【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)は、マレーシアの税収は東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国および経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中で最も低く、さらに減少傾向にあるため、中期的な歳入戦略の策定を急ぐべきだと提言した。

IMFが1日に発表したカントリー・リポートによると、2021年時点での税収は国内総生産(GDP)の約11%に過ぎず、2023年度予算案でも「税収漏れを最小限に抑え、税務強化により歳入を改善する」とされているが、具体的かつ中期的な歳入強化策や歳入戦略スケジュールが欠如しているという。

IMFは、「物品・サービス税(GST)を当面復活させない」としている政府に対し、世界経済の急激な減速や景気後退などの外的リスクに直面するため、復活の準備作業を速やかに開始すべきだと指摘。また炭素税の導入を検討すべきで、炭素税により2030年までに年間GDPの1ー3%の収入を生み出せるとした。第12次マレーシア計画(対象期間2021ー25年)に基づく歳出や高所得国化目標に向け、中期歳入戦略の策定を優先するよう提言している。一方、連立政権の発足により改革を協調的に推進できるとし、国家腐敗防止計画などで示された腐敗防止改革は、財政管理を強化し、公共部門のサービス品質を向上させられると述べた。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月2日)