断食明けを誤って4分早く呼びかけ、モスクが謝罪

【カジャン】 セランゴール州カジャンにあるプリマ・サウジャナ・モスクがラマダン(断食月)の真っ只中である3月30日、断食明けの時間である日没を知らせるマグリブのアザーンを誤って公定時間より4分早く流すトラブルがあり、謝罪に追い込まれた。

問題のモスクは3月28日にオープンしたばかりで、モスクのナジル(監督者)であるモハマド・アスリ・ハルン氏は技術的な問題が原因だと説明。意図せず断食破りをする羽目となった周辺のイスラム教徒に謝罪した。誤ったアザーンに従って断食を解いた信者は、別の日に改めて断食をする必要があるという。

アスリ氏によると、事件についてはすでにセランゴール州イスラム宗教局(JAIS)に報告した。しかし同モスクのフェイスブックには、時間ミスの問題に関する公式声明は掲載されていないため、なぜモスクが公式謝罪と説明を行わないのか疑問の声も上がっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ラクヤット・ポスト、3月31日)

【イスラム金融の基礎知識】第541回:ウガンダ、初のイスラム銀行が開業

第541回:ウガンダ、初のイスラム銀行が開業

Q: ウガンダで初のイスラム銀行が誕生しましたが、経緯は?

A: ウガンダで同国初のイスラム銀行が創業、3月27日に大統領や隣国の外相を迎えてオープニング・セレモニーが華々しく実施された。この国にとって20年越しの目標達成ということになる。

ウガンダは人口4700万人ほどの東アフリカの国で、ムスリム人口比率は13.7%と少数派ながら、イスラム協力機構(OIC)の加盟国である。他方、経済面では1人当たりのGDPが2,200米ドル程度、銀行口座保有率が66%となっており、開発途上国であると言える。

イスラム金融をめぐっては、2002年にマレーシアで発足したイスラム金融機関の国際機関であるイスラム金融サービス会議(IFSB)にウガンダ中央銀行が加入するなど、かねてから関心を寄せていた。2016年から2023年にかけて具体的な法律や税制が改正され、イスラム銀行のライセンス制度が整えられた。この間、複数の事業者がイスラム銀行業に関心を示し、実際にOICから支援を受けて銀行を創業する動きがあったと大手メディアが報じたこともあった。2023年9月に初めてイスラム銀行業のライセンスを取得したのは、ジプチに本社がありケニアをはじめアフリカ諸国でイスラム銀行ビジネスを展開しているサラーム・グループである。ウガンダでもサラーム銀行という名称でビジネスを開始することになった。

式典に参加したムセベニ大統領は、イスラム銀行はすべてのウガンダ国民が宗教や民族にとらわれず平等に扱われるための手段であるとし、イスラム銀行を通じて「貧困と戦い、富を生み出すことを勧める」と語った。また現地のムスリム・コミュニティを代表してスピーチをしたイスラム法学者は、「大統領はこの国の少数派であるムスリムに配慮を示す良き指導者だ」と感謝を述べた。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

マリオットリゾート、プルヘンティアン島にオープン

【クアラルンプール】 マリオット・ホテルズは1日、トレンガヌ州沖のリゾート島、プルヘンティアン・ケチルに「プルヘンティアン・マリオット・リゾート&スパ」を正式オープンした。マリオット系列のホテルの進出は同州ではこれが初めて。

リゾートは、クランタン州コタバルから1時間ほどの距離にあるクアラ・ベスットからフェリーが運航されているプルヘンティアン・ケチルの北西岸に位置。客室200室、ヴィラ17室、レストラン3カ所を有し、フィットネスセンター、ヨガデッキ、スイミングプール、ジャグジー、スパ&ウェルネス、LEDスクリーンを備えた面積551平方メートルのグランドボールルームなどの施設を備える。

またリゾート内の施設には、ダイビングセンターやトレンガヌの伝統芸術・工芸に関するワークショップ、デモンストレーション、アクティビティを開催する工芸&文化センターなどもある。
(エッジ、トラベル・デイリー・ニュース、4月1日)

