第2四半期の製造業景況感指数、20年以来の低い水準に

【クアラルンプール】 独立系シンクタンクのマレーシア経済研究所(MIER)の調査によると、2023年第2四半期の製造業の景況感指数(BCI)は82.4ポイントとなり、前年同期比で13.8ポイント、前期比で13ポイントそれぞれダウンとなった。2020年第2四半期以来の低い水準となり、楽観と悲観の分岐点である100ポイントを大きく下回った。

売上高、雇用、在庫の指標が低下したことが影響した。また第1四半期に115.8ポイントとなっていたBCI予想指数も、94.3ポイントに下降した。
MIERは、世界の不確実性が続いていることと合わせて、インフレ率の上昇や、サプライチェーンの混乱が起きていることから、マレーシアは脆弱な立場にあるとして、解決策を模索することが必要だと指摘した。BCI調査には国内外の製造業350社以上が参加した。

一方で、消費者信頼感指数(CSI)は90.8ポイントとなり、前年同期比で4.8%上昇したものの、前期比で8.4ポイント下降した。楽観と悲観の分岐点である100ポイントを下回った。

MIERによると、消費者が今年の経済環境に対してより一層悲観的になっており、財政状況や所得、雇用、インフレに対して悲観的な見通しを持っていることがわかった。特に雇用の指数は、前年同期から7.8ポイント、前期から7.4ポイント共に下降し102.4ポイントとなった。CSI調査には1,014世帯が参加した。
(ザ・スター、8月11日、エッジ、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、8月10日)

データセンター関連投資、3月時点で総額760億リンギ

【イスカンダル・プテリ】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、マレーシアのデータセンター(DC)関連投資は2021年から2023年3月に飛躍的に増加し、総額は760億リンギに達したと明らかにした。

ジョホール州ヌサジャヤ・テックパークで、中国GDS(万国数据)のDC立ち上げ式に臨席したザフルル大臣は、DC投資誘致に成功している要因として、積極的な投資促進策やコスト効率、広大な土地、22の海底ケーブル網と陸揚げ局14カ所を通じ、アジアや世界各地とシームレスに接続していることなどがあるとし、投資の増加は、「マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)地域およびアジアのDC拠点にする」という政府目標にも沿っていると述べた。

ザフルル大臣はまた、デジタル経済は2021年のマレーシア国内総生産(GDP)の23.2%、3,480億リンギを占めていたが、2025年には25.5%、3,820億リンギに達する見込みで、DC市場シェアも、2021ー2026年に20億8,000万米ドル(95億1,000万リンギ)増加し、年平均成長率が約16%になることが予想されていると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、8月11日、エッジ、ベルナマ通信、8月10日)

スウォッチのレインポーカラー腕時計所持を全面禁止=内務省

【クアラルンプール】 内務省は10日、スイスの時計メーカー、スウォッチのレインボーカラーのプライドコレクションの国内での所持をすべて禁止すると発表した。

同省によると、印刷出版(好ましくない出版物の禁止)法第7条の規定に基づき、禁止されたスウォッチ製品の時計本体、包装紙、箱などを所持した場合、最高3年の懲役、最高2万リンギの罰金、またはその両方を科される可能性がある。

内務省は声明で、政府は、社会におけるモラルや国民・国家の利益を害する可能性のある要素の拡散を阻止することに全力を尽くしているとし、LGBTQ+権利活動の促進や支援は、道徳的、公共的、国家的利益に有害であるため、禁止したと述べた。

内務省は5月13ー14日にスウォッチの11店舗を強制捜査し、レインボーカラー・コレクションを押収した。スウォッチがマレーシア政府が認知していないLGBT権利運動を支援していると判断されたためとみられ、スウォッチ・マレーシアは、クアラルンプール高等裁判所に時計172個の押収に対する異議申し立てを行っている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月11日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、8月10日)

セランゴール州、与党連合勝利の場合は月曜を祝日に

【ペタリンジャヤ】 セランゴール州のアミルディン・シャリ首相は、12日に行われる6州の州議会同時選挙において、セランゴール州で与党連合・希望同盟(PH)および共闘している国民戦線(BN)が勝利した場合、14日を州の祝日にすると発表した。

