大KL圏への昨年の外国投資、過去最高の87億リンギ

【クアラルンプール】 大クアラルンプール(KL)圏への投資誘致に当たるインベストKLは、2023年に87億リンギの外国直接投資(FDI、認可ベース)を誘致。前年(27億9,000万リンギ)の3倍強となったと明らかにした。2011年の創設以来のFDI累積誘致額は297億9,000万リンギになった。
アズミ・ズルキフリ最高責任者(CEO)は発表会見で、投資の急増はマレーシア経済の潜在性に対する外国人投資家の信頼を示すもので、クアラルンプールのビジネス生態系の成熟を裏付けていると述べた。

2023年の投資を先導したのは米州、欧州、アジアを拠点とする12の多国籍企業で、米コグニザント、デンマークのデマント、北控水務集団、ロンドン証券取引所グループが代表例。

投資により8,329人(2022年は2,805人)の高技能の雇用機会が創出された。うち81%はデジタル、およびテクノロジー分野だった。ほかに生命科学、医療、金融サービスでも雇用が創出されており、こうした就業機会の多様性は国内経済の活力を示すものだという。

インベストKLは投資貿易産業省傘下の機関。累積投資のうち実施されたのは66%にあたる197億4,000万リンギで、2万7,000人の幹部ポジションが創出され、そのうち74%が埋まった。平均月収は1万4,000リンギ超だという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、3月5日)

配車サービスのボルト、マレーシアに進出か

【クアラルンプール】 エストニアの配車サービスで、タイなどで普及している「ボルト」が、マレーシアにも進出する模様だ。自動車関連ポータルサイト「ポールタン」が5日報じた。

ポールタンによると、ビジネスSNS「リンクトイン」にマレーシアのカントリー・マネージャー募集情報が掲載された。クアラルンプールでの勤務で、配車サービスを立ち上げるための責任者を募集するとしている。

ボルトは2013年に設立。45カ国で1億5,000万人以上の顧客と300万人のドライバーを擁している。最近、エジプトのカイロにも進出した。タイのバンコクでは、個人向けの配車サービス以外に法人向けサービスも提供している。ボルト・アプリは競合のグラブ・アプリと同様に「スーパーアプリ」として機能しており、配車以外に食品配達やカーシェアリングなどのサービスも提供しているという。
(ポールタン、3月5日)

ブリティッシュエアウェイズ、4年ぶりにKLーロンドン線を再開

【クアラルンプール】 英ブリティッシュ・エアウェイズは、4年間運休していたクアラルンプール(KL)ーロンドン線の運航を11月10日より再開すると発表した。

クアラルンプール国際空港(KLIA)とロンドン・ヒースロー空港(LHR)間をデイリー運航する。使用機材はボーイング「B787-9」型機。座席数は全216席で、ファーストクラス8席、クラブクラス42席、ワールドトラベラー・プラス39席、ワールドトラベラー127席の4クラス構成となる。往復運賃はエコノミークラスが620ポンド(3,718リンギ)から、プレミアムエコノミークラスが1,388ポンド(8,323リンギ)から、ビジネスクラスが3,200ポンド(1万9,190リンギ)から、ファーストクラスが4,000ポンド(2万3,987リンギ)からとなっている。

ブリティッシュ・エアウェイズは2001年にKLIAーLHR直行便を就航したがその後中断。2015年5月に運航を再開したが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年に再度運航を休止していた。現在、KLIAーLHR間の直行便はマレーシア航空のみが運航している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、3月5日)

「物品サービス税の復活はない」、第2財務相が国会で言明

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は、物品・サービス税(GST)について「課税対象が広範な消費税であり、低所得層の負担を増すもの」として、再導入する意向はないと言明した。

アミル・ハムザ氏は、5日の下院議会における税制に関する議員の質問に、「国民、特に低所得層は生活費の上昇に直面しており、GST復活は時期として不適切」とした。

アミル・ハムザ氏は、「昨年の消費者物価上昇率は2.5%だったが、食品・飲料の上昇率は約5%だった。食品・飲料価格が国民の生活に最も影響する」と指摘。こうしたことから3月1日付けで原則8%に引き上げられた売上・サービス税(SST)の税率についても6%で据え置くことを決めたと述べた。

