年末にかけリンギは対米ドルで上昇、MIDF見解

【クアラルンプール】 政府系金融機関MIDFの投資銀行部門は、対米ドル相場で10月に過去最低を更新した通貨リンギは、年末にかけて上昇するとの分析を示した。年末予想は1米ドル=4.3リンギ。

MIDFによると、米国の金利はほぼピークに達し、現在の誘導目標金利が長期にわたり維持される見通しのため、短期資金が新興市場に流入し、新興市場通貨の値上がりが予想されるという。

マレーシア中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は翌日物政策金利(3%)を維持する見通しで、米国の誘導目標金利とマレーシア金利との差はこれ以上拡大しない見通しで、リンギ上昇要因となる。

リンギ上昇予想のほかの根拠としてMIDFは、強じんさを示す国内経済、回復の兆しが見える中国経済、一次産品価格の上昇、電気・電子製品輸出の増加を挙げた。

一方で、米国債利回りの上昇、パレスチナ・イスラエル戦争を背景に、リスク回避から新たなドル買いが起こる可能性もあるという。

リンギは10月3日、1米ドル=4.79リンギまで値下がりしたが、11月に入り持ち直している。

リンギの今年の下落幅は7.5%で、リンギより下落幅が大きかったのは円の13.6%のみ。
(ザ・サン、ザ・スター、11月7日)

セダニア、ボディケア製品のタナメラを51%子会社化へ

【クアラルンプール】 テクノロジー企業セダニア・イノベーターは6日、ボディケア製品・食品サプリメントのタナメラ・グループ (TGSB)の株式51%を現金818万リンギで取得すると発表した。

セダニアがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、TGSBの435万株を取得する条件付株式売却契約に加え、TGSBの増資分340万株を368万リンギで引き受ける条件付引受契約も締結した。これによりTGSBはセダニアの51%子会社になる。株式の取得は来年第1四半期までに完了する予定。

セダニアのアズリン・モハマド・ヌール創業者兼社長は、TGSBの子会社化により、家計消費におけるシェアやバリューチェーンの拡大が期待でき、設計・製造能力を備えた持続可能なヘルスケアの先駆者としての地位が確立できると言明。製品群の合理化や独自の販売提案の強化が可能となり、利益率の改善にもつながると述べた。TGSBにとっても、セダニア子会社である、豪系ベビーケア製品オフスプリングの国内販売拠点800カ所や海外26カ国の拠点を活用できるようになるため、地位向上につながるとしている。

TGSBは、20年以上前から石鹸、スクラブ、マッサージオイル、エッセンシャルオイルなど、熱帯産の天然植物成分を使用した様々なナチュラルボディケア製品を開発・製造しているが、2022年度(2022年1ー12月)には16万783リンギの純損失を計上していた。
(エッジ、11月6日)

ディーゼル油補助金の受給対象見直し、来年実施=経済相

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は6日、ガソリンと軽油に対する補助金の見直しについて、来年実施される可能性が高いと明らかにした。補助金の対象を絞り込み、富裕層への支給を停止する。

 

ラフィジ経済相は下院質疑で、補助金の対象は、▽個人の純可処分所得▽社会保護や扶助制度を通じた家計の純可処分所得▽家計と個人収入の組み合わせ(補助金カードを発行)ーーにより決定されるとし、来年1月に予定されている、世帯社会経済データベース「パドゥ」の導入後に、対象を絞った補助金制度を開始する予定だと述べた。閣議において、新補助金の仕組み、告知方法、実施計画、追跡調査などについて決定するとしている。

対象を絞った補助金制度については、アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)が3日、受給対象の見直しはマレー半島でのみ実施すると述べていた。貨物車両や漁民、公共交通機関、そしてサバ・サラワク州は対象外とするとしている。サバ・サラワク州については、ディーゼル油が広範囲で使用されているためだという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月7日、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、11月6日)

丸紅、現地企業と協業で森林再生プロジェクトの事業性検証を開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 丸紅(本社・東京都千代田区)は6日、サバ・サラワクの両州において、現地パートナー企業2社とそれぞれ覚書を締結し、森林再生を通じた環境植林プロジェクトの事業性検証を開始したと発表した。

