投資信託売却による資本利得と国外源泉所得が非課税に

【クアラルンプール】 政府は、投資信託売却で得た資本利得(キャピタルゲイン)と国外源泉所得に対し課税を免除する。アミル・ハムザ第2財務相が16日、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の行事で発表した。

資本利得税の免除は今年1月1日から28年12月31日まで、国外源泉所得に対する課税免除は今年1月1日から26年12月31日まで。

政府は国内企業による未上場株の売却に対し資本利得税を3月1日付で課す方針を明らかにしているが、アミル・ハムザ氏は「資本利得税の影響を受ける、政府が意図しなかった領域のあることが利害関係者との協議で分かった。投資信託がそれで、投資信託保有者の90%余りは個人。個人による将来に備えた投資、また上場株の売却に資本利得税は適用しない」と語った。

政府は22年度予算案の上程に際し、居住者が得た国外源泉所得に課税する方針を示していたが、22年に撤回した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、1月16日)

AIの基礎を無料で学べる学習サイト、アンワル首相が発表

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は16日、国民のデジタルリテラシー向上に向けた「国民のための人工知能(AI)プログラム」を発表した。

同プログラムは、AIとは何かについて学べるオンライン自己学習プラットフォーム(https://ai.gov.my/)で、4つの言語(マレー語、英語、中国語、タミール語)で提供される。利用は無料。半導体大手の米系インテル・マレーシアがプログラム開発に協力した。「AIとは何か」、「AIを評価する」の2つのモジュールで構成され、自分のペースでプログラムを修了できる。

首相と共にプロジェクトを監督しているラフィジ・ラムリ経済相は、本プログラムはデジタルリテラシーの格差を解消するための取り組みで、特に学生がAIの基礎を学ぶことで将来のキャリア開発につなげることを目的としていると述べた。生成AIの活用で、国内総生産(GDP)の25%に相当する約1,134億米ドル(5,250億4,000万リンギ)が生み出せる可能性があるという。年内に100万人のプログラム利用を目標として掲げている。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、ベルナマ通信、1月16日)

KL国際モーターショーを6年ぶりに12月に開催、名称変更も

【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)は16日、今年6年ぶりに開催するクアラルンプール国際モーターショー(KLIMS)について、日程などの詳細を発表した。

12月5ー11日にクアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催する。ショーの名称も今回より「クアラルンプール国際モビリティショー(KLIMS)」に変更する。

MAAのモハマド・シャムソール会長は、名称は変更されたものの、自動車ブランド主導のショーであることは変わりないと述べた。

KLIMSは2018年に開催されたのが最後で、▽ホンダ▽トヨタ▽レクサス▽プジョー▽シトロエン▽起亜▽三菱自動車▽プロトン▽プロドゥア▽フォード▽現代(ヒョンデ)▽日産ーーという12の自動車ブランドが参加。MAAは2023年7月に「2024年にKLIMSを再開する」旨の発表を行っていた。
(ポールタン、1月16日)

ファミリーマート、115店にリンギ対応の外貨両替機を設置

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ファミリーマート(本社・東京都港区)は17日、2019年から進めてきた日本国内店舗への外貨両替機の設置について、2023年12月末時点でコンビニ最多の115店舗に設置を完了したと発表した。

自動外貨両替機の開発に携わるエクステック(本社・東京都港区)の協力を得て展開しており、14通貨(紙幣)を日本円に両替することが可能。外国人が両替できるだけではなく、日本人も海外旅行からの持ち帰り外貨の両替に利用できる。

対応通貨は、▽マレーシアリンギ▽米ドル▽ユーロ▽英ポンド▽中国元▽韓国ウォン▽香港ドル▽台湾ドル▽豪ドル▽カナダドル▽シンガポールドル▽タイバーツ▽フィリピンペソ▽インドネシアルピアーー。24時間稼働し、対応言語は、日本語、英語、中国語、韓国語、ドイツ語など15カ国語。外貨(紙幣)から円への両替のみに対応している(1万円紙幣、1,000円紙幣、100円硬貨での受け取りとなる)。現時点では、東京、大阪、京都、福岡、北海道の店舗に設置されている。

ファミリーマートによると、14通貨で訪日外国人の95%を網羅し、1台あたりの月間両替額は、インバウンド需要の回復によりコロナ前の2019年に対して120%にまで増加した。

