マレーシアとタイの国境を貿易地域に、首脳会談で合意

【プトラジャヤ】 11ー12日の日程でマレーシアを訪問したタイのセター・タウィシン首相は11日、アンワル・イブラヒム首相と首脳会談を行い、両国国境を貿易地域とすることで合意した。

会談後の共同記者会見でセター首相は、マレーシア北部とタイ南部の安全保障について協議し、国境を貿易地帯に変え、両国の人々に繁栄をもたらすことで合意したと言明。そのほかにも、貿易取引を拡大することでも合意したと述べた。

アンワル首相は、会談では、様々な分野で強力な関係を構築するために、特別委員会を設立することを決めたと言明。特別委員会は、観光や貿易、投資、国境警備、食料安全保障を監督すると述べた。

両首脳は農業、観光、食料安全保障、投資、貿易についても協議した。ハラル(イスラムの戒律に則った)部門や自動車部門、特に国民車メーカー、プロトン・ホールディングスと中国・浙江吉利控股がタイに工場を建設する計画についても話し合いが行われた。

タイとマレーシアの2022年の貿易総額は、前年比17.9%増の1,220.3億リンギ。マレーシアにとり、世界で7番目の貿易相手国となっている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月12日、マレーシアン・リザーブ、10月11日)

DRBハイコムと吉利、自動車ハイテクバレー開発を具体化へ

【クアラルンプール】 国民車メーカー・プロトンの親会社DRBハイコムは11日、中国の浙江吉利控股グループとの間で、ペラ州タンジョン・マリムの「自動車ハイテクバレー(AHTV)」開発に関する基本協力協定書(MCA)を締結したと発表した。

DRBハイコムがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、MCAは、AHTVプロジェクトの基本原則、ガバナンスの枠組み、相互協力事項などを定めたもので、開発および販促活動のための具体的な役割分担も含まれている。今年3月ー4月にアンワル・イブラヒム首相が北京を訪問した際に締結された、総額320億リンギの投資に関する合意書に続くもの。MCA締結式にはアンワル首相も出席した。

DRBハイコムは、AHTVを新エネルギー車(NEV)の国際的な自動車拠点にすることを目指し、自動車本体の生産のみでなく、地元企業によるNEV用部品製造も推進していくとしている。
(ザ・サン、10月12日、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ポールタン、10月11日)

エネルギー効率節約法成立、電力・ガスの大口消費者に順守義務

【クアラルンプール】 エネルギー効率節約法案が11日、下院で承認された。電力、ガスを大量に消費する商工業者にエネルギーの効率的利用を促す内容で、順守すれば電力料金を最大25%削減できるという。

年間電力料金にして240万リンギあるいはガス料金にして100万リンギに相当する、年間2万1,600ギガジュール(1ギガ=10億)のエネルギーを消費する商工業者が適用対象。工業では1,500社、商業では500社が適用を受ける。

また床面積8,000平方メートルかそれ以上のオフィスビルも、国家ビルエネルギーラベルの規定に従い、1平方メートル当たり年250キロワット時以下の電力消費に抑えなければならない。

現時点で300の政府ビルが要件を満たしている。天然資源環境気候変動省は、ホテル、病院も適用対象にする予定だ。推定4,102の建物が同法の適用を受ける。

エネルギー効率節約法は公示から1年後に発効する。この際、適用対象の商工業者は最初の検査を行わなければならない。順守しているかの検査は5年後で、不順守の場合は2万ー10万リンギの罰金が科せられる。検査は公認エネルギー検査員が行う。

ニック・ナズミ大臣によれば、社内でのエネルギー管理者任命、エネルギー節約管理、エネルギー検査など、法順守に年10万ー12万リンギの経費が商工業者にかかる。
(エッジ、10月11日)

ニトリが9号店をニライに開設、ネグリセンビラン州では初

【二ライ=マレーシアBIZナビ】 ニトリホールディングス(本社・北海道札幌市)は12日付けで、マレーシア9号店をネグリ・センビラン州ニライのショッピングモール「イオンモールニライ」内にオープンした。ネグリ・センビラン州では初出店となり、ニトリグループとしては947店舗目となる。

店舗名は「ニトリ・イオンモールニライ店」。グランドフロアに位置し、売り場面積は約260坪。営業時間は日ー木曜日が午前10時から午後10時、金ー土曜日および祝日前日が午前10時から午後10時30分。

