不動産業界向けスーパーアプリ、2025年までに完成予定

【クアラルンプール】 ンガ・コーミン地方行政開発相は3日、ビッグデータ分析に基づく不動産業界向けスーパーアプリを開発中で、2025年までに完成する見込みだと明らかにした。

ンガ大臣は、現状では住宅関連データを集約したシステムが存在しないため、アプリの開発を進めているとし、建築家、開発業者、住宅購入者などが利用できるようにすると述べた。データに基づく意思決定を支援するとしている。具体的には、住宅の過剰供給や放棄プロジェクトなどといった問題を防ぐことが期待でき、住宅購入者も、デベロッパーの実績、プロジェクトの詳細、洪水リスクの有無を確認でき、複数住宅の価格も比較できるという。
(ザ・スター、7月4日、ザ・サン電子版、7月3日)

ジョホール州がデータセンターハブとして成長、2年で50カ所に

【クライ】 ジョホール州が高いインフラと電力供給能力を背景にアジアの新たなデータセンターハブとして急成長しており、過去2年間で開設されたセンターの数は50カ所に上っている。

3日に開催された星プリンストン・デジタル・グループのデータセンター第1期の開所式に出席したオン・ハフィズ州首相は、「シンガポールは70カ所以上のデータセンター、合計1.4ギガワット(GW)の容量を持つデータハブとしての地位を確立するのに15年以上かかったが、ジョホール州は過去2年間だけで50以上のデータセンターの誘致に成功した」と強調。同州におけるデータセンター産業の急成長は、ジョホール州がアジアの新しいデータセンターハブになる能力があることを示しているとし、「セデナック・テクノロジー・バレー(STeP)だけでも1GWを超える電力容量を持ち、データセンターの運用をサポートするために必要な電力インフラを提供している」と指摘した。

開所式に同席したテンク・ザフルル投資貿易産業相は、プリンストンのデータセンター第1期が発表から12カ月内に完成したことは、マレーシアの投資促進のスピードと投資貿易産業省の産業・投資推進の姿勢を反映していると強調。同省の努力により、2021年から2024年3月までに340億米ドル(1,619億7000万リンギ)のデジタル投資が承認されたことは喜ばしいことだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、デジタル・ニュース・アジア、7月4日)

通信の英オリエント、企業向け10GB接続プランを発表

【クアラルンプール】 通信の英オリエント・テレコムズは3日、マレーシア市場への正式参入を発表。首都圏で、毎秒10ギガビット(Gbps)の企業向けインターネット接続プラン「オービット10,000」の提供を開始した。

「オービット10,000」は、高速通信に加え、ゼロトラスト型(全アクセスへのセキュリティ対策)ネットワーク設計を行い、独自の侵入防御システムを備えるなど、セキュリティが強化されており、稼働率99.99%、4時間以内の迅速な復旧を保証し、24時間365日体制のサポートを提供している。マレーシア半島東海岸州およびサバ・サラワク州にも3―5年以内にサービスを拡大する計画だ。

サイード・ムスタファ・アリ最高経営責任者(CEO)兼最高技術責任者(CTO)は、東南アジアでは海底ケーブルの主要ハブであるシンガポールに次いでマレーシアが重要国だとし、タイでも同サービスの提供を開始する予定だと述べた。
(ビジネス・トゥデー、テックネイブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、7月3日)

プロトンの6月の販売台数が前年比23%減、工場閉鎖が影響

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、6月の新車販売台数が1万999台にとどまり、前年同月比23%の大幅減となったと発表した。前月比でも12%の減少となった。

プロトンは、業務改善に向けた1週間にわたる計画的な工場閉鎖が納車に影響をもたらしたと説明している。上半期(1―6月)の累計販売台数は7万3,696台となった。

プロトンは6月の市場総需要量(TIV)が今年最低の5万7,700台、年初6カ月のTIVを38万6,600台と予想しており、自社の推定市場シェアは6月、年初6カ月共に19.1%と推定している。

車種別で6月に販売台数が最も多かったのはAセグメント・セダン「サガ」の5,441台で、これにBセグメント・スポーツ車(SUV)「X50」が1,711台、Cセグメント・セダン「S70」が1,440台、Bセグメント・セダン「ペルソナ」が1,309台で続いた。
その他の車種では、Cセグメント・SUV「X70」の販売台数は481台、Bセグメント・ハッチバック「アイリス」は369台、Dセグメント・スポーツ車(SUV)「X90」は248台となった。

