【クアラルンプール】 一部の高額商品を対象とした高額物品税(HVGT、贅沢税)について、当初予定されていた5月1日付けの実施が延期された。財務省から関連法案が提出されないまま、国会が3月28日で閉会になったためで、実施は早くても次回国会(6月24日ー7月18日)での法案可決後になる。

リム・フイイン副財務相は、英字紙「ザ・スター」に対して「法律が慎重に策定されるためには業界との対話を続ける必要がある」と実施延期を認めた上で、「HVGTの新たな実施日については後日発表する」と回答。観光セクターに影響を与えないようにするため、観光客向けに空港における税還付制度を導入するとした上で、ラブアン、ランカウイ、パンコール、ティオマンなどの免税区ではHVGTは適用されないと述べた。

延期の理由について経済紙「ザ・エッジ」は情報筋の話として、法案策定に向けて小売業界関係者と協議が進められていたが、「高額商品」の定義や課税対象品目の価格帯をめぐる意見の相違によるものだと伝えた。マレーシア金協会(MGA)は先ごろ、金宝飾品に対するHVGTについて、5万リンギ以上という高い基準値と税率5%を提案していた。

HVGT法案は、昨年2月に再提出された2023年予算で初めて発表された。 税率については5ー10%の範囲になると予想されている。政府はHVGTの導入により年間7億リンギの税収を目指している。ただ適用範囲については、予算案で宝飾品と高級時計だけが言及されただけで、内容は一切明かされていない。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月29日、エッジ、3月28日)