サバ州では、植林事業のサバ・ソフトウッズをパートナーに、同社が保有する植林地内の荒廃地を対象とした森林再生に取り組む。サラワク州では、KTSリソーシーズと共に、劣化したパーム農園の原生種への転換、および荒廃したココナッツ農園のマングローブ林への転換・再生等の手法で生物多様性の維持・改善に寄与していく。

同プロジェクトでは、マレーシア政府が掲げる環境保全と地球温暖化対策への寄与という社会公益性に加え、経済性も同時に実現することを目的としている。生物多様性の回復、地域コミュニティにおける雇用を創出し、森林再生や原生種への転換による炭素吸収・固定を通じたカーボンクレジットプログラムの確立を目指す方針だ。

埼玉県、8日にKLで県産品の試飲・試食会を開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 埼玉県は、マレーシアの食品関連事業者を対象とした埼玉県産食品の試飲・試食会を8日、クアラルンプール(KL)市内のホテルで開催する。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が共催する「埼玉県の酒と食の魅力発見イベント“Sedap!SAITAMA”」と題する試飲・試食会には、埼玉県内企業33社が出展する。うち10社が自社ブースを設置し、23社がサンプル展示を行う。埼玉県内企業の新たな海外市場の販路開拓を支援する。

出展者の内訳は、アルコール飲料製造が10社、加工食品製造が16社、食に関連する工芸品製造が7社となっており、品目は日本酒、果実酒、ビール、ジン、ウイスキー、ワインといったアルコール飲料、ラーメン、そば、うどん、かりんとう、ポップコーン、せんべい、芋クッキー、のりといった加工食品、醤油、焼き鳥のたれ、キムチのたれ、プリンの素といった調味料、緑茶などとなっている。東南アジアを歴訪中の経済訪問団を率いる大野元裕知事が挨拶する予定。

イベントにはマレーシアの食品関連事業者40数社が来訪する予定で、会場を自由巡覧し、埼玉県企業による試飲・試食提供や商品提案を通じたネットワーキングを行う。イベント実施後には、オンライン商談機会を提供し、県内企業がマレーシア食品市場に参入する足掛かりとなるよう支援する。

セティアワングサ・パンタイ高速道路、3日に正式開通

【クアラルンプール】 セティアワングサ・パンタイ高速道路(SPE)が3日、正式開通した。SPEはクアラルンプール(KL)を南北に横断する全長29.8キロメートル(km)の二車線道路で、特に朝夕ピーク時の市内中心部における渋滞を30%緩和することが期待されている。

SPEは2016年にドゥターウル・クラン高速道路(DUKE)第3期として建設が開始され、プロジェクト総額は37億3,800万リンギ。不動産開発のエコベストが運営を担当しており、同社は連邦政府から53年6カ月の営業権を取得している。

開通式に参加したアレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、12月2日までの1カ月間、▽チャン・ソウリン料金所▽アンパン・クアラルンプール高架道路(AKLEH)からの合流地点であるアンパン料金所▽セティアワンサ料金所(上り・下りとも)ーーを無料で通行可能にしたと発表。12月3日以降、乗用車の通行料金は3.5リンギとなるとした。
(ポールタン、ベルナマ通信、11月3日)

ドラッグストアのガーディアン、新旗艦店をミッドバレーに開設

【クアラルンプール】 ドラッグストア・チェーンのガーディアンは、クアラルンプール(KL)のミッドバレー・メガモールに、東南アジア最大規模となる旗艦店をオープンした。

店舗面積は7,000平方フィート。スキンケア製品で20ブランド、化粧品で10ブランドを新規に導入した。国内ナチュラル系スパ製品のタナメラ・ナチュラル・バスケアや日本(アハロ、ファンアズム、セラティス、コーセー・ビオリス、コーセー・ジュレーム)、韓国(ミザンセーヌ、リョ)のヘアケア製品を販売する。

