有罪判決のサイド・サディク氏、MUDA党首を辞任

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9日に背任や横領、マネーロンダリングに関わる4つの罪で禁固7年の有罪判決を受けた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首は、「汚名を晴らす」と控訴の意向を示した上で、同日付で党首を辞任すると発表した。アミラ・アイシャ・アブドル・アジズ副党首が党首代行を務める。

記者会見でサイド・サディク氏は、「MUDA党首であるためには、さらには国家の建設者となるためには、より”シロ”でなければならないが、実際、今日の私はもう党首としての役割に値しない」と言明。「法廷で私の汚名を晴らすまで、党首の座を明け渡す」と述べた。

その上で、まだ控訴するチャンスが残されているものの、国民や党員に対する義務から役職からいったん退く必要があるとの考えを表明。今後もMUDAいち党員かつ党唯一の下院議員として活動を続けるが、党の決定には関与しないとした。

サイド・サディク氏は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

売上サービス税率引き上げ、賛成はわずか17%=KPMG調査

【クアラルンプール】 来年度予算案に盛り込まれた売上・サービス税(SST)率を6%から8%に引き上げる政府方針について、会計・コンサルティング会社のKPMGが税務フォーラム参加者を対象に行った調査によると、半数以上がSST引き上げよりも物品・サービス税(GST)の復活を望むと答えた。

SST税率引き上げを支持したのはわずか17%で、32%が反対と回答。GSTの復活を望むとの回答は51%に上った。

マレーシア担当税務責任者のソー・リエンセン氏は調査結果についてコメントし、「こうした企業側の感情は、財政改善に向けた税制改革と、国民の福祉を後押しする取り組みの間でバランスをとろうと努力している政策立案者が直面している課題を浮き彫りにしている」と指摘した。

このほか調査では、マレーシアが導入すべき税制改革に関する質問に対して、過半数(69%)が政府が税務コンプライアンスとガバナンスを強化することを希望。次いで45%が税務行政の簡素化やESG主導の税制政策の推進を通じて税制政策を活用し、国内外の投資誘致を増やすことを希望した。このほか29%が、意識向上、教育、サービス、特別自主開示プログラム、税務上のコーポレートガバナンスの枠組みなどの概念に沿った協力的なコンプライアンスへの移行を望むと回答した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月10日)

プロトンの新型セダン「S70」、月間2千台を目標

【タンジョン・マリム】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、10月31日に出荷が始まった新型Cセグメントセダン「S70」について、月間販売台数2,000台を目標としていることを明らかにした。

ロスラン・アブドラ副最高経営責任者(CEO)によると、予約受付は11月1日から手付金500リンギで開始し、最初の1週間で予約台数が400台に達した。発売日や価格については後日発表するとしている。

「S70」は、2016年8月に「ペルソナ」が発表されて以来、プロトンが発表した初の新型のセダン。スポーツ多目的車(SUV)の「X50」、「X70」と同じく、プロトンに49%出資する吉利汽車をベースに開発したもので、2021年8月に中国で発売された4代目「エムグランド」がベース車となっている。

一方、配線の欠陥によるリコールが発表されていた同社初のハイブリッド車であるDセグメント・スポーツ車(SUV)「X90」については、対象車両の93%ですでに修理が完了した。「X90」の累計販売台数は約3,000台に上っている。
(ザ・スター、11月10日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、11月9日)

ユニクロ、ブキビンタン店舗内に国内初となるカフェをオープン

【クアラルンプール】 カジュアル衣料のユニクロ(マレーシア)は、クアラルンプール市内ブキビンタンのショッピングモール「ファーレンハイト88」内店舗を9日、リニューアルオープンした。

マレーシア国内店舗として初めてカフェコーナー「ユニクロコーヒー」を設置した。「ユニクロコーヒー」は2021年に銀座店に初設置されたコーナーで、コーヒーやスナックを手頃な値段で提供している。マレーシアでは、アメリカーノを7.9リンギ、ラテを9.9リンギで提供し、抹茶ラテやホットチョコレート、クッキーなども用意する。

