外国人卒業生向け1年間の滞在パス、手数料は450リンギ

【クアラルンプール】 マレーシアの大学を修了した外国人卒業生を対象に交付される1年間の長期社会訪問(LTSV)パスについて、マレーシア出入国管理局は、申請手数料450リンギを支払う必要があると明らかにした。扶養家族がいる場合には、1人当たり450リンギを支払う必要がある。

LTSVパスの交付は、サイフディン・ナスティオン・イスマイル内務相が11月27日に明らかにしたもので、対象期間は2023年12月1日から2026年12月31日。日本を含めたリスクの低い23カ国からの留学生が対象で、卒業後最長1年間、さらなる学業や旅行のためマレーシアに滞在できるようになる。特定のセクターでのパートタイム労働も可能となる。延長は認めない。

LTSVパスの申請には、▽高等教育機関が発行する修了証明書▽申請時点で有効な学生証▽有効期間が少なくとも18カ月残っている旅券▽12カ月間有効な健康保険契約▽少なくとも1,500リンギの収入を持つマレーシア人のスポンサーからの「個人保証」ーーの5つを所有するという条件を満たす必要がある。年齢制限はない。
(マレー・メイル、12月2日)

インターネット接続のIIJ、現地SI企業PTCを完全子会社化

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 インターネット接続サービスのインターネットイニシアティブ(本社・東京都千代田区、IIJ)は、1日付けで、マレーシアでシステムインテグレーション(SI)事業を営むPTCシステムズ(PTCマレーシア)の全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。

IIJの声明によると、PTCマレーシアは、同社が2021年4月に買収したPTCシステム(S)(PTCシンガポール)の創業者が設立した企業。小規模企業ながらも、マレーシアにおいてストレージサーバ関連のシステム構築を中心とする高品質なソリューションを提供し、グローバル企業や地場大手企業をはじめとする優良な顧客基盤やIT機器ベンダーとの良好な関係性を構築している。

IIJグループは、欧米に加えアジアを中心とする海外拠点の拡充等により国際事業展開を進めているが、PTCマレーシアの子会社化により、現地ビジネス経験が豊富な経営人材の獲得、ローカル顧客へのアクセス、営業拠点の確保などマレーシアにおける事業基盤を獲得することができ、IIJグループのグローバル化の推進に資すると考え、子会社化に至った。

今後、PTCマレーシアは、IIJグループの幅広いネットワークソリューションや日系企業を中心とする顧客基盤も活かして業容拡大を図りつつ、グループ各社と連携し、主としてマレーシアにおけるIIJグループの国際事業展開を担っていく方針だ。

JFE商事、合金鉄のOMホールディングスの株式取得へ

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 鉄鋼製品・原料の輸出入などに携わるJFE 商事(本社・東京都千代田区)は1日、サラワク州で合金鉄製造に携わるOMホールディングス(本社・シンガポール、OMH)の株式を取得すると発表した。

OMHがオーストラリア証券取引所にて新たに発行する株式約 2,760万株(新株発行後発行済株式総数の約 3.61%)を取得する。

OMHは子会社を通じてマンガン合金鉄やフェロシリコンなどの合金鉄製造・販売を手掛ける世界有数の合金鉄供給業者。アジア圏最大規模の生産能力を有する、同社主力のマレーシア・サラワク州における合金鉄製造子会社OMマテリアルズ(サラワク)(OMサラワク)では、水力発電による再生可能エネルギーを利用したグリーン合金鉄を製造しており、今後さらなる生産能力拡張や生産品目の拡大も検討している。

アジア各国での鉄鋼生産拡大に伴い合金鉄需要は引き続き拡大が見込まれる。また、近年の脱炭素に向けた流れにより、需要家による合金鉄生産者の選別も進んでいくことが想定される。JFE商事は、長年の合金鉄取引を通じ戦略的パートナーとしてOMグループとの関係を構築してきたが、今回の新株取得を通じ、JFEグループ並びに国内外需要家への安定供給体制の更なる強化、および新規開拓に取り組んでいく方針だ。

岩谷産業、マレーシアの冷媒ガス関連会社2社を買収

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 岩谷産業(本社・大阪・東京)は11月30日、マレーシアの全額出資子会社のマレーシア岩谷が、マレーシアにおいて冷媒の輸入、充填、販売を手掛けるウェステック・ケミカルズおよびISOキミアを買収したと発表した。東南アジアにおける冷媒事業の拡大を目指す。

冷媒ガスの中でも、フロンは地球温暖化係数(GWP)が高いガスを多く含んでいる。国際的な規制によりマレーシアでは2020ー2022年の輸入実績にもとづき、2024年よりGWP値に換算した輸入枠が付与されるなど規制措置が講じられていくことが決定している。

