リモートワークに適した都市ランキングでKLが世界22位に

【クアラルンプール】 グローバル人材採用プラットフォームのリモートが世界100都市を対象に実施したリモートワークに適した都市に関する調査で、クアラルンプール(KL)のリモートワーク地としての評価は、2022年の84位から22位に躍進した。

「ベスト・リモートワーク地」調査は、▽生活の質▽安全性▽インターネット・インフラ▽生活費▽インフレ率▽魅力▽開放性▽リモートワーカーへのインセンティブーーの8項目で100都市を評価したもの。KLは、リモートワーク向けビザやインセンティブプログラムの充実度においてトップ5を確保した。

リモートは、「KLの魅力は、安価な生活費、デジタルノマドにとって魅力的なインセンティブ、高速で信頼性の高いインターネットサービスなどを兼ね備えていることにある」と指摘した。

ランキングトップはマドリード(スペイン)で、マデイラ(ポルトガル)、トロント(カナダ)、オークランド(ニュージーランド)が続いた。アジアトップは東京の5位で、KLのほか8位の台北や18位のバンコクなど、アジアの他都市も上昇傾向にある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ザ・サン電子版、4月19日)

科学技術革新省、米エヌビディアと共同でAI導入支援を開始

【クアラルンプール】 科学技術革新省(MOSTI)は18日、半導体大手の米エヌビディアと共同で、人工知能(AI)サンドボックス試験プログラムを開始すると発表した。

チャン・リーカン科学技術革新相によると、同プログラムは、政府機関の国家技術革新サンドボックス(NTIS)がエヌビディアと協業し、AI人材の育成や概念実証などにより、AI技術の導入促進を目指すもの。AI技術の具体的な利点や実行可能性を明らかにし、AI投資で得られるリターンや利点を示す。

同プログラムでは、2026年までにAIスタートアップ企業900社の設立、AI人材1万3,000人の育成、経済成長の10%向上を目標に掲げている。知識集約型経済に向け、政府が掲げる「2030年までに売上高10億リンギのAI企業を100社育成する」という目標にも合致しているという。

具体的には、マレーシア技術革新研究加速機関(MRANTI)が事務局を務め、プログラム第1期をオンラインで開始する。参加対象はAIスタートアップ企業。エヌビディアは、専門ラボの提供やAIソリューションのテストなどの面でプログラムを支援する。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、TNグローバル、4月19日、ザ・スター電子版、4月18日)

化学・エネルギーの韓国OCI、KLに地域本部を開設

【クアラルンプール】 化学・エネルギーの韓国OCIホールディングスは、クアラルンプール(KL)に地域本部を正式に開設したと発表した。

同社はすでに製造拠点をマレーシア国内に構えているが、KL本部では、マレーシアに加え、日本、中国、フィリピンにおける予算、事業計画、投資計画の策定機能を統合する。また、複数の国にまたがる子会社を管理し、東南アジア以外の世界的な投資事業にも関与する。

OCIのイ・ウヒョン会長は、地域全体の利害関係者、パートナー、顧客企業との協力関係を促進することを目指しKL本部を開設したとし、今後、重要拠点として機能させていくと述べた。

OCIはサラワク州で太陽光発電用多結晶シリコン生産施設や水力発電によるエピクロロヒドリン(ECH)製造工場を設立しており、2023年12月には日本の総合化学工業メーカー・トクヤマとの間で、マレーシアにおける半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産に関する契約を締結し、合弁会社を設立すると発表している。
(ザ・スター、4月22日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、4月19日)

ネット専業イオン銀行、第2四半期に営業開始へ

【クアラルンプール】 インターネット専業銀行のイオン銀行(M)は第2四半期末までに業務を開始する見通しだ。マレーシア初のデジタル・イスラム銀行となる。

ラジャ・テー・マイムナ最高経営責任者(CEO)は、テクノロジーに精通したZ世代の消費者や、従来の借り入れ方法では資金を調達できない零細・中小企業(MSME)を想定顧客としているとし、個人向け貯蓄口座や関連取引から業務を開始し、徐々に他商品や融資などにサービスを拡大していくと述べた。企業向けサービスについては、2025年までに開始する予定。同行は米アップルのデジタル決済「アップルペイ」機能の導入にも取り組んでおり、年内にデビットカードを発売する予定だという。

イオン銀行(M)は、イオンクレジットサービス(マレーシア)とその親会社である日本のイオンフィナンシャルサービス(AFS)が設立するもので、シャリア(イスラム法)に準拠したデジタル銀行サービスを提供する。
(ザ・スター、4月22日、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月19日)

日系企業アンケート、今年の景気予測は改善の見通し

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)は22日、日系企業を対象に行った最新のアンケート調査結果を発表。2024年の景気予測については、「良好」から「悪化」を引いたDI値がプラス0.5と改善の見通しとなった。

同調査は日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所と共同でJACTIM加盟法人を対象に1月29日から2月19日にかけて実施したもので、217社が回答した。

2023年下期の業況判断DIはマイナス22.1と、前年下期から14ポイント悪化。JACTIMは今年については改善見込みではあるものの、外需低迷の長期化が懸念されることや、財政健全化を目的とした増税や補助金の見直しによるコスト増が見込まれることから、先行き不透明の状態が続いていると分析した。

2023年下期の利益水準DIはプラス42.9で、前期比で1ポイント改善。利益率DIはマイナス11.5と前期比6.2ポイント改善。2024年通年予想は利益水準DI、利益率DI共に更なる改善見込み。

中長期的なマレーシアの投資先としての課題については、 「高度人材の確保」、「頻繁な規制変動」、「一般ワーカー不足」が上位となった。「高度人材の確保」は前回調査比約10ポイント増加し最多だった。一方で、「一般ワーカー不足」は非製造業で約15ポイント減少した。必要とする高度人材について具体的には、IT関連で開発エンジニアやITセキュリティ人材、専門知識を有する技術者、マネジメント人材、企画部門人材などが挙がった。

今後のマレーシアにおける事業方針については、製造業の3割超、非製造業の5割が他拠点からの移転やM&Aを含めて拡張を検討していると回答。新規進出でマレーシアを選択した理由としては、「顧客(納入先)の集積」が最多で、「合弁等出資パートナーの存在」や「市場規模」も上位に上がった。

外国人労働者比率(ローカル80%:外国人労働者20%)条件については、製造業の半数以上が対象だと回答。2025年以降に比率達成は可能とする企業も5割近くに上る一方、3割超の企業は達成困難と回答しており、2030年以降への施行時期再延長もしくは制度見直しなどの実態に沿った対応を望んでいることが分かった。

電子インボイスの導入については、全体で64.8%の企業が懸念を抱いていることが分かった。特に製造業では73.7%と高かった。具体的な懸念事項として、自社システム構築(スケジュール上の懸念)を挙げている企業が、特に製造業では50%と極めて高かった。また全体の35.2%の企業がコスト面を不安視していると答えた。一方、自社の準備だけでなく、政府のシステム構築等スケジュールに懸念を抱く企業も38.9%に上った。
(ザ・スター、4月22日、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月19日)