検察がダイム元蔵相の妻を起訴、標的はダイム氏

【クアラルンプール】 マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は23日、ダイム・ザイヌディン元蔵相の妻、ナイマ・アブドル・カリド氏(67)を、資産申告を怠った罪で起訴した。ナイマ氏は、「夫の成功を妬んだ者たちによる陰謀であり、夫の名誉を傷つけるための政治報復だ」として無実を主張している。

訴状によると、被告が申告を怠った資産は、▽企業2社▽高級車2台(いずれもメルセデスベンツ)▽不動産8件(クアラルンプールの自宅、土地、建物、およびペナン州の土地)ーー。有罪の場合、最長5年の禁錮と10万リンギの罰金が科せられる。セッション裁判所(重大犯罪の第一審裁判所)のアズラ・アルウィ裁判官は、保釈金25万リンギで保釈を認めた。次回審理は3月22日。

検察の真の標的はダイム元蔵相本人で、世界の著名人による租税回避を暴いた文書、いわゆるパンドラ文書にダイム氏が含まれていたことから捜査を続けていた。ダイム氏は病気で入院中。

パンドラ文書は英領バージン諸島などタックスヘイブンの信託会社、法律事務所から漏出した電子ファイルで、金、権力を持つ世界の大物が資産を隠し、税を回避していたことを示す文書。21年10月から各国のメディアが報道を開始していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、1月23日)

経済改革や紅海危機が中・高所得世帯に影響=エコノミストら

【クアラルンプール】 エコノミストらは、政府が経済改革の一環として、対象を絞った補助金制度を導入することで、今年後半に中・高所得世帯の生活費が上昇すると予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハマド・アフザニザム主任エコノミストは、補助金削減に加え、紅海危機による輸入品価格の上昇も予想されるため、貯蓄額が少ないM40(中位40%)の世帯が最も影響を受けると述べた。M40世帯の月収は5,250ー1万1,819リンギと定義されている。

光熱費で値上げが確定しているのは、1月からの電気料金(値上がりは平均22リンギ)、2月からの水道料金(同1.6ー8リンギ)。3月以降にサービス税の6%から8%への引き上げも予定されている。

アフザニザム氏は、フーシ派による紅海での海運攻撃が続いているため、コンテナ船は南アフリカの喜望峰を経由する長いルートを回航せざるを得なくなり、海運コストの上昇により輸入品のコストも上昇し始めると説明。今年の運賃は前年の3倍になる可能性もあるとし、マレーシアの海上貿易は貿易総額の50%以上を占めているため、ビジネスコストが増大するとした。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)・マレーシアの経済・政策担当であるテイ・スーエン氏は、M40とT20(上位20%)層は輸入品を多く消費するため、輸送コストの上昇の影響をより大きく受けるとし、世界貿易の弱体化による世界経済の減速、地政学的緊張が高まる中での公的債務の増加や借入コストの高騰などを背景に、2024年も経済の低迷が続くと予想。ただし政府の経済改革は必要だと指摘した。回復力のある強い経済を構築でき、最終的には全国民の所得向上や公共サービスの向上につながるとしている。
(ストレーツ・タイムズ、1月22日)

マラッカ州、23年第3四半期に47.7億リンギの投資を誘致

【アロー・ガジャ】  マラッカ州のアブドル・ラウフ・ユソー首相は22日、マラッカ州は2023年第3四半期に47.7億リンギの投資(認可ベース)を誘致したと明らかにした。

スイス企業オーデマ・マイクロテックの新製造施設の開所式に出席した州首相は、州の年間投資誘致額の目標は50億リンギだが、その目標を達成できることを確信していると述べた。今年もより多くの投資誘致を目指すとしている。

マラッカ州には60カ所に及ぶ半導体工場があり、工業・製造業部門は、2022年に州の国内総生産(GDP)の37.2%に貢献している。州内工業部門では18万5,000人以上の雇用機会を創出しているという。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、1月22日)

