2021年以降のデジタル投資額は1620億リンギ=投資貿易相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は18日、2021年―2024年第1四半期のデジタル投資(承認ベース)の総額は1,620億リンギで、その76%(1,235億リンギ)をデータセンターが占めたと明らかにした。デジタル投資により、4万9,108人の高技能職の雇用機会を創出すると想定されている。

1,620億リンギ中、 海外からの投資は1,270億リンギ、国内投資は349億リンギだった。年別では、2021年は34億リンギ、2022年は808億リンギ、2023年は605億リンギと推移しており、直近の2024年第1四半期は173億リンギとなった。
2023年の投資総額は3,295億リンギで、海外からの投資は1,884億リンギ、国内投資は1,411億リンギだった。

ザフルル大臣は、今年の国内総生産(GDP)成長率が4.0―5.0%と予想されていることから、今年の投資成長率予想も5.0%、額にして3,459億リンギに据え置くと述べた。経済成長の主要推進力となるのは、サービス業に加え、デジタル経済とグリーン経済部門であるとしている。デジタル経済のGDPに占める割合は、2024年第2四半期時点で、以前の目標だった22.6%を上回る23%にまで達しており、25.5%にまで目標を引き上げたという。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月18日)

バティックエア、8月1日からスバン空港に乗り入れ再開

【クアラルンプール】 インドネシアのライオン・エア・グループ傘下のバティックエアは、8月1日からセランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)への乗り入れを再開する。

26年ぶりとなる8月からのスバン空港のナロージェット機乗り入れ再開に合わせたもので、機材はボーイング「737-8」型機を使用する。新路線はペナン―スバン線で、当初は週3便の運航だが、8月15日から毎日運航する。ビジネスクラスが12席、エコノミークラスが150席となっている。

バティックエアはATR社製ターボプロップ機を運用してスバン―ペナン線を運航していたが、今年2月に運航を停止しており、半年ぶりの乗り入れ再開となる。同社は今後、スバン―コタバル(クランタン州)、コタキナバル(サバ州)、クチン(サラワク州)各線の運航を計画している。

スバン空港へのジェット機乗り入れについては、すでに▽トランスヌサ▽スクート▽ファイアフライ――が発表済みで、エアアジアも近く発表すると見られている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、7月20日)

エクソンモービル、マレーシア油田運営権をペトロナスに移転

【クアラルンプール】 石油メジャーの米系エクソンモービルは20日、マレーシアのすべての油田・ガス田の運営権を国営石油会社のペトロナスに移転すると発表した。ロイター通信は先に、消息筋の情報としてエクソンモービルはマレーシアで保有する石油・ガス資産をペトロナスに売却すると報じていた。

エクソンモービルは声明で「売却ではない。マレーシアにおけるほかの事業には影響しない」と言明した。エクソンモービルのマレーシア進出は130年前。ペトロナスと2つの生産分与協定を交わしており、トレンガヌ州沖の12の油田で35のプラットフォームを運営。ほかに10のプラットフォームの権益を保有している。マレーシアの原油・コンデンセート生産量の15%、マレーシア半島における天然ガス生産量の50%余りを占めている。

ロイターの報道に関しペトロナスは20日、上流部門子会社のペトロナス・チャリガリが運営移転についてエクソンモービルのマレーシア法人と協議を持っているとした。
(エッジ、7月21日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、7月20日)

全世界IT障害、マレーシア国鉄も影響を受けるも同日復旧

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は19日、サイバーセキュリティの米クラウドストライクが引き起こした世界規模のITシステム障害について、同社の発券システム(KITS)やカスタマーサービスが影響を受けたと明らかにした。
KTMBは同日午後2時のフェイスブック投稿で、技術的障害が発生しており、復旧作業が進められていると述べた。ただし、午後8時には完全に復旧したとしている。

大規模なITシステム障害により、世界中の航空会社、銀行、医療、放送などの企業が影響を受けた。米マイクロソフトによると、障害が発生したのは、ウィンドウズ・パソコン約850万台で、全体の1%未満だったが、クラウドストライク製品は重要な業務に用いられるPCにインストールされている場合が多いため、影響が大きかったという。
(ザ・サン、エッジ、ザ・バイブス、ビジネス・トゥデー、7月19日、KTMB発表資料)

19日に国内空港でフライト遅延が発生、全世界IT障害で

【クアラルンプール】 サイバーセキュリティの米クラウドストライクが19日に業務用セキュリティ・ソフトウェアの更新を行ったことで、同日午後にウィンドウズ・パソコン(PC)にシステム障害が発生。世界中で850万台の端末に影響が出た。マレーシアでは主に空港において影響が出た。

空港運営のマレーシア・エアポーツ(MAHB)やマレーシア航空に対する直接の影響はなかったが、格安航空のエアアジアの社内システムに障害が発生し、手動でのチェックインを行ったため、混雑を引き起こした。その結果、クアラルンプール国際空港第2ターミナルやコタキナバル国際空港、ペナン国際空港などでフライトの遅延が発生した。

エアアジアは20日に声明を発表。地上スタッフ200人、ボランティア100人、警備員を配置し週末の混雑に備えると述べた。20日午後2時にはオンラインチェックイン業務を再開し、混雑は収束に向かった。(エッジ、7月20日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、7月19日)

格安航空スクート、9月1日にシンガポール―スバン線就航

【クアラルンプール】 シンガポール航空(SIA)の格安航空子会社、スクートが9月1日からシンガポールとセランゴール州スバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港)を結ぶ路線を就航すると発表。18日に予約受付を開始した。

