マレーシアの超富裕層人口、昨年は9.4%増=ナイトフランク

【クアラルンプール 】 不動産コンサルの英ナイト・フランクが発表した「ウェルス・リポート2023」によると、2022年のマレーシアの超富裕層人口は721人で、前年(659人)から9.4%増加し、世界44カ国・地域で6番目に高い増加率となった。

世界全体の超富裕層の人口は2021年に前年比9.3%増加したが、昨年は3.8%減少し57万9,625人となった。アジア地域でも、6.5%マイナスの15万362人となった。ナイト・フランクは、3,000米ドル(1億3,900万リンギ)以上の純資産を保有する人を超富裕層と定義している。

マレーシア以外のアジア地域では、インドネシアとシンガポールが、それぞれ9.0%(富裕層人口556人)、6.9%(同4,498人)増加したが、日本や中国、台湾、韓国、香港、フィリピン、タイ、ベトナムでは減少した。

ナイト・フランクの不動産仲介会社ナイト・フランク・プロパティー・ハブのドミニク・ヒートン・ワトソン氏は、マレーシアの超富裕層は今後、医療、物流、テクノロジー、ホスピタリティ、金融、不動産など多様な分野に投資するとの予想を示した。
(マレー・メイル、5月30日)

配車サービスのグラブ、相乗りサービスを再度導入

【クアラルンプール】 配車サービス大手のグラブは、5月29日付けで、首都圏で相乗りサービス「ジャストセーブ」を開始したと発表した。

グラブは2016年に「グラブヒッチ」、2017年に「グラブシェア」という名称で相乗りサービスを提供していたが、今回はそれらの改良版となる。乗客1人の場合のみ相乗りが予約でき、相乗り定員は2人。乗客はそれぞれ運賃を最大20%節約でき、運転手も1回の乗車で2人から支払いを受けることができる。ルートや相乗り客は事前に固定されるので、乗車後に予期せぬ遠回りが発生することはない。

現時点での相乗り利用可能地域は、▽KLCC▽ミッドバレー▽セントラル・ブリックフィールズ▽ワンウタマ周辺ーー。利用可能時間帯は、午後2時から午後9時59分まで。

相乗り客が見つからなかった場合には、通常の配車サービス「ジャストグラブ」の方を利用することになるが、若干の割引(現時点では1リンギ)を受けられる。また、相乗り客のうちひとりが乗車後にキャンセルした場合には、キャンセル料3リンギが必要となるが、もうひとりの予約は影響を受けず、目的地まで運行が継続するという。
(テックインアジア、バルカンポスト、5月30日、グラブ発表資料)

三菱モーターズ、公式中古車プログラムを開始

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は、公式中古車プログラム「マックス・サーティファイド」を開始した。全国の三菱ディーラー店舗で中古三菱車の売買を行う。

MMMによると、公式中古車はすべて、車齢7年以下で下取り時の走行距離が18万キロメートル以下のもの。純正部品を使用し、公式サービスセンターでの整備記録も完備。大事故や水没の記録がなく、専門技術者による150項目の検査を受けている。エンジン、トランスミッション、ステアリング、電気部品の機械的故障の修理・交換をカバーする1年保証や定期点検時にMMMの公認サービスセンターで利用可能な500リンギのクーポンが付属する。

池田真也 最高経営責任者(CEO)は、「マックス・サーティファイド」は中古車市場における三菱ブランドの強化や残存価値の構築に加え、既存顧客との関係性向上や再購入を目指すものだとし、より総合的なサービスを提供したいと考えていると述べた。MMMは引き続き新型モデルを導入していくが、中古車購入に興味を持つ人々に対しても、より身近で信頼できる購入機会を提供するとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月1日、エッジ、ベルナマ通信、5月31日)

パナソニック製造、シャアラムで製造部門2カ所を閉鎖

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 パナソニック ・マニュファクチャリング・マレーシア(PMMA)は1日、合理化と事業再編を3月31日までに完了したと発表した。セランゴール州シャアラム1(SA1)工場の2つの製造部門を閉鎖した。ただしマレーシアでの操業は今後も続けていくとしている。

PMMAはブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明の中で、ますます複雑化する環境下で事業を行うにあたり、事業効率を最大化し、会社を持続的に成長させるために、どのように適応し、舵取りするのが最善かを常に検討してきたとした上で、従業員に関するあらゆる決定は、最大限の配慮と熟慮のもとに行われると述べた。また、閉鎖された2部門以外には影響は及ぼさないとしている。

PMMAによると、閉鎖された2部門の一部の従業員には相互退職スキーム(MSS)の選択肢が与えられ、かなりの割合が受け入れた。MSSを選択しなかった残りの従業員については、人事部がPMMA内の他部署への異動を提案したという。

ゲオ、「セカンドストリート」をセランゴール州にオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ゲオホールディングス(本社・愛知県名古屋市)は3日、総合リユースショップ「セカンドストリート」をセランゴール州ペタリンジャヤのタマン・デサ・メンタリにオープンする。

同社が5月30日に発表した声明によると、店舗名は「セカンドストリート・デサ・メンタリ」で、衣料品やバッグ・靴・アクセサリーなどの服飾雑貨、生活雑貨・家具・家電・趣味用品・スポーツ用品・キッズ用品など、生活に関わるあらゆる商品の買取・販売を行う。売り場坪数は120坪で、営業時間は10時ー22時となる。

ゲオホールディングスは、2018年6月に「セカンドストリート」のマレーシア1号店をオープン。今回の新店舗開設により、マレーシア国内で直営する店舗数は13店舗となる。

同社はマレーシア以外にも2018年1月に米国、2020年8月に台湾にそれぞれ1号店を出店。現在は、米国で25店舗、台湾で20店舗を運営している。

6月にエルニーニョ現象発生の見通し、ヘイズ悪化の可能性

【クアラルンプール】 気象専門家らは、東南アジアでは6月にもエルニーニョ現象が発生し、マレーシアなどでは乾燥した気候が続き、ヘイズ(煙害)が悪化する可能性があると予想している。

マレーシア国民大学(UKM)の地球科学・環境学部のモハマド・シャフルル准教授は、エルニーニョ現象について、マレーシアを含む東南アジアに少雨と乾燥気候をもたらすとして、森林や開墾地で火災が発生しやすくなると指摘。またエルニーニョ現象は乾季を長期化させる可能性もあるため、さらに火災発生の恐れが高まるとした。

シャフルル准教授によると、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、年末に向けて強いエルニーニョ現象が発生する可能性を示している。また、気候科学者らは気候変動とエルニーニョ現象の再来により、マレーシアでは今年もしくは来年に、平均気温の最高記録を更新することを予想しているという。

エルニーニョ現象は2015年までに12回マレーシアを襲った。これまで最も影響を受けたのは1997ー1998年で、ペラ州において最高気温が40.1度を記録した。
(ザ・サン、5月31日、アジアワン、ザ・スター電子版、5月30日)

天然資源省、水道料金の見直しについて検討

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は5月30日、水道料金の見直しを検討していると明らかにした。

水道会社アイル・セランゴールが実施する「ラサウ給水計画」の開始式典に参加したニック・ナズミ大臣は、水道事業者の財政的持続可能性が水道サービスの質に影響するとし、一部の州では20年以上料金体系が見直されていないことから、天然資源環境気候変動省が見直しを図っていると述べた。貧困層の負担増にならない形での値上げを検討しているという。

同じく式典に参加したセランゴール州のアミルディン・シャリ首相は、セランゴールにおける無収水率(NRW、漏水や盗水の割合を示す指標)は、パイプ交換や漏水対策、水処理施設の運用効率化により、2016年の36%から現在は27.8%まで減少し、2025年までに25%にすることを目標にしていると言明。セランゴールでは、2016年から全長3万キロメートル(km)のパイプ交換に取り組んでおり、コスト面への配慮から毎年計画的に150kmずつ交換作業を行っていると述べた。

