【クアラルンプール】 パハン州で希土類元素(レアアース)精製工場を運営する豪ライナス・コーポレーションは、混合レアアース炭酸塩処理工場を除くマレーシアでの全事業の操業を11月中旬から一時停止する。

ライナスは最新の四半期報告の中で、操業停止中は西オーストラリア州カルグーリーにおけるレアアース処理施設立ち上げ事業を支援するためにマレーシアの主要なC&L(クラッキングおよび浸出)要員が派遣されると説明。あくまで操業停止は一時的なものだと強調した。

ライナスはまた、ネオジム・プラセオジム(NdPr)の生産能力を年間約1万500トンに増やすために、下流事業のアップグレードを実施する計画だと明らかにした上で、マレーシアでの事業ライセンスが更新され、来年1月1日からランタノイド精鉱の継続的な輸入と加工が許可される場合に必要な追加能力になると説明。継続的な輸入と加工が認められれば、分解・浸出施設の保守作業も引き受けると述べた。

ライナスの事業認可を巡っては、マレーシア原子力庁(AEM)傘下の原子力認可委員会(AELB)が今年3月、向こう3年間の更新を承認したが、更新条件にランタノイド精鉱の輸入加工の禁止、パハン州ゲベンの施設では中間材料のみを精製することなどが盛り込まれていた。これに対しライナスは不服を申し立てた上で、更新条件が7月1日時点で撤廃されていない場合、マレーシアでの事業を一時的に停止するか、生産期間短縮を行う計画だと明らかにした。

ライナスの不服申し立ては却下されたが、チャン・リーカン科学技術革新相は世界のレアアースのサプライチェーンへの影響を避けるためC&L事業期限を12月31日まで6カ月間延長する決定を行っていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ロイター、10月20日)