国際貿易で脱ドル化を推進、議会答弁でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は10日の下院審議で、中国との貿易の最大28%はリンギ建てになると明らかにした。基軸通貨、交換媒体としての米ドルへの依存を減らす脱ドル化の動きだ。

アンワル氏は、国際貿易の多くは米ドル建てで行われているが、マレーシアは複数の国との貿易で積極的にリンギを使うようにしていると語った。

脱ドル化の件は中国を訪問した際、また9月、ジャカルタにおける東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議でも取り上げた。中国はリンギ使用の提案を歓迎し、インドネシア、タイとの間でも特定の産品の決済をリンギ建てとすることで合意したという。

企業の動きでは、ほとんどの政府系企業と複数の大手民間企業がリンギ建て取引にするための動きをとっているという。

アンワル氏は「経済、投資は好調で、失業率も下がっているのに、リンギが値下がりしている。対米ドルでのリンギ下落はマレーシア経済の基礎的条件を反映していない。米連邦準備制度理事会による利上げが原因」と述べた。

リンギの今年の値下がり幅は6.5%。下落幅が大きいのは円で10.8%。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月11日、マレー・メイル、10月10日)

EV開発のツバメイータイム、合弁設立で日本のEV技術を提供

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電気自動車(EV)車両開発のツバメ・イータイム(本社・山口県岩国市)は10日、マレーシアへの日本のEV・エネルギー技術提供に向け、若手起業家を支援するサホカ(Sahoca)起業家協会(SEA)との間で合意文書を締結し、また、9月12日付けで合弁会社も設立したと発表した。

合意文書は、マレーシア政府が掲げるグリーン成長戦略にツバメ・イータイムのEV、エネルギー技術を用いて包括的に貢献していくことを目指すもの。一方、合弁会社「ツバメズAAH」は、2050年までのゼロカーボン排出目標の達成に向け、ハラル(イスラムの戒律に則った)和牛輸入販売のAAHニッポンとの間で設立した。

AAHニッポンは資源の活用、経営戦略、資金の調達を担当し、ツバメ・イータイムは日本のテクノロジーの提供およびビジネス運営を担当する。

合意文書締結式には、サホカ起業家協会を率いるマハティール・モハマド元首相も立ち合った。マハティール氏は、今回の提携がマレーシアの海外直接投資増加と二酸化炭素排出量の削減に役立つとし、地元起業家は日本の技術から学ぶだけでなく、日本人から労働倫理も学び、従業員や次世代に伝え共有することで、将来の成功の礎とすることができると述べた。

ツバメ・イータイムは、2015年に国内でのEV販売を開始、2016年には販路を海外にも広げ、ベトナムに進出し、大気汚染や排ガス問題の改善に寄与している。今後も、日本を代表するEV車両製造販売メーカーとして培ったテクノロジーを世界に提供し、グローバルな視点でグリーン戦略・脱炭素化に寄与していく方針だ。

アシアタ傘下のデジタルマーケ企業ADA、日本市場に参入

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 通信大手アシアタのグループ会社であり、ソフトバンク(本社・ 東京都港区)と住友商事(本社・東京都千代田区)が出資する、アシアタ・デジタル・アドバタイジング(ADA、本社・シンガポールおよびクアラルンプール)は10日、日本での事業を開始したと発表した。

ADAは、「データ×人工知能(AI)」をベースにした総合デジタルマーケティング支援を提供し、マレーシアをはじめとするアジア13カ国で事業を展開している。

今回の日本参入では、株主であるソフトバンクと住友商事との連携をさらに深め、デジタル・トランスフォーメーション(DX)およびデータ・トランスフォーメーションの支援をさらに強化し、主に▽カスタマーデータプラットフォーム(CDP)導入支援▽データ分析とAI技術▽グローバル知見・人材の活用ーーという3つの切り口から顧客企業の事業成長に貢献していく。

ADAのスリニヴァス・ガッタムネニ最高経営責任者(CEO)は、日本の顧客にとってのDXのベストパートナーになることを目指し、ADAの1,400人のグローバルチームをフルに活用するとし、機械学習、データ分析、パフォーマンスマーケティング、テクノロジー導入などの分野で、顧客企業のグローバル展開をサポートしていくと述べた。

NTT、サイバージャヤで6カ所目のデータセンター開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本電信電話(NTT、本社・東京都千代田区)は、セランゴール州サイバージャヤに「サイバージャヤ6データセンター(CBJ6)」を開設したと発表した。

マレーシア投資開発庁(MIDA)とNTTが共同で発表した声明によると、NTTの子会社NTTグローバルデータセンター(本社・東京都千代田区)を通じて開設するもので、投資額は2億3,400万リンギ(5,000万米ドル)。受電容量は7メガワット(MW)、面積は4,890平方メートル。2021年に完成した「サイバージャヤ5データセンター(CBJ5)」を補完する。両データセンターを合わせた面積は2万平方メートルとなり、受電容量は22MWとなる。

NTTグローバルデータセンター・マレーシアのホー・イーチュン社長は、過去20年にわたりNTTサイバージャヤ・キャンパスは、マレーシアのデジタル成長と共に成長してきたとし、誇りを持って24時間年中無休稼働していると述べた。

NTTは現在、マレーシア、インド、シンガポール、タイを接続する大容量の海底ケーブル「MIST」を建設中だ。「MIST」ケーブルシステムの全長は8,100キロメートル。

NXグループ、マレーシアで鉄道専用列車による試験輸送を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区)は10日、グループ会社のNX南アジア・オセアニアがマレーシアにおける鉄道専用列車によるトライアル輸送を9月20日から22日にかけて実施したと発表した。

CO2排出削減に貢献する物流サービスを開発するのが目的で、マレーシア、タイ、ラオス、カンボジアなどの鉄道を活用し、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内を繋ぐクロスボーダー鉄道貨物輸送サービスの構築を目指す。

今回、鉄道による試験輸送を行ったのはクアラルンプール(KL)からタイ国境のパダン・ベサルまでの区間で、40フィートコンテナ30本を往復輸送した。往路は20日21時にKLを出発し、翌21日9時にパダン・べサルに到着。復路は21日19時にパダン・べサルを出発し、翌22日の7時にKLに到着した。

NXグループは、上海からシンガポールの約7,000キロメートルを結ぶ陸路輸送サービス「SS7000」を整備し、トラック輸送の定期混載サービスを提供しているほか、2022年4月から、中国とラオスを結ぶ国際鉄道を利用し、ASEANと周辺国を繋ぐ新たな複合輸送サービスを開始している。