首相が国際金融地区TRXを開所、入居企業に税制上の優遇措置

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は23日、クアラルンプールの国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」の開所式を主宰し、事務所移転などでTRXに入居する企業への優遇措置を発表した。

開発に10年の期間を要した。アンワル氏は「TRXは、世界でも屈指の金融地区を作り上げるとのマレーシアの熱意を象徴している」と強調。TRXに移転する企業に、ビル建設費に対する税控除、不動産開発業者に対する5年間の租税免除(法定所得の70%に適用)、融資・サービス契約に対する印紙税免除を提供する。

TRXには既に複数の大手金融機関が入居している。開発母体は財務省所有企業のTRXシティー。TRXで働く人は3万人に達しており、うち知識労働者が2万人。アンワル首相は「TRX開所は経済、金融構造の刷新を目指す政府活動の大きな前進だ」と語った。

建設された複合商業施設「エクスチェンジTRX」は昨年11月にオープンしており、オーストラリア系レンドリースが開発した。ほかにTRX開発に投資したのは、インドネシアの不動産開発業者ムリア・グループ、金融のアフィン・グループ、HSBCマレーシア、建設のIJMグループ、保険のプルデンシャル・マレーシアなど。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月24日、エッジ、2月23日)

筑波大学、マレーシア校の公式サイトを開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 筑波大学は20日、初の海外分校となるマレーシア校(学群名・学際サイエンス・デザイン専門学群)の公式サイトを開設したと発表した。

URLはhttps://www.utmy.edu.my/で、英語サイトとなっている。マレーシア校は今年9月にクアラルンプールのマラヤ大学内に開校する。

同校は、2023年12月付けで、マレーシアにおける高等教育の質保証を担う政府機関「マレーシア資格機構」から、教育課程に関する認定を受けている。日本の大学の学位を授与する学部が海外で設置されるのは初めてとなる。アジアにおける教育ハブとして、自然科学・人文科学・社会科学の発想やスキルを培いながら、データサイエンスを駆使し、マレーシアのみならず世界が直面するグローバル課題の解決に効果的に貢献できる人材の育成を目指す。

イオン、店舗の新設・改装で事業拡大へ

【クアラルンプール】 イオン・マレーシアはクアラルンプールのマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)近隣に、2025年末までに新店舗をオープンする計画を明らかにした。

岡田尚也取締役副社長(3月1日付けで社長に昇格予定)によると、3月にはセランゴール州シャアラムのセティアシティ・モール内にも新店舗をオープンする計画で、既存3店舗の全面改装を含め、さらなる事業拡大に取り組んでいく。セランゴール州のバンダル・プチョン店、同IOI モール・プチョン店の改装は年内に完了する見込みで、ジョホール州とマレー半島北部地域においてもそれぞれ1店舗の改装を計画しているという。

現在、イオンは全国に「イオンモール」28店舗、「イオンストア」34店舗、「マックスバリュ」7店舗、ドラッグストア「イオンウェルネス」64店舗、100円ショップ「ダイソー」45店舗を展開しているが、既存モール・店舗の改装に注力しており、昨年はマラッカ州のアイル・ケロー店、セランゴール州のチェラス・セラタン店を改装している。

岡田氏は、今年は事業拡大を通じて、若い世代から新たな顧客を獲得したいと考えているとし、コスト圧力が増大する中でも成長を続けていくと述べた。

イオン・マレーシアの2023年通年の売上高は前年比0.3%微減の41億3,000万リンギ、純利益は3.2%増の1億1,120万リンギ。2023年第4四半期(10ー12月)の売上高は、小売売上高の減少やベース効果により前年同期比2.7%減の10億3,000万リンギだったが、純利益は30.8%増の3,260万リンギに達した。稼働率の上昇や賃貸料の更新、コスト管理などが功を奏したという。

今後の見通しについては、補助金の見直しや、売上・サービス税(SST)の引き上げ、贅沢税の導入など、政府方針の転換に懸念はあるものの、引き続き、デジタルシフトの加速、プライベート・ブランドへの注力、地域社会におけるイオン生活圏の創出、持続可能性への取り組みを行うとともに、営業コストを効果的に管理していくとしている。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月24日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、2月23日)

福山通運、福山市大、イスラム科学大などが産学連携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 福山通運(本社・広島県福山市)と小丸交通財団は22日、福山市立大学、マレーシア・イスラム科学大学(マレーシア)、E.H. ウタラ・ホールディングス(マレーシア)と産学連携に関する意向書を締結したと発表した。