ファーレンハイト88店は、ユニクロが13年前にマレーシア第1号店としてオープン。今回3カ月間閉店し、コンセプトを一新した。現時点ではマレーシア国内56店舗中最大の店舗で、3フロアで展開している。飲食エリアや子どもが遊べるキッズゾーン、衣服を補修する「RE.UNIQLOスタジオ」なども併設した。
ユニクロはまた、市内中心部のKLシティセンター(KLCC)に最大規模の新店舗を来年初頭にオープンする予定だとしている。
(マレー・メイル、セイズ、11月9日)

宏福商事、マレーシアへ北海道産ホタテと日本酒の輸出を開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 和牛・酒などの日本食品と衛生用品を中心に貿易事業を営む宏福商事(本社・東京都荒川区)は10日、北海道産ホタテと水産物にマッチする日本酒をセットにし、マレーシアへの輸出を開始したと発表した。

北海道産ホタテと静岡県富士宮市および滋賀県の日本酒を組み合わせて提供することで、新しい食文化を提案する。
宏福商事は、2018年に設立。貿易業、問屋業、代理業、食品、酒類、飲料、介護用品、 衛生用品、日用品雑貨、情報セキュリティ関連製品、海外ソフト購入代行業などに携わっている。

リンギが値上がりに転じる、1ドル=4.3リンギの年末予想も

【クアラルンプール】 マレーシア・リンギが8日まで、7日を除き3日連続で対米ドル相場で上昇に転じた。これ以上の米国の利上げは年内にはないとの市場予想が背景にある。先週末の相場1米ドル=4.7265/7320リンギに対し、6日は4.6340/6400リンギだった。

米連邦準備理事会(FRB)は10月31 日と11月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置き、パウエルFRB議長は、堅調な経済統計のみを根拠に金利を上げる必要を認めないと発言していた。

SPIアセット・マネジメントのスティーブン・イネス代表は「FRBは再利上げを行わないと市場は確信しており、米国との金利差が拡大しないためリンギが買われた。マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)への圧力も緩和されるため、BNMは景気刺激の方向に転じることができる」と述べた。

イネス氏は年末までに1米ドル=4.55-4.60リンギのリンギ高になると予想しているが、さらに強気なのが政府系金融機関MIDFの投資銀行部門で、同4.3リンギを予想している。ほかの新興市場通貨も値上がりするという。

バンク・ムアマラット・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストによれば、リンギ上昇はFOMCの決定が主因で、来年はFRBが利下げを開始するとの予想も影響したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月8日)

8カ国・地域の決済サービス、ドゥイットナウQRコードに対応

【クアラルンプール】 銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)は8日、中国アントグループの決済サービス「アリペイプラス」に対応した8カ国・地域の決済サービス利用者が、マレーシア国内でQRコード「ドゥイットナウ」を利用できるようになったと発表した。

具体的には▽アリペイ(中国)▽アリペイHK(香港)▽ハローマネー(フィリピン)▽ハイペイ(モンゴル)▽エムペイ(マカオ)▽ネイバーペイ(日本)▽トスペイ(韓国)▽トゥルーマネー(タイ)ーーが「アリペイプラス」に対応しているため、ドゥイットナウQRコードによるキャッシュレス決済が10月31日付けで可能になった。手数料などの追加料金は発生しない。国内でドゥイットナウQRコードが利用可能な加盟店は、屋台や個人商店なども含んだ180万店舗となっている。

ペイネットのファルハン・アハマド最高経営責任者(CEO)は、今回のアントグループとの提携は、2026年の「ビジット・マレーシア・イヤー」(マレーシア観光年)が目標として掲げている「外国人観光客来訪数2,350万人」の達成を支援するものだとし、国内観光産業は着実な回復を遂げつつあると述べた。