ボーイング、マレーシア合弁を買収し完全子会社化

【クアラルンプール】 航空機製造大手の米ボーイングは、マレーシアにおける部品製造合弁会社、エアロスペース・コンポジット・マレーシア(ACM)の未保有株式を合弁相手先のへクセル・コープから先ごろ買収し、完全子会社化したと発表した。買収額については明らかにされていない。

ACMはボーイングとヘクセルの合弁会社として設立され、2001年に操業を開始。2023年12月にボーイングによるヘクセル持株の買収が完了した。ケダ州ブキ・カユ・ヒタムに総面積4万7,200平方メートルの工場を保有している。従業員数は約1,000人。

ボーイングによると、ACMは複合材や補助翼(エルロン)、フラットパネルなどの部分組立品などを供給しており、現在のボーイング民間航空機すべてに使用されている。ACMによると、2005年にはB-737ネクストジェネレーション(NG)民間航空機用エルロン部品の世界唯一のメーカーになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、1月22日)

三菱モーターズ(M)、「トライトン」の限定版を発表

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は、ピックアップトラック「トライトン」の上位モデル「ATプレミアム」の限定版を発表した。

保険なしの販売価格は通常版「ATプレミアム」と同額の13万5,900リンギで、限定台数(台数未公表)のみの販売となる。5年間、走行距離無制限の保証が付属する。

通常版とは外装・内装が異なっており、外装はホワイトダイヤモンド塗装仕上げで、後部にデザインのアクセントとなるステッカーが貼られ、内装では足元のスカッフプレートやヘッドレストに赤いアクセントが施されている。2022年8月に1,000台限定で発売された「ファントム・プラス」と同じく、ヨコハマの「ジオランダーA/T G015」タイヤも装着されている。通常版と同じく2.4リッターMIVEC4気筒ターボディーゼル・エンジンを搭載し、最高出力は181馬力(PS)、最大トルクは430Nmを発揮する。
(ポールタン、1月22日)

昨年のIPO調達資金は37億リンギ、東南アジア3位

【クアラルンプール】 会計事務所デロイトがまとめた、昨年の東南アジアにおける新規株式公開(IPO)報告によると、マレーシアのIPOは32件(前年は35件)で、調達された資金は合計37億リンギ(7億9,000万米ドル)だった。上場した企業の時価総額は前年比18%増の29億9,000万米ドルだった。

デロイト・マレーシアのウォン・カーチューン氏によると、二部に相当するACE市場は成長力のある企業にとり上場しやすく、公開価格も手ごろで投資家の関心を引き付けている。今年は機関投資家、個人投資家の投資意欲、特に消費関連、テクノロジー関連銘柄への意欲を背景に、多数のIPOが予想されるという。

東南アジアのIPO件数は前年と同じ163件、調達資金は24%減の58億米ドル、時価合計は26%減の417億米ドルだった。

調達資金の国別1位はインドネシアで、62%を占めた。次いでタイの22%、マレーシアの14%と、3カ国で全体の98%を占めた。インドネシアは前年比53%増加したが、ほかの国は減少した。

世界各国の取引所は東南アジアの企業に対する関心を高めており、上場誘致活動を強化しているという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、1月18日)

電子インボイス、50社が参加して5月に試験運用

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始する。参加企業の会計システムとIRBのシステムとの統合がスムーズに行くか検証する。

ベルナマ通信との会見で税務部のラシダ・チェ・ロスリ政策担当者は「さらに多くの企業の試験運用への参加を歓迎する。これを通じ直面する問題が分かり、対処に役立つ」と語った。

8月1日からは、年商1億リンギ超の企業4,000社は電子インボイスを採用しなければならない。ラシダ氏は「ほとんどの企業が電子インボイスの用意がある」と語った。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

年商が2,500万―1億リンギの企業は2025年1月からの採用を求められる。電子インボイスの完全施行は同年7月1日。

電子インボイスとは、インボイス(適格請求書)制度において、請求書や領収書を電子データでやり取りするための仕組み。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月20日、マレーシアン・リザーブ、1月19日)

