中国ラッキンコーヒー、マレーシアに進出か

【クアラルンプール】 中国のコーヒーチェーン瑞幸珈琲(ラッキン・コーヒー)がマレーシアに進出するもようだ。経済紙「エッジ」が情報筋の話として20日、報じた。

情報筋によると、中国国外ではシンガポールに次ぐ2カ国目の進出で、上場企業を現地パートナーとして迎える予定だ。

ラッキン・コーヒーは2017年に北京で創業し、現在は厦門に本社を構える。当初は米スターバックスの模倣店だとみなされていたが、2023年に茅台酒製造の貴州茅台と共同で開発した醤香ラテ(白酒風味の濃厚ラテ)が大ヒットし、独自性を打ち立てている。現在では中国国内に1万8,558店舗を有し、うち1万2,167店舗が直営店、6,391店舗が提携店。シンガポールでは32店舗を運営している。2019年に米ナスダックに上場したが、粉飾決算により2020年に上場が廃止されている。

専門家はマレーシアでのラッキン・コーヒーの成功の可能性について、「親イスラエル企業とみなされボイコットの対象となっているスターバックスに代わって人気を得られる」という見方がある一方、「地元のZUSコーヒーやギギ・コーヒーがすでにスターバックスの穴を埋めており、市場は飽和状態にあるため苦戦する」という見方もある。
(エッジ、ライフスタイル・アジア、6月20日)

【総点検・マレーシア経済】第499回 マレーシアの5月の輸出額、米国向けが中国向けを上回る

第499回 マレーシアの5月の輸出額、米国向けが中国向けを上回る

6月20日、統計局は2024年5月の貿易統計を発表しました。輸出は前年同月比7.3%増、輸入は前年同月比13.8%増となりました。輸出額は1282.2億リンギとなり、5月としては過去最高を記録しました。

図1はマレーシアの過去3年間の月別輸出額の推移を示したものです。2024年(橙線)は2,3月は2023年(青線)とほぼ同水準でしたが、4,5月と2ヶ月連続で2023年を大きく上回りました。5月については通年で過去最高の輸出額を記録した2022年(灰線)も上回っています。2023年4月頃から続いてきた輸出の不振はようやく底を打ったように見えます。

5月の輸出における注目すべき動向としては、米国向けの輸出額が中国向け輸出を上回った点があげられます。図2はマレーシアの米中向けの月別輸出額の推移を2008年1月から2024年5月まで示したものです。米国向けの輸出額が中国向けを上回るのは、2009年2月以来、実に15年3ヶ月ぶりとなります。

2009年は世界金融危機の影響で米国向けの輸出が落ち込んだため中国向け輸出がそれを上回り、以降、長く中国向け輸出が米国向け輸出を上回り続けていました。ナジブ政権下の2013年12月には中国向け輸出は米国向け輸出の2.2倍に達していましたが、2022年以降、両国向けの輸出額が接近しはじめ、2024年5月に遂に逆転したことになります。

6月19日、中国の李強首相と会談したアンワル首相はBRICSに加盟する意向を表明しました。また、翌20日にはマレーシアと中国が南シナ海の領海問題について2国間協議を開始することが報じられました。ナジブ政権下で蜜月状態であった両国は、2018年の政権交代でやや距離を置きましたが、再び接近しつつあるように見えます。

一方で、経済面では米国向け輸出が今回、中国向けを15年ぶりに上回っており、マレーシアはアンワル首相の言葉通り、米中両国に対して中立という立場を実際に実現していると言えます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

ペラ州、25年1月から「宿泊税」3リンギを徴収へ

【クアラルンプール】 ペラ州政府は、2025年1月1日から同州内に宿泊する旅行者に地方サービス料(CPT)と称する「宿泊税」を課すことを決めた。

2023年に州議会で可決された「2023年ホテル条例」に基づいたもので、課金額は1泊当たり3リンギとなる。ホテルのほか、ホームステイ、民泊のエアビーアンドビー(Airbnb)などの短期賃貸を含めすべての宿泊サービスに適用される。課金はペラ州内の観光地におけるサービスの質向上に役立てるという。

同州住宅・地方自治委員会のサンドレア・ン・シーチン議長(国政の閣僚に相当)は、同様の課金制度がすでに他のいくつかの州でさまざまな名称と規定の下で導入されていると指摘。今年末まで行われている「2024年ペラ州観光年」による旅行客増加を考慮して、施行開始を2025年1月1日まで延期したと説明した。

