【クアラルンプール】 政府系金融機関MIDFの投資銀行部門は、対米ドル相場で10月に過去最低を更新した通貨リンギは、年末にかけて上昇するとの分析を示した。年末予想は1米ドル=4.3リンギ。
MIDFによると、米国の金利はほぼピークに達し、現在の誘導目標金利が長期にわたり維持される見通しのため、短期資金が新興市場に流入し、新興市場通貨の値上がりが予想されるという。
マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は翌日物政策金利(3%)を維持する見通しで、米国の誘導目標金利とマレーシア金利との差はこれ以上拡大しない見通しで、リンギ上昇要因となる。
リンギ上昇予想のほかの根拠としてMIDFは、強じんさを示す国内経済、回復の兆しが見える中国経済、一次産品価格の上昇、電気・電子製品輸出の増加を挙げた。
一方で、米国債利回りの上昇、パレスチナ・イスラエル戦争を背景に、リスク回避から新たなドル買いが起こる可能性もあるという。
リンギは10月3日、1米ドル=4.79リンギまで値下がりしたが、11月に入り持ち直している。
リンギの今年の下落幅は7.5%で、リンギより下落幅が大きかったのは円の13.6%のみ。
(ザ・サン、ザ・スター、11月7日)