イオンビッグ、ミッドバレーの店舗を新装開店

【クアラルンプール】 イオンビッグ(M)は、クアラルンプール(KL)の「ミッドバレー・メガモール」の店舗を新装オープンした。

シェイク・モハメド社長によると、同店舗は1999年に設立されたもので、改装工事は今年3月に開始し、6カ月を要して完成した。以前よりも高級感のある外観になっており、このような外観のイオンビッグの店舗は国内初で、来年の旧正月を前にパハン州クアンタンの「イースト・コースト・モール」など他の店舗でも同様のコンセプトを導入する計画だ。

 新装した店舗には、化粧室や祈祷室などの施設、最新型のカートやセルフレジも導入し、レジの30%がデジタル決済専用となった。

  店舗では「オレンジデー」に合わせて16ー17日にかけて全商品を最大で80%割り引くキャンペーンを実施した。物価上昇に伴う国民の負担を軽減するために実施する「慈悲(ラーマ)セール」は日用品に重点をおいているが、「オレンジデー」では全商品が対象となったという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月17日、マレーシアン・リザーブ、12月16日)

条件を緩和した新MM2Hを発表=観光芸術文化相

【クアラルンプール】 ティオン・キンシン観光芸術文化相は15日、外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムの改定版を発表した。MM2Hの見直しについては、10月に発表された2024年度予算案でも触れられていた。

ティオン大臣によると、新MM2Hでは、プラチナ、ゴールド、シルバーの3カテゴリーを導入する。申請できる年齢は30歳以上となり、年間で60日以上の現地滞在が必要。帯同可能な扶養家族は、21歳未満の子どもおよび障害のある子ども(年齢制限なし)に加え、マレーシア国内で就労・結婚しない21ー34歳までの子どもや両親(実両親および義理の両親)も含まれるようになった。なお、申請手続きは観光芸術文化省に登録されたエージェント経由でのみ可能となる。

プラチナでは、マレーシア国内銀行に500万リンギの定期預金が必要で、ビザ取得後1年以降に150万リンギ以上の不動産の購入や医療、国内観光活動を目的として50%までの引き出しが可能。プラチナ取得後には永住権(PR)の申請資格が得られる。
ゴールドでは定期預金の必要額が200万リンギ、シルバーでは50万リンギとなり、ビザの有効期限はそれぞれ15年間、5年間。いずれも1年後以降に75万リンギ以上の不動産の購入や医療、国内観光活動を目的として最大50%の引き出しが可能。
ティオン大臣は、新MM2Hによりマレーシアへの世界的な関心が高まり、多くの申請が行われることを期待しているとし、1年間の試験運用により調整も行っていくと述べた。

新MM2Hの発表を受け、マレーシア国防大学(UPNM)国防・国際研究センター非常勤研究員のゾクリ・イドリス氏は、人身売買、密輸などの犯罪にMM2Hが悪用される危険があるため、資金の出所についての調査を徹底すべきだという見解を示している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月17日、16日、ザ・スター、12月16日)

輸入低価格品への10%の売上税適用、1月1日付で施行

【ペタリンジャヤ】 オンライン販売される輸入低価格品に対する10%の売上税課税措置が、2024年1月1日付けで施行されることが分かった。同税制については昨年8月に下院で法案が承認され、今年4月から施行される予定だったが、諸事情により延期されていた。

10%の売上税導入はマレーシア国内外のオンライン販売者間の競争条件を平等にするためのもので、財務省に登録した業者が輸入する、500リンギ以下の低価格品目に適用される。商品の販売価格に対して課税されるもので、関税や手数料、輸送費、保険などのその他の費用は含まれない。

財務省への登録は、海外からの低価格品輸入額が年間50万リンギを超える業者に義務付けられている。同税制導入により、関税局は年間2億リンギの税収が見込まれるとしている。

同様な輸入低価格品への課税措置は、オーストラリア、スイス、ニュージーランド、ノルウェー、英国などでも行われている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、12月15日)

日本ASEAN特別首脳会議が東京で開催

【クアラルンプール】 日本ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議が17日、東京で開催された。

同会議は日本ASEAN友好協力50周年記念活動の集大成となるもので、ASEANのうちミャンマーを除く9カ国、およびオブザーバーとして東ティモールの首脳が参加した。

アンワル・イブラヒム首相は同会議の場で、パレスチナ戦争に対するマレーシアの立場を表明し、イスラエルによるガザ破壊を改めて非難。マレーシアはASEAN諸国とともに、人道的停戦と人質の解放を求める国連総会決議が12日に採択されたことを歓迎すると述べた。また、サイバー空間における日本の専門知識を評価し、ASEAN地域と日本の間でのサイバーセキュリティ分野における協力促進を希望しているとした。