マレーシア岩谷では、2社の買収によりフロンの輸入枠を確保するとともに、GWP 値が高い冷媒から低い冷媒への切り替えや、マレーシア国内で初となる、使用済みフロンの回収・再生事業を行うなど、地球環境にも配慮した事業を展開していく。

岩谷産業によると、冷媒はエアコンや自動車の普及拡大に伴い全世界で需要が増加しており、特に東南アジアでは人口増加・経済成長により大きな市場拡大が予想されている。マレーシアは冷媒の主要消費国となっており、岩谷産業は今回の2社買収を契機に、将来的には東南アジア各国への冷媒輸出などさらなる事業拡大、および収益力強化を図っていく。

外国人に入国前のMDAC登録を義務づけ=出入国管理局 

【クアラルンプール】 出入国管理局は1日、マレーシアに入国する全外国人を対象に、マレーシア・デジタル入国カード(MDAC)の事前登録を義務づけると発表した。

MDACの登録が可能となるのは入国予定日の3日前からで、出入国管理局のウェブサイトからMDACフォーム(https://imigresen-online.imi.gov.my/mdac/main)に氏名とパスポート番号、到着日や出発日、連絡先などを登録する。入国者は到着時にパスポートとMDACの両方を入国審査官に提示しなければならない。マレーシア永住権保持者やマレーシア自動審査システム(MACS)登録者は、事前登録が不要となる。

出入国管理局はまた、▽日本▽オーストラリア▽ブルネイ▽ドイツ▽韓国▽ニュージーランド▽サウジアラビア▽シンガポール▽米国▽英国ーーの10カ国からの旅行者は、MDACの事前登録を条件として、クアラルンプール国際空港 (KLIA) のターミナル1またはターミナル2で出入国時に自動化ゲートを利用できるとしている(初入国の際は有人カウンターでの手続きが必要)。

2日にインドから入国した旅行者は、MDACの事前登録を済ませていたため、スムーズに入国が可能だったと述べた。インバウンド観光連盟のウザイディ・ウダニス会長も、現状、会員企業からMDACに関する混乱の報告は受けていないとし、旅行代理店を通じてマレーシアを訪れる観光客は、入国手続きに関するアドバイスも受けられるため、入国時に問題に直面することはないとしている。

(ザ・スター、12月4日、マレー・メイル、12月2日、出入国管理局発表資料)

リユース店「ジャランジャランジャパン」マレーシア11号店開業

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ブックオフ・グループのリユース店舗「ジャラン・ジャラン・ジャパン(JJJ)」マレーシア11号店が11月30日、セランゴール州クランの「イオンモール・ブキラジャ店」内にオープンした。これによりブックオフ・グループの海外店舗数は29店舗になった。

現地の合弁会社、BOKマーケティングが運営を手掛けるもので、売場面積は約500坪。アパレル、生活雑貨、ベビー用品、おもちゃ、ホビー、スポーツ用品、楽器、家具、アクセサリー、着物など、すべて日本で使用された中古品を約20万点を陳列する。

JJJは2016年の1号店オープン以来、出店はローカルのショッピングモールが中心で、イオンモール内への出店は今回が初めて。ブックオフは声明の中で、集客力の高いイオンモール内への出店によりJJJの「Used in Japan」の提供価値がより高まるとともに、日本文化の発信場所として相乗効果も期待できるとしている。

ブックオフ・グループは、今年度に発表した新たな中期経営方針の中で海外事業を「成長期待事業」に位置付けており、10年後の目標「米国ブックオフ事業で100店舗」、「JJJ事業で世界100店舗」に向けて積極的な出店を進めている。

マネジメント&サイエンス大学、日系3社と協力覚書を締結

【シャアラム】 セランゴール州シャアラムのマネジメント&サイエンス大学(MSU)で11月27日、「マレーシア・日本デジタルトランスフォーメーション(DX)・イノベーション・セミナー2023」が開催され、その場で日系企業3社との協力覚書が締結された。

セミナーでは、「マレーシアと日本におけるDXとイノベーション」と題し、ソニーEMCSマレーシアの今井浩社長や科学技術革新省(MOSTI)傘下のマレーシア・マイクロエレクトロニクス・システム研究所(MIMOS)の技術管理責任者であるハナフィア・ユソフ氏、マレーシア製造業者連盟(FMM)のセランゴール・クアラルンプール代表であるエイアン・ユートラン氏、MSUのアブドル・ジャリル・ガザリ上級副学長(産業連携・起業家教育担当)が講演を行った。ファーミ・ファジル通信デジタル相や在マレーシア日本大使館の髙橋克彦大使も参加した。

