積極的差別是正措置は必要=アンワル首相

【サンフランシスコ=マレーシアBIZナビ】 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪米中のアンワル・イブラヒム首相は14日、カリフォルニア大学バークレー校で公開講義を行い、質疑応答の中で「貧困者や疎外された人々が平等な機会を得るには積極的差別是正措置が必要」と強調し、公平性がなければ絶対的な実力主義はあり得ないと述べた。

アンワル首相は、「基本的に公平な機会を提供しなければ、純粋な実力主義は実現できない」とした上で、貧困撲滅に役立つ効果的なプログラムを継続することで社会から疎外された人々や貧しい人々が立ち上がって競争できるようになると強調。ただ積極的差別是正措置を行うにあたっては、ニーズに基づくものであって特定の民族に基づく必要はないとし、特にマレー系だけを優遇するわけでないと強調した。

またアンワル首相は外交問題について、「マレーシアは中国に傾いているわけではないが、地理的に近く、信頼できる友人であり同盟国だ」と言明。米国も同様に重要で伝統的な同盟国であり、マレーシア経済の推進に貢献してきた主要な投資国でもあるが、今後益々中国がマレーシアの主要投資元の一つとなるだろうと述べた。

マレーシア人訪日者数、10月も大幅増の4万5200人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年10月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は4万5,200人となり、前年同月比で5.2倍となったが、前月比では64.4%増となった。

JNTOによると、旅行代金の高騰、LCCの地方路線の回復の遅れ等の影響があるものの、紅葉シーズンによる訪日需要の高まり等の影響があった。2019年同月比では7.5%のマイナスとなった。クアラルンプールー関西空港間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

1ー10月では30万3,500人。前年同期比で14.9倍となったが、2019年比では15.3%減となった。

10月の世界全体の訪日者数は、前年同月から5.0倍の251万6,500人となり、2019年同月からは0.8%増となった。年初10カ月では1,989万1,100人となり、前年同期比13.0倍、2019年比マイナス26.1%となった。

JNTOは、個人観光再開から1年が経過し、訪日外客数は堅調に回復をしているところで、今後も、「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客」の実現に向け、市場動向を綿密に分析しながら、訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとした。

マレーシア航空、機内食サービスを全面再開

【セパン】 マレーシア航空(MAB)は15日、機内食サービスを完全再開したと発表した。MABは8月31日付の機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシズ(BFS)との契約打ち切りに伴い、一部で温かい機内食の提供を中止していた。

MABは供給業者9社との契約により毎日平均1万8,000食の機内食を提供すると言明。機内食コストは、BFSが機内食を提供していた8月までは総コストの2%だったが、現在では2.5%まで上昇したとしている。また、機内食事業継続計画の一環として、一時的な配送センターであるMAGケータリング・オペレーションズ(MCAT)を設立し、ハイリフトトラックによる食品・飲料の機内への積み込みを行っている。今回MCATの設備を増強したことで、ハイリフト24台、冷凍庫6台、冷却機2台、食器洗浄機2台を備えることとなった。

MAB親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)のイザム・イスマイル最高経営責任者(CEO)は、機内での食事体験を向上させるためメニューを刷新したとし、MABは世界的な航空会社として、機内で提供する商品・サービスに高い基準を設けており、今後もマレーシアのホスピタリティを示していくと述べた。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、11月15日)

英ヨーテル、2025年にKLCCで国内初ホテルを開業

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 英ホテルチェーンのヨーテルは14日、2025年夏にマレーシア初となるホテルをクアラルンプール(KL)中心部にオープンすると発表した。

ヨーテルは都心ホテル「ヨーテル」、長期滞在可能な「ヨーテルパッド」、空港ホテル「ヨーテルエア」の3ブランドを有し、英国、米国、フランス、オランダ、シンガポール、トルコなどで22軒のホテルを展開している。

マレーシアでは、不動産投資のシンガポール企業ハイ・ストリート・ホールディングスと提携し、客室数290室の4つ星ホテル「ヨーテルKL」をKLシティセンター(KLCC)地区にオープンする。屋上プールおよびバー、ダイニング、コワーキングスペース、フィットネスセンター、スナックステーションなども併設する。

