サンウェイピラミッドのイオン跡地、ジャヤグローサーが入居へ

【クアラルンプール】 セランゴール州のショッピングモール「サンウェイ・ピラミッド」は25日、新たなアンカーテナントとして、高級スーパーのジャヤ・グローサーを迎えると発表した。同モールは先に、16年間営業したイオン店舗が今月末で閉店すると明らかにしていた。

サンウェイ・ピラミッドは声明で、従来のアンカーテナントであったイオンの撤退に伴い、2024年第4四半期の完成を目標に拡張工事を開始したと言明。ジャヤ・グローサーは正式オープンに先立ち、今年第4四半期にポップアップストアをオープンする。拡張部分には他の旗艦店、ブランドも入居する予定で、工事期間中にもポップアップストアやイベントなどを開催するとしている。

サンウェイ・ピラミッドの責任者であるジェイソン・チン氏は、拡張工事は、サンウェイ・ピラミッドが地域社会にもたらすユニークな体験を再定義するための第一歩であり、顧客に対しシームレスなショッピング体験を提供することに加え、新店舗における雇用機会の創出により、地域社会にも貢献していくと述べた。
(ザ・サン電子版、ベルナマ通信、7月25日)

ペトロナス、日本企業が運営する鉱区の権益をシェルから取得

【ジャカルタ】 国営エネルギー会社のペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)とインドネシア国営石油会社プルタミナは25日、インドネシアのマセラ鉱区アバディ田プロジェクトの権益を英蘭シェルから取得するとの合意書に署名した。
ペトロナス子会社のペトロナス・マセラが15%、プルタミナ子会社のプルタミナ・フル・エネルギーが20%の権益を取得する。

液化天然ガス(LNG)プロジェクトで、残りの65%の権益は日本などで石油・天然ガスの権益を持つ日本の大手石油開発会社、INPEX(本社・東京都港区、インペックス)が所有している。操業主体はインペックス。鉱区はインドネシア東部アラフラ海の深海に位置する。

ペトロナスはインドネシアでは6件の生産分与協定鉱区で権益を所有しており、東ジャワ省沖の3つの鉱区では操業主体として参加している。
インペックスによると、アバディ田では最大で年間950万トンのLNGの生産・輸出が計画されている。

ペトロナス側から調印に当たったムハンマド・タウフィク社長は「LNG資産を増やすことで低炭素エネルギーに対する需要に対応する」と語った。
(ザ・サン、ザ・スター、7月26日)

米国衛星接続サービス「スターリンク」が国内で利用可能に

【クアラルンプール】 米スペースXが提供する衛星インターネット接続サービス「スターリンク」がマレーシアで利用可能となった。スペースXは、電気自動車(EV)メーカー・米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が所有する企業。

「スターリンク」は、低遅延で高速ブロードバンド接続を提供できるのが特徴。標準プランの場合、ダウンロード速度は25ー100メガビット/秒(Mbps)、アップロード速度は5ー10Mbps。利用料金は月額220リンギだが、専用の自動方向調整衛星アンテナ・キットの購入が必要。アンテナ価格は、家庭向けの標準キットで2,300リンギ、ヘビーユーザーや企業向けのハイパフォーマンス・オプションで1万1,613リンギ。30日間サービスを試用でき、試用後にキット返却により全額返金も可能。スターリンクのウェブサイトから利用を申し込め、キットは1ー2週間で発送される。

マレーシアはスターリンクが参入した60カ国目の国で、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域ではフィリピンに次いで2カ国目。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)によると、スターリンクが提供する価値や利益を考慮した結果、商業衛星サービス事業における「外資49%以下」という規定が免除され、100%外資系企業として事業を行うことが認められた。

マレーシア宇宙産業協会(MASIC)のショーン・シー副会長は、スターリンクの参入によって地元企業が不利な立場に置かれることについて懸念を表明。国内インターネット接続率は90%を超えており、スターリンクがなくても地元企業が接続サービスを提供できているとし、スターリンク衛星によって常に監視される危険性もあると主張した。スターリンク衛星はマレーシアの規制当局による管理が行われていないため、事前に、MCMCやマレーシア国立宇宙局の方針への準拠および国家安全保障や主権にまつわる問題について慎重に検討すべきだったと述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、7月26日、マレー・メイル、ソヤチンチャウ、7月25日)

藤森工業、バイオマス由来・海洋分解性樹脂プラントを竣工

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 藤森工業(本社・東京都文京区)は24日、マレーシア科学大学(USM)および投資貿易産業省(MITI)傘下のマレーシア標準工業研究所(SIRIM)と共同で、バイオマス由来且つ海洋分解性樹脂のパイロットプラントを24日に竣工したと発表した。

