MM2Hの見直し案を2カ月内に発表=観光芸術文化相

【ペタリンジャヤ】 ティオン・キンシン観光芸術文化相は、外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムについて、見直し案を2カ月以内に発表すると述べた。2021年の条件厳格化後にMM2H申請数が激減したことから、緩和を求める声が多く上がっていた。

ティオン大臣は、見直しには各省庁の承認が必要なため、結果の発表に今後1ー2カ月が必要だとした。
MM2Hコンサルタント協会のアンソニー・リュー会長は、条件厳格化後に設定された「国内滞在年間最低90日間」という基準は、母国で会社勤めをする人たちに影響を与えるとコメント。MM2Hは当初、退職者が対象で社会人を対象としていなかったのにも関わらず、新しく「海外月収4万リンギ以上」という条件が追加されたことで、母国で働きつつマレーシアに90日間滞在するという条件を満たすのは困難だと指摘した。

その上でリュー会長は、MM2Hには、タイが提供している、タイランド・エリート・レジデンス・プログラム(タイに最長20年間住むことができ、その他サービス・特典も提供するもの)より優れた点がないと指摘した上で、MM2Hカードの発行やクアラルンプール国際空港での特別レーン設置などを見直し案に入れるよう提案した。実際にMM2Hコンサルタント協会がマレーシア政府観光局と共同で日本や中国、香港、台湾、韓国で販促ツアーを行った際、外国人からの反応は薄かったとし、多くの外国人は厳しい申請条件のためMM2Hに興味を示さなかったとした。

MM2H申請業者であるジェイフリー・チェン氏は、新条件は煩雑で申請者は条件をクリアするためのサポートが必要で、ある雑誌の調査では2021年の「リタイアするのに最適な世界の島15選」にペナンが選ばれたにも関わらず、MM2Hの新規申請者がないなど、条件厳格化が悪影響を及ぼしていると述べた。

フランス人駐在員のケネス・ウィルキンソン氏は、マレーシアで45年以上働いており、76歳でありながら就労ビザのため地元企業の顧問としてパートタイムで働いているが、そのビザも今年11月に切れるとし、引退後もマレーシアに住み続けるつもりだったが、厳しい月収条件のためにMM2Hを取得できないと知り、打ちのめされていると述べた。
(ザ・スター、6月30日)

携帯電話のXOX、越境eSIMでKDDIマレーシアと協業へ

【クアラルンプール】 携帯電話サービスのXOXは、子会社のXOXコムを通じ、KDDI(本社・東京都千代田区)のマレーシア現地法人KDDIマレーシアと共同で来年1月に越境eSIM通信サービスを開始すると発表した。日本とマレーシア両国で顧客350万人の獲得を目指す。

eSIMは物理的なSIMカードを端末に挿入する必要がなく、携帯端末内のデータ書き換えにより通信を利用可能とするもの。SIMカードとeSIMをそれぞれ1枚ずつ利用することで、マレーシア国内ではXOXの回線、日本国内ではKDDI回線を使えるようになる。旧正月前の12ー2月にかけてマレーシア人の日本への旅行が増加することが予想されるため、今年12月末までにサービス詳細を確定させる予定。また、XOXが展開するキャッシュレス自動販売機「スペースX」の拡大や専用アプリの共同開発、両社最新技術の投資プロジェクトへの活用などの面でも協力する。

XOXのロイ・ホー・ユーキー取締役は、覚書締結式後の記者会見で、現時点での顧客数は250万人だが、今回の提携により来年までに350万人に増加させたいと述べた。今回がXOXにとり初の海外企業との協業だが、中国、シンガポール、オーストラリア、タイなどにおいても協業に向け現地企業と交渉中だとしている。

KDDIマレーシアの松浦真樹社長は、マレーシアには日本企業約1,200社が進出し、3万人近くの日本人が在住しているため、そういった在マレーシア邦人も顧客候補になりうると述べた。
(ザ・サン、6月30日)

