弱から中程度のエルニーニョ現象、6月以降に発生の見込み

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は7日、今月以降、弱から中程度のエルニーニョ現象が発生するという予想を発表した

ニック・ナズミ大臣によると、今月から弱いエルニーニョが発生し、11月には中程度の強さに発達し、6ー10月にかけて特にマレー半島南部の州、サラワク州西部、サバ州東部で降雨量が20ー40%減少すると予想されている。通常、南西モンスーン期には大気の状態が安定するため、ほとんどの地方で降雨量が少なくなるが、マレー半島西海岸とサバ州西部で、特に早朝に強風と雷を伴う大雨が発生する可能性があるとした。

また最高気温については、東南アジア諸国では、数日間にわたり気温が38度を超えるような熱波の発生は予想されていないが、平年よりも0.5ー1.0度程度気温が上がる可能性があるという。

なお、南西モンスーン期の終わりにあたる9月には、マレー半島では大部分の州において平均降雨量が100ー450ミリメートル(mm)、サラワク州では200ー350mm、サバ州とラブアンでは50ー250mm程度となると予想。10月はモンスーンの第2移行期、11月は北東モンスーン期に入ると予想されるため、より多くの降雨が予想されるとした。
(ザ・スター電子版、エッジ、ロイター、6月7日)

 

エアアジア、ペナンー香港直行便を8月に再開

【ジョージタウン】 エアアジアは7日、8月10日付けでペナンー香港間の直行便を再開すると発表した。同社のペナン発着国際直行便としてはシンガポール、ホーチミン、ジャカルタ、バンコク、メダン、スラバヤに次いで7路線目となる。

火・木・土曜日の週3便を運航する。ペナン発香港行き「AK2281」便はペナン発が6時30分、香港着が10時30分。香港発ペナン行き「AK2280」便は香港発が11時10分、ペナン着が14時55分。使用機材はエアバス「A320」型機。

就航再開を記念して、8月10日から2024年10月26日までの便の予約について、片道運賃が燃油サーチャージ、税込みでエコノミークラスで299リンギからとなるキャンペーンを実施する。

ペナン州観光クリエイティブ経済委員会のヨー・スーンヒン議長(国政の閣僚に相当)は、エアアジアによる香港への週3便の再開は、ペナンの観光地としての地位を強化しペナン島の魅力向上に大きく貢献するとコメント。香港は香港・マカオ・広東省を結ぶ粤港澳大湾区(グレーターベイエリア、GBA)の一角を占め、中国政府が統合的な経済・ビジネス拠点を構築する計画を示しているため、ペナンがGBAとつながることで観光や州経済の成長を促進できるとし、民間セクターとの強力な協力関係を築き、革新的なマーケティング戦略やインフラ整備に投資することで観光客数の増加や滞在時間の延長が見込め、旅行体験も向上させられると述べた。観光客の増加はホスピタリティ、飲食、小売、輸送などの部門にも影響を与え、雇用の創出や州全体の繁栄に貢献するとしている。
(ザ・サン、6月8日、ベルナマ通信、6月7日、エアアジア発表資料)

5Gの人口カバー率62.1%に上昇=通信デジタル相

【クアラルンプール】 ファーミ・ファジル通信デジタル相は、第5世代移動通信(5G)ネットワークについて、5月31日時点の人口集中地区(COPA)における人口カバー率が62.1%となり、年末までに80%を達成できる見込みだと明らかにした。

5Gの人口カバー率は4月末の59.5%から2.6%拡大し、基地局数は5,058基となった。

ファーミ大臣は、5Gネットワークの基盤整備を実施する国営企業デジタル・ナショナル(DNB)が掲げている「2023年末までに人口集中地区における5Gカバー率を80%とする」という目標の達成に向けて順調に進んでいると言明。現在の進捗ペースに満足しているとし、マレー半島部だけではなく、サバ州やサラワク州においてもカバー率拡大を加速させたいとした。

今年第1四半期には、80億リンギを投じて実施する「国家デジタル・ネットワーク計画(JENDELA)第2期(2023ー2025年)」がスタートした。人口の3%に当たる内陸部と遠隔地への5G提供エリア拡大、2025年までに900万戸での光ファイバー・インターネット接続、モバイル・ブロードバンドの速度を100メガビット/秒(Mbps)に引き上げることを目標に掲げている。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月8日)

