コタキナバル空港の移転計画はない=ローク運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は11日に行われた下院質疑の中で、サバ州コタキナバル(KK)に新空港を建設する計画はないと言明した。ローク氏は新空港建設には巨額の費用がかかるためだと説明、その代わりにKK市内に近い既存空港(KKIA)の最適化を進めると述べた。

サバ州政府系投資会社のカザナ・サバ(QSB)は2022年6月、60キロメートル離れたキマニスに空港を移転する可能性について検討するため、ベルジャヤ・ランドと覚書を締結。2023年7月に「空港移転には3ー5年を要する」という見通しを発表した。しかし今年1月、ハジジ・ノール州首相は空港を急いで移転する必要はないと述べ、あと10年はこのまま現空港を維持する考えを示した。

ローク氏は「これまで提案に上っている新空港の立地はKKからは40ー50キロメートル離れた場所だ。一方でKKIAは市内中心部にも近く、利便性が高い。そのためKKIAのターミナル拡張や滑走路延長の可能性を検討している。第2ターミナルの強化も検討中だ」と述べた。

ローク氏によると、空港運営会社、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)はKKIAの旅客取扱能力を年間900万人から1,200万人以上に増やすため、ターミナル1の改修も検討しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、3月11日)

中古車仲介「マイトゥカー」が「カロ・マレーシア」に改称

【クアラルンプール】 中古車仲介のオンラインプラットフォーム「マイトゥカー」を運営するカロは、ブランド名「マイトゥカー」を「カロ・マレーシア」に変更すると発表した。米国での上場を視野に入れたもので、数カ月をかけ、段階的に変更を行っていくとしている。

カロは、シンガポールに本社を構え、マレーシア、インドネシア、タイ、日本、台湾に進出している。マレーシアでは、中古車仲介サービスに加え、保険や融資、アフターサービスなども提供しており、国内に販売センター11カ所、検査センター27カ所、整備工場5カ所、改装センター2カ所を構えている。

ブランド名変更記念式典に参加した、カロのアーロン・タン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、同社は最近香港での企業買収を発表しており、今年度はアジアで2地域に新規参入する予定もあると言明。また、米国での上場を見据え、コンプライアンスや管理体制も整備していると述べた。一方、具体的な上場時期については市場環境次第とし、明言を避けた。

カロの2024年度のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は、前年比10倍以上となる4,000万米ドル(1億8,700万リンギ)近くに達しており、過去最高を更新する見込みとなっている。
(ザ・サン電子版、ビジネス・トゥデー、ポールタン、3月11日)

西海岸高速道路の第11工区が開通、5月11日まで通行料無料

【クアラルンプール】 西海岸高速道路(WCE)のペラ州タイピン・セラタン(南)ーベルアス間の第11工区が11日に開通した。当初は2023年内に完成する見込みだった。

開通式に出席したアレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、第11工区は3月12日ー5月11日の期間、通行料が無料になると発表した。同区間を利用すると所要時間が従来の55分から20分に短縮され、タイピン動物園、タイピン湖庭園、マタンマングローブ林保護区、ペラ博物館、レミスビーチ、パンコール島など、ペラ州の観光地へのアクセスも容易になる。区間内にはバイクシェルター6カ所、休憩施設(R&R)2カ所、野生動物横断トンネル2カ所も設置されている。

WCEはセランゴール州とペラ州を結ぶ高速道路で、全長は314.5キロメートル(km)。11工区に分けての建設工事が行われており、現時点で6工区が開通している。工事進捗率は93%で、2025年末までに完成する予定。全区間開通後には南北高速道路(NSE)の混雑の緩和につながり、クラン港などの港湾への主要物流ルートになることも期待されている。
(ポールタン、ベルナマ通信、3月11日)