ヨーテルのユベール・ヴィリオット最高経営責任者(CEO)は、マレーシア進出は、シンガポールにおける「ヨーテル・オーチャードロード」および「ヨーテルエア・チャンギ空港」の成功に続き、東南アジアで事業クラスター、流通戦略、ブランド認知度を伸ばすのに不可欠な要素となるとし、マレーシアでの全国展開も検討していると述べた。アジアは同社の成長にとって重要な地域で、KLが東京(2024年開業予定)やバンコク(2025年開業予定)とともにラインナップに加わることで、域内基盤の構築やポートフォリオの拡大も可能になるとしている。

日本紙パルプ商事、マレーシアの紙卸売業者を子会社化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本紙パルプ商事(本社・東京都中央区)は14日、マレーシア子会社のジャパン・パルプ&ペーパー(M)が、子会社であるOVOLマレーシアを通じて、紙の卸売りを手掛けるムティアラ・ペーパー(M)の株式を取得し、子会社化したと発表した。

OVOLマレーシアは、紙・包装資材卸売、サイン&ディスプレイのメディアの販売を手掛ける。クアラルンプールを中心に紙卸売事業を営む、ムティアラ・ペーパー(M)を子会社化することで営業基盤の強化と、両社資産の統合・経営効率化による顧客サービスの向上を図る。

日本紙パルプ商事は声明の中で、マレーシアではコート紙や上質紙の国内サプライヤーが限られており、紙流通において紙商が重要な役割を果たしていると指摘。OVOLマレーシアはマレーシア国内に6営業拠点・倉庫を構えており、クアラルンプール周辺で高いサービスレベルによる強固な営業基盤を持つムティアラ・ペーパー(M)と経営統合することで、更なるサービスレベル向上を図り、マレーシアの紙流通業界におけるリーディングカンパニーを目指すとしている。

TGVシネマズ、TGVパビリオンブキジャリルをオープン

【クアラルンプール】 大手シネコンのTGVシネマズは、クアラルンプール郊外のショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」内に映画館「TGVパビリオン・ブキジャリル」を開設した。玩具メーカーの米系マテル・サウスアジアと提携し、映画館内に2,041平方フィートの子ども向け遊び場「シティ・オブ・プレイ」も設置する。

「TGVパビリオン・ブキジャリル」には、レーザーシステムと12チャンネルの音響技術を備えたIMAXシステムを国内で初めて導入した。全16ホールで座席数は1,555席。デジタルスクリーン、リクライニングシート、ゆったりとした足元スペースを備え、無料の高速Wi-Fiも提供する。プレミアムホールとして、快適な電動リクライニングチェアを有し、ブランケットやフード&ドリンクも付属するインダルジ・ホール3ホール、2人掛け用の大きなクッションが特徴的なビーニー・ホール2ホールも用意する。

タン・レイハン最高経営責任者(CEO)は新施設発表会で、TGVは、映画館を友人や家族、恋人と一緒に過ごしたくなる場所にすることを目指しており、ぜひ新しいホールを直接体験してほしいと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月14日、TGVシネマズ発表資料)

三井出資のIHHヘルスヘア、第一三共を相手取り損害賠償訴訟

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 病院経営のIHHヘルスケアは14日、インド医療会社の買収を不当に妨害したとして、日本の医薬大手第一三共を相手取り、200億円余りの損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。IHHはアジア最大規模の民間医療グループで、三井物産が32.8%の株式を保有する筆頭株主。

IHHがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に提出した資料によると、同社は2018年、インドの医療会社フォルティス・ヘルスケアを買収するため株式の公開買い付けを行おうとしたが、第一三共が不当に妨害したという。

ロイター通信によると、第一三共がフォルティス創業者を相手取り侮辱訴訟を起こしたことを受け、裁判所がフォルティス株主の現状維持を命令したため、IHHは公開買い付けを停止したという。