アンワル首相はさらに、ASEANのアジア太平洋・インド洋地域への関与の指針となる「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」や日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を通じ、日ASEAN間で緊密な協力が行われていると言明。特にマラッカ海峡における船舶交通や国際法に関する訓練プログラムから、マレーシアは多大な恩恵を受けていると指摘した。マレーシアは、航海の安全性と航海計画改善に向け、さらなる取り組みを提案するとしている。ASEAN海域での中国との緊張が高まる中、安全保障での協力が強調されたもようだ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、12月17日)

アンワル首相が訪日、日本との戦略的関係強化で合意

【東京=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は、日本ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議の開催に合わせ、15日から5日間の日程で日本を訪問した。昨年11月に首相に就任してから、訪日はこれが初めて。
岸田文雄首相が議長を務めた日本ASEAN特別首脳会議では、人的交流、経済協力、安全保障協力の強化などについて協議が行われ、130項目の実施計画が採択された。

16日にはアンワル首相と岸田首相との間で二国間会談を実施。両国の関係を「包括的・戦略パートナーシップ」に格上げし、経済、防衛・安全保障、科学・技術、イノベーション、環境、文化交流などの分野における協力の機会を拡大し、さらに、貿易・投資、教育、防衛、エネルギー、環境における協力を発展させる方法についても協議が行われた。会談終了後、両首脳は、日・マレーシア共同声明を発出した。

アンワル首相は同日、マレーシアに進出しているローム・ワコー、NEC、三井物産のトップとの会談や日本企業25社が参加した座談会にも参加し、投資拡大の可能性について協議を行った。

家電のエルバ、キッチン家電の新製品ラインを発表

【クアラルンプール】 家電メーカーのフィアンマが展開する、キッチン家電ブランド「エルバ」は、調理と冷却に重点を置いた、キッチン家電の新製品ラインを発表した。

調理に関しては、「マエストロ・コレクション」で、4つのサブカテゴリーでの新製品を紹介。「フード&コンロ」では、調理を開始すると自動的に排気機能が作動する。またプラズマフィルター技術やBLDCモーターにより効率的な給排気を行い、キッチンに煙がこもらない仕組みを実現した。

「ビルトインオーブン」は、TFTタッチパネルで簡単に操作でき、スチーム、グリル、ベーキング、エアフライ(油なしでの揚げ物)などの調理が可能。わかりやすい指示やタイマー設定で調理をサポートする。イタリアのガス機器メーカー・サバフ社のバーナーを採用した「レンジクッカー」も、ベーキング、ロースト、エアフライ、グリルなどさまざまな調理機能を可能にしている。料理を温かく保つ保温引き出し「ウォーミングドロワー」は、利便性だけでなく、メタリックなグラファイトマット仕上げでキッチンにスタイリッシュでエレガントな雰囲気ももたらしている。

冷却に関しては、12年保証を特徴とするマルチドア冷蔵庫やサイドバイサイド冷蔵庫(欧米で定番となっている、庫内を縦に2分割し、左右に冷凍室・冷蔵室を配置した冷蔵庫)を紹介。デュアルインバーターコンプレッサーや4ゾーンでの冷却システムを採用し、長期の鮮度を保証すると同時にエネルギー消費量を抑えることに成功した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、12月14日、ハイテク・センチュリー、12月8日、エルバ発表資料)

工業認証機関シリム、充電式電池試験センターを設立

【クアラルンプール】 工業製品の規格認証機関である政府系シリム(SIRIM、マレーシア標準工業研究所)は13日、国立充電式電池試験センター(NRBTC)の設立により、マレーシアにおける電気自動車(EV)業界のエコシステムが完成したと発表した。これにより需給の両方を刺激することで、EV業界のバリューチェーンが大幅に改善されるとしている。

EVのエコシステムは、EV 充電システムのパターン承認、バッテリーのテスト、EV コンポーネントとシステムの認証で構成される。NRBTCは、大型高出力充電式バッテリーに対する高品質かつ公平な第三者によるテストや検証を提供する。

発表式典に出席したテンク・ザフルル投資貿易産業相は、EVはマレーシアにおける重点分野だとした上で、「マレーシアにおけるバッテリーテストと関連サービスに注目した産業の発展において重要な役割を果たすだけでなく、 マレーシアを EVバッテリーメーカーにとって最適な拠点として位置づけるのにも貢献する」と述べた。

シリムのカイロル・アヌアル・モハマド・タウィ会長は、EVエコシステムで未来を推進することは、マレーシアで高付加価値の雇用機会を創出し、国内の連携を強化し、新規および既存の経済クラスターの発展、環境・社会・企業統治(ESG)の慣行強化に寄与することになると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月14日、マレー・メイル、ベルナマ通信、12月13日)