セレンバンセントラル駅起工、他の9駅も刷新=ローク運輸相

【セレンバン】 アンソニー・ローク運輸相は19日、首都圏クランバレー複線化プロジェクト第2期(KVDT2)の下で、2.8億リンギを投じるマレーシア国鉄(KTMB)10駅のインフラ整備プロジェクトを発表した。発表に先駆けて、17日の閣議でプロジェクトが承認された。

1.7億リンギはネグリ・センビラン州のセレンバンにおける新駅「セレンバン・セントラル」建設に充てる。同日には新駅の起工式が行われ、同相も出席した。工事を受注したダヤ・マジュLTATには24カ月以内の完工が求められる。完成すれば国内初の二酸化炭素排出実質ゼロの駅となる予定。1904年創建の旧駅舎正面は、歴史的建造物として新駅と統合された上で保存される。「セレンバン・セントラル」建設計画は、KVDT2のコストを下げるために2019年に棚上げされていた。

また1.1億リンギは首都圏クランバレーの9駅の刷新に充てる。刷新されるのは▽セラク・サウス▽バンギ▽パンタイ・ダラム▽セリ・セティア▽バトゥ・ティガ▽パダン・ジャワ▽クラン▽ジャラン・カスタム▽ポート・クラン――。2週間以内に工事が開始される予定。

第1期のKVDT1はすでに97%完了しており、作業は4月末に完了する予定だ。
(ザ・スター、1月20日、ポールタン、ベルナマ、1月19日)

80&Company、ゲーム学習でジェトロのDX促進事業に採択

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新規事業開発のエイティーアンドカンパニー(80&Company、本社・京都市左京区)は19日、日本貿易振興機構(ジェトロ)による「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」第4回公募に採択されたと発表した。

80&Companyは、日本で展開中の「ゲームカレッジLv.99」で培ったノウハウを活かし、スキルの習得度を診断するツールをビー・インフォマティカ(本社・東京都墨田区)と共同開発し、 サンウェイ大学、 マレーシア教育省の下部組織であるPADUの協力を得て、マレーシアの小中学校にてフィールドスタディを実施する。

教材として使用する「ゲームカレッジLv.99」は、「ゲームを習いごと化する」をコンセプトに、ゲームプレイを通じて「考える力を養う」という新しい教育サービス。2021年2月にイオン・グループでアミューズメント施設運営に携わるイオンファンタジーとの共同事業としてスタートした後、順調に会員数を伸ばし、約3年間でのべ7万人の子どもが受講した。

今回の実証実験を通じて、コミュニケーション能力や問題解決能力などの21世紀型スキルを可視化し、習得状況の診断や効果測定、分析等を行い、スキルアップの指標も作成することで、より具体的な課題抽出やフィードバックが可能になることが期待されている。21世紀型スキル教育の品質向上や教育業界全般における発展、さらにはマレーシアにおける若年層の雇用ミスマッチ問題の解決に繋げていく方針だ。

JCB、サンウェイヘルスケアとメディカルツーリズム推進で協力

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際クレジットカード「JCBカード」を運営するジェーシービー(JCB、本社・東京都港区)は19日、大手医療関連サービスのサンウェイ・ヘルスケアグループとの間で、メディカルツーリズム(医療観光)の推進に関する覚書を締結したと発表した。

サンウェイ・ヘルスケアグループとの間で覚書を締結したのは、JCB、海外業務を行う子会社ジェーシービー・インターナショナル(本社・東京都港区)、インドネシア現地子会社JCBインターナショナル・インドネシアの合計3社。

先進的な医療サービスを受けられるマレーシアは、メディカルツーリズムの渡航先として選ばれている。JCBは、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域におけるJCBカードの利用促進を図っており、メディカルツーリズムのニーズが強いインドネシアなどの需要を掘り起こしたい考え。それが海外からの顧客への医療サービス提供に注力したいサンウェイ・ヘルスケアグループの想いと一致し、今回協業が実現した。今後は、サンウェイ・ヘルスケアグループのサービスを利用するJCBカード会員に対して、様々な特別優待の提供を展開していく計画だ。