開設したのは、セランゴール州にあるSIRIM敷地内。同プラントでは、原材料に農業廃棄物や残渣などの未利用資源を活用し、また発酵培養・抽出・精製の工程に微生物や昆虫の自然環境における生態を利用した、環境負荷の少ない製造プロセスの実証試験を行う。2025年度に事業化を開始し、プラスチックごみの海洋流出の多い東南アジア諸国において、レストランチェーン等で使用されるカトラリーなど、シングルユースプラスチック製品の提供を予定している。同プラントでは 5トン/年の生産能力を実現し、203 年には5,000トン/年まで引き上げる計画だ。

藤森工業は、高付加価値製品の開発・量産化にも挑戦しながら、カーボンニュートラルの実現・海洋汚染軽減に取り組んでいく方針だ。

エアロジーラボ、セランゴール州でドローンの飛行試験を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 エアロジーラボ(本社・大阪府箕面市)は25日、エアロダインジャパン(本社・東京都渋谷区)と連携し、5月より、セランゴール州営のセランゴール・テストフィールドにおいて、ハイブリッドドローン「エアロレンジクアッド」の性能試験およびユースケース試験を開始したと発表した。

世界最大のドローンサービスプロバイダーであり、マレーシアに本社を置くエアロダイングループは、ドローンを活用して、同国がかかえる社会課題の解決に乗り出しており、道路インフラが未整備で、物資輸送にトラックが使えないこと、物流で多大な労力がかかることや、主力産業であるプランテーション農園のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。しかし、現在のバッテリードローンの多くは30分程度の飛行時間、数キロメートル(km)の飛行距離しかなく、長距離飛行や広大な農園での利用には適さないことから、エアロダイン社がこれらの課題解決に有用な長距離ドローンを世界中から探した結果、エアロジーラボの「エアロレンジクアッド」を発見し、今回の協業が実現した。

エアロジーラボは、具体的には、基本性能試験、目視外飛行試験(最大飛行距離、滞空時間など)、ユースケース試験(離島間物流、海上輸送、プランテーション農園での精密農業利用など)を実施している。これまでに基本性能試験を終え、現地で2時間以上の飛行も達成した。直線で最大10km飛行可能な広大なテストフィールドで飛行試験を行うことにより、実際値として最大飛行距離などの性能評価を実施する。また、機体を現地に輸出した後は、リモート会議を通してセットアップ指示やオペレーション講習、トラブルシューティングを行っており、メンテナンス性の改善やオペレーションマニュアルの改善につながる示唆を得ながら、飛行試験を実施しているという。

エアロジーラボは、ここまでの基本性能試験および長距離飛行の性能評価について総括を行った上で、今後は実際のユースケースに即した飛行試験を行い、「エアロレンジクアッド」の適性の評価を行う予定だ。

物価上昇はさらに鈍化する、エコノミスト予想

【クアラルンプール】 消費者物価指数(CPI)は6月、10カ月連続で前年同月を下回り、物価上昇圧力が弱まっていることが示されたが、上昇はさらに鈍化するとエコノミストは予想している。

鈍化傾向があまり見えなかったコアCPI(CPIから、物価変動の激しい生鮮食品と価格統制品を除いた数値)の上昇率も6月は3.1%と、5月の伸び(3.5%)を下回った。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ氏は「予見しうる将来、マレーシアは低率の物価上昇の時期に入る」と述べた。

上半期のCPI上昇率は3.2%で、バンク・ムアマラットのアフザニザム主任エコノミストは、燃料補助に大きな変化がない限り、下半期のCPI上昇率は2.7%に鈍化すると述べた。

ほかの多くの国でも物価上昇は鈍っており、エコノミストのマノカラン・モタイン氏によると、昨年はロシア・ウクライナ戦争や供給網の寸断が物価に影響したが、今年はこうした影響も弱まっており、物価上昇の鈍化につながったという。

アフザニザム氏は、物価上昇鈍化で金融引き締めの必要性は減じたと指摘。年内の利上げはないと予想している。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月25日)

ペルリス州が宝くじ販売を禁止、販売店の閉鎖始まる

【カンガー】 イスラム原理主義政党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)が政権を握るペルリス州は賭博に繋がるとの理由から4D宝くじ販売所の営業禁止方針を決定。これに伴い営業ライセンスの更新を停止しており、期限の切れた販売所の閉鎖が既に始まった模様だ。宝くじ販売店の営業を事実上禁止するのは、▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダーーに続く4州目となる。

華字紙によると、同州には販売所がカンガーに3カ所、パダン・ベサルに2カ所、クアラ・ペルリスに1カ所の合計6カ所あり、禁止決定前に更新していなかった4カ所は7月、9月、10月にそれぞれライセンス期限が切れ、更新済みの2カ所も来年1月、3月に期限が切れることになっている。

販売店のSTMロットリーが異議申し立てを行っているが、州政府幹部は禁止の立場を変えるつもりはないとし、他業種に転換するための猶予期間は十分に与えていると反論している。