デロイト、KLに東南アジア地域能力センターを開設

【クアラルンプール】 会計監査法人デロイト・マレーシアは7日、クアラルンプールに東南アジア地域能力センター(RCC)を開設した。

RCCは、デロイトの5事業(監査・保証、コンサルティング、ファイナンシャル・アドバイス、リスク・アドバイス、税務・法務)において、東南アジアやアジア太平洋地域を中心に包括的サービスを提供することを目的としている。従来の監査・税務の専門知識に加え、データサイエンスやデータ分析、フォレンジック調査、サプライチェーン管理、デジタル変革、サイバーセキュリティ、クラウドコンピューティングなどといった、インダストリー4.0(IR4.0)に不可欠なスキルを有する人材を育成する。RCCは現在600人の専門家を擁しているが、年内に1,000人、今後3ー5年内に3,000人まで人員を増強する方針だ。

イー・ウィンペン最高経営責任者(CEO)は、東南アジアRCCの設立は、「地元の知識労働者に高価値な雇用機会を創出する」というデロイトの取り組みを強化するものだとし、世界レベルの専門サービスを国際的に輸出できる高度なスキルを持った労働力の育成につながることを期待していると述べた。RCCを通じて「2028年までにマレーシアを高所得国にする」という政府目標を支援していくとしている。

マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)のマハディール・アジズ最高責任者(CEO)は、デロイトの東南アジアRCCの設立は、マレーシアが高価値投資に最適な国であることを示し、また、MDECが掲げる「マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)のデジタル拠点にする」という目標の達成を後押しするものだとコメント。マレーシアの強固なエコシステム、デジタル人材、世界クラスのインフラなどが評価されたと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月8日、エッジ、6月7日)

三菱重工とTNB、技術調査や情報交換を実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三菱重工(本社・東京都千代田区)は7日、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の子会社であるTNBパワー・ジェネレーションとの間で、クリーンエネルギー技術に関する調査と情報交換を行う覚書(MOU)に調印したと発表した。このMOUは、マレーシアのエネルギー転換を促進し、2050年までのカーボンニュートラル達成という同国の目標を支持するものとなる。

同MOUにより、三菱重工はTNBパワー・ジェネレーション社と、クリーン発電に関する3つの重点分野である「水素の製造・輸送・貯蔵および関連インフラを含む水素とアンモニアのバリューチェーン構築」「火力発電所におけるカーボンフリー燃料の専焼・混焼技術」「二酸化炭素(CO2)回収」に関する共同調査を行う。またマレーシアにおけるクリーン発電の推進をはじめとする特定分野に関する経験や技術的ノウハウ、情報などを共有する。

今回の協業は、マレーシア国内でTNBパワー・ジェネレーション社が計画する、水素対応技術を備えた高効率ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)を導入する技術的実現可能性の検討から始まる。これは、両社双方の技術的な専門知識を活用し、持続可能なエネルギーソリューションの展開を図る上での先駆的なプロジェクトとなるという。

三菱重工は今後も、世界の電力業界全体のニーズである低・脱炭素化および性能向上に向けた提案に努め、電力の安定供給と環境負荷の低減に貢献していく方針だ。

 

フェイスブック使ったオンライン詐欺、約5カ月で744件

【クアラルンプール】 今年1月から5月25日までに、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が受け取ったフェイスブックを使ったオンライン詐欺の被害報告は合計で744件となった。テオ・ニーチン副通信デジタル相が明らかにした。

被害報告はフェイスブックの他、テレグラムによるものが17件、ワッツアップによるものが16件、インスタグラムによるものが7件、電子メールによるものが1件寄せられた。

テオ副大臣は、多くの被害が寄せられていることは政府とソーシャル・メディア・プラットフォーム提供会社が協力する必要性があることを示しており、両者の協力によりこうした事件に即時対応できるようになると言明プラットフォーム提供会社にもそれぞれのガイドラインが存在していることは承知しているが、 ティックトックやフェイスブック、グーグルなどと話し合って違法な行為に可能な限り早く措置を講じる必要があり、全ての関係者の協力が必要であると説明した。

