リンギが値上がりに転じる、1ドル=4.3リンギの年末予想も

【クアラルンプール】 マレーシア・リンギが8日まで、7日を除き3日連続で対米ドル相場で上昇に転じた。これ以上の米国の利上げは年内にはないとの市場予想が背景にある。先週末の相場1米ドル=4.7265/7320リンギに対し、6日は4.6340/6400リンギだった。

米連邦準備理事会(FRB)は10月31 日と11月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置き、パウエルFRB議長は、堅調な経済統計のみを根拠に金利を上げる必要を認めないと発言していた。

SPIアセット・マネジメントのスティーブン・イネス代表は「FRBは再利上げを行わないと市場は確信しており、米国との金利差が拡大しないためリンギが買われた。マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)への圧力も緩和されるため、BNMは景気刺激の方向に転じることができる」と述べた。

イネス氏は年末までに1米ドル=4.55-4.60リンギのリンギ高になると予想しているが、さらに強気なのが政府系金融機関MIDFの投資銀行部門で、同4.3リンギを予想している。ほかの新興市場通貨も値上がりするという。

バンク・ムアマラット・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストによれば、リンギ上昇はFOMCの決定が主因で、来年はFRBが利下げを開始するとの予想も影響したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月8日)

8カ国・地域の決済サービス、ドゥイットナウQRコードに対応

【クアラルンプール】 銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)は8日、中国アントグループの決済サービス「アリペイプラス」に対応した8カ国・地域の決済サービス利用者が、マレーシア国内でQRコード「ドゥイットナウ」を利用できるようになったと発表した。

具体的には▽アリペイ(中国)▽アリペイHK(香港)▽ハローマネー(フィリピン)▽ハイペイ(モンゴル)▽エムペイ(マカオ)▽ネイバーペイ(日本)▽トスペイ(韓国)▽トゥルーマネー(タイ)ーーが「アリペイプラス」に対応しているため、ドゥイットナウQRコードによるキャッシュレス決済が10月31日付けで可能になった。手数料などの追加料金は発生しない。国内でドゥイットナウQRコードが利用可能な加盟店は、屋台や個人商店なども含んだ180万店舗となっている。

ペイネットのファルハン・アハマド最高経営責任者(CEO)は、今回のアントグループとの提携は、2026年の「ビジット・マレーシア・イヤー」(マレーシア観光年)が目標として掲げている「外国人観光客来訪数2,350万人」の達成を支援するものだとし、国内観光産業は着実な回復を遂げつつあると述べた。

将来的には8カ国・地域から10カ国・地域にまでサービスを拡大する予定。また、ドゥイットナウQRコードの利用者も2024年以降、「アリペイプラス」に対応した海外加盟店で決済サービスを利用できるようになる見込みだ。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、11月8日、ペイネット発表資料)

 

千疋屋総本店、ロット10で「フルートジェリー」を期間限定販売

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 果物専門店の千疋屋総本店(本社・東京都中央区)はクアラルンプール(KL)で果汁を使用した「フルートジェリー」の期間限定販売を開始した。

「フルートジェリー」は、フルート型の容器に入ったジェリーで、濃縮果汁を使用した、果物の含有量が高い濃厚な味が特徴。りんご・みかん・グレープ・ピーチ・ブラッドオレンジ・ゴールデンパインの6種類を用意する。KL中心部「ロット10」にある「ジェーズ・ゲート」内で、11月3日から2024年2月28日までの期間限定で販売する。「フルートジェリー」の海外販売は、シンガポール、タイ、アメリカ、香港に続く5番目の国・地域となる。

千疋屋総本店は、1834年(天保5年)創業、今年で189年を迎える日本最古の果物専門店。日本橋本店をはじめ都内近郊に15店舗を構えている。「一つ上の豊かさ」をブランドのアイデンティティとして掲げ、果物を通じて顧客の食生活を豊かにしたいという新たな使命感を持って取り組んでいるという。

東京センチュリーの孫会社、現地IT機器処分企業を買収

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東京センチュリー(本社・東京都千代田区)は9日、連結子会社である米CSIリーシング(CSI)が、マレーシア子会社CSIリーシング・マレーシア(CSIマレーシア)を通じて、IT機器の適正処分を請け負うITADサービスのエクスポートエクセルの全株式を取得したと発表した。

