【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は29日、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)第2期を発表。融資枠である国家エネルギー移行ファシリティ(NETF)を設定し、20億リンギを割り当てると明らかにした。
アンワル首相は、エネルギー移行における最重要課題は資金調達であり、2023ー2050年に少なくとも1.2兆リンギの投資が必要であると言明。今後10年間だけでも、公共交通機関の拡大、送電網インフラの強化、人的資本の再教育などに600億ー900億リンギが必要だとし、エネルギー移行プロジェクトに資金を供給するNETFに20億リンギを割り当てることを決定したと述べた。
NETFは政府の資金投入と民間融資との混合を目的としたもので、政府投入資金の3ー4倍の資金を調達することを目指す。投資対象分野は、電気自動車(EV)バリューチェーン、水素、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術などとなる。
アンワル首相はまた、NETR第2期では、NETRの進捗状況を監視する国家エネルギー評議会を発足し、余剰電力の収益化を可能にする再生可能エネルギー取引所を2024年までに設立すると言明。ソーラーパネル、EV充電設備、バッテリー・エネルギー貯蔵など、クリーンエネルギーへの移行は、サプライチェーン全体に大きなビジネスチャンスがあるとした上で、エネルギー移行は投資機会の拡大や経済の再構築にもつながるとし、NETRは、マレーシアがエネルギー移行の域内リーダーを目指す上での方針を明確にするものだとした。
ラフィジ・ラムリ経済相は、アンワル首相の発表を受け、第1回国家エネルギー評議会を10月に開催するとし、同評議会ではアンワル首相が議長を、経済省が事務局を務めると述べた。会合では、NETRの実現に向け、ハイレベルの戦略的方向性や政策を定め、各作業委員会が進捗状況の報告を行うとしている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月29日)