またテオ副大臣は、ソーシャル・メディア・プラットフォーム上での人種、宗教差別的な発言について、アハマド・ザヒド副首相が先ごろMCMCに監視を指示したとした上で、1998年通信マルチメディア法第233条の下で罰せられる可能性があると警告した。
(マレー・メイル、6月4日)

第1四半期の業績、44.6%の企業が予想を下回る=アナリスト

【クアラルンプール】 2023年第1四半期のマレーシア企業の業績は低調で、44.6%の企業が予想を下回る結果となった。

RHBリサーチのリポートによると、トップラインの伸び悩みやコスト圧迫による営業レバレッジの低下、利幅の縮小が影響した。農園、石油・ガス(O&G)、ゴム製品、電気通信などの9部門が予想を下回り、2023年度業績は現時点で3.8%減少している。ビジネス環境は引き続き厳しい状況が続き、投資家心理も6州でまもなく行われる州議会選挙が終わるまで慎重な状態が続くと予想されている。州議会選挙の結果が連邦政府の財政改革に影響を及ぼす可能性が高いため、市場は選挙結果を注意深く見守っている状態だという。

パブリック・インベストメント・バンク・リサーチも同意見で、農園、ゲーム、メディア、電子機器受託製造(EMS)、手袋などの部門で取引額の減少や想定外のコスト増が発生したため、業績不振に陥っていると述べた。今後についても、世界経済が危機的状況にあるため景気後退に陥る危険性が高いとしこういった不透明なマクロ環境をうまく乗り切ることができるかどうかが国内企業の業績回復に大きく影響するとしている。
(マレーシアン・リザーブ、6月6日)

家電販売のフィアンマ、香港家電を国内やシンガポールで販売へ

【クアラルンプール】 家電販売のフィアンマ・ホールディングスは、香港企業モデナ・グローバルとの間で、マレーシアとシンガポールにおけるモデナの家電製品の輸入販売に向けた覚書(MoU)を締結した。

フィアンマが6日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、モデナは、冷却、調理、清掃用機器、再生可能エネルギーシステム、電気自動車(EV)用バッテリー、電動スクーターなどの製造企業。モデナは、フィアンマ製品の相手先ブランド生産(OEM)も検討する。

MoUに基づき、両社は協力関係および製品品質、生産効率向上につき協議する。MoUの有効期限は1年で、さらに1年の更新が可能となっている。
(エッジ、6月6日、フィアンマ発表資料)

補助金削減は高所得層にのみに影響=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は6日の下院質疑で、現在検討されている補助金の削減は上位20%の高所得層(T20)に対してのみ影響すると述べた。

アンワル首相は、リンギ下落に伴う問題の解決に向け政府は補助金削減を検討しているが、電力補助金などは、大きな家を所有するT20世帯にしか影響を与えないため、90%の国民は影響を受けないと述べた。中小企業や食品産業に対する電気料金の値上げも行わないとしている。

T20に対する巡礼資金援助の廃止についても、大多数の国民には関係がなく、すでに大金持ちであれば巡礼資金は自力で賄えるので補助金の必要はないとし、不満を口にする人には断固とした姿勢で臨むと述べた。

アンワル首相は5月にT20に対する電力補助金や巡礼資金援助の廃止を検討していると発表。また、年内に完成予定の世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」の導入を通じて所得階層に応じて補助金の配分を調整すると述べた
(エッジ、ベルナマ通信、6月6日)

日本の大手総合商社3社、マレーシアとの貿易拡大へ

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は、日本の総合商社がマレーシアとの貿易額を4億5,800万米ドルまで拡大することを確約したと明らかにした。

MATRADEによると、テンク・ザフルル投資貿易産業相率いる貿易・投資促進使節団が5月29日ー6月2日に訪日し、伊藤忠商事、住友商事、三井物産などと会談。エネルギーや持続可能なグリーン製品、パーム油、木材製品、化学製品、日用消費財(FMCG)、ハラル(イスラムの戒律に則った)製品、ヘルスケアサービス、デジタルサービスなどについて、マレーシアからの輸入を拡大することに合意したという。

MATRADEはまた、日本貿易振興機構(ジェトロ)との間での協力覚書(MoC)について、来年4月まで1年延長することで合意したと発表。両機関はハラル、情報通信技術(ICT)、電子商取引関連の貿易の促進や相互理解・友好の深化、両国の貿易発展への寄与を目的としたMoCを2021年から締結している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月7日)