将来的には8カ国・地域から10カ国・地域にまでサービスを拡大する予定。また、ドゥイットナウQRコードの利用者も2024年以降、「アリペイプラス」に対応した海外加盟店で決済サービスを利用できるようになる見込みだ。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、11月8日、ペイネット発表資料)

 

千疋屋総本店、ロット10で「フルートジェリー」を期間限定販売

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 果物専門店の千疋屋総本店(本社・東京都中央区)はクアラルンプール(KL)で果汁を使用した「フルートジェリー」の期間限定販売を開始した。

「フルートジェリー」は、フルート型の容器に入ったジェリーで、濃縮果汁を使用した、果物の含有量が高い濃厚な味が特徴。りんご・みかん・グレープ・ピーチ・ブラッドオレンジ・ゴールデンパインの6種類を用意する。KL中心部「ロット10」にある「ジェーズ・ゲート」内で、11月3日から2024年2月28日までの期間限定で販売する。「フルートジェリー」の海外販売は、シンガポール、タイ、アメリカ、香港に続く5番目の国・地域となる。

千疋屋総本店は、1834年(天保5年)創業、今年で189年を迎える日本最古の果物専門店。日本橋本店をはじめ都内近郊に15店舗を構えている。「一つ上の豊かさ」をブランドのアイデンティティとして掲げ、果物を通じて顧客の食生活を豊かにしたいという新たな使命感を持って取り組んでいるという。

東京センチュリーの孫会社、現地IT機器処分企業を買収

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東京センチュリー(本社・東京都千代田区)は9日、連結子会社である米CSIリーシング(CSI)が、マレーシア子会社CSIリーシング・マレーシア(CSIマレーシア)を通じて、IT機器の適正処分を請け負うITADサービスのエクスポートエクセルの全株式を取得したと発表した。

本買収により、CSIにとってはアジア地域初となる、ITADサービスの自社拠点をマレーシアに構えることとなる。ITADサービスは、特に企業統治やコンプライアンスを重視する多国籍企業を中心に、IT機器の導入においてニーズが高まっており、CSIはIT機器のFMVリース(残価設定リース)とITADサービスなどを組み合わせたITライフサイクルマネジメントサービスを世界50カ国以上で展開している。また、100%子会社である米EPCが有する高品質なITADサービスをこれまで世界22拠点で展開し、年間150万件以上ものデータ消去や機器の破砕処理を安全かつ適切に実施してきた。

CSIマレーシアが全株式を取得したエクスポートエクセルは、複数の大手ITメーカーのITADパートナーを務めるなど、優れたサービスノウハウと処理能力を有しており、エクスポートエクセルは今後、CSIのアジア地域における初のITADサービス拠点として、CSIマレーシアからのリース満了機器の取り扱いを拡大するとともに、EPCとの連携によるサービスラインナップ拡充や営業力強化を通じ、事業基盤と収益の拡大を図っていく。CSI マレーシアは本件を通じた ITAD サービスの内製化により、アジア全域におけるCSIの競争力の向上とさらなる業容拡大に貢献していく方針だ。

 

若手政治家のサイド・サディク氏、背任などで禁固7年

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)高等裁判所は9日、背任(CBT)と横領、マネーロンダリングに関する4件の罪で起訴されていた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首(30)に対し、合計禁固7年、罰金1,000万リンギの有罪判決を言い渡した。

サイド・サディク被告は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、PPBM青年部のラフィク・ハキム元副財務部長を教唆し、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にラフィク氏を使ってアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

量刑の内訳は、CBTが禁固3年と鞭打ち1回、横領が禁固2年と鞭打ち1回、マネーロンダリングが禁固2年と罰金1,000万リンギ。

若手政治家として人気のあるサイド・サディク被告は、2018年に誕生した希望同盟(PH)政権で青年スポーツ相として初入閣。2020年の政変では、ムヒディン・ヤシン党首(元首相)を批判してPPBMの党籍を剥奪され、若者を中心とした新党MUDAを立ち上げ、その後はいずれの政党連合にも所属せずに独自の政治活動を行っていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、エッジ、11月9日)