スギHDとアルプロ、合弁会社を設立へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スギホールディングス(本社・愛知県大府市)は6月28日、医薬品販売のアルプロ・ファーマシーのグループ会社であるアルプロ・アライアンスと共同出資を行い、新会社アルプロ・スギ・ベンチャーをネグリ・センビラン州に設立することを決定したと発表した。

スギホールディングスは、2022年7月6日にアルプロ・ファーマシーと業務提携以降、様々なコラボレーションを進めており、今回、両社の事業展開をより一層推進することを目的に、アルプロ・アライアンスと合弁会社を設立することを決めた。
アルプロ・スギ・ベンチャーは、2023年度中にマレーシア国内に数店舗の日本式ドラッグストア出店を計画しており、将来的にはマレーシア国内のみならず、インドネシア、シンガポール、ブルネイを対象にドラッグストア事業などの事業展開を進めていく計画だ。

商船三井やペトロナスが開発した船、設計承認を船級協会から取得

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 商船三井(本社・東京都港区)は6月28日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)並びに中国の船舶設計機関である上海船舶研究設計院(SDARI)と共同開発した液化二酸化炭素(LCO2)船についてノルウェーのデット・ノルスケ・ベリタス(DNV、本部・オスロ)およびアメリカ船級協会(ABS、本部・テキサス)の2船級から、また、同じくペトロナス、SDARIと共同開発した洋上浮体式設備(FSO)についてABSから、設計基本承認(AiP)を取得したと発表した。

授与式は、アジアにおけるネットゼロ実現を目指しエネルギー産業の持続可能な発展を推進する国際会議「エナジー・アジア」の会場となった、クアラルンプール・コンベンションセンターにおいて、6月26日に行われた。

商船三井は2022年2月、ペトロナスと覚書を締結し、アジア大洋州地域におけるCO2回収・利用・貯蔵(CCUS)バリューチェーン実現に向けた最適な液化CO2輸送に関する共同検討を行い、また、SDARIと協働し複数のLCO2船とLCO2 FSOのコンセプトデザインを完了させた。FSOは、洋上で貨物の受入・払出を行う浮体設備で、LCO2 FSOはCCUSバリューチェーンにおいて効率的な手段の一つと考えられている。今回のコンセプトスタディ完了およびAiP取得により、輸送貨物量・距離、洋上の貯留地付近までの直接輸送等、将来の多様な輸送ニーズに柔軟に対応することが可能となるという。

交通機関でのマスク着用、7月5日から任意に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ザリハ・ムスタファ保健相は6月29日、新型コロナウイルス「Covid-19」の標準運用手順(SOP)を7月5日付けで見直すと発表した。

感染者の隔離期間については、感染力が最初の5日間で最も高まることが研究で示されたことから、これまでの7日間から5日間に短縮する。
公共交通機関や医療施設を利用する際に義務付けられていたマスク着用についても、義務化をなくし任意とする。ただし感染者が医療機関を訪れる際にはマスク着用を求める。

また高齢者、慢性疾患のある人、免疫力の低い人、妊婦などのリスクの高い人については、特に混雑した場所や換気の悪い場所ではマスク着用を強く推奨する。感染が疑われる呼吸器症状のある人については、他人への感染を防ぐため、バス、飛行機、タクシーなどの公共交通機関を利用する際のマスク着用を奨励する。

一方で、新型コロナの感染状況や医療機関の状況が懸念される水準ではないものの、今後各地で宗教イベントや州議会選挙が行われるのを考慮し、6月末までとなっていたマレーシア国内の感染地域ステータスを2023年12月31日までさらに6カ月延長する。新たな変異株や亜種が出現するリスクがあるため、感染症管理を容易にするためだとしている。

ザリハ保健相によると、過去5週間で新規感染者数は5,801人から2,698人へと53.5%減少し、死亡者数は17人から11人へと35.3%減少した。公立病院での入院者数とベッド占有率は減少しているものの、集中治療室のベッド使用率は6%で推移している。