ミニマートの99スピードマート、IPOで事業拡大資金を調達

【クアラルンプール】 小規模食料品店を展開する99スピード・マート・リテール・ホールディングスは11日、新規株式公開(IPO)のための仮目論見書を証券委員会(SC)に提出した。創業者とその家族は総発行株式の17%を手放す。
仮目論見書によると、上場後の一般株主の持ち株比率は最少で増資後の15%になる。通常は同25%。株式公開価格は未定だが、最大15億リンギ規模の資金調達になる見通しだ。
公開株式数は14億2,800万株で、10億2,800万株が売り出し株、4億株が新株式。機関投資家、および特定の投資家向けは12億1,800万株、小口向けは2億1,000万株で、一般公募分は1億6,800万株。
99スピード・マートは調達した資金を、新規出店と配送センター増設、配送用トラックの購入に充てる。現在の店舗数は2,542店で、2025年末までに3,000店にする計画だ。
創業者のリー・ティアムワー氏は中国食品販売店から身を起こし、小売チェーン展開に乗り出し、ミニマート王と称されるまでになった立志伝中の人。小児まひのため足を失い、車いす生活を送っている。バーガーキングのマレーシア、シンガポール事業を所有している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月12日、エッジ、3月11日、99スピードマート発表資料)

B2B物流のサービス税免除範囲を拡大、二重課税回避で=財務省

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は11日、企業対企業(B2B)物流サービス事業者を対象としたサービス税免除の範囲を拡大すると発表した。

アミル・ハムザ氏は、関係者との25回にわたる意見交換会の結果、二重課税の影響を軽減するため、物流部門に対するサービス税免除の範囲を拡大することを決定したと説明。具体的には、貨物輸送のみではなく、船積み、倉庫保管、港湾、コールドチェーン施設なども免除対象とする。さらに直接輸出商品、積み替え、中継、宅配、オンライン注文の食品・飲料配送などの物流サービスに対してもサービス税を免除するとした。

財務省は、物流業界との意見交換を今後も継続し、ガイドラインの修正を行っていく。また、新規設立された課税対象の物流業者に対しては、1カ月の猶予期間が与えられ、4月1日から6%のサービス税が課されることになるとしている。

2024年度予算案では、物流サービスは3月1日付けで6%のサービス税課税対象となるとされていたが、マレーシア製造業者連盟(FMM)などが「物流チェーン全体に影響を及ぼし、国内で販売される商品のコストを上昇させる懸念がある」として政府に課税の延期を求めていた。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月11日)

KLミッドタウンのハイアットリージェンシー、2025年開業へ

【クアラルンプール】 2021年12月より建設が進められてきた、米ハイアットの5つ星ホテル「ハイアット・リージェンシー・クアラルンプール・アット・KLミッドタウン」は、2025年にオープンする見通しだ。8日に上棟式が行われた。

マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)に隣接しており、部屋数は306室。104室がサービススイートで、大宴会場やイベント会場、レストラン2カ所も付属する。8.95エーカーの複合開発「KLミッドタウン」に含まれており、近隣にはオフィス棟、住宅棟、イオン・モール(総面積50万平方フィート、2025年末完成予定)も建設される。KLミッドタウンの総開発費は50億リンギ。

ハイアット・リージェンシーおよびKLミッドタウンの開発はKLミッドタウン社が担当している。同社は複合企業のハップ・セン・コンソリデーテッドの子会社ハップ・セン・ランドと不動産開発のナザTTDIの子会社TTDI KLメトロポリスの間の合弁会社。

ハップ・セン・コンソリデーテッドのトーマス・カール・ラップ会長は声明で、本ホテルは同社にとり、サバ州コタキナバルの「ハイアット・セントリック・ コタキナバル」に続く2軒目のハイアット・ホテルだとし、ハイアットとの協業は、同社のホスピタリティへの取り組みが成功している証だと述べた。
(ザ・スター電子版、エッジ、3月8日)

首都圏の公共交通機関乗り放題乗車券、外国人観光客にも発売

【クアラルンプール】 公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアは、8日付けで乗り放題乗車券「マイシティ・パス」を外国人観光客にも利用できるようにしたと発表した。公共交通網の利用促進および観光活動の活性化を目的としている。