同社はマレーシア国内において、これまでクアラルンプール(KL)の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター」、「パビリオン・ブキジャリル」、「スリアKLCC」、セランゴール州プトラジャヤの「IOIシティモール」、ペタリンジャヤの「ワンウタマ」と首都圏に出店してきたが、昨年12月にジョホールバルの「ミッドバレー・サウスキー」に地方初出店し、今年1月にも同じくジョホールで「トッペン・ショッピングセンター」にオープン。6月にはペナン州ジョージタウンの「ガーニー・パラゴン・モール」にも出店していた。

ニトリは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」という同社のロマンを実現するため、今後も積極的に海外展開を進めていく方針だ。

新興航空会社MYエアラインが運航停止、「深刻な財務問題」で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 経営問題が噂されていた新興格安航空会社のMYエアラインは12日、「深刻な財務問題」を理由に、追って通知するまで同日付で運航を停止すると発表した。「新たな提携先と資金調達を模索してきたが、時間的制約のため営業停止せざるを得なかった」と説明している。

MYエアラインは8日、レイナー・テオ最高経営責任者(CEO)が「健康上の理由」で10月7日付で辞任し、スチュアート・クロス最高執行責任者(COO)が暫定CEOに就任したと発表。「戦略的パートナーシップ」の最終決定に向けた段階にあるとした上で、「当初運用が予定されていた一部の航空機の引き渡しが遅れたことにより、状況はさらに悪化している」と明かしていた。

これに関連して関係筋は「フリー・マレーシア・トゥデー」に対し、MYエアラインに資金を注入してくれる新たなマレーシア起業家をオーナーに迎える見通しだと話している。

MYエアラインが昨年10月に発表したリポートによると、ジリオン・ウェルスとトリリオン・コーブ・ホールディングス(どちらも地元の実業家ゴー・ファンファ氏が所有)が、それぞれ株式の88%と10%を保有し、テオ前CEOが2%を所有している。

■航空委や同業他社、利用者支援に乗り出し■
MYエアラインの運航停止発表を受け、マレーシア航空委員会(Mavcom)は声明で、影響を受ける利用者を支援するための専用ホットラインとチャネルを設置したと発表した。

またマレーシア航空を傘下に持つマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、クアラルンプールーコタキナバル、クチン、ランカウイ、バンコク線を対象にMYエアライン予約者を受け入れる考えを示した。バティック・エアは、11月30日まで利用できるMYエアライン予約者を対象とした特別運賃提供を発表した。

エアアジアも、11月末まで有効のMYエアライン予約者を対象とした50%割引の特別運賃の提供を発表した上で、職を失ったMYエアライン従業員の受け入れについても検討する考えを示した。

国際貿易で脱ドル化を推進、議会答弁でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は10日の下院審議で、中国との貿易の最大28%はリンギ建てになると明らかにした。基軸通貨、交換媒体としての米ドルへの依存を減らす脱ドル化の動きだ。

アンワル氏は、国際貿易の多くは米ドル建てで行われているが、マレーシアは複数の国との貿易で積極的にリンギを使うようにしていると語った。

脱ドル化の件は中国を訪問した際、また9月、ジャカルタにおける東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議でも取り上げた。中国はリンギ使用の提案を歓迎し、インドネシア、タイとの間でも特定の産品の決済をリンギ建てとすることで合意したという。

企業の動きでは、ほとんどの政府系企業と複数の大手民間企業がリンギ建て取引にするための動きをとっているという。

アンワル氏は「経済、投資は好調で、失業率も下がっているのに、リンギが値下がりしている。対米ドルでのリンギ下落はマレーシア経済の基礎的条件を反映していない。米連邦準備制度理事会による利上げが原因」と述べた。

リンギの今年の値下がり幅は6.5%。下落幅が大きいのは円で10.8%。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月11日、マレー・メイル、10月10日)

EV開発のツバメイータイム、合弁設立で日本のEV技術を提供

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電気自動車(EV)車両開発のツバメ・イータイム(本社・山口県岩国市)は10日、マレーシアへの日本のEV・エネルギー技術提供に向け、若手起業家を支援するサホカ(Sahoca)起業家協会(SEA)との間で合意文書を締結し、また、9月12日付けで合弁会社も設立したと発表した。

合意文書は、マレーシア政府が掲げるグリーン成長戦略にツバメ・イータイムのEV、エネルギー技術を用いて包括的に貢献していくことを目指すもの。一方、合弁会社「ツバメズAAH」は、2050年までのゼロカーボン排出目標の達成に向け、ハラル(イスラムの戒律に則った)和牛輸入販売のAAHニッポンとの間で設立した。