ケダ州は今年1月から45の販売店舗すべてを閉鎖し、クランタン州とトレンガヌ州はそれぞれ1990年と2020年に禁止令を出している。
(ザ・スター、7月22日)

ニシン、豪ブイモトの電動バイクを国内組立へ

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループは、豪州の電動バイクメーカーであるブイモトと提携し、同社の電動バイクのマレーシアにおける組立、販売促進、流通を検討すると発表した。

ニ・シンが24日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、完全子会社ニ・シンEVテック(NHEV)を通じ、ブイモトとの間で、電動バイクの組立、販売促進、流通を行うための事業協力に向けての覚書(MoU)を締結した。NHEVが有する、国内での企業対個人(B2C)、企業対企業(B2B)、企業対政府(B2G)販売チャネルを活用する。MoUの有効期間は2025年12月末まで。

NHEVのコー・チーコン社長は、両社の提携により国内二輪車EV市場でシェアを拡大できるとし、ブイモトが製造する高性能の電動バイクは、企業や政府機関などのセキュリティ強化に適していると言明。NHEVの取引先には、B2B、B2G分野の警察、軍隊、道路交通局、税関、港湾、警備会社などが含まれていると述べた。
ニ・シンによると、マレーシアは内燃機関二輪車市場として世界第12位であり、2014ー2022年に400万台が販売されているが、EVはそのうち1.7%に過ぎず、成長余地が大きいという。
(ザ・スター、7月25日、エッジ、7月24日)

英ロータスの電動SUV「エレトレ」、予約数が500件を突破

【クアラルンプール】 英系スポーツカーのロータス・カーズ・マレーシア(LCM)は、ブランド初の電動スポーツ多目的車(SUV)「エレトレ」について、4月の公式発表以来、500台以上の予約を受け付けたと明らかにした。

LCMは公式発表時に、マレーシア市場には200台が割り当てられており、そのうち140台が受注済みだとしていた。納車は今年第4四半期に開始されるが、注文が殺到しているため、時間を要すると見込まれている。

「エレトレ」は、5人乗りで、荷室容量は688リットル、後部座席を畳むと最大1,532リットル。112キロワット時(kWh)のバッテリーを搭載する。最大350キロワット(kW)のDC急速充電に対応しており、10ー80%の充電時間は20分。
バリアントは3種で、「エレトレ」が57万8,000リンギ、「エレトレS」が64万8,000リンギ、「エレトレR」が79万8,000リンギ。「エレテレ」と「エレトレS」の最高出力は605馬力(PS)、最大トルクは710ニュートンメートル(Nm)を発揮、静止状態から時速100キロメートル(km)までの加速時間は4.5秒、最高速度は時速258km、航続距離は600km。「エレテレR」の最高出力は905PS、最大トルクは985Nm、加速時間は2.95秒、最高速度は時速265km、航続距離は490kmで、ロータスによれば、デュアルモーター搭載の電動SUVとしては世界最速となる。

車体カラーは全6色。5年・15万kmのメーカー保証および8年・20万kmのバッテリー保証が付属する。
(ポールタン、7月24日)

製造業への50億リンギ以上投資で特別ビザを付与=MITI

【クアラルンプール】  投資貿易産業省(MITI)は24日、マレーシアの製造業に50億リンギ以上投資を行う投資家に対し、「居住者パスー技能(RP-T)」の特別版を提供すると発表した。

MITIの声明によると、今後発表予定の国家投資政策(NIP)および新産業マスタープラン(NIMP2030)で指定される製造業への投資が条件となる。企業のオーナーや経営上層部、主要意思決定者などが対象として想定されており、就労ビザの取得やマレーシア国内での就労経験は不要となる。投資家本人に加え、配偶者、扶養家族も最長10年までの滞在が可能。RP-Tの通常版と同様、タレント・コーポレーション・マレーシアが管轄機関となる。

MITIはまた、製造業におけるデジタルノマド(ITを活用し旅行しながら働く人)向けビザ「DEランタウ」の詳細を発表。マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)が昨年10月に導入した「DEランタウ」を引き継ぐもので、デジタルやテクノロジーに熟練した外国人材が配偶者や扶養家族とともに最長2年間マレーシアに滞在できるようにする。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、多国籍企業がグローバル・リスク分散戦略の一環として、サプライチェーンの安全性を重視する中、マレーシアへの投資を促進するためにRP-TやDEランタウは極めて重要だとし、高額投資や高度なスキルを有する専門家を惹きつけるだけでなく、現地労働力の競争力も向上させ、デジタル起業家精神を刺激すると述べた。マレーシアが高スキル人材を歓迎し、評価する国であるという世界的な評判を高めることで、人材や投資、国際協力の機会を引き寄せることになるとしている。
(ザ・サン電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月24日)