ファミリーマートは、今後も設置を推進し、より多くの顧客に対して外貨両替機サービスを提供していく方針だ。

中古車サブスクサービス、タイガー商事が27日に開始

【スバンジャヤ=マレーシアBIZナビ】 自動車整備などを手掛けるタイガー商事は、会員制の中古車レンタル・サービス「サブスクハリマオ」を1月27日より開始すると発表した。

同社が運営している車の個人間売買支援サイト「フリマハリマオ」を活用したもので、自動車の名義は元の所有者のままであることから、借り主は、通常の中古車売買であれば必要となる売買交渉の手間が省けるほか、初期費用やローンの心配、市場の価格調査、中古車業者との交渉、自動車保険、自動車税、メンテナンスなどの手間が不要となる。

借り主は名義変更や売り先を探す手間がないため、車両を帰任・帰国のギリギリまで車を使用することができる。またタイガー商事が窓口となって車両を管理・選定しメンテナンスや修理もサポートするため、貸し手との直接交渉なしに安心して借りることができる。貸し主としても、売買契約が成立しなくても、賃借料収入が得られるメリットがある。

借り主は、申し込んでから最短1週間ほどで借りることができる。賃貸期間については12カ月、24カ月、36カ月の3つの期間を設定している。賃貸料は貸し主の設定によるが、2020年式「プロドゥア・マイヴィ」の場合で月々1,300ー1,500リンギ程度で借りることができる(初月のみ月額賃貸料の50―60%の準備金が別途必要)

キャッシュレス決済の利用率が減少傾向、実店舗利用増で

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソスが実施した調査によると、 パンデミック後、マレーシアにおけるキャッシュレス決済の利用率は51%まで減少した。実店舗の利用が増加したことで現金支払いが再び好まれる傾向にあるという。

同調査は2023年10-12月に18ー74歳のマレーシア人1,015人を対象に実施されたもの。キャッシュレス決済は、イーウォレット、オンラインバンキング、デビットカード・クレジットカード支払いなどのことで、パンデミック最盛期には最も多く利用されていた決済手法だったが、今回減少が見られた。

キャッシュレス決済の中ではオンラインバンキングとデビットカードが、それぞれ35%と同率で首位、次いでイーウォレットが26%と続き、クレジットカードは最も低い9%だった。

年齢層別に見ると、オンラインバンキングを最も利用しているのは、25ー34歳の45%。次いで、35ー44歳(40%)、18ー24歳(39%)、45ー74歳(23%)が続いた。イーウォレットも、25ー34歳が34%と最も利用しており、次いで、18ー24歳(30%)、35ー44歳(27%)、45ー74歳(19%)が続いた。45ー74歳の利用率は、オンラインバンキングで前年比1%、イーウォレットで同3%それぞれ増加した。

利用イーウォレット数は過去3年間、約1.8個で安定しており、最もよく利用されているのはタッチアンドゴー(88%)だった。次点はメイバンク専用アプリ「MAE」だった。イーウォレットは、高速道路などの通行料、駐車場料金、その他交通機関利用料金の支払いに使われることが最も多く(55%)、次いで飲食店(51%)、食品配達(43%)が続いた。
(マレー・メイル、1月15日、イプソス発表資料)

いすゞ「D-Max」、昨年の販売台数は過去最高の9650台

【クアラルンプール】 いすゞマレーシアは、ピックアップトラック「D-Max」の2023年通年の販売台数が9,650台となったと発表した。2022年の9,211台を上回り、2年連続で過去最高を記録した。

排気量1.9リットルのスタンダードモデルが最も人気で、総販売台数の28%を占めた。フラッグシップモデルの「X-テレイン」の販売も好調で前年比24.5%増となった。D-Maxのピックアップトラック部門での市場シェアは推定16.6%となり、販売台数第3位に浮上。サバ州、ケダ州、パハン州で第2位となったことが貢献した。

岡添俊介 最高経営責任者(CEO)は、2021年に第3世代「D-Max」がマレーシア市場に投入されて以来、優れた機能や走行特性、汎用性、コストパフォーマンスのために、高く評価されてきたと説明。人間工学に基づき設計された「D-Max」はいすゞブランドにとって革新的なモデルで、あらゆるユーザーのニーズを満たせるとし、2023年は既存顧客を維持しつつ、新規顧客への販売を185%増加させることで、顧客基盤を拡大したと述べた。
(ポールタン、1月15日)

