経営難にある碧桂園のジョホール開発事業、とん挫の可能性

【クアラルンプール】中国の不動産開発大手、碧桂園の経営難が報じられており、マレーシア子会社のカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV)がジョホール州で手掛ける3件の住宅開発事業が途中挫折する可能性が出てきた。

碧桂園は8月6日に期限を迎えた約33億円相当の社債の利払いを履行できなかった。30日間の猶予期間内に支払わなければデフォルトになる。8月10日には1ー6月期の純損益が450億ー550億元(1元=20円)の赤字になる見通しも示した。

CGPVはフォーレスト・シティー、ダンガ・ベイなど3件の集合住宅を建設中だが、碧桂園は海外事業を処分する動きに出ており、シンガポールのテレビ局チャンネル・ニュース・アジアがジョホール州の不動産関係者の話として報じたところによると、建設が停止される可能性がある。

フォーレスト・シティーでは一部で入居が始まったが、ゴーストタウン化しており、住宅所有者によれば、住宅価値は70万リンギから40万リンギに下がった。ダガン・ベイの物件も売り出し時より50ー60%値下がりしたという。

ダガン・ベイでは住宅購入者の区分所有権登録が円滑に行われておらず、碧桂園が破たんした場合、購入者は所有者であることを示す証拠の提出という余分な手間が必要になりそうだ。
(マレー・メイル、8月23日)

イポーのイオンモールに爆破予告、38歳の男を逮捕

【イポー=マレーシアBIZナビ】 ペラ州にある「イオンモール・イオン・クレバン店」で23日午後、爆破予告電話を受けて従業員と顧客が一時避難する騒ぎがあった。同店は同日の残りの営業を中止したが、安全が確認されたとして翌24日午前10時から営業を再開した。

イオンモールの従業員が爆破予告の電話を受けたことから、23日午後4時50分ごろ警察に通報した。午後5時半に従業員と客に対して建物から避難するよう命令が出され、王立マレーシア警察(PDRM)ペラ州警察本部の爆弾処理班や消防レスキュー局による爆発物の捜索が行われた。結局、不審物は見つからず、同日午後10時半に避難命令は解除された。

警察はこれと並行して脅迫電話に関する捜査を進め、23日午後9時半に同州タセクに住む38歳の男を逮捕し、犯行時に使用したと思われる通信デバイスも押収した。有罪となった場合は7年の禁固刑が課せられるという。

日本から活魚の輸入はないと確認、処理水放出で=副農業相

【クアラルンプール】 チャン・フーンヒン副農業食糧安全相は24日、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日より開始されたことを受け、マレーシア漁業局は現在、日本から活魚を輸入していないことを確認したと述べた。

チャン氏は自身のフェイスブックで、日本からの輸入水産物の安全性を確保するため、農業食糧安全省は状況を積極的に監視していると説明。保健省や検疫検査サービス局(MAQIS)、漁業開発局などの関連機関と緊密に連携し、健康証明書のチェックや輸入後の放射能検査など、食品安全問題のレベルを注意深く監視しているとし、国民に冷静さを保つよう促した。

国際原子力機関(IAEA)や国連の原子力監視団は7月、処理水の海洋放出計画は国際基準を満たしており、人々や環境への潜在的な影響は無視できるレベルだとして承認している。
(マレー・メイル、8月24日)

日本からの一部輸入食品に厳しい検査措置、処理水放出受け

【クアラルンプール】 福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日より開始されることを受け、マレーシア保健省は23日、日本からの輸入食品のうちリスクが高いと考えられるものに対し、入国地点で放射性物質に関するレベル4(監視)の検査を行うと発表した。

ムハンマド・ラジ事務次官は、保健省のデータによると、2022年1月から2023年6月までの日本からの輸入品で最も多かったのは魚介類・水産加工品で、次いで果物、野菜、加工食品、飲料が続き、総額8億8,011万5,437リンギ相当にのぼったと述べた。保健省は消費者の懸念を考慮し、食品の安全性が保証されるよう、入国時や地元市場での監視を常に行っていくとしている。

ムハンマド・ラジ氏によると、2011年の福島第一原子力発電所事故後の2011年5月から2012年4月にも同省の食品安全品質課が日本からの輸入食品のモニタリングを実施。また、2019年にも特別モニタリングプログラムを実施し合計102検体を分析したが、全検体で規定値を超えていないことが確認されたという。

処理水の放出計画については、マレーシア中華大会堂総会(華総)のTC・ゴー会長が先ごろ、「安全基準に則っているとする日本政府の主張は疑わしい」として反対を表明した上で、華総として放出計画に反対する国際社会と連携するようマレーシア政府に要請すると述べていた。
(ザ・スター、8月24日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、8月23日)

サイムダービーがUMWの買収を計画、トヨタ事業を傘下に

【シンガポール】 多角経営のサイム・ダービーは24日、政府系ファンドのペルモダル・ナショナル(PNB)からUMWホールディングスの株式61.2%を買収し、UMW傘下のUMWトヨタ・モーターとダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)を傘下に収める計画を明らかにした。

サイム・ダービーは同日、PNBとの間で条件付き株式購入契約(SPA)を締結しており、11月の臨時総会で株主の同意を得る予定だ。2024年2月までの買収完了を目指す。買収額は35億7,000万リンギ。買収資金は銀行からの借入金と内部資金で賄う。買収条件が解除されれば、UMWの上場を廃止し、UMWの残余株38.8%の公開買い付け(GO)を行う考えだ。

サイム・ダービー・グループのジェフリ・サリム・デビッドソン最高経営責任者(CEO)によると、サイム・ダービーは、自動車事業子会社のサイム・ダービー・モーターズを通じて高級車ブランドのBMW、ロールスロイス、ポルシェを取り扱っており、買収が実現すれば取り扱い車種のポートフォリオが拡大し、同グループが国内シェアの60%を掌握することになる。UMWはすでに52%の国内シェアを獲得しており、買収によって55%に拡大すると期待されるという。

またサイム・ダービーの自動車事業の収益バランスはマレーシア、中国、豪州で現在15対37対35となっているが、これがUMW買収によって均等になるため、サイムは地政学的なリスク・ヘッジになると期待している。

ジェフリCEOは、買収完了後もPNBがサイム・ダービーの筆頭株主であるため、資本比率の観点からブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の出資基準は維持されると指摘。さらにトヨタとプロドゥアのベンダーとサプライヤーのエコシステムも維持されると述べた。

これに先立ちロイターは、PNBがサイム・ダービー・モーターズとプロドゥアの合併について検討していると報道。両社の合併が実現すれば100億リンギ規模の巨大自動車メーカーが誕生すると伝えていた。

サイム・ダービー・モーターズは最近、中国・比亜迪汽車(BYD)の電気自動車(EV)販売独占契約を締結したほか、子会社であるイノコムが中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)の現地組立を開始していた。
(ベルナマ通信、ロイター、ザ・スター、エッジ、8月24日)