福山通運は声明の中で、意向書の締結により、マレーシア国内での日本語作文スピーチコンテストをはじめ、福山通運へのインターンシップや日本語教育などの産学連携を促進し、互恵的な関係を発展させるために最善の努力を尽くしていくとし、併せて、語学教育をはじめとした日本とマレーシアの文化交流の推進とともに、両国間の友好関係強化にも貢献していくとしている。

小丸交通財団は、交通安全思想の普及啓発活動を目的として2013年9月9日に創立され、全国の小学校を中心とした交通安全教室の開催や交通事故防止の啓発活動を行っている。また、海外で日本語を学ぶ学生に学習成果を発表する機会を提供し、交通安全意識の向上や日本との文化交流を目的に日本語作文スピーチコンテストを開催するなど、持続可能な開発目標(SDGs)を支援している。

 

ハラルや防災に関する日本の協力を評価=ザヒド副首相

【大阪】 7日間の日本公式訪問を終えたアハマド・ザヒド副首相は、訪日の成果について、技術職業教育訓練(TVET)やハラル(イスラムの戒律に則った)産業、防災について貴重な知見が得られたと明らかにした。

ザヒド副首相は、昨年12月のアンワル・イブラヒム首相の訪日から1カ月半後の訪問でフォローアップを行ったとし、日馬両国の関係が「包括的・戦略パートナーシップ(CSP)」に格上げされたことに伴い、日本から多くの協力が得られたと説明。日本は東京高専などのTVET機関で優秀な学生を育てることに成功していることから、多くのマレーシア人学生を日本に派遣し、TVETモデルを学ぶ計画だと述べた。

ザヒド副首相はまた、ハラル開発公社(HDC)がハラル関連の覚書2件を締結するのに立ち会った。HDCは円卓会議「日本とマレーシアのハラル・エコシステムの連携」を大阪で開催し、日本企業の代表20名が出席した。

ザヒド副首相は、ビッグデータや人工知能(AI)技術の防災への活用に関する説明も受けたとし、マレーシアの洪水問題を管理するための長期計画に生かすとしている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、2月23日)

乗換案内アプリ「PULSE」からエアアジアライドの予約が可能に

【クアラルンプール】 公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアは、子会社PRIDEが運営する乗換案内アプリ「PULSE」上で配車サービス「エアアジア・ライド」の乗車予約が可能になったと発表した。

PRIDEのファイザー・カイルディン最高経営責任者(CEO)は、PULSEアプリ経由で軽便鉄道(LRT)の主要24駅でエアアジア・ライドを予約できるようになったと説明。自宅から目的地までをシームレスに接続することで公共交通機関の利用促進や二酸化炭素排出量の削減につながると述べた。

エアアジア・ライドでは、提携開始を記念して、2025年1月末までLRTケラナジャヤ線およびアンパン線・スリ・ペタリン線の全24駅までの往復について、乗車1回あたり2リンギを割引するキャンペーンを実施する。通勤などでの利用を想定しており、1日2回まで利用可能。詳細はhttps://www.airasia.com/aa/pulseapp/で確認できる。
(マレーシアン・リザーブ、テックネイブ、2月22日)

23年通年の投資額は3295億リンギ、過去最高を記録

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、2023年通年の投資額(認可ベース)が過去最高となる3,295億リンギを記録したと明らかにした。前年の2,646億リンギから23%の大幅増となった。

22日に開催された国家投資委員会(NIC)会合で発表されたもので、外国直接投資(FDI)が全体の57.2%を占め、国内直接投資(DDI)は42.8%を占めた。増加率では外国直接投資が15.3%だったのに対して、国内投資は35.1%の大幅増加となった。NICはアンワル首相が議長を務めている。

投資案件は5,101件で、12万7,000人以上の雇用創出が見込まれる。セクター別ではサービス業が1,684億リンギで全体の51.1%を占めた。これに製造業が1,520億リンギ(46.1%)、一次産業が91億リンギ(2.8%)で続いた。

アンワル首相は声明の中で、投資環境における目覚ましい業績は、国家ビジョン「マレーシア・マダニ」を掲げる現政権の下でマレーシア経済が復活したことを反映していると言明。「政府の投資促進政策と企業促進政策が間接的に投資家の信頼を高めるという成果を上げ始めていることを示している」と述べた。

同日のNIC会合では、デジタル投資に関する国の方向性についても議論された。アンワル首相によると、マレーシアのデジタル経済は2021年に国内総生産に23.2%貢献したが、2025年までに25.5%に増加すると予想されている。2021年から2023年にかけて、NICを通じて承認されたプロジェクトを含む396件のデジタル関連プロジェクトが承認され、投資額は1,289億リンギに達し、3万6,553人の雇用創出が見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月23日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、2月22日)

