ペナンの人工島「シリコン島」、年間400エーカーを埋立

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、ペナン島南部における人工島造成計画「ペナン・サウス・アイランド(PSI)」プロジェクトにおける人工島シリコン島(旧A島、面積2,300エーカー)建設について、毎年400エーカー(161.87ヘクタール)のペースで埋め立てを実施する方針だ。

早ければ2026年にも最初の工場建設に着手する計画。シリコン島の埋め立て工事自体は2032年までに完了する予定だが、全体の開発には約25年かかる見通しだ。シリコン島ではハイテク工業団地グリーンテック・パーク(GTP)、 グローバル・ビジネス・サービスおよびソフトウェア・ハブ(GBSキャンパス)、商業開発、住宅と緑豊かなレクリエーションエリアが整備され、1.1兆リンギの州内総生産、747億リンギの投資、22万人の雇用機会を生み出すことが期待されている。

10日にPSIを視察訪問したチョウ・コンヨウ州首相は、10月初旬に作業が始まって以来、埋立用土砂7,000立方メートルの輸送能力を持つ2隻の船を使用して5エーカー(2.02ヘクタール)の区域が埋め立てられたと公表。2024年には輸送能力2万立方メートルの船を増強することで作業が加速されるとし、向こう8ー10年以内に土地部分が完成し、その後インフラ建設が開始できるとの期待を示した。

チョウ氏はまた、現在は船でしかアクセスできない建設現場へのアクセスを容易にする、ペナン国際空港の南とシリコン島を結ぶ仮橋の設置が最も重要なインフラ建設になると述べた。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、12月10日)

東海岸鉄道線の線路敷設が開始、2027年1月の開業目指す

【クアンタン=マレーシアBIZナビ】 東海岸鉄道線(ECRL、全長665キロメートル=㎞)の線路敷設工事が11日、パハン州クアンタン郊外のゲベンで開始された。2027年1月の開業を目指している。

式典にはアブドラ国王のほか、アンソニー・ローク運輸相、東海岸諸州の州首相、在マレーシア中国大使館の欧陽玉靖大使らが出席した。今後3ー4カ月かけて、ゲベンのクアンタン・ポート・シティ(KPC)からトレンガヌ州ドゥングンまでの94㎞の区間に線路を敷設する。これに続いて、KPCーテメルロー(パハン州)間、ドゥングンーコタバル(クランタン州)間、テメルローージャラン・カスタム(セランゴール州ポートクラン)間の順番で敷設を行う。

ECRL線路敷設に投入されるCCPG500A軌道敷設機は、長さ500メートルのロングレールを敷設。1日に500ー700メートルを敷設できる従来の方法に比べて、1日1.5kmから2.5kmの線路を敷設する事が可能だという。10月に中国から到着した最高時速100キロの特注ディーゼル機関車6両が資材搬送を行う。メインコントラクターである中国交通建設(CCCC)が、ECRLのエンジニアリング、調達、建設、および試運転を請け負う。

2017年8月に着工したECRLの総工費は502.7億リンギで、旅客列車は時速160㎞、貨物列車は時速80㎞で走行が可能。旅客駅10カ所、旅客・貨物両用駅10カ所が設置される。2027年1月の開業を目指している。

ペイネット、海外旅行者向けのQRコード決済アプリを発表

【クアラルンプール】 銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)は11日、海外からの旅行者を対象としたQRコード決済アプリ「MYツーリストペイ 」を発表した。

マレーシア国内で広く使われているQRコード決済「ドゥイットナウQR」は、国内銀行のみが対応しているため、これまでは海外からの旅行者は利用できなかった(QRコード決済の相互接続を行っている、タイ、インドネシア、シンガポールを除く)。「MYツーリストペイ 」では、マレーシアの銀行口座がなくても、国外発行のクレジットカード・デビットカードを登録するだけでドゥイットナウQR決済を利用できるようにした。なおアプリにはパスポート表記のフルネーム、電子メールアドレス、電話番号の入力も必要となっている。

ペイネットのファルハン・アフマド最高経営責任者(CEO)は、「MYツーリストペイ」 は、現金とQRコード決済のみを支払い方法として受け付けている農村部などで真価を発揮するとし、シームレスな決済方法を展開することで、旅行体験を向上させるだけでなく、地域経済にも大きく貢献できると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月12日、ローヤットドットネット、フィンテック・ニュース・マレーシア、12月11日)

JICA SATREPS、バイオマス会議でプロジェクトを紹介

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)マレーシア事務局は11日、12月6ー7日にプトラジャヤで開催された「国家バイオマス会議2023」 において、JICA SATREPS OPTプロジェクトがパネルによるプロジェクトの紹介、パームバイオマスを活用したプロジェクト成果品の展示を行ったと発表した。