新型コロナ急増、ワクチン追加接種の指令を近く発出=保健相

【プトラジャヤ】 先の内閣改造で再入閣したズルキフリー・アハマド保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者数が急増していることを受け、脆弱なグループを対象にワクチン追加接種を促す新たな指令を近く発出する可能性があると述べた。

ズルキフリー氏は、2回目のワクチン接種率は54%に達しているが、3回目の追加接種の接種率は「かなり低い」と述べ、近く高齢者や基礎疾患を持つ人など高リスク者を対象にワクチン接種の指令を出す可能性があると述べた。

その上でズルキフリー氏は、期限が残っている有効なワクチンは十分な在庫があり、新型コロナウイルスの変異株から国民を守るのに追加接種は効果的だと強調。混雑した場所ではマスクを着用することを推奨するとし、もし感染検査で陽性反応が出た場合は5日間隔離するよう呼びかけた。

保健省に報告があった新規感染者数は、12月3ー9日の1週間で前週(11月26日ー12月2日)の6,796人から倍増となる1万2,757人となった。大部分が軽症で、入院の必要はないという。ただ年末からの祝祭日と学校の休みが重なることから、感染者の今後の増加が予想されている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、12月14日)

CIDB、東京の「建設DX展」でマレーシアのサービスを紹介

【クアラルンプール】 公共事業省傘下の建設産業開発局(CIDB)は14日、東京ビックサイトで13ー15日に開催される「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)展」にマレーシアの建設関連企業から15人の代表団が参加し、製品やサービスを紹介すると発表した。

CIDBの声明によると、展示会参加はマレーシアで導入可能な最新デジタル技術に触れることが目的。また、2025年の大阪万博参加に向け、日本におけるマレーシア企業の市場性やビジネスチャンスについても調査する。代表団のメンバーには、建設業者、技術・プロジェクト管理コンサルタント会社、建築情報モデリングの専門家、鉄橋業者が含まれているという。

CIDBは、代表団は、日本の政府機関や業界団体との間で数回の会談も行うとし、今回の活動は建設関連サービス輸出支援の一環だと述べた。

建設DX展は2021年より年1回実施されている建設業界向けの展示会。BIM(建物情報構築)、CIM(建設情報モデル化)、CAD(コンピュータ支援設計)、ICT建機(情報通信技術を取り入れた重機)、次世代足場、現場管理、工程管理システム、測量機器、業務効率化システム、建設ロボットなど、建設業のDX技術が出展されている。
(ベルナマ通信、12月14日)

ジェトロKL、マレーシア進出日系企業の実態調査結果を発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は15日、ジェトロが11月28日に公表した「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」結果からマレーシア含むASEAN(東南アジア諸国連合)6カ国(マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン)を抽出し、分析した結果を発表した。

ジェトロKL事務所によると、主要ポイントは6点。マレーシアはASEANで唯一、営業利益見込みが3年連続上昇した国となり、2023年度の見通しでは、改善(34.2%)と悪化(34.8%)が拮抗した。2024年は改善比率が上昇する見込みとなっている。

また、事業拡大を検討している企業は50.2%で、5年ぶりの5割超えとなった。拡大する機能として、販売のほか、高付加価値品生産や研究開発を挙げる割合が相対的に高くなった。マレーシアの投資環境上のメリットとしては、8割の企業が「言語・コミュニケーション上の障害の少なさ」を、次いで「駐在員の生活環境や安定した政治・社会情勢」を挙げた。一方、リスクは、人件費高騰、離職率の高さ、労働力不足・採用難など、人材関連に集中している。

人材不足に直面している企業はマレーシアでは63.5%と、ASEAN主要国で最も高くなった。専門職と工場作業員が特に不足している。対策としては、福利厚生の充実やコミュニケーション強化で、(削除)定着率上昇を図った例があり、生産ライン自動化への取り組み・関心度合いでもASEAN中首位に立った。
脱炭素への取り組みを行う企業は45.4%、実施予定も含むと80.5%となり、中小企業でも進展が見られた。人権問題を経営課題と認識する企業は85.7%に上り、ASEAN主要国で3年連続首位となった。

市場開拓では企業対企業(B2B)取引において、「現在のターゲットは進出日系企業だが、将来は地場企業となる」と回答した企業の割合が高くなった。一方、企業対個人(B2C)取引のターゲットは主に中間層だが、将来は富裕層を狙う企業の割合が増加し、両者は逆転する見込みとなっている。進出先における主な競争相手は日本企業で、市場開拓の課題としては、市場の小ささ、政府・産業界とのコネクション不足、多様な人種ゆえのマーケティングの難しさといったマレーシア特有の事情も挙げられている。