【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンクタンクのニッセイ基礎研究所は19日、「東南アジア経済の見通しー輸出底打ちで再び緩やかな回復軌道に復帰」と題したレポートを発表した。
同社経済研究部准主任研究員の斉藤誠氏によると、東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)の2024年の経済は、輸出と製造業が持ち直して景気回復局面が続くものの、サービス業の増勢が鈍化して実体経済は盛り上がりに欠ける展開となるという。
マレーシア経済については、2024年は堅調な内需と輸出の回復により景気が上向くと予想している。外需は半導体需要の回復により電気・電子(E&E)セクターが持ち直して輸出が回復に向かい、外国人観光客の増加によるサービス輸出の持続的な拡大も見込まれる。民間消費は観光業の回復などが下支えとなるが、インフレの加速により増勢が鈍化する見込みだ。
投資は東海岸鉄道線(ECRL)など進行中のインフラ計画の進展などが追い風となる一方、サービス税率引き上げなどの財政再建を行う計画であるため、景気のサポートは限定的だとしている。
金融政策については、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が利上げを段階的に実施した後、現在は据え置いている状態だが、今後もインフレ加速の動向を見極めつつ、年内は現行水準を維持すると予想。2024年の実質GDP成長率はプラス4.2%に上昇する(2023年はプラス3.7%)と見込まれるという。