、医薬品などの材料になるとし、2,000ha規模での藻類生産を行った場合、最大5,000人の雇用機会を創出し、年間約20万トンのCO2を脱炭素化できると述べた。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、5月10日)

マレーシアのリサイクル産業の現状、ジェトロがリポート

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は11日、環境関連ビジネス市場参入への関心が急速に高まっていることを背景に、「マレーシアのリサイクル産業‐プラスチックリサイクルを中心に」と題するリポートを発表した。

同リポートは、プラスチックのリサイクル産業・ビジネスへの参入を模索する際の参考となるために作成されたもので、リサイクル関連の法規制、主なプレイヤー、関連プロジェクトなどの現状と、参入にあたってのビジネスチャンス・障壁をまとめている。その上で政府による様々な長中期計画やロードマップ自体はよく検討されていると評価する一方、法執行面では改善の余地もあると指摘している。

また、ヒアリング等からは、外資系企業の取り組みと比較し地場リサイクル企業がその動きに追随できていないことも浮き彫りになったと指摘。 技術面においては、使用済みプラスチックから水素を取り出すケミカルリサイクル、農業用フィルムなどバイオマテリアルの開発、廃プラスチックの汚れ除去にかかる洗浄技術などにおいて、ビジネスチャンスがあるとも提言している。

ジェトロKLは、マレーシア政府による「マレーシア・プラスチック・サステイナビリティ・ロードマップ2021-2030」の策定や、本社の環境・社会・企業統治(ESG)対応強化を背景に、リサイクル関連で新規事業立ち上げを検討する声も聞かれると指摘。分別回収が未だ徹底していないマレーシアでは、リサイクル技術に関して先行している日本企業の参入余地があると考えられるとしている。
同リポートはジェトロのウェブサイト(https://www.jetro.go.jp/world/reports/2023/01/a1a64ca81cb40e02.html)からダウンロードすることができる。