SATREPS OPTプロジェクト(オイルパーム農園の持続的土地利用と再生を目指したオイルパーム古木への高付加価値化技術の開発)は、2019年にスタートした日本とマレーシアの2国間の国際共同研究プロジェクト。2025年までの6年間にわたりパームバイオマス、特にパーム古木(OPT)の有効利用に関する研究を実施し、それを社会実装することを最終ゴールとしている。同プロジェクトでは、OPTのみならず、パームヤシ空果房(EFB)や枝葉(OPF)、パーム実繊維(MCF)等を活用した燃料用ペレット、原材料用ペレット、その他各種製品の原材料となり得るファイバーサンプルをジョホール州クルアンにあるプロジェクトのパイロットプラントで開発、製造している。

2日間にわたり SATREPS OPTプロジェクトのブースには多くの来場者が訪問し、クルアンプラントで製造した各種バイオマスサンプルに興味を示すなど、バイオマス活用に対する関心の高さを窺い知ることができた。ブースを訪問したファディラ・ユソフ副首相兼農園一次産業相にも、バイオマスサンプルの紹介と同プロジェクト活動に関する説明を行った。引き続き、プロジェクトではバイオマス活用に関わる開発・研究に取り組み、マレーシアのバイオマス産業の活性化に貢献していく方針だ。

マレーシア、日本を医薬品簡略審査の対象国に指定

【クアラルンプール】 厚生労働省は8日、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)が11月16日付けで日本を医薬品簡略審査の対象国に指定したと明らかにした。今後は日本で承認された医薬品について、マレーシアでの審査が迅速に行われることになる。

NPRAが日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)を医薬品審査システムが確立している規制当局とみなしたことで、マレーシアにおける医薬品(新薬、ジェネリック医薬品、細胞・遺伝子治療製品を含む生物製剤)の登録審査において、PMDAの審査報告書を利用して簡略的な審査を実施できるようになる。

厚労省は、これにより企業が日本で承認された医薬品についてマレーシアで登録申請を行う場合、日本での承認から3年以内であれば、PMDAの審査報告書を提出することにより、通常245営業日となっていた審査機関が90営業日に短縮され、より早期にマレーシアでの販売が可能になると指摘。また日本で開発された医薬品へのアクセスが迅速化され、マレーシアの保健医療の質の向上に貢献することが期待されるとしている。

厚労省とPMDA、NPRAの三者は、これまで二国間会合やPMDAアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターにおけるセミナーなどを通じ、両当局の医薬品規制について相互に理解を深めるとともに、国際的な規制調和活動で協働してきた。

アンワル首相のマダニ経済政策、82%が支持=UUM世論調査

【クアラルンプール】 マレーシア北部大学(UUM)が実施したアンワル・イブラヒム首相の「マダニ経済対策」に関する世論調査で、回答者の82%が30項目にわたるマダニ経済イニシアチブを支持していることが分かった。

「マダニ経済への取り組み:国民の受け入れ」と題する調査は、UUMが2つの非政府組織と協力して11月1日から12月4日まで行ったもので、登録有権者2,147万3,409人から無作為に選ばれた4,606人から回答が得られた。マダニ経済政策の方向性についても、83%が「支持する」と回答。アンワル首相の業績についても66%が「満足している」と答えた。

マダニ政策の中では、特に貧困層を支援する取り組みが最も多くの支持を集めた。パディベラス・ナショナル(ベルナス)に対し貧しいコメ農家に総額6,000万リンギを支援させることについては、96%が「支持する」と回答。「支持しない」は2%のみだった。極貧撲滅のためのイニシアチブについても、93%が「支持する」と回答。すでに 「慈悲(ラーマ)」一時金支給を受けている極貧世帯への上乗せ支援についても、93%が「支持する」と答えた。

また透明性と責任ある経済政策を目指すための財政・財政責任法案の導入については、94%が「支持する」と回答。腐敗行為を生み出す可能性のあるあらゆる隙間を排除するための制度改革と優れた統治を実施する取り組みに対しては、93%が「支持する」と答えた。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、12月8日)

シェルマレーシア、24年末までにカフェを150店舗オープン

【クアラルンプール】 シェル・マレーシアは、2024年末までにサバ州やサラワク州を含むマレーシア全国で「シェルカフェ」計150店をオープンする計画だ。

カフェでは、アメリカーノやカプチーノ、ラテなどの定番コーヒーの他、季節や祝祭イベントに合わせた商品を提供する。全てのドリンクは訓練を受けたバリスタが淹れる。フードは、ナシレマなどのローカル料理の他、西洋料理やベジタリアン向け料理なども提供する。