アミルディン州首相はまた、選挙は今後5年間のセランゴール州の将来を決めるもので、有権者に対し、賢明な選択をするよう促した。

PHは2008年よりセランゴール州を掌握。今回の州議選でも与党連合が有利とみられており、アミルディン州首相も全56議席中、PH・BN合わせ合計40議席を獲得できるとしている。一方、政権奪取を狙う野党連合・国民同盟(PN)はマレー系有権者の支持を得て29議席を確保できるという見解を示した。

解散前の議席数は、PHが40議席、BNが5議席、PNが5議席だった。

(フリー・マレーシア・トゥデー、8月11日)

川崎重工、マレーシアなどでの仮想同期発電機制御調査事業が採択

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 川崎重工(本社・東京都港区および兵庫県神戸市)は9日、インバータ製造に取り組むアイケイエス(本社・京都市中京区)と提案した「フィリピン・マレーシア/仮想同期発電機制御(VSG)調査事業」が、日本の経済産業省による「令和5年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」に採択されたと発表した。

今回採択された調査事業では、再生可能エネルギーの主力電源化において必須となる、系統安定化効果を持つ「VSG」を搭載したインバータについて、新たな再エネソリューションとしての実現性を検証するとともに、当該ソリューションのモデルプロジェクトを組成しながら製品サプライチェーン構築の検討を行う。また、フィリピンにおいてVSGを活用したエネルギーシステムの構築に取り組むことで、VSG技術の海外展開を図るとともに、フィリピンをはじめとする東南アジア諸国連合(ASEAN)等でのVSG技術の普及拡大が期待できるという。

川崎重工は、同調査事業を通じて、再生可能エネルギー大量導入による課題を解決し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく方針だ。

マレーシアの総人口、第2四半期は2.1%増の3340万人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局の人口動態統計によると、2023年第2四半期のマレーシアの総人口は推定3,337万9,500人となり、前年同期から2.1%増加した。

総人口のうち、男性は前年同期の1,700万人から1,750万人に、女性は1,570万人から1,590万人に増加した。人口性比(女性100人に対する男性の数)は、110だった。なお、外国人は前年同期の250万人から300万人に増えた。

出生数は10万5,961人で、前年同期から13%増加。男児が5万4,747人、女児が5万1,214人だった。州別では最多はセランゴール州の2万477人で、最少はラブアンの357人。

死者数は5万239人で、前年同期に比べ0.7%増加。そのうち男性が2万8,495人、女性が2万1,744人だった。セランゴール州が7,765人と最多で、プトラジャヤが73人と最少だった。

新型コロナウイルス「Covid-19」による死者数は、前年同期比74.4%減の169人だった。ジョホール州が37人で最も多く、クランタン州、クアラルンプール、プトラジャヤはゼロだった。

プロドゥア、クアンタン店舗での服装規定への公式声明を発表

【クアラルンプール】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は9日、パハン州クアンタンのサービスセンターで撮影され、ソーシャルメディアで話題となった服装規定の掲示に関し、公式声明を発表した。

掲示は、「サービスセンターの訪問者は短いスカート、ショートパンツ、破れたジーンズ、ノースリーブの着用が禁止されており、男性はネクタイ付きのシャツに長ズボン、女性はロングスカートに長袖シャツの着用が求められる」というもので、7日夜にソーシャルメディアで写真が拡散され、物議を醸していた。

プロドゥアのセールス担当最高執行責任者(COO)であるロズマン・ジャーファル氏は声明で、掲示は同社の公式ガイドラインに沿ったものではなく、すでに撤去されたとし、この件に関する公式調査を実施し、再発を防ぐための是正措置を講じていると述べた。

サービスセンター責任者も、掲示が誤解を招くものであったことを認め、本社と話し合った結果、これ以上の誤解を招かないよう看板を撤去することを決定したとし、服装規定はあくまでも奨励のつもりで、来店客が好きな服装を着用することを禁止しているわけではなかったと述べた。
(ポールタン、8月9日、ワールドオブバズ、8月8日)

ティオマン島の新空港計画、環境問題で中止に

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は9日、計画が進められていたパハン州沖合のリゾート・アイランド、ティオマン島における新空港建設について、環境問題を理由に認めないことで閣内で原則合意したと明らかにした。