本買収により、CSIにとってはアジア地域初となる、ITADサービスの自社拠点をマレーシアに構えることとなる。ITADサービスは、特に企業統治やコンプライアンスを重視する多国籍企業を中心に、IT機器の導入においてニーズが高まっており、CSIはIT機器のFMVリース(残価設定リース)とITADサービスなどを組み合わせたITライフサイクルマネジメントサービスを世界50カ国以上で展開している。また、100%子会社である米EPCが有する高品質なITADサービスをこれまで世界22拠点で展開し、年間150万件以上ものデータ消去や機器の破砕処理を安全かつ適切に実施してきた。

CSIマレーシアが全株式を取得したエクスポートエクセルは、複数の大手ITメーカーのITADパートナーを務めるなど、優れたサービスノウハウと処理能力を有しており、エクスポートエクセルは今後、CSIのアジア地域における初のITADサービス拠点として、CSIマレーシアからのリース満了機器の取り扱いを拡大するとともに、EPCとの連携によるサービスラインナップ拡充や営業力強化を通じ、事業基盤と収益の拡大を図っていく。CSI マレーシアは本件を通じた ITAD サービスの内製化により、アジア全域におけるCSIの競争力の向上とさらなる業容拡大に貢献していく方針だ。

 

若手政治家のサイド・サディク氏、背任などで禁固7年

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)高等裁判所は9日、背任(CBT)と横領、マネーロンダリングに関する4件の罪で起訴されていた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首(30)に対し、合計禁固7年、罰金1,000万リンギの有罪判決を言い渡した。

サイド・サディク被告は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、PPBM青年部のラフィク・ハキム元副財務部長を教唆し、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にラフィク氏を使ってアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

量刑の内訳は、CBTが禁固3年と鞭打ち1回、横領が禁固2年と鞭打ち1回、マネーロンダリングが禁固2年と罰金1,000万リンギ。

若手政治家として人気のあるサイド・サディク被告は、2018年に誕生した希望同盟(PH)政権で青年スポーツ相として初入閣。2020年の政変では、ムヒディン・ヤシン党首(元首相)を批判してPPBMの党籍を剥奪され、若者を中心とした新党MUDAを立ち上げ、その後はいずれの政党連合にも所属せずに独自の政治活動を行っていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、エッジ、11月9日)

マレーシアの総人口、第3四半期は1.8%増の3345万人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局の人口動態統計によると、2023年第3四半期のマレーシアの総人口は推定3,345万1,500人となり、前年同期から1.8%増加した。

総人口のうち、男性は前年同期の1,720万人から1,750万人に、女性は1,570万人から1,600万人に増加した。人口性比(女性100人に対する男性の数)は、110だった。なお、外国人は前年同期の260万人から300万人に増えた。

出生数は11万354人で、前年同期から2.8%減少。内訳は、男児が5万7,260人、女児が5万3,094人だった。

死者数は4万6,646人で、前年同期に比べ10.0%減少。そのうち男性が2万6,520人、女性が2万126人だった。州・地域別ではセランゴール州が7,217人で、最多となった。年代別では60歳以上が3万2,417人で全体の69.5%を占めた。

新型コロナウイルス「Covid-19」による死者数は25人で、前年同期の603人より大幅に減少した。

11日に北東モンスーン期に突入、1月まで大雨に警戒を=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は7日、11日から北東モンスーン期が始まると発表。来年3月までの間に大雨が4ー6回発生することが予想されるとした。

気象局の声明によると、2023年11月ー2024年1月にかけ、クランタン、トレンガヌ、パハン、ジョホール、サラワク西部での大雨が予想されているが、モンスーンの風が強く、低気圧と重なることがあれば、他州でも大雨が降り続く可能性がある。気象局は、連続降雨と高潮が重なった場合には低地などでの洪水の危険性が増すとして警戒を呼びかけた。

一方、2024年2ー3月には、マレー半島北部地域(ペルリス、ケダ、ペナン、ペラ、クランタン、トレンガヌ)および東マレーシアのサバ、ラブアン、サラワク北部では降雨量が減少する見込みだとし、2024年3月から始まる暑く乾燥した天候下で、熱波が発生する可能性もあるとした。