アミル・ハムザ氏はまた、国内総生産(GDP)に対する税収額の比率がシンガポールでは12.6%なのに対し、マレーシアは11.2%と相対的に低いと指摘し、政府として現行税制の改善と、多額の税を納入できる層への課税増に注力する方針であることを強調した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月6日)

豪州企業7社が投資拡大の意向を表明、首相公式訪問で

【メルボルン】 豪州企業7社が、マレーシアへの新規投資および既存投資の拡大を行う計画だ。3日夜より4日間の日程で豪州を公式訪問中のアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

 アンワル首相に同行しているテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、5日に開催された豪州企業18社トップとの座談会の場において、マレーシアへの投資計画が伝えられた。座談会には医療機器、金属などの製造業や、データセンター、金融、貿易などのサービス業のトップが参加し、投資や貿易の簡素化、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)、世界貿易におけるマレーシアの役割などについても議論された。7社はすでにマレーシア投資開発庁(MIDA)や関係機関との会合などを行っており、今回の首相公式訪問が最終決定に向けた動きを加速させることが期待できるという。残りの日程でもアンワル首相と他企業との会合が予定されており、最終的な投資誘致結果については後日発表するとしている。

 豪州とマレーシアの2023年の二国間貿易額は185.7億米ドル(846.4億リンギ)で、豪州はマレーシアにとり第10位の貿易相手国となっている。2023年12月時点で豪州からマレーシアへの投資件数は承認ベースで582件、そのうち366件が実現されている。
(マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月5日)

スターバックスのボイコット、ベルジャヤ創業者が自重呼びかけ

【那覇】 多角経営のベルジャヤ・グループの創業者であるビンセント・タン氏は、同グループがマレーシアでフランチャイズ運営しているカフェチェーン、スターバックス・マレーシアがボイコット運動の被害を受けていることについて、「国民に被害を及ぼすだけ」だとして自重を呼びかけた。

タン氏は英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、スターバックス・マレーシアの従業員の85%がイスラム教徒であり、ボイコット運動はこれらのマレーシア国民に損害を与えるだけで、誰の利益にもならないと指摘。本社にも外国人は働いていないと強調した。

一方でタン氏は、スターバックス・マレーシアの売り上げが徐々に改善しており、不買運動は沈静化しつつあるようだと言明。今年第3四半期にはさらなる業績改善が見込まれると予想した。

米スターバックスは、イスラエル・パレスチナ紛争の激化にともない、親イスラエル企業とのレッテルを貼られており、米資本とは関係のないスターバックス・マレーシアもボイコットの対象となり業績が悪化。さらに対ドル・リンギ安が悪化にさらに拍車をかけ、運営会社のベルジャヤ・フードの2023年10ー12月期の収益は大幅に減少し、純損失が過去最高を記録した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月5日)

航空会社の「炭素税」徴収、早ければ4月から可能に=運輸相

【セパン】 アンソニー・ローク運輸相は、マレーシア航空委員会(MAVCOM)が「2018年マレーシア航空委員会(行動規範)規則」の改正を最終決定すれば、早ければ4月にも航空各社が旅客に「炭素税」を課すことが可能になると述べた。

その上でローク氏は、「炭素税」は政府が課すいわゆる「税」ではなく、航空会社が任意で利用者に課すものであるとし、実施するかどうかの判断は航空各社に委ねられると強調。2026年からの「再生航空燃料(SAF)税」導入と課徴義務化を発表したシンガポールとマレーシアは違うとした上で、徴収した「炭素税」の使い道については、航空各社が透明性の高い仕組みを持つことが必要だと述べた。

世界の航空業界は2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、国際航空運送協会(IATA)は、SAFの使用と、カーボン・オフセット(温室効果ガス排出の相殺)によって、排出量を80%以上削減できるとしている。

このほかローク氏は、3月から一部を除いて6%から8%に引き上げられた売上・サービス税(SST)について言及。国内航空運賃のSST税率について、これまでの6%のまま維持できるかどうか財務省と折衝する考えを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月5日、マレー・メイル、エッジ、3月4日)