IHHはシンガポールのグループ企業、ノーザンTKベンチャーズ(NTK)を通じ提訴した。NTKに対する名誉棄損行為の停止と、第一三共ホームページへの謝罪文掲載も求めた。

ホンダマレーシア、新型6代目「CR-V」の予約受付開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ホンダ・マレーシアは15日、フルモデルチェンジした6代目Cセグメント・スポーツ多目的車(SUV)「CR-V」について、全国のホンダ・ディーラー101カ所で予約受付を開始したと発表した。発売は今年12月を予定している。

エンジンは新世代の排気量2.0リットルe:HEVハイブリッドエンジンと排気量1.5リットルのVTECターボエンジンの2種を用意。e:HEVは最大トルク335Nm、最大出力184PSを発揮。ホンダ・マレーシアで初となる新機構の電気式無段変速機(e:CVT)との組み合わせにより、高いドライバビリティと高い俊敏性、スムーズな加速を実現した。VTECターボは、最高出力 193PS、最大トルク 243Nmを発揮する。

発売に先駆けて11月17日より一部のホンダ・ディーラーでプレビューを開催する。

吉村宏信社長兼最高経営責任者(CEO)は、「CR-V」の累計販売台数が12万9,000台に達し、ホンダ・マレーシアに最も貢献した車種の一つだとした上で、非国民車セグメントで引き続き販売をリードすることを期待していると述べた。

埼玉県の大野知事、来馬でバイヤー109人に県産品をアピール

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 埼玉県の大野元裕知事は14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域における県内企業のビジネス展開支援に向け、7ー11日に行われたASEAN訪問の結果について定例記者会見内で発表を行った。

大野知事によると、今回、県内経済団体と金融機関で構成される経済訪問団とともに訪問したのは、マレーシアおよびタイの2カ国。マレーシアには7ー9日に訪問し、連邦政府との関係づくりおよび埼玉県の酒・食品などの販路開拓を行った。マレーシアはASEAN6カ国中、2022年の実質国内総生産(GDP)成長率1位、日本産酒・食品の輸入も前年比33.5%増と増加しており、今後も市場拡大が見込まれることから、販路拡大の足がかりを得るために埼玉県として初の公式訪問を行ったという。

大野知事は、リュー・チントン副投資貿易産業相との会談では、マレーシア政府の投資に関する考え方や戦略について情報交換を行い、また、県内企業によるマレーシアでの販路開拓や現地進出しやすい環境づくりに取り組むことについて双方合意した。8日にクアラルンプール市内ホテルで開催された、県産品販路開拓に向けた試飲・試食会では、知事が県産の酒・食品の魅力を現地バイヤー、レストラン関係者、小売事業者などにトップセールスしたほか、出展企業によるPRや、展示や映像による埼玉県の工芸品・観光紹介も行われた。PRした商品は33社90商品、参加した現地バイヤーなどの数は109人に及んだ。埼玉県は今後も日本貿易振興機構(ジェトロ)などと協力し、商談などをサポートしていくとしている。

日揮、旭化成・ジェンタリと水素製造施設の基本設計を開始へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)は15日、旭化成(本社・東京都千代田区)およびジェンタリ・ハイドロジェンとの間で、水素製造プラントの基本設計に向け、覚書(MoU)を締結したと発表した。ジェンタリ・ハイドロジェンは、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリの100%子会社。

3社は、マレーシアにおける60メガワット(MW)級アルカリ水電解システムの実現可能性調査を終了したことを受け、水素製造プラントの基本設計(FEED)段階に移行する。

同システムでは年間8,000トンのグリーン水素製造が見込まれており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金に採択された「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」のプロジェクトの一部として運用する。2024年1月のFEED開始に向けて3社で準備を進めており、2027年の実証運転開始を目指している。

本プロジェクトではまた、60MW級の電解槽を導入し、プラントの運転を最適化する統合制御システムの実証も行う。マレーシアでのグリーン水素の製造を通じて、日本とマレーシア、そして東南アジアの市場開発を推進し、脱炭素化に向けたグリーン水素の生産基盤を域内で確立することを目指す。