【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は18日、2023年第2四半期(4ー6月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比プラス2.9%に減速したと発表した。個人消費の拡大や継続的な投資活動、インバウンド観光客数の増加に支えられて、7四半期連続でプラス成長を維持したものの、前期の5.6%を下回り、約2年ぶりの低い水準となった。
セクター別の成長率が最も高かったのは建設業で、前期のプラス7.4%から6.2%にダウンしたものの、土木工事や専門建設の伸びに支えられてプラス成長を維持。サービス業もプラス7.3%から4.7%に低下したが、卸売・小売業での売上高増加や運送サポート活動の業績向上が見られた。製造は電気・電子産業の減速が影響し、前期(プラス3.2%)から0.1%にダウン。また鉱業もプラス2.4%からマイナス2.3%に、農業もプラス1.0%からマイナス1.1%に転落した。
国内需要はプラス4.6%から4.5%、民間消費と民間投資はそれぞれ4.3%、5.1%となった(前期は5.9%、4.7%)。公共支出は前期のマイナス0.3%からプラス4.6%に加速。公共投資はプラス5.7%から7.9%に伸びた。その一方で、前期はマイナス3.3%だったモノとサービスの輸出はマイナス9.4%、輸入もマイナス6.5%からマイナス9.7%とさらに失速した。
アブドル・ラシード総裁は、2023年通年のGDP成長率予想について、当初予想である4.0%ー5.0%の下限に近い水準になると予想した。世界経済の回復の遅れなどの外部要因が主な下振れリスクとなるが、観光産業の回復や今年度予算案に盛り込まれたプロジェクトの実施などが上振れリスクとなると説明。引き続き内需が成長を支えることが期待できるとした。インフレ率に関しては、ヘッドライン、コアともに年平均2.8ー3.8%となると予想している。