販売会社プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は下半期について、操業停止にともなう業務改善と、プロトン初の電気自動車(EV)の発売が間近に迫っていることや、最近発売された2024年型「X50」により回復が期待できると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月4日、マレーシアン・リザーブ、エッジ、7月3日)

サイクル&キャリッジ、ペナンに新ベンツ2Sセンターを開設

【ジョージタウン】 メルセデス・ベンツの国内代理店サイクル&キャリッジは、ペナン州ジョージタウンのスンガイ・ピナン通りに2S(販売、サービス)センターを開設した。

同社にとり国内12番目、ペナンでは4番目の店舗となる。コムターやガーニードライブなどに近接し、敷地面積は9万平方フィート、5階建ての店舗面積は5万6,822平方フィート。ラウンジエリアや個室、ペナンで唯一となる車体・塗装センターを備える。サービス・修理ベイは21基で、月間550台の整備能力を持つ。

環境にも配慮しており、熱侵入を最小限に抑える外装デザイン、太陽光パネル、省エネ型空調システム、人感センサー付きLED照明、エネルギー使用量の常時監視システム、雨水利用システム、180キロワット(kw)のDC充電器などを備え、環境配慮型建物であることを証明する「グリーン・ビルディング・インデックス(GBI)」で「ゴールド・スタンダード」を取得している。緊急時にも業務が中断しないよう、バックアップ電源を備えたカーリフトも設置されているという。

サイクル&キャリッジのトーマス・トック最高経営責任者(CEO)は、新店舗のあらゆる面に卓越性、持続可能性、顧客満足への取り組みを反映させるよう尽力したとし、地域の顧客に新センターでの優れたサービスを体験してもらいたいと述べた。
(ポールタン、モタオート、7月2日)

【イスラム金融の基礎知識】第547回:イスラム金融とESG投資の関係性

第547回:イスラム金融とESG投資の関係性

Q: イスラム金融とESG投資はどのように結びついていますか?

A: 民間企業は利潤を追求することを目的とする存在ではあるが、健全な社会の一員としてふさわしい振る舞いが期待される。特に金融機関の場合、融資が様々な企業や産業に与える影響力は大きい。したがって、適切な融資のあり方が社会にとって適切であるかが重要となる。

企業の社会的責任(CSR)に応じた社会的責任投資(SRI)に始まり、特定の価値観や倫理観に基づいた投資信託の誕生、また最近は環境・社会・ガバナンスに重点を置くESG投資に関心がもたれている。この点について、イスラム金融は価値観の相違にどう折り合いをつけているだろうか。

ESG投資とは、「環境や社会に配慮して事業を行っていて、適切なガバナンス(企業統治)がなされている会社に投資」(MUFG公式サイト)することと説明される。したがって、どのような活動が適切な環境・社会への配慮なのかは、その社会がもつ価値観に影響を受ける。多民族・多宗教社会であるマレーシアは民族間の融和が国是であるため、調和のある社会作りを目指す活動にコミットすることが、適切なESG投資となるだろう。

他方でイスラム金融は、イスラム法(シャリア)に基づいてビジネスが行われる。そのためマレーシアのイスラム銀行とはいえ、宗教の調和を唱えてキリスト教の教会や仏教の寺院の建設費用に対する融資を行うのは難しいだろう。ただ、ギャンブル・売春・武器といった社会秩序を乱しかねない企業の活動への融資は行わない。その意味では、より良い社会づくりのあり方のある側面はイスラム法と矛盾しないと言えよう。

マレーシアでは、証券員会を中心にサステナビリティ・レポーティング・フレームワークを5月に導入するなど、ESG投資に関心を向けている。イスラム金融機関もこれら基準をイスラム法と矛盾しない範囲で適応していく必要があるだろう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

TNGイーウォレット、10リンギから金投資できる機能を追加

【クアラルンプール】 交通系ICカードやイーウォレットを展開する決済サービスのTNGデジタルは、TNGイーウォレットを通じて金投資ができる商品「イーマス(e-Mas)」を発表した。

