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【従業員の勤労意欲を高めるために 】第870回:ライフスタイルとモチベーション(10)良いライフスタイルが良い健康、良い経営の基本

870回:ライフスタイルとモチベーション(10)良いライフスタイルが良い健康、良い経営の基本 

前回(注:Web上には未掲載、メールマガジンにのみ掲載)は、趣味を持つことで、気分がリフレッシュされ、また頭の働きが良くなるというお話でした。今回は、運動や食事とメンタルヘルスの関係についてです。

スペインの小学生567人を対象にした調査では、週に3時間以上の身体活動を行う参加者は、この基準を満たさない参加者よりも心の知性(自分や相手の気持ちを理解したり評価・制御したりする能力)のスコアが高いことが示されました(Melguizo-Ibanez et al., 2022)。また、システマティックレビューは、大学生の健康的な食事が、うつ病、不安、ストレスなどのメンタルヘルスの問題を軽減することを示しました(Solomou et al., 2023)。このように、健康的なライフスタイルは、心を良い状態に保つうえで大事といえます。

しばしば、駐在員の現地への適応が主要なテーマになります。しかし、現地のライフスタイルに適応していることと、健康的なライフスタイルを実践していることとでは、意味が全く異なります。例えば、先行研究では、糖尿病は、日本人や米国人よりも日系アメリカ人ではるかに多いことが示されています(Fujimoto, 2016)。このことは、現地のライフスタイルに適応することで、かえって健康を害する可能性があることを意味します。

駐在員のパフォーマンスを最大化させるには、ライフスタイルに着目する必要があります。良いライフスタイルを維持することで、良い経営の実践に活かしていきましょう。


Fujimoto, W. Y. (2016). 2015 Yutaka Seino distinguished leadership award lecture: the Japanese American community diabetes study and the ‘canary in the coal mine’. Journal of Diabetes Investigation, 7(5), 664-673. https://doi.org/10.1111/jdi.12539
Melguizo-Ibanez, E., Gonzalez-Valero, G., Badicu, G., Filipa-Silva, A., Clemente, F. M., Sarmento, H., … & Ubago-Jimenez, J. L. (2022). Mediterranean diet adherence, body mass index and emotional intelligence in primary education students?an explanatory model as a function of weekly physical activity. Children, 9(6), 872. https://doi.org/10.3390/children9060872
Solomou, S., Logue, J., Reilly, S., & Perez-Algorta, G. (2023). A systematic review of the association of diet quality with the mental health of university students: implications in health education practice. Health Education Research, 38(1), 28-68. https://doi.org/10.1093/her/cyac035

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、東北大学客員准教授、国際経済労働研究所理事、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、産業創出学の構築に向けた研究に従事している。
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