「国が誤った方向に進んでいる」が増加=イプソス世論調査

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソス・マレーシアが実施した最新の世論調査で、マレーシアが「正しい方向に進んでいる」との回答は53%となり、「誤った方向に進んでいる」(47%)を上回ったが、今年に入ってから「誤った方向に向かっている」が増加傾向にあることが分かった。

「マレーシア人は何を心配しているか?」と題するリポートによると、「正しい方向に進んでいる」は前回総選挙直後の昨年1月には74%に達していたが、その後徐々に下降を続け、ここ2カ月は続落している。一方で、「誤った方向に進んでいる」は2023年1月には26%だったが、その後徐々に上昇。ここ2カ月は続伸している。

懸念内容については、「金融と政治の汚職」が50%でトップとなり、前年同月比では1ポイント下がったが、前月から3ポイントアップした。これに「インフレ」(38%)、「失業」(32%)、「貧困・社会的不平等」(31%)、「税金」(23%)と続いた。特に税金に対する懸念は前年比で12ポイントも増加しており、2023年10月に発表された2024度予算案で政府がキャピタルゲイン課税や高額物品税(HVGT、贅沢税)などのいくつかの新税が盛り込まれたことが影響したとみられる。

イプソス・マレーシアは、「近いうちにマレーシアの方向性について悲観的なマレーシア人の方が多くなるだろう」と指摘。調査結果は政府による物価対策や政府高官の汚職事件の処理に対する懸念を背景に、国の運営方法に対する満足度が継続的に低下していることを示唆しているとしている。
(マレー・メイル、エッジ、4月18日、イプソス発表資料)

第20回国際ハラルショーケース、9月17-20日に開催

【クアラルンプール】 国内最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2024」の開催が18日、オンラインで正式発表された。今年で20回目となるMIHASの会期は9月17―20日で、会場はマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)。

主催者代表のテンク・ザフルル投資貿易産業相は、世界のハラル市場におけるマレーシアの主導的役割を強調し、ハラル製品の輸出額が2022年に600億リンギに達したと強調。マレーシアの経済発展と雇用創出に対する貢献を称えた。

投資貿易産業省などと共にMIHASを主催するマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)のリーザル・メリカン長官は、今後数年のうちにMIHASを中国や欧州でも開催する計画があると言明。「これらの地域に進出することで我々は貿易と協力の新たな機会を創出し、MIHASをこれまでにないレベルに引き上げることを目指す」と述べた。

MIHAS2024では、マレーシアを含む45カ国・地域から2,000のブース出展、4万人以上の来場者を目標に掲げている。前回のMIHAS2023には44カ国・地域から1,040のブースが出展。来場者は100カ国・地域から3万8,566人に上り、延べ2,788回の商談が行われた。成約額は約32億リンギに達した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月19日、ビジネス・トゥデー、4月18日、MIHAS公式サイト)

【総点検・マレーシア経済】第495回 マレーシアの第1四半期のGDP成長率(予測値)は3.9%、予想を上回る

第495回  マレーシアの第1四半期のGDP成長率(予測値)は3.9%、予想を上回る

4月19日、統計局はマレーシアの2024年第1四半期のGDP成長率の事前予測値を前年同期比3.9%と公表しました。23年の四半期別GDP成長率は第1四半期から、5.6%、2.9%、3.3%、3.0%と推移していましたので、3.9%という成長率は1年ぶりの高い数字となります。

3.9%という成長率には、見た目以上のインパクトがあります。図は2022年〜24年のマレーシアの四半期別GDPを金額で示したものです。23年第1四半期のGDPは第1四半期としては高い水準となっています。今回の3.9%成長は、この高いベースと比較しての成長率なので価値が高いと言えます。

筆者は本連載第481回で、24年通年のGDP成長率を4.5%と仮定した場合の四半期別GDPの図を示しました。その図では、24年第1四半期のGDP成長率を3.0%、その後の3四半期は4%台の成長が続くと想定していました。また、「24年の第1四半期の経済成長率が3.0%を超えるようだと通年での成長率は4%台後半、下回るようだと4%台前半になる可能性が強くなる」と述べています。この想定からすると、24年第1四半期の成長率が3.9%ならば、通年の成長率は5%を超えても不思議はないことになります。