気象局は国民に対し、公式ウェブサイトやソーシャルメディア、「myCuaca」アプリなどを通じて気象局が発する天気予報や警報に常に注意を払うよう呼びかけている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月8日、ベルナマ通信、11月7日)

運航停止のMYエアライン、運航可能な機材ゼロに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 経営難のために10月12日に突然運航停止した新興格安航空会社、MYエアラインだが、手元に運航可能な機材が残っていないことが判明、支援先が現れても速やかに運航再開できるか不透明な情勢だ。MYエアラインは当初、報道内容を否定していたが、その後事実だと認めた。

「ビジネス・タイムズ」は、MYエアラインがリースしていたエアバス「A320」型10機のうち、貸し手企業が5機を格安航空会社、エアアジアに再リースし、残り5機についてはマレーシア民間航空局(CAAM)の機材登録が抹消されたと報じた。これに対しMYエアラインは、貸し手企業によって6機の登録が抹消されたが、4機は運航可能だと反論。その後、4機の登録は残っているものの貸し手企業に返還されたと発表内容を修正した。4機は運航停止翌日の10月13日にはすでに貸し手企業の管理下に置かれていたという。

MYエアラインは、「資本増強プロセスが完了した後、これらの機材を引き続き運用していく方向で、貸し手との協議に積極的に取り組んでいる」と強調。「航空運送事業サービス許可(ASL)はあくまで停止されているだけで、一部の報道のように剥奪されたわけではない」として、誤った報道が同社の再建協議を台無しにしかねないと不満を表明した。

MYエアラインは10月31日、事業立て直しおよび影響を受けた乗客への補償と従業員への給与・手当の支払いのための資本増強策を最終決定するため、投資企業2社との交渉段階にあると発表。マレーシア航空委員会(MAVCOM)は11月1日、MYエアラインのASLの即時停止を決定した。

ペラ州政府、イポー・KL間の新高速鉄道を計画

【クアラルンプール】 ペラ州政府は、同州イポーとクアラルンプール(KL)を40分で結ぶ最高時速280キロメートル(km)の高速鉄道の建設を計画しており、連邦政府による最終決定待ちの状態だ。

州インフラ・エネルギー・水・公共交通委員会のモハンマド・ニザール・ジャマルディン委員長は、本高速鉄道について、中国のコングロマリットから提案を受けたと明らかにした。実現可能性調査に入る前に、運輸省の承認および経由地であるセランゴール州の同意を得る必要があるとしている。2028年の完成を目指す。

現在、イポー・KL間を運行している高速電車(ETS)の時速は140km、所要時間は2時間38分。イポー駅はKLセントラル駅に次いで国内で2番目に利用者が多い駅となっており、昨年の乗降客数は91万人。ペラ州の駅全体では214万人だった。アンソニー・ローク運輸相も以前、KL発イポー行きのETSチケットは毎週末完売しており、増発分のチケットもすぐに売り切れてしまうと発言していた。
(フォーカス・マレーシア、11月7日、星洲日報、11月5日)

ダイアログと森松、2.5億リンギを投じJV工場を拡張へ

【クアラルンプール】 石油・ガス関連サービスのダイアログ・グループとステンレスタンク製造の森松工業(本社・岐阜県本巣市)の香港子会社である森松国際控股は、合弁会社(JV)である森松ダイアログ(M)に2億5,000万リンギを投資すると発表した。

森松ダイアログ(M)は、電気自動車(EV)用バッテリー、半導体、グリーンエネルギー向け原材料生産装置の製造を行っている。今回の投資で、ジョホール州ペンゲランに構えるエンジニアリング・加工施設の拡張を行い、敷地面積を1万8,245平方メートルとし、年間3億リンギの生産体制を確立することを目指す。海外需要の急増から輸出の拡大が見込まれるという。

拡張工事は2025年第1四半期までに完了する予定。森松国際控股は森松ダイアログ(M)の株式51%、ダイアログは49%を所有している。
拡張工事の起工式に出席したジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ首相は、新施設はペンゲランの成長に寄与するとし、新たに500人の雇用機会も創出すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月8日、エッジ、11月7日)