UXのビービット、マレーシア企業買収で東南アジアに事業を拡大

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ユーザーエクスペリエンス(UX)コンサルのビービット(本社・東京都千代田区)は16日、マレーシアのスタートアップ企業「つなごう(TSUNAGO)」の全株式を取得し、東南アジア市場に進出すると発表した。ビービットは2022年より台湾に進出しており、グローバルでの事業拡大を目指している。

「つなごう」は、クアラルンプールに拠点を構え、シンガポール・マレーシアを中心にOMO(オンラインとオフラインの統合)ソリューションを提供している。2017年の設立以降、三越伊勢丹、通信のセルコム、バー・チェーンのソーシャルなど大手企業の支援を行っている。また、日本人起業家がアドバイザーとして参加しており、日本と東南アジアをつなぐチームも形成している。

ビービットは今回の買収により、OMOの顧客体験設計力、データ駆動による顧客理解力をより強化し、シンガポール・マレーシアを中心に東南アジア全域に進出する。親和性の高い既存サービス群との融合も視野に入れながら、コンサルティング・SaaS一体型のUXビジネスのグローバル拡大を加速する計画だ。

フェローテック、ケダ新工場の開所式を開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 フェローテックホールディングス(本社・東京都中央区)は15日にケダ州クリム・ハイテクパーク内で建設中だった新工場の開所式を開催したと発表した。

マレーシア投資開発庁(MIDA)とフェローテックの共同声明によると、ケダ新工場では半導体装置の電気機械の組み立てと先端材料の加工を行う。投資額は約8億5,000万リンギで、800人以上の雇用機会を創出した。

フェローテックの副社長であり、製造子会社のフェローテック・マニファクチャリング・マレーシア(FTMM) の最高経営責任者(CEO)でもある山村丈氏は、ケダ工場の最新鋭の生産施設は、急成長を遂げるアジア市場における同社製品・サービスに対する需要の高まりに対応できるよう、戦略的に設計されていると言明。同社にとり東南アジア初の生産拠点となるケダ工場には、米国、欧州、中国、日本の事業で培われた、44年にわたるエンジニアリングの専門知識が集約されていると述べた。

フェローテックは昨年7月にも、パワー半導体用絶縁放熱基板製造子会社である江蘇富楽華半導体科技股?(FLH)が、ジョホール州ジョホールバルに新工場を建設すると発表していた。2024年9月の操業開始を予定している。

セルコムDigi、技術開発でソフトバンク、住友子会社と提携

【クアラルンプール】 通信のセルコムDigiは15日、同業のソフトバンク(本社・東京都港区)および住友商事(本社・東京都千代田区)のシンガポール子会社SC-NEXと提携し、マレーシア企業にインダストリー4.0(IR4.0)ソリューションを提供すると発表した。

SC-NEXはデジタルトランスフォーメーション(DX)の専門企業。ソフトバンク、SC-NEXの人工知能(AI)、ロボット工学、分析ソリューションに関する専門知識とセルコムDigiが運営する4G LTE網および5G網を活用し、アグリテック(農業技術)やスマートシティ向けのIR4.0ソリューションの共創を模索する。

セルコムDigiのイダム・ナワウィ最高経営責任者(CEO)は声明で、2社との提携により、国内企業が革新的なテクノロジーに迅速にアクセスできるようになり、ビジネスの真の可能性を引き出すことが可能になると言明。セルコムDigiは、より多くの企業のDX化を支援し、持続可能な経営環境を構築することを目指すと述べた。
SC-NEXの大河原淳 最高経営責任者(CEO)は、住友商事の幅広い経験や知識を活用し、三者間協業を強化していくと述べた。

ソフトバンクの工藤公正 法人事業統括グローバル事業本部本部長は、「ソフトバンクでは入退室管理ソリューションやロボティクス・ソリューションなどで構成される先進的なスマートビル・ソリューションを開発しており、そのノウハウを活用できることを楽しみにしている」と述べた。マレーシア企業の持続可能な成長に向け、他の技術分野でも協力していきたいとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月15日)