サイムが病院事業から撤退、コロンビアと株式売買契約

【クアラルンプール】 複合企業のサイム・ダービーは10日、合弁会社であるラムゼイ・サイムダービー・ヘルスケア(RSDH)の持ち株売却を通じて、ヘルスケア事業から撤退すると明らかにした。

同日、完全子会社のサイム・ダービー・ホールディングスが、売却先のコロンビア・アジア・ヘルスケアと株式売買契約を締結した。サイム・ダービーは、関連規制当局の承認を条件として、売買取引が2024年第3四半期に完了すると見込んでいる。

RSDHは、2013年にサイム・ダービーと豪州ラムゼイ・ヘルスケアが折半出資で設立した合弁会社。病院をマレーシアで4カ所、インドネシアで3カ所運営している。総売却額はラムゼイの出資分を含めて57億リンギで、サイム・ダービーは20億リンギあまりの売却益を得るとみられる。

サイム・ダービーは、今後は中核事業である自動車および工業製品の販売に注力していくとした上で、ヘルスケア事業売却により経営資源を中核事業に集中できるようになるとしている。

コロンビア・アジアは、マレーシアを拠点とする国際民間ヘルスケア企業で、コロンビア・アジア・ヘルスケア (CAHSG) の完全子会社。CAHSGの親会社はHLTヘルスケア・ホールディングスで、HLTヘルスケアには、マレーシアの複合企業ホン・リョン・グループとTPGが管理するファンドが所有・管理するワン・ヘルス・ホールディングス(OHH)が共同出資している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月11日)

UMWトヨタの販売台数、10月は過去5年で最多に

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーター(UMWT)は、「トヨタ」と「レクサス」の両ブランドを合わせた10月の販売台数が1万931台となったと明らかにした。過去5年間で単月最多となった。

「トヨタ」の販売台数は1万709台、「レクサス」は222台だった。年初10カ月の累計販売台数は8万7,422台となり、前年同期の8万153台を9.1%上回った。
UMWTは先ごろ、多目的車(MPV)「アルファード」と「ヴェルファイア」の新型を発表した。

ラビンドラン・クルサミー社長は、両モデルについて、進化し続ける自動車業界における、革新性および洗練性の道標であり、MPVセグメントにおける高級感とパフォーマンスの新たな基準を打ち立てるものであるとした上で、期待を超える優れた車両を提供するという同社の取り組みを反映しているとコメントした。また、11月のキャンペーンについて、一部モデルへの100%融資や1万5,000リンギ相当の特典付与などを行っており、その他にも、植樹やマレーシア国家がん協会への支援などの取り組みを実施していることを明らかにした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月11日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、11月10日)

サバ州、日本からの観光客誘致のため代表団を派遣へ

【コタキナバル】 サバ州観光・文化・環境省は、サバ州観光局(STB)を通じて、より多くの日本人観光客を呼び込むため、日本に代表団を派遣する。

クリスティーナ・リュー観光・文化・環境相は9日、在コタキナバル日本領事事務所の山下義人事務所長の表敬訪問を受けた際、サバ州の観光業の成長にとって、日本は重要な市場であると表明。日本においてサバ州を宣伝するために在コタキナバル日本領事事務所と継続的に協力すると述べた。

10月に赴任した山下事務所長は、より多くの日本人にサバ州を休暇先として選んでもらえるように、役割を果たしていきたいと言明。まだ多くの日本人はサバ州のことを知らないため、サバ州を観光地として日本人に宣伝するよう呼びかけを行ったという。

STBによると、今年1ー7月に日本からサバ州を訪れた観光客数は5,642人だった。前年同期比で253.3%増加した。しかし新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大前の2万4,435人を大きく下回っている。
(ボルネオポスト、11月9日)

住友理工の窓用フィルム、マレーシアの車載市場で採用拡大

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 住友理工(本社・愛知県名古屋市)は9日、同社が開発した視認性(透明性)と傷付き防止性、耐久性を有するフロントガラスにも使用可能な高透明自動車窓用フィルムの普及がマレーシアで進んでいると明らかにした。

同社の「リフレシャイン」は、日射熱流入の抑制(遮熱)と室内熱流出の抑制(断熱)が可能な高透明遮熱・断熱窓用フィルム。夏場は太陽光エネルギーの中で、暑さの要因となる近赤外線を室外に反射させることで近赤外線の室内への透過を90%以上防止し、室内の温度上昇を抑制するほか、透明性とガラス破損時の安全性を兼ね備える。

2018年より窓用フィルムの用途拡大を目指し、マレーシアで遮熱フィルムの販売・施工を手掛ける エコティント(M)と協業し、車載用フィルムの開発に着手しており、現在、ホンダ・マレーシアをはじめとする日系自動車OEMに採用されている。 赤外線吸収剤をナノレベルのサイズに均一に分散することで、運転時の視認性確保と、太陽からの熱(近赤外線)を吸収する遮熱性能を両立した。フロントとフロントサイドガラスに装着され、約10万台の採用実績がある。

またマレーシアでは、約1,000台の警察車両に実装されており、同社グループは今後、東南アジア各国・インドへの拡販活動を強化していく計画だ。

日本板硝子、ジョホールの太陽電池用ガラス生産設備を稼働

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本板硝子(本社・東京都港区)は9日、マレーシアにおいて進めていた太陽電池パネル用透明導電膜(TCO)付きガラス製造設備の新設工事が完了し、火入れを完了したと発表した。

本投資では、マレーシア国内を中心に建築用ガラス、自動車用ガラスの製造・販売を行っている現地企業、マレーシアン・シートグラスのジョホールバル工場にあるフロート窯にオンラインコーティング設備が新設された。12月より太陽電池パネル用TCOガラスを生産する予定。

本投資は、長期にわたる戦略的パートナーである米ファーストソーラーの生産拡張方針に沿って進められたもの。生産されたガラスは、同社の東南アジア地域の太陽電池パネル製造拠点に供給される。ファーストソーラーは米国の大手ソーラーテクノロジー企業であり、環境効率の高いソーラーモジュールの世界的プロバイダー。日本板硝子は、戦略的パートナーであるファーストソーラーをはじめとする太陽光パネルの世界的な需要増大に対応するため、2020年1月にベトナムで2窯目の太陽電池パネル用ガラスの専用フロートライン、同年11月に米国オハイオ州ラッキーで新工場を稼働させており、いずれも生産製品をファーストソーラーに供給している。

日本板硝子は、中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」に掲げる施策の一つとして、「高付加価値事業の拡大」を進めており、独自のオンラインコーティング技術をベースとした太陽電池パネル用ガラスの拡大は、この取り組みの一環であると同時に、再生可能エネルギーの普及をはじめとする地球環境保護にも貢献する。今後も中期ビジョン「高付加価値の『ガラス製品とサービス』で社会に貢献するグローバル・ガラスメーカーとなる」の実現に向けた努力を続けていく方針だ。