リアルタイムで金価格を確認でき、イーウォレットから直接投資を管理できる。取引金額は10リンギから。CIMBバンクが仲介を行う。現時点では、金の現物ではなくデジタルゴールド形式でのみ利用可能であり、シャリア(イスラム法)には準拠していない。

アラン・ニ最高経営責任者(CEO)は、「e-Mas」により、TNGイーウォレットで利用できる投資商品の種類が拡大するとし、隠れた手数料や追加料金は一切なく、参入障壁が非常に低いと説明。6月に実施された試験運用においてすでに4万人が投資を始めていることから、今後国内で人気を博す可能性があると述べた。利用者数50万人の年内達成を目指す。
(、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、7月2日)

イオンマレーシア、イスラム債発行枠を設定

【クアラルンプール】 小売り大手の日系イオン・カンパニー(M)は、スクーク(イスラム債)発行枠を設定したと証券委員会に届け出た。コマーシャルペーパー(短期の約束手形)と中期債の2種で、発行枠は計20億リンギ。資金は、設備投資、運転資本、借り換えに利用する。

コマーシャルペーパーの償還期限は7年で、中期債は無期限。イオンは必要に応じ起債し、資金を調達することができる。1回目の起債は届け出から90営業日以内。
格付け会社のRAMレーティング・サービシズは、短期手形には最高のP1の格付けを、中期債にはダブルA2の格付けを付与した。幹事行はメイバンク・インベストメント・バンク。

イオングループでは、金融のイオンクレジットサービス(マレーシア)が最近、3億リンギ相当のスクークを発行している。
(エッジ、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、7月2日)

レギュラーガソリン補助金合理化は未定=首相

【クアラルンプール】 ディーゼル油(軽油)に続いて年内にも実施されるとみられているレギュラー・ガソリン「RON95」の合理化について、アンワル・イブラヒム首相は、実施した際のさまざまな影響を依然検討中だと述べ、いかなる決定にも至っていないと強調した。

アンワル首相は2日の下院議会質疑の中で、「私はいかなる可能性も排除しない」と述べた上で、「現在、我々の焦点はディーゼル補助金合理化だ」と強調。これまでに実施した電力料金、鶏肉、ディーゼルの補助金合理化の影響評価に注力していると述べた。

その上でアンワル首相は、「これまでの補助金合理化の影響と国民の反応を見極めた上で、初めてRON95の合理化の必要性について議論することになる」と強調。「重要なのは富裕層や外国人への補助金をやめなければならないということだ。国民に負担がかからないような仕組みを考えなければならない」と述べた。

「RON95」の補助金合理化の実施時期については、金融大手CIMBの調査部門は、10月11日の来年度予算案の上程に合わせ行うとの見通しを表明。独立系シンクタンク、マレーシア経済研究所(MIER)は、「緩やかな調整」が今年7月か10月に行われると予想している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、7月3日)

配車サービスのインドライブ、登録ドライバー数の倍増を予想

【クアラルンプール】 ロシア発祥で米カリフォルニアに本社を構える配車サービスのインドライブは、マレーシア市場で大幅な成長を見込んでおり、現在の1万人の登録ドライバー数も、年内に2倍の2万人に増加すると予想している。

インドライブは、クアラルンプール、ペナン、ジョホールバル、クチン、ミリ、シブ、ビントゥル、コタキナバルなどの国内主要都市でサービスを提供している。
マーク・ローラン社長兼副最高経営責任者(CEO)は国営「ベルナマ通信」の取材に対し、インドライブの配車アプリは昨年マレーシアで4番目に多くダウンロードされた配車アプリだとし、世界では2番目に多くダウンロードされた配車アプリとなったと述べた。独自の料金入札システムに対する関心が高まっているため、今後の成長も期待できるとしている。

配車サービスに加え、宅配や都市間輸送サービスも収益の柱となることも見込んでおり、インドライブアプリ内で修理や家電製品の設置、清掃、ペット関連サービス、トレーニング、情報技術(IT)サービスなどについても依頼できるという。

ローラン社長はまた、市場動向や顧客からの反応を分析した上でサービス内容を拡大していくとし、関係者全員にとって公平な価格を提供できる入札モデルを他サービスにも展開すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月1日)