マレーシア味の素、第3四半期の純利益が約6.4倍に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア味の素の第3四半期(2023年10ー12月)の売上高は、前年同期比16.8%増の1億7,079万リンギ、純利益は約6.4倍の1,465万リンギに達した。

同社が2月29日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、コンシューマ事業部の売上高は前年同期比8.8%増の1億2,800万リンギ、産業事業部門の売上高は同50.3%増の4,280万リンギと共に好調だった。「味の素」の販売量増加と、国内・輸出市場における販売価格の改定が増収に寄与した。純利益も売上高の増加と主要原材料費の減少により増加した。

2023年4ー12月の売上高は、前年同期から8.5%増の4億8,368万リンギ、純利益は約8.5倍の3,721万リンギとなった。

マレーシア味の素は今後の見通しについて、地政学的な紛争、世界的インフレ、生活費の高騰が国内の消費者や企業に影響を及ぼしているため、状況を注視した上で必要に応じて戦略の見直しを行っていくとしている。

九州大学、マレーシア工科大学と複数学位取得で提携へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 九州大学は1日、2月2日付けで、同学の総合理工学府とマレーシア工科大学(UTM)機械工学部間で、修士課程ダブルディグリー(複数学位取得)プログラム協定の調印式を実施したと発表した。

 修士課程ダブルディグリープログラムは、九州大学と留学先大学との両方で修士の学位が取得できるもので、世界的に活躍できる高度研究者・技術者の養成を目的としている。

 九州大学では2011年より、国立釜山大学校(韓国)、上海交通大学(中国)との3大学間コンソーシアム(キャンパスアジア)を立ち上げており、2021年度よりキャンパスアジアプラスとして、UTMが新たに加わった。今回の協定は、本コンソーシアム内で加盟大学がUTMとの間で結ぶ、初めてのダブルディグリー協定となる。

 UTMとの修士課程ダブルディグリープログラムは2024年度から開始し、九州大学とUTMからそれぞれ毎年1名の学生が参加し、両大学の修士学位取得を目指す。

ベルジャヤ、高級リゾート「フォーシーズンズ沖縄」を着工

【恩納村(沖縄)】 コングロマリットのベルジャヤ・コーポレーション(Bコープ)の不動産部門ベルジャヤ・ランド(Bランド)は4日、沖縄県恩納村における高級リゾート「フォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄(仮称、フォーシーズンズ沖縄)」の鍬入れ式を実施した。

 フォーシーズンズ沖縄は、沖縄西海岸エリアの恩納村中心部に位置し、敷地面積は13万平方メートル。海に面したチャペルやレストラン、ホテル127室、コンドミニアム124室、ヴィラ28室を設ける。総開発額は11億2,000万米ドル(53億4,000万リンギ)。2019年の開発発表後、新型コロナ感染拡大の影響を受けて一時開発がストップしていたが、昨年、東京スター銀行(本社・東京都港区)が主導するシンジケートローンから3億3,000万米ドル(15億8,000万リンギ)の融資を獲得し、開発を再開した。

 建設には40カ月を要する見込みで、コンドミニアムは1平方フィートあたり3,500米ドルから、ヴィラは1平方フィートあたり4,000米ドルから販売される。

 Bコープの創業者であるビンセント・タン氏は、沖縄は日本国内からだけではなく、近隣の韓国、台湾、中国からも多くの観光客が訪れているとし、コンドミニアムとヴィラの販売から4億ー4億5,000万米ドルの純利益を見込んでいると言明。日本政府の外国人投資家を対象とした税制優遇措置により、リターンが見込めると述べた。今後、横浜にもフォーシーズンズ・ホテルを建設するなど、日本国内でフォーシーズンズ・ホテルを展開していくという。軽井沢や箱根の土地も購入したとしている。

 フォーシーズンズ沖縄は、日本で5軒目のフォーシーズンズ・ホテルとなる予定で、Bランドが運営するフォーシーズンズ・ホテルとしては、「フォーシーズンズ京都」に次ぐ2軒目となる。Bランドは沖縄のうるま市にもアンサ沖縄リゾートを所有している。
(ザ・サン電子版、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、3月4日)