オンラインバンキングの不正取引被害件数は58%減少=中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)のアブドル・ラシード総裁は3日、国家詐欺対策センター(NSRC)に寄せられたオンライン・バンキングの不正取引被害件数が、過去5カ月間で58%減少したと明らかにした。

金融犯罪・テロ資金供与に関する国際会議でアブドル総裁は、金融詐欺を防ぐため2022年12月に開始した5つの対策が奏功したとした上で、2022年10月に発足したNSRCには、1万9,000件以上の詐欺被害に関する報告が寄せられ、4万3,000件の「マネーミュール口座」(オンライン・バンキングで不正に引き出した現金を犯人等に送金するために利用される口座)を特定し、6,000万リンギ以上の資金が凍結されたと明らかにした。

今後について、アブドル総裁は、特定、報告、資金の回収までのプロセスを合理化するために「国家詐欺ポータル」を2024年半ばまでに立ち上げると発表した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、9月4日、マレー・メイル、9月3日)

世界の金融包摂指数ランク、マレーシアは18位に上昇

【ペタリンジャヤ】 「2023年世界金融包摂指数」(調査対象・世界42カ国・地域)ランキングで、マレーシアは前年の20位から2ランクアップして18位となった。

世界金融包摂指数は、総合金融機関のプリンシパル・ファイナンシャル・グループと経済ビジネス研究センターが毎年発表しているもので、経済活動に必要な金融サービスをあらゆる人々が利用できるようにする金融包摂について、公的データや調査結果に基づき、3つの柱(政府、金融システム、雇用者支援)によって42市場をランクづけしたもの。

マレーシアは、「政府支援」で22位(前年は24位)、「金融システム支援」で17位(同23位)と上昇し、「雇用者支援」は前年と同じ5位を維持した。1位はシンガポール(同1位)、2位は香港(同4位)。日本は27位(同22位)だった。

プリンシパル・マレーシアのムニラ・カイルディン代表兼最高経営責任者(CEO)は、マレーシアがランキングで上昇し、金融包摂を実感する人の数が増えているのは心強いとし、デジタル化の推進でさらに金融包摂を進められると言明。プリンシパルもイーウォレット・ソリューションの提供でデジタル化に参加できるのを誇りに思うとし、今後も金融ツールへの認識を広げるために活動を続けていくと述べた。
(ザ・スター、10月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、10月3日、プリンシパル発表資料)

今後も生活費軽減策を継続=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、国内のインフレが緩和しているが、国家生活費行動会議は、「慈悲(ラーマ)プログラム」や「アグロ・マダニ・セールス」を通した生活費軽減策を継続することを決定したと明らかにした。
国家生活費行動会議の議長を務めたアンワル首相は、生活費軽減策を継続する理由について、国民の生活費上昇に対処するという公約に沿って行うと説明した。また、「マレーシア・マダニ」による福祉の強化のため、連邦政府や州政府など全ての政府機関と非政府組織に協力を呼びかけると述べた。

また会議では、国民が直面している生活費の負担軽減をさらに議論するため、3件の検討文書と2件の通知文書が提出されたと言明。その中には鶏肉や鶏卵、医薬品、砂糖などに関するものが含まれていたとし、鶏肉や鶏卵については2022年2月から実施されている価格規制に関して話し合ったと明らかにした。医薬品については、価格表示メカニズムにより、医薬品販売の透明性を高めることができると指摘。また砂糖に関しては、供給に混乱が生じる可能性を認識しているとし、これらの問題を閣議に提出するとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月4日、ボルネオポスト、10月3日)

「B10」バイオディーゼル使用義務、産業部門への拡大を検討

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相兼農園一次産業相は3日、パーム油混合比率を10%としたバイオディーゼル「B10」の使用義務について、対象を現行の運輸部門だけではなく、産業部門まで広げることを検討していると明らかにした。

ファディラ大臣は、最終決定がいつになるかについては明言しなかったが、混合比率20%の「B20」の導入も進めており、全国的に実施されれば、粗パーム油(パーム原油)の消費量が年間100万トン以上に増加するとした。

バイオディーゼルに関しては、アンワル・イブラヒム首相が8月に発表した「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」第2期に、2030年までの大型車への「B30(パーム油30%混合)」バイオディーゼル利用義務づけが含まれている。

「B30」に関しては、2020年2月に発表された「国家自動車政策(NAP2020)」で2025年を目標とする導入計画が発表され、2021年9月発表の「第12次マレーシア計画」でも再度言及されていた。
(ロイター、10月3日)

三菱HCキャピタル、マレーシアとタイ孫企業を直接子会社化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三菱HCキャピタル(本社・東京都千代田区)は2日、子会社の三菱HCキャピタル・アジア・パシフィック(本社・シンガポール)から、同社のマレーシア、タイ子会社2社および孫会社1社の株式を取得し、直接の子会社とすることを決定したと発表した。

東南アジア諸国連合(ASEAN)地域におけるグループ内の資本関係を整理し、ガバナンス体制の強化および事業運営の合理化・効率化を図る。マレーシアでは、三菱HCキャピタル・アジア・パシフィックの100%子会社でリース業・金融業に携わる三菱HCキャピタル・マレーシア(本社・クアラルンプール)を日本の三菱HCキャピタルの直接の子会社とする。タイでは、 子会社への出資およびコンサルティング業務に携わるMHCマネジメント(タイ) およびリース業・金融業の三菱HCキャピタル(タイ)の2社を子会社化する。関係局からの許認可などを経て年内に再編を完了する予定だ。