「マイシティ・パス」が利用できるのは、軽便鉄道(LRT)、大量高速輸送(MRT)、モノレール、ラピッドKLバス、高速バス(BRT)。外国人の場合、1日券が10リンギ、3日券が25リンギとなる。

マレーシア人対象の1日券は8日付けで1リンギ値上がりして6リンギとなった。3日券は従来と変わらず15リンギ。プラサラナは、MRTプトラジャヤ線が昨年全線開通し、LRTシャアラム線が2025年に開通するなど、首都圏の鉄道網の拡大に伴う値上げだとしている。

「マイシティ・パス」は、プラサラナが提供する「PULSE」アプリ経由でオンライン購入できるほか、LRT、MRT、モノレール、BRTの各駅カウンターや一部のバス乗り場などでも購入できる。
(ビジネス・トゥデー、ポールタン、3月8日)

今年のラマダン入りは3月12日、統治者会議が発表

【クアラルンプール】 2024年のマレーシアのラマダン(断食月)入りは3月12日からと決まった。統治者会議の事務方トップである印章管理人、サイド・ダニアル・サイド・アハマド氏が10日、明らかにした。

クアラルンプール(KL)タワーやプトラジャヤ国際コンベンションセンターなど全国29カ所の観測地点で行われた新月の観察で決定した。シンガポールやインドネシアの宗教当局も同じく3月12日のラマダン入りを発表した。

ラマダン終了日も観測により正式決定されるが、現状では4月8日前後の予定で、その後はラマダン明けを祝うハリラヤが10、11の両日開催される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ザ・サン、3月11日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、3月10日)

岐阜県産品フェア、蔦屋書店ブキジャリル店で開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 岐阜県は8ー31日の日程で、クアラルンプール(KL)郊外のショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」内の蔦屋書店で岐阜県産品フェアを実施すると発表した。

岐阜ブランドの認知度向上を目的としたプロモーション活動の一環。蔦屋書店内に岐阜県産品販売コーナーを設置し、7社・計120商品を販売する。美濃和紙の折り紙やハンドタオル、爪切り、箸置きなど、伝統工芸品を中心とした品揃えとなっている。

岐阜県は、マレーシアへの販促活動に力を入れており、昨年7月にも古田肇 知事が岐阜ブランドの魅力を世界へ発信する「飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクト」の一環として、KLを訪問している。

日本ガイシ、マレーシアで絶縁放熱回路基板の生産を増強

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本ガイシ(本社・愛知県名古屋市)は7日、パワー半導体モジュール向けの絶縁放熱回路基板の生産能力を、2026年度までに現在の2.5倍に増強することを決定したと明らかにした。

 ペナンに拠点を置く製造子会社、NGKエレクトロデバイスマレーシアと愛知県内の製造子会社、NGKセラミックデバイスの設備を増強し、全体の月間生産能力を現在の約10万枚から2026年度に約25万枚に引き上げる。投資額は約50億円を予定している。

 絶縁放熱回路基板は、モーターの駆動制御や発電機などの電力変換を行うパワー半導体搭載部品(パワー半導体モジュール)に使われる製品。パワー半導体が駆動する際に発生する熱を逃がすことで、安定駆動させる役割を担っている。

 窒化ケイ素製の絶縁放熱回路基板は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のモーター制御用のインバーターなどに使われており、大電力による高温環境下でも安定した動作が要求される炭化ケイ素(SiC)製のパワー半導体への採用が増えているという。

 日本ガイシは声明の中で、同社の窒化ケイ素製絶縁放熱回路基板は、独自の接合技術により高い信頼性と優れた放熱特性を実現しており、パワー半導体の性能を最大限に引き出す製品として、2019年から欧州・日本のパワー半導体メーカー数社で採用されていると強調。世界的なEV化の進展に伴い、車載用途向けに需要が拡大しており、中長期的にさらなる市場拡大が見込まれるとしている。