ニック・ナズミ大臣は、海洋保護区域内で行われる空港開発の一環としての土地の埋め立てがティオマン島の主な魅力であるサンゴ礁の破壊と数百種の海洋生物の生息地の喪失を引き起こすとの懸念の声に留意したと説明。6月21日から8月4日まで開催された環境影響評価(EIA)報告書の初回公開プロセスを通じて市民の意見が反映されたとした上で、「新空港建設の背景にはより多くの観光客を誘致する意図があるが、こうした開発はティオマン島の自然の魅力を損ない、持続可能な観光につながらない」と述べた。

開発者は、ティオマン・ヒル・リゾートの完全子会社であるティオマン・インフラ社で、同社はベルジャヤ・コープとパハン王室が折半所有している。

最初に計画が発表されたのは2018年6月で、ベルジャヤ・コープ創設者のビンセント・タン氏が、12億リンギの建設資金はグループの内部資金と借入金で賄われると発表。環境への影響を懸念する声が上がっていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、マレーシアン・リザーブ、8月9日)

TNB、DC設立を支援する「グリーンレーンパスウェイ」を発表

【クアラルンプール】 電力会社の政府系テナガ・ナショナル(TNB)は9日、データセンター(DC)事業者に効率的で環境に配慮したソリューションを提供する「グリーン・レーン・パスウェイ」を発表した。

DCの設立促進を目指し、電力供給の迅速化を行う。従来は新規DCへの電力供給には36ー48カ月の準備期間が必要だったが、12カ月まで短縮する。また、データセンター投資家向けのワンストップセンター(OSC)や専用サポートサービス、24時間体制のメンテナンス支援や、各DCの要件に合わせたソリューションも提供する。

TNBのバハリン・ディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、グリーンテクノロジーを専門とする完全子会社から顧客のニーズに合わせたスマートエネルギー・ソリューションを提供するとし、ネットゼロ・エミッション(二酸化炭素排出実質ゼロ)達成を目指すことで、2050年までに脱石炭を目指す国の取り組みを支援していくと述べた。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、マレーシアは、戦略的立地と魅力的な投資環境により、グローバルDC分野で高い評価を得ているとし、市場シェアは2021ー2026年に20.8億米ドル増加し、年平均成長率は15.72%と予想されているとコメント。TNBの「グリーン・レーン・パスウェイ」は、この成長に貢献するとともに、中小企業に成長機会を提供し、高賃金の雇用機会をもたらす質の高いハイテク投資を誘致するという、「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」の目標達成も支援するものだと述べた。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月10日、マレー・メイル、ベルナマ通信、8月9日)

ホンダマレーシアが改良版「シティ」発表、月間2400台を目標

【チェラス=マレーシアBIZナビ】 ホンダ・マレーシアは10日、2023年改良版のBセグメント・セダン「シティ」を発表した。月間2,400台の販売を目指す。

バリエーションは、ノーマル・ガソリン車の▽S▽E▽V▽RSーーの4グレードとハイブリッド車の「e:HEV RS」を合わせた5つで、価格はそれぞれ8万4,900リンギ、8万9,900リンギ、9万4,900リンギ、9万9,900リンギ、11万1,900リンギ。「S」が7,300リンギ、「E」と「V」が4,300リンギ、「RS」が5,300リンギ、「e:HEV RS」が3,100リンギそれぞれ値上げされた。

外観は前後のバンパー、フロントグリル、ホイール、サイドスカートが変更となった。車体カラーは▽イグナイト・レッド・メタリック▽プラチナ・ホワイト・パール▽ルナ・シルバー・メタリック▽メテオロイド・グレー・メタリック▽クリスタル・ブラック・パールーーの5種(ルナ・シルバー・メタリックとクリスタル・ブラック・パールはガソリン車のみ)。

エンジンは以前と同じで、「e:HEV RS」は最高出力98PS・最大トルク127Nmを発揮する直列4気筒DOHC VTEC1.5リッターエンジンと、最高出力109PS・最大トルク253Nmを発揮するモーターを組み合わせており、ノーマル・ガソリン車は最高出力121PS・最大トルク145Nmを発揮する直列4気筒DOHC VTEC1.5リッターエンジンを搭載している。

ホンダは、第5世代の「シティ」を2020年10月に発売し、翌2021年3月にはハイブリッドモデル「RS e:HEV RS」の販売を開始した。