水素技術は成熟、120億リンギの収益目標達成は十分可能

【プトラジャヤ】 チャン・リーカン科学技術革新相は、マレーシアでは水素燃料自動車技術がすでに確立されており、「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」の「2030年までに120億リンギの収益」という目標は、グリーン水素の輸出によって十分達成できるという期待を示した。

チャン氏は1日、同省で行われた移動式水素燃料補給ユニット及び水素燃料車のデモンストレーションに出席し、「水素燃料に関する技術はすでに成熟しており、車両も入手可能だ。我々がしなければならないのは需要と供給の両方を生み出すことだ」と言明。需給の創出や強固なエコシステム実現に向け、モビリティ分野での利用技術と供給側のグリーン水素生産の両方を促進したいと述べた。移動式水素燃料補給ユニットは年末までにプトラジャヤに設置される予定だという。
その上でチャン氏は、水素燃料車のメリットとして燃料補給時間が3ー5分と電気自動車(EV)より短いこと、航続距離が700―1,000キロメートルと長いこと、車両重量が軽いことを挙げた。

一方、チャン氏は、詳細な水素燃料車の実用化計画はまだ策定されていないと言明。水素が商用化され大量生産されるようになればガソリンと競合できるだろうが、マレーシアでは多額の

補助金が出ているためガソリンが非常に安価となっていると指摘した。
同日のデモにはアンワル・イブラヒム首相も出席し、チャン氏と共に首相府庁舎までトヨタの水素燃料自動車「ミライ」に試乗。チャン氏によると、アンワル首相は水素燃料自動車に大変関心を持っている様子で、第一印象としてエンジンがとても静かだったと述べていたという。
(マレー・メイル、ザ・サン電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、4月1日)

車載電子部品製造のベータメック、三信を1344万リンギで買収

【クアラルンプール】 自動車向け電子部品製造サービス(EMS)のベータメックは1日、三信電気(本社・東京都港区)の現地法人で、チューナーやカーステレオの製造に携わる三信エレクトロニクス(マレーシア)を1,344万リンギで買収すると発表した。

ベータメックがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、三信の製品や生産能力が加わることで、ベータメックの製品ラインナップが広がり利益率が向上し、自動車、家電、工業製品の分野において日本、香港、タイなどのすでに確立された市場に即参入できると述べた。ベータメックが中国・深セン市衆鴻科技との合弁で開発する新製品の生産サポートも期待できるという。買収は9月までに完了する予定で、買収資金はすべて内部資金で賄う。

ベータメックのムハンマド・ファウジ取締役は、三信の買収によるシナジー効果に期待していると言明。マレーシアと東南アジア全域の電気自動車や自動車部門の進化するニーズに対応し、革新的なソリューションを提供していくと述べた。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、4月1日)

インターネット接続のIIJ、海外顧客向けITサポートを強化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 インターネット接続サービスのインターネットイニシアティブ(IIJ、本社・東京都千代田区)は1日、海外顧客向けITサポートサービス強化に向け、同業務をマレーシア現地法人であるPTCシステムズに移管し、同日付けで運営開始したと発表した。組織運営を効率化するとともに、「IIJグローバルサポートセンター」として提供業務を拡大する。

従来は、約300社の海外進出企業および現地企業向けのバイリンガルITサポートサービスは、IIJグローバル・ソリューションズ・シンガポールが2019年にマレーシアに開設した地域事務所が担当していたが、地域事務所の形態では営業活動に制限があったことから移管を決定した。PTCシステムズが担当することにより、マレーシアおよび他国の現地企業や海外進出企業の要望に直接対応できるようになる。IIJは2023年12月にシステムインテグレーション(SI)事業を営むPTCシステムズの全株式を取得し、完全子会社化したと発表していた。

「IIJグローバルサポートセンター」では現地企業や海外進出企業の要望を汲み取りつつ、より高品質なITサポートサービスを提供していく方針だ。