セミナーの場では、MSUとマレーシア三井物産、ソニーEMCSマレーシア、サイボウズ(本社・東京都中央区)マレーシア現地法人であるキントーン東南アジアとの間で協力覚書が締結された。

ファーミ大臣はMSUと日本企業の協力により相乗効果が生まれ、知識やイノベーション、デジタル変革の進展が期待できると言明。MSUはDX技術の研究開発や商業化をより促進できると述べた。
(ザ・サン、12月1日)

パナソニックホームズの現地法人、1200戸のマンション竣工

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 建設のパナソニックホームズ(本社・大阪府豊中市)は11月30日、マレーシア現地子会社が現地パートナー企業と設立した建築請負事業会社であるパナソニックホームズMKHマレーシアが担当するマンション「NEXUS(ネクサス)」が竣工したと発表した。

「ネクサス」は、3ブロックから構成される合計1,202戸の高層マンションで、2019年10月よりセランゴール州カジャンで建設が進められてきた。ブロックA・Bが31階建て、ブロックCが32階建てとなっている。12月中に施主への引き渡しを行う予定。

同じく現地子会社が現地デベロッパーと分譲開発を目的に設立したMKHプロパティベンチャーズを売主とした分譲マンション「未来レジデンス」(全1,496戸)も2024年4月に竣工し、同年10月に引き渡しを予定している。同案件の建築は、「ネクサス」と同様、パナソニックホームズMKHマレーシアが担当している。

パナソニックホームズは、2012年にマレーシアでの住宅事業を開始して以来、戸建住宅(全1,444戸)の建築請負を中心に住宅供給を進めてきた。また、同社初となる「セントゥル」マンション(500戸)の建築請負以降、1,000戸超のマンション2棟を次々と竣工しており、マレーシアにおける戸建住宅・マンションの供給総戸数は約5,000戸に達する見込みだ。

多拠点居住のアドレス、マレーシアなど海外30カ国に展開へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 多拠点の住居を定額で利用できるサービス「ADDress(アドレス)」を運営するアドレス(本社・東京都千代田区)は11月30日、同サービスをマレーシアをはじめとする海外30カ国で展開すると発表した。

アドレスは同日東京・ミッドタウン八重洲で開催された創業5周年イベントで、海外在住の日本人とつくるローカル体験を提供する「LOCOTABI(ロコタビ)」(本社・東京都千代田区)と提携し、海外在住の日本人が住む家(空き部屋)を会員に提供する計画を明らかにした。オーナーでもあり家守でもある現地在住の日本人の家に滞在できるので、初めて訪れる国でも安心して過ごすことができる。来春に向けて拠点開発の準備段階にあるが、2023年11月時点でマレーシアや米国、英国、イタリア、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、フィリピンなど海外30カ国での提供を予定しているとした。

アドレスは、「好きな時に、好きな場所で、好きな暮らしを」をテーマに、2023年11月時点で全国300カ所以上の物件を提供する住まいの定額利用サービスを展開。増え続ける空き家・空き部屋などの遊休資産を有効活用し、アドレスが賃貸で借り受けて会員に二拠点・多拠点居住用住宅として貸し出している。一棟貸切型ではなく、シェアハウス型の住まいであることが特徴で、同時に複数会員の滞在が可能な交流型住宅となっている。各家には「家守(やもり)」と呼ばれる管理者がおり、会員同士や地域と会員を繋ぐ橋渡し役を担っている。地域を知り尽くした家守がいることで、観光滞在だけでは得られない地域情報や地域とのつながりをつくることができるという。

パナソニック製造、7ー9月期は22%の減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは11月29日、同社2024年度第2四半期(2023年7ー9月)の純利益が前年同期比22.0%減の3,322万リンギとなったと発表した。減収、関連会社からの利益分配減少などが影響した。

売上高も前年同期比19.3%減の2億3,642万リンギにとどまった。前年同期に扇風機製品の売上が増加したことによるベース効果やキッチン家電製造事業からの撤退が影響したとしている。

前期比では、純利益は62.7%増となり、売上高も3.6%増。2023年4ー9月の同社上半期決算では、純利益は前年同期比0.8%減の5,364万リンギ、売上高は同13.4%減の4億6,466万リンギとなった。

同社は今後について、インフレ率上昇、地政学的緊張の激化、金融引き締めなどの下振れリスクがある一方、先進国において、予想を上回る内需の拡大が世界経済の成長率を押し上げる可能性があると予想。売上減少への対応策として、水関連の新製品への多角化や既存製品の他地域販売などを行っており、生産性向上や効率化に向け、製造施設におけるテクノロジー活用を進展させると同時に、コスト削減策を継続的に実施し、収益性を改善していくとした。