3.9%成長の中身を詳しく見ると、サービス業が4.4%増(23年第4四半期は4.2%増)、製造業が1.9%増(同0.3%減)、鉱業が4.9%増(同3.8%増)、農業が3.8%増(同1.9%増)、建設業が9.8%増(同3.6%増)となっています。サービス業が引き続き堅調なのに加えて、製造業もマイナスからプラスに転換しました。建設業が大幅に伸びているのも目を引きます。

同日発表されたマレーシアの24年3月の輸出は前年同月比0.8%減でしたが、ようやく下げ止まりの傾向が見えはじめています。23年は内需が堅調な中で、輸出の不振がGDPを下振れさせていましたが、輸出が底打ちすれば、24年のGDPは予想よりも高くなる可能性があります。あくまでも3.9%の事前予測値が正しいことが前提ですが、筆者は24年通年でのGDP成長率が5%を超える可能性も出てきたと考えます。

熊谷 聡(くまがい さとる)
Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。
【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

ランカウイの地下集水施設、日本に技術チームを派遣

【アローセタル】 ケダ州政府は、ランカウイ島での地下集水施設建設に向け、技術チームを日本に派遣すると明らかにした。日本の先行事例を視察する。

ケダ州のムハンマド・サヌシ首相は、同州水資源局で3億リンギの予算が承認されたとし、日本の多くの島では地下に集水施設を有しているため参考にしたいと述べた。同様の施設の建設はマレーシアでは初となる。日本のコンサルタントによると、ランカウイの地下部では側面と底面に岩が広がり、上部に川があるため、水をせき止めやすく、集水施設の建設に適しているという。

ケダ州政府は、ランカウイ島の水不足問題への対策として以前から地下水の利用を検討しており、先月にはランカウイ島のパダン・マット・シラットで試験プロジェクトを実施すると発表していた。
(ザ・サン電子版、ベルナマ通信、4月17日)

第1四半期のGDP成長速報値、プラス3.9%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は19日、2024年第1四半期(1ー3月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。すべてのセクターで改善したとして前期(10ー12月期)のプラス3.0%を上回るプラス3.9%と予測した。正式発表は5月17日を予定している。

セクター別では、牽引役のサービス業は、前期のプラス4.2%からプラス4.4%にやや加速。卸売・小売業、輸送・倉庫、ビジネスサービスのサブセクターが貢献し、金融・保険も回復した。

前々期に0.1%、前期に0.3%とマイナス成長が2期続いた製造業は、植物性・動物性油脂、食品加工が減速したものの、非金属鉱物製品、卑金属・金属加工品、輸送機器・その他製造・修理の伸びが貢献し、1.9%のプラス成長に復帰した。

農業はアブラヤシや畜産が伸びたものの林業・木材・漁業の減速が影響して、前期のプラス1.9%からプラス1.3%に減速した。 鉱業・採石業は天然ガスの生産増に下支えされて前期のプラス3.8%からプラス4.9%に加速した。

一方、建設業は非住宅建設が減速したものの、土木や特殊建設、住宅建設の成長により前期のプラス3.6%からプラス9.8%に大幅加速した。

インドネシアの火山噴火、2万人以上の航空旅客に影響

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 インドネシアの北スラウェシ州にあるルアン山が17日夜に大規模噴火したことを受け、18日に東マレーシアの空港を発着するマレーシア航空とエアアジアのほとんどの航空便が欠航となった。影響を受けた航空旅客は2万人以上に及んだ。

マレーシア民間航空局(CAAM)によると、ルアン山はマレーシアより約800キロメートル(km)離れているが、コタキナバル飛行情報地域内で噴火による火山灰雲が観測された。火山灰雲は航空機のエンジンや電子機器、システムなどに深刻なダメージを与える可能性があるため、欠航となったという。2010年にはアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトルの噴火により、欧州の多くの空域が閉鎖されている。

マレーシア航空は、欠航の影響を受けた乗客に対し、1回限りの旅程変更(追加料金不要)または全額払い戻しを行うとしている。ウェブサイトや電話で受け付けるという。

エアアジアも、30日以内に同一路線での日程変更(1回限り、追加料金不要)あるいはエアアジア・リワードにフライト予約権を2年保持できるとした。

ルアン山の噴火は16日に始まり、17日にかけて4回発生した。現地では少なくとも800人が避難している。