 

ネット専業イオン銀行、近く営業を開始

【クアラルンプール】 インターネット専業銀行のイオン銀行(M)は近く営業を開始する見通しで、フェイスブックの公式サイトで、ユーザー登録を開始した。

フェイスブックページにはQRコードが掲載されており、ユーザーはこれをスキャンし、登録サイトで氏名と電子メールアドレスを記入すれば、最新情報がイオン銀行(M)から送られてくる。

デジタル銀行の第1号となったGXバンク同様、イオン銀行(M)も専用アプリを利用するが、まだ一般客には提供されていない。イオン銀行(M)はイスラム教に対応したイスラム銀行で、しかもフルバンクのため、あらゆる銀行サービスを提供できる。

親会社イオンフィナンシャルサービスによれば、年度内をめどに開業し、預金、保険、少額ローンなどを扱う。技術面で金融技術の米マネーライオンと協力し、人工知能(AI)を使った分析で家計管理支援も提供する。

デジタル銀行は支店を持たないネット銀行で、マレーシアではシンガポールの配車サービス大手のグラブなど計5陣営が認可を得ている。
(ソヤチンチャウ、2月22日)

アーノッツグループとセブンイレブン(M)が即席食品で提携

【プチョン】 豪州系食品メーカーのアーノッツ (TAG)は、セブンイレブン・マレーシアと提携し、即席食品「プレゴ・インスタント・パスタ・ボウル」を6月から全国で発売すると発表した。

TAGは今回の提携によりインスタント食品市場に参入し、2026年までに国内インスタント食品市場で60%以上のシェアを獲得することを目指す。「プレゴ・インスタント・パスタ・ボウル」は若い社会人、大学生、忙しい母親などをターゲットにしており、5分で完成するのが特徴。

TAGのジョージ・ゾグビ最高経営責任者(CEO)は、今回の提携は長期的な成長に向けてのものであり、他社とも提携し取扱店舗を増やしていくと言明。消費者は、おいしくて栄養価が高く、外出先でも食べられる便利な製品を求めており、本製品はこの3点すべてを満たしているため、将来性を楽観視していると述べた。

TAGは「プレゴ」、「キンボール」などといったパスタソースなどのブランドを有しており、クアラルンプール(KL)工場で製造を行っている。「プレゴ」ブランドは、国内パスタソース市場で92%のシェアを占めており、乾燥パスタでも市場をリードしているという。

TAGのアジア事業の売上高は全世界売上高の4分の1に相当する10億リンギ超で、10年後には25億リンギに達すると見込まれている。シンガポールに惣菜を輸出しており、将来的には他国へも輸出する計画があるという。
(ザ・サン、2月23日、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、2月22日)

ハラル開発公社が日本で2件の覚書を締結、ハラル貿易促進で

【大阪】 マレーシアと日本の間で、ハラル(イスラムの戒律に則った)関連の覚書(MoU)が2件締結された。アハマド・ザヒド副首相の日本公式訪問に合わせたもの。

1件目はハラル開発公社(HDC)とイオン・マレーシア間のもので、両者は日本におけるマレーシアのハラル製品販売で協力する。HDCはイオンの協力を得て、日本市場への参入を希望するマレーシアのハラル業界関係者にビジネス指導を行い、HDCのハラル統合プラットフォームの利用促進を図るとともに、ハラル製品の販促セミナーなども実施する。日本のハラル業界関係者を対象としたハラル・トレーニング・プログラムも提供し、日本のレストランにおけるハラル認証プロセスの合理化に向け、人材育成や専門知識の共有も行っていく。

2件目は、HDCと日本ハラール協会(JHA)間のもので、日本におけるインフラやハラル認証の強化を目指す。整合性のとれたハラル認証を世界的に推進し、日本企業のハラル貿易参入を促進する。

覚書締結式にはザヒド副首相やHDCのカイルル・アズワン・ハルン会長も立ち会った。ザヒド副首相は、マレーシア・ハラル委員会の委員長も務めている。

ザヒド副首相は、ハラル製品・サービスに対する世界的な需要の増加に対応するため、日本とマレーシアの両国が協力することが重要だとし、日本のムスリム人口は少ないものの、日本のハラル市場の成長の余地は大きいと述べた。マレーシアの2022年輸出額は595億リンギだったが、そのうち日本へのハラル関連輸出額は36億リンギに過ぎなかったとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、2月22日)