店内には、環境に優しい成分を配合した美容製品を揃えた「クリーン・ナチュラル・ビューティー」コーナー、8ー12歳の子ども向けの製品を揃えた「トゥイーンズ」コーナー、ロレアルが提供する初の「サロン・アット・ホーム・ヘアケア」コーナー、プロテインパウダーや健康食品を扱う「ヘルスケア」コーナーなどが設けられている。また、同チェーン初の試みとして、店舗正面入口部分にアニメーションLEDを採用し、店内全体にデジタルLEDスクリーンを設置した。新旗艦店のオープンを記念し、期間限定キャンペーンも実施しているという。
(ベルナマ通信、11月3日、ザ・スター電子版、11月2日)

日本からのFDI、今年は3百億リンギ超の見通し=アンワル首相

【クアラルンプール】 岸田文雄首相と会談したアンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は5日の記者会見で、日本からの外国直接投資(FDI)が、今年は300億リンギを超えるとの見通しを表明。マレーシアに対する日本の投資家の信頼感が示されていると述べた。

テンク・ザフルル投資貿易産業相も10月25日に開催された「マレーシア・日本ビジネスラウンドテーブル」の基調講演で、日本からのFDIについて、今年は300億リンギを超えるという見通しを明らかにしていた。ザフルル大臣は、日本は2015年から8年連続でマレーシアにとり、第4番目の貿易相手国であると言明。マレーシアの総貿易高は2022年に512.6億米ドル(1,817.3億リンギ)に上り、日本との貿易が6.4%を占めたと明らかにした。

「マレーシア・日本ビジネスラウンドテーブル」では、日本商工会議所(JCCI)とマレーシア製造業者連盟(FMM)が、二国間クレジット制度に係わる協力協定にも署名している。二国間クレジット制度は、途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、マレー・メイル、11月3日)

日本、域内安定に向けマレーシアとの協力を強化へ=岸田首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアを公式訪問した岸田文雄首相は5日、域内の平和や安定性の維持において、マレーシアとの協力を強化したいという考えを明らかにした。北朝鮮の核開発や中国の東シナ海・南シナ海における領海主張などにより、域内の安全への懸念が生じていることが背景にある。

岸田首相は、国営「ベルナマ通信」の書面インタビューに対し、外務大臣としてマレーシアを訪問した2015年に、両国間の関係が「強化されたパートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」に格上げされたとし、インド洋と太平洋を結ぶ重要な海上交通路に位置するマレーシアと一層連携を深めていきたいと回答した。

具体的には、サプライチェーンの強靭化やマレーシアが注力しているデジタルおよびグリーン分野などでの協力を強化していくとした。また、マレーシアが優位性を持つ、文化の多様性やイスラム金融・ハラル(イスラムの戒律に則った)分野において日本はマレーシアから学び、イスラム諸国やASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への市場拡大を図るなど、ビジネスチャンスを広げていきたいと述べた。

岸田首相が来馬、アンワル首相と会談で両国の協力関係を確認

【クアラルンプール】 岸田文雄首相は、4ー5日の2日間の日程でマレーシアを訪問し、5日にアンワル・イブラヒム首相と首脳会談を行った。首相就任後初のマレーシアへの公式訪問となる。

首脳会談では、防衛、安全保障、教育、エネルギー転換など幅広い分野における二国間関係について話し合われた。アンワル首相は福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について、他国からの懸念を受けとめるべきだとしながらも、環境への影響が無視できるレベルだと国際原子力機関(IAEA)が承認したことにマレーシアは満足していると言明。その他、筑波大学の分校設立の促進、12月に東京で開催される日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年特別首脳会議などについても協議が行われた。両首相は、日本の総務省とマレーシアの通信デジタル省との間で締結された協力覚書の締結にも立ち会った。

岸田首相は会談後、自身のX(旧称・ツイッター)で「『戦略的パートナー』である両国関係を更に発展させ、地域・国際社会の平和と安定のために緊密に連携してまいります」と発信。アンワル首相も、「貿易相手国第4位である日本との強力な協力関係を維持していく」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、11月3日)