AAHニッポンは資源の活用、経営戦略、資金の調達を担当し、ツバメ・イータイムは日本のテクノロジーの提供およびビジネス運営を担当する。

合意文書締結式には、サホカ起業家協会を率いるマハティール・モハマド元首相も立ち合った。マハティール氏は、今回の提携がマレーシアの海外直接投資増加と二酸化炭素排出量の削減に役立つとし、地元起業家は日本の技術から学ぶだけでなく、日本人から労働倫理も学び、従業員や次世代に伝え共有することで、将来の成功の礎とすることができると述べた。

ツバメ・イータイムは、2015年に国内でのEV販売を開始、2016年には販路を海外にも広げ、ベトナムに進出し、大気汚染や排ガス問題の改善に寄与している。今後も、日本を代表するEV車両製造販売メーカーとして培ったテクノロジーを世界に提供し、グローバルな視点でグリーン戦略・脱炭素化に寄与していく方針だ。

アシアタ傘下のデジタルマーケ企業ADA、日本市場に参入

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 通信大手アシアタのグループ会社であり、ソフトバンク(本社・ 東京都港区)と住友商事(本社・東京都千代田区)が出資する、アシアタ・デジタル・アドバタイジング(ADA、本社・シンガポールおよびクアラルンプール)は10日、日本での事業を開始したと発表した。

ADAは、「データ×人工知能(AI)」をベースにした総合デジタルマーケティング支援を提供し、マレーシアをはじめとするアジア13カ国で事業を展開している。

今回の日本参入では、株主であるソフトバンクと住友商事との連携をさらに深め、デジタル・トランスフォーメーション(DX)およびデータ・トランスフォーメーションの支援をさらに強化し、主に▽カスタマーデータプラットフォーム(CDP)導入支援▽データ分析とAI技術▽グローバル知見・人材の活用ーーという3つの切り口から顧客企業の事業成長に貢献していく。

ADAのスリニヴァス・ガッタムネニ最高経営責任者(CEO)は、日本の顧客にとってのDXのベストパートナーになることを目指し、ADAの1,400人のグローバルチームをフルに活用するとし、機械学習、データ分析、パフォーマンスマーケティング、テクノロジー導入などの分野で、顧客企業のグローバル展開をサポートしていくと述べた。

NTT、サイバージャヤで6カ所目のデータセンター開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本電信電話(NTT、本社・東京都千代田区)は、セランゴール州サイバージャヤに「サイバージャヤ6データセンター(CBJ6)」を開設したと発表した。

マレーシア投資開発庁(MIDA)とNTTが共同で発表した声明によると、NTTの子会社NTTグローバルデータセンター(本社・東京都千代田区)を通じて開設するもので、投資額は2億3,400万リンギ(5,000万米ドル)。受電容量は7メガワット(MW)、面積は4,890平方メートル。2021年に完成した「サイバージャヤ5データセンター(CBJ5)」を補完する。両データセンターを合わせた面積は2万平方メートルとなり、受電容量は22MWとなる。

NTTグローバルデータセンター・マレーシアのホー・イーチュン社長は、過去20年にわたりNTTサイバージャヤ・キャンパスは、マレーシアのデジタル成長と共に成長してきたとし、誇りを持って24時間年中無休稼働していると述べた。

NTTは現在、マレーシア、インド、シンガポール、タイを接続する大容量の海底ケーブル「MIST」を建設中だ。「MIST」ケーブルシステムの全長は8,100キロメートル。

NXグループ、マレーシアで鉄道専用列車による試験輸送を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区)は10日、グループ会社のNX南アジア・オセアニアがマレーシアにおける鉄道専用列車によるトライアル輸送を9月20日から22日にかけて実施したと発表した。

CO2排出削減に貢献する物流サービスを開発するのが目的で、マレーシア、タイ、ラオス、カンボジアなどの鉄道を活用し、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内を繋ぐクロスボーダー鉄道貨物輸送サービスの構築を目指す。

今回、鉄道による試験輸送を行ったのはクアラルンプール(KL)からタイ国境のパダン・ベサルまでの区間で、40フィートコンテナ30本を往復輸送した。往路は20日21時にKLを出発し、翌21日9時にパダン・べサルに到着。復路は21日19時にパダン・べサルを出発し、翌22日の7時にKLに到着した。

NXグループは、上海からシンガポールの約7,000キロメートルを結ぶ陸路輸送サービス「SS7000」を整備し、トラック輸送の定期混載サービスを提供しているほか、2022年4月から、中国とラオスを結ぶ国際鉄道を利用し、ASEANと周辺国を繋ぐ新たな複合輸送サービスを開始している。