ラサウ給水計画は、既存のスズ採掘池9カ所(489ヘクタール)を水源にするもので、スンガイ・ラサウ浄水場やクラン川を新たな原水供給源とする配水システムも建設し、水源確保と洪水軽減の両立を目指す。第1期は2025年に完工、第2期は2027年から開始し、工期3年を予定している。総工費は55.4億リンギ。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月31日、マレー・メイル、5月30日)

マレーシア味の素、23年3月期通年決算は増収減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア味の素は、2023年3月期通年(2022年4月ー2023年3月)の決算を発表した。売り上げは前年比24.6%増の6億375万リンギ、純利益は61.8%増の2,749万リンギだった。

第4四半期(2023年1ー3月期)の売り上げは前年同期比26.0%増の1億5,792万リンギ。純利益は2,310万リンギで、前年同期の1,742万リンギの赤字から黒字化した。

「味の素」の販売量増加と、国内・輸出市場における販売価格の改定により、コンシュマー事業部門の売り上げが34.4%増加したこと、業務用調味料の販売価格改定に伴い、工業事業部門の売り上げが3.8%増加したことがそれぞれ貢献した。また営業利益も、販売量の増加と原材料価格の低下により前年同期から2.5倍の1,060万リンギとなった。

今後の見通しについてマレーシア味の素は、コスト上昇圧力や高金利、インフレが家計を圧迫し、購買力に影響を及ぼすと予想。今後もサプライチェーンを引き続き監視し、消費者の期待や満足に応えるためのマーケティングや商品流通を行い、マーケットシェア拡大を目指すと同時にコストの管理も継続していくとした。

パナソニック製造、1ー3月期は53.4%の減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは5月30日、同社第4四半期(2023年1ー3月)の純利益が前年同期比53.4%マイナスの735万リンギとなったと発表した。減収、営業・光熱費の増加、関連会社からの利益分配減少などが影響した。

売上高も炊飯器製造事業、キッチン家電製造事業からの撤退に伴い減少し、前年同期から6.34%減の1億9,553万リンギにとどまった。ベトナム市場において掃除機や家庭用シャワー製品の需要が低迷したものの、2021年12月の洪水の影響を脱し、2022年3月に生産が正常化したことで、扇風機製品の売上が増加した。
2023年度通期での純利益は前年度から55.56%増の8,013万リンギ。 売上高は14.14%増の9億9,163万リンギとなった。

同社は今後、新製品開発への取り組みを強化するとともに事業撤退に伴う売上減少に対処していくとし、生産性・効率性向上を目指し、製造設備における技術活用を進め、コスト削減策を実施しているとした。来期に向け、機動的かつ弾力的に課題に取り組んでいくという。

ペナン軽便鉄道、北の終点をタンジョンブンガに延伸へ

【ジョージタウン】 アンソニー・ローク運輸相は、ペナン島で計画されている軽便鉄道(LRT)計画第1期について、北の終点を現計画のコムターからさらに北部のタンジョン・ブンガまで延伸する方向で検討する考えを示した。バヤンレパスLRT(BLLRT)計画は当初ペナン州政府が単独で進めていたが、先ごろ連邦政府が追加資金提供を約束していた。

LRTプロジェクト視察のためにペナンを訪問したローク運輸相は予定されていた3島の人工島建設計画が1島に縮小されたことから、これに応じてLRT計画も見直す必要があると指摘。人工島に建設予定だった車両基地を既存の土地に建設することで連邦政府と州政府が同意したとして、予定より早く工事が進む可能性があると述べた。また車両基地の立地が決まれば年内にも第1期工事の入札が行われる予定だとし、推進母体である政府系MRTコープがコムター止まりではなくタンジョン・ブンガまで延伸する方が望ましいと考えていると述べた。

ペナンLRTの建設費用について、MRTコープは社債発行を計画している。第2期ではペナン海峡を越えてバターワース、ケパラ・バタスまでの延伸が計画されている。
(ザ・スター、5月31日、エッジ、5月30日)