同州ではまた、「2023年ホテル条例」制定に関連して、宿泊業ライセンスの標準化を7月1日に開始する。

すべてのホテル運営者、ゲストハウス、シャレー、ホームステイ、ハウスボートなどの宿泊施設は、観光客にCPTを課す前に自治体(PBT)を通じてライセンスを取得する必要がある。その代わり、準備のための猶予期間を2025年6月30日まで1年間設け、その間は罰金などを科さないとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、6月20日)

【人生の知恵・仕事の知恵】Overcome barriers of languages

Overcome barriers of languages

★文盲のワーカー
先日、日本国内で外国人ワーカーを雇っている日本人経営者が、以下のように嘆いておられました。

「最近、文字が書けない読めない外国人が採用面接にきてね。日本もくるところまで来てしまったのかと心配になったよ」

日本で働くぐらいだから、せめて片言の日本語、あるいは英語を話す準備ができていると思いきや、母国語さえまともに操れない労働者が入ってきていることに、日本の外国人労働者政策が機能していないことが伺えます。

★中間層のいない国々

シンガポールでも、文盲に近いワーカーは大勢働いています。特に、同国は、母国語がないため、学校で教育を受けないと、書けない話せない人たちが大勢います。

筆者も、同国のワーカー向けのトレーニングを行うと、ハンドアウトが読めない、もしくはホワイトボードや模造紙に字が書けない受講者がいて、進行に苦労します。

世界は、日本人の想像以上に、知識レベルで中間層の薄い国がまだまだ存在します。

★末端まで伝える方法を考える

マレーシアの場合も同様で、英語もマレー語も通じないワーカーが現場に大勢働いています。

しかし、そのレベル感は、実際に、そのような人たちと直接コミュニケーションをとってみないと(もっとも、そもそもとれないのですが)肌感覚では伝わってこないものです。

多国籍の共通言語がない職場の中で、いかに方針を徹底させるか、思案のしどころです。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

コートヤードバイマリオット、KLに新ホテルをオープン

【クアラルンプール】 米マリオット・インターナショナルは、中価格帯ブランド「コートヤード・バイ・マリオット」の最新ホテルをクアラルンプール(KL)のジャラン・プチョンにオープンした。

ホテル名は「コートヤード・バイ・マリオット・クアラルンプール・サウス」。ケルジャヤ・プロスペック・プロパティによる複合開発「ブルームズベール@OKR」の一部となっている。

全278室で、スタンダードルーム、デラックスルーム、1ベッドルームスイート、プレジデンシャルスイートの4タイプを用意する。客室には快適なベッド、エルゴノミクスチェア、ワーキングデスク、スマートLEDテレビ、高速Wi-Fi、ネスプレッソコーヒーマシンを備え、スイートにはバスタブも完備されている。
2,100人まで収容可能な1,864平方メートルのグランドボールルーム、5つのセミナールームや会議室、ラウンジとフィッティングルームが付属するブライダルルームなども併設している。

「ブルームズベール@OKR」の総開発価値(GDV)は12億リンギ、面積は5.2エーカー。15日にオープンしたショッピングモール「ブルームズベール・ショッピング・ギャラリー」のほか、高層マンション2棟、オフィスタワーも開発されている。
(エッジ、6月20日)

イオンバンク、5年以内の収支均衡を目指す

【クアラルンプール】 イスラム金融式デジタル銀行のイオンバンク(マレーシア)は5年以内に収支均衡を目指す方針だ。同銀は5月26日に営業を開始している。
親会社であるイオンクレジットのリー・シュウテー最高財務責任者(CFO)によると、営業開始以来、予想以上の前向きな反応が寄せられており、今後も新商品を投入していくという。

前田大輔 代表取締役社長も、イオン店舗によるブランド認知度が高いことに加え、イオンクレジットの有する大きな顧客基盤が競争力を高めていると説明。イオンバンクは口座開設時に3,000イオン・ポイントを提供するなど、ショッピングにおけるメリットも提供できると述べた。

国内ではデジタル銀行として5銀行が承認されており、今後競争が激化することが予想されるため、預金サービス以外にもローンなどの金融商品について検討するという。

イオンバンクにはイオンクレジットとその親会社である日本のイオンフィナンシャルサービス(AFS)が共同出資している。
(ザ・サン、ザ・スター、6月21日、エッジ、6月20日)