シェル・モビリティ・マレーシアのゼネラルマネジャーであるセオ・リーミン氏は、今年は年末までにカフェを80店舗、2024年内に70店舗をオープンすることを計画していると明らかにした。事業拡大の計画はあるが、顧客ニーズ次第だとコメント。現時点では、まずガソリンスタンド内に「シェルカフェ」を出店することに注力するとし、ガソリンスタンド外でのオープンの可能性もあると述べた。
(ベルナマ通信、マレー・メイル、12月8日、ザ・スター電子版、11月30日)

SOCSOへのサイバー攻撃が発生も、実害はなく復旧済み

【クアラルンプール】 社会保障機構(SOCSO)は8日、同機構のシステムやデータベース、ウェブサイトが2日以降サイバー攻撃を受けていたと正式に発表した。ハッカー集団が別途「SOCSO登録の個人情報を入手した」と発表したことを受けてのもの。

SOCSOは、ICTチームがシステムをすでに復旧させたとし、加入者へのサービス提供に影響を及ぼすようなダメージは受けていないと説明。サイバー攻撃は、SOCSOのインフラを麻痺させることが目的だったがそれに失敗しており、ハッカー集団が入手したとされる個人情報も不完全で、実際の登録データとは異なる古いものだと述べた。9月にもサイバー攻撃を受けたが、被害が出る前に阻止したとしている。

ファーミ・ファジル通信デジタル相は、政府機関であるサイバーセキュリティ・マレーシア(CSM)、国家サイバーセキュリティ局、個人データ保護局が、SOCSOへの攻撃について詳細調査を行うとし、後日声明を発表する予定だと述べた。アンワル・イブラヒム首相も、政府はサイバーセキュリティを強化する取り組みを行っており、国家安全保障委員会(MKN)やマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が民間企業と協力し、サイバー攻撃を抑制していくと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、12月9日、マレー・メイル、ソヤチンチャウ、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、12月8日)

JCB、ソフトスペース等とCBDC決済の実証実験第2期を開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ジェーシービー(本社・東京都港区、JCB)は8日、マレーシアのフィンテック企業、ソフト・スペース(本社・クアラルンプール)およびアイデンティティ技術の世界的リーダー企業である仏アイデミア(本社・フランス パリ)と提携し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)向け決済ソリューションの実証実験「JCBDC」第2期を開始したと発表した。

オフライン環境下におけるCBDC送金(オフラインP2P送金)を主要テーマとしつつ、その実現に向けて、JCBが保有するタッチ決済インフラ等の活用、ならびに、協業パートナーが提供する先端テクノロジーの活用により、新たなソリューションの開発および実証を進めていく。三社は、共同で実証システムの構築を行い、2024年初よりパイロット実証を行う予定。今後登場が見込まれるCBDCが、利用者・取扱店舗双方にとって負荷なく、安全・安心に利用できることを目指し、課題解消に向けた取り組みを行っていく方針だ。

JCBは2022年1月、ソフト・スペースとの資本業務提携を発表。ソフト・スペースに対して約500万米ドルを出資し、マレーシアでのJCBカード発行および加盟店獲得業務に関するライセンスを付与していた。

米半導体大手のエヌビディア、YTLと協業でAIインフラ構築へ

【クアラルンプール】 半導体大手の米エヌビディアは8日、YTLグループと協業し、2024年半ばまでにマレーシアに人工知能(AI)インフラを構築すると明らかにした。同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)のマレーシア初訪問に合わせ、YTLが発表を行った。

AIインフラは、ジョホール州のYTLグリーン・データセンター・パークに設置される予定。YTLグリーン・データセンター・パークは、YTLパワーが開発した500メガワットの施設で、電力はすべて太陽光エネルギーで賄われる。YTLパワーの通信子会社YTLコミュニケーションズがAIインフラの管理を担当する。

YTLは声明で、全国の科学者、開発者、新興企業にグリーンでエネルギー効率に優れたAIインフラを提供するだけでなく、一般消費者向けにもAIを活用したアプリやサービスを提供していくと述べた。エヌビディアの高速な画像処理用演算プロセッサ(GPU)やAIエンタープライズ・ソフトウェアを導入し、マレー語の大規模言語モデル(LLM)を開発する計画もあるとしている。

フアンCEOは2日間のマレーシア滞在でアンワル・イブラヒム首相やテクノロジー業界関係者と会談を行った。なお、今月5日には日本を訪問し、日本に研究開発拠点を設置する意向を示している。10日にはベトナムも訪問し、ベトナム拠点の設立を目指すと発表した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月11日、ザ・スター、12月9日)