マレーシア、大阪関西万博への参加を正式発表

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相は20日、大阪で来年開催される大阪・関西万博(EXPO2025)へのマレーシアの参加を正式に発表した。

投資貿易産業省が主導するマレーシア・パビリオンでは、「調和で未来を紡ぐ」をテーマに、持続可能な農業、エネルギー移行、スマートライフ、先進製造業、環境管理、グリーンツーリズムなどの分野を中心に展示を行う。また、ネットワーキング、マレーシア製品・サービスの紹介、パートナーシップ構築の機会を提供し、ビジネス・マッチングを促進する。

マレーシアは1970年以来、国際万博に参加しており、2020年のドバイ万博では400社以上のマレーシア企業が参加し、見込み顧客数約5,000件、貿易・投資誘致額83億リンギを達成した。関西万博では貿易・投資誘致額130億リンギを見込んでいるという。

大阪・関西万博は2025年4月13日―10月13日まで大阪の夢洲で開催され、160カ国以上が出展する。来場者数は2,800万人を見込んでいる。
(ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月20日)

マレーシア人訪日者数、5月は16.5%増の3万9600人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年4月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万9,600人となり、前年同月比で16.5%増加したが、前月比では13.9%減少した。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行への人気の高まりなどの影響があるものの、直行便数の増加、スクールホリデー等の影響もあり、増加した。なお、新型コロナ前の2019年同月との比較では7.1%減となった。

クアラルンプール―関西間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月を上回っている。

5月の世界全体の訪日者数は、前年同月から60.1%増の304万100人となり、2019年同月からは9.6%増となった。一部市場において学校休暇を含む連休にあわせた訪日需要の高まりに加え、東アジアでは韓国、東南アジアではシンガポール、欧米豪・中東地域では米国などで訪日外客数が増加したことにより、3カ月連続で300万人を突破した。1―5月の累計では1,464万1,500人と、1,400万人を超えている。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。

国民の70%はキャッシュレス決済への移行を志向=ビザ調査

【クアラルンプール】 大手クレジットカード会社のビザが行った調査によると、年齢18歳から65歳までのマレーシア人1,000人のうち、キャッシュレス決済を試みたことがあるとの回答者の割合は70%に上った。年齢層別では特にZ世代(1990年代半ばから2000年代前半生まれの世代)で85%、Y世代(1980年代から90年代生まれの、幼年期から思春期にIT革命を経験した世代)で78%と高かった。

携行する現金が少なくなった、との回答者の割合は50%。その理由として、非接触型ICチップによる決済である電子マネー決済利用が増えた(回答率61%)、キャッシュレス決済を採用する施設が増えた(同54%)、現金携行は紛失、盗みなど危険がある(同42%)が挙げられた。

電子マネー決済を認識している回答者は約90%。うち約60%は既に電子マネー決済を利用している。国は30年までにキャッシュレス社会に移行していると思う、との回答は40%に上った。

カード決済の経験があるとの回答は91%。もっとも利用率が高かったのは電子マネー決済(回答率20%)、QR決済(同12%)、クレジットカードやデビットカード利用のオンライン決済(同10%)だった。

デジタル支払いを受け入れる店舗も増加しており、飲食業、小売店舗、スーパーマーケットでの増加が顕著だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月20日)

アステリア、マレーシア企業とAI・IoTサービスを共同開発

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ソフトウェア開発のアステリア(本社・東京都渋谷区)は19日、エッジAI(端末機器上に直接搭載した人工知能)・モノのインターネット(IoT)ビジネスにおける製品開発およびマーケティングにおいて、マレーシアのAI企業であるタップウェイと事業提携すると発表した。

本事業提携により、アステリアはマレーシア、シンガポール、フィリピンなどの東南アジアのAI市場に新規参入し、タップウェイは日本市場に初進出する。

両社はAI推論モデルの構築から、データ収集、統合、管理、活用までをノーコードかつワンストップで利用できる「AIoTスイート」を共同開発している。「AIoTスイート」の利用企業はプログラミング知識がなくても自社のニーズに合わせてAIを活用し、業務プロセスの統合、自動化、革新を実現することが可能となるという。

「AIoTスイート」は2024年7月より東南アジアを中心に英語版の提供を開始し、11月には日本語版の提供開始を予定している。マーケティング活動についてはアステリアのシンガポール現地法人であるアステリア・テクノロジーとタップウェイが連携する。製品開発についてはアステリア本社の研究開発本部とタップウェイが連携し、2年間で1億円の売上を目指す。