26年ぶりとなる8月からのスバン空港のナロージェット乗り入れ再開に合わせたもので、機材はエアバス「A320」型機を使用。デイリー1便の運航で、スケジュールは往路の「TR462」がシンガポール発11時55分で、スバン着が13時10分、復路の「TR463」がスバン発14時10分で、シンガポール着が15時20分となっている。

18日からスクートのウェブサイトとモバイルアプリで予約受付を開始しており、最終的には他チャンネルでも予約を受け付ける。片道運賃は税込みでシンガポール発が83シンガポールドル、スバン発が108リンギ(31シンガポールドル)からとなっている。

スバン乗り入れによりスクートの路線は70路線に拡大する。シンガポール―クアラルンプール新国際空港(KLIA)線は今後も維持する方針で、他の地方路線を合わせてマレーシアへの便数を9月までに週110便に増やす計画だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ビジネス・トゥデー、エッジ、7月18日)

KL国際モーターショー、12月5日―11日に開催

【クアラルンプール】 6年ぶりに開催されるクアラルンプール国際モーターショー(KLIMS2024)について、主催するマレーシア自動車協会(MAA)が16日に記者会見を開いて詳細を明らかにした。

開催日時は12月5日―11日で、会場はクアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)。10回目となる今回は「モビリティを超えて」をテーマに、持続可能性、電動化、自動運転に重点を置いてモビリティとイノベーションの未来を紹介する。

現時点で参加が確定している二輪・四輪車メーカーは、▽プロドゥア▽プロトン▽トヨタ▽ホンダ▽三菱▽日産▽マツダ▽カワサキ▽起亜▽長城汽車(GWM)▽MGモーター▽広州汽車集団(GACモーター)▽ステランティス▽テスラ――など。自動車用品などのメーカーも出展する。

大人の入場料金は週末25リンギ、平日20リンギ。MAAでは25万人の来場を見込んでいる。
(ポールタン、ザ・スター・カーシフ、7月16日、MAA発表資料)

【総点検・マレーシア経済】第501回 ついに動き出した燃料補助金改革、10年来の課題決着へ(2)

第501回 ついに動き出した燃料補助金改革、10年来の課題決着へ(2)

2022年11月に発足したアンワル政権ですが、首相は就任直後に国家行動委員会・生活費特別会議を主催し、物価対策を最優先課題とすると発言しました。しかし同時に、財政健全化を目標として掲げ「対象を絞った補助金(targeted subsidy)」という言葉を繰り返しました。今回のディーゼル補助金改革は、財政健全化にむけた「対象を絞った補助金」導入の試金石となります。

今回のディーゼル燃料補助金改革は、2024年予算演説で触れられていた3つの補助金の見直し、1)鶏肉と卵、2)電気料金、3)ディーゼル燃料、のうち最後の1つとなります。政府は、2019年以降、ディーゼル燃料を利用する自動車等の数は3%しか増加していない一方で、ディーゼル油の消費量は40%も増加しているというデータを示し、ディーゼル燃料の多くが密輸されている可能性を示唆していました。マレーシアのディーゼル燃料の価格はASEAN諸国ではブルネイに次いで2番目に安く、シンガポールの半値以下、タイやインドネシアと比べても3分の2程度でした。

図は今回のディーゼル補助金制度の改革をチャートにしたものです。まず、補助金を廃止してディーゼル油を2.15リンギから3.35リンギに値上げした上で、業務に利用するディーゼル油については、SKDS1.0(スクールバス、長距離バスなど)、SKDS2.0(物流車両)、漁民についてフリート・カードを発行して割引価格でディーゼル油を購入できるようにしています。一方で、ディーゼル車を保有する一般国民や小規模農家に対してはBUDI Madaniというプログラムに登録することで、月額200リンギを補助金として受け取ることができます。

補助金で対象品の価格を下げるのではなく、対象品を安価に入手できる主体を限定したり、家計に補助金を配ることで対象品の値上がりを補償したり、という手法は、これからも補助金改革で用いられるテンプレートになると考えられます。本来は、こうした複雑な補助金制度を一元的に管理するために、政府は1月にPADUと呼ばれるデータベースを稼働させたのですが、今回のディーゼル補助金制度には利用されていないようです。アンワル政権の補助金改革は、まだ始まったばかりといえるでしょう。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所海外調査員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

アルプスアルパイン、マレーシア製造拠点を1カ所に集約

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アルプスアルパイン(本社・東京都大田区)は17日、マレーシア現地法人であるアルプス・エレクトリック(マレーシア) が運営する2工場のうち、パハン州ジェンカにある工場を2024年12月までに閉鎖すると発表した。

ジェンカ工場は1994年3月に設立され、民生、車載、産業機器など様々な市場に向けたボリューム、スイッチを製造してきた。従業員数は374人。閉鎖に伴いジェンカ工場の生産機能は、ネグリ・センビラン州ニライにある工場に移管する。生産停止に関連する構造改革費用は、2025年3月期連結会計期間において3億円を見込んでいる。

アルプスアルパインは経営構造改革によるV字回復と企業価値の向上を目指しており、その一環として生産拠点の集約と再編を進めている。

三井不動産、「三井サービススイートBBCC」を9月開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産(本社・東京都中央区)は19日、「三井サービススイートブキッ・ビンタンシティセンター(BBCC)」の運営開始が2024年9月下旬に決定したと発表した。

「三井サービススイートBBCC」は、マレーシア三井不動産を通じ、共同事業者であるマレーシア企業BBCCデベロップメントとともに2021年4月より開発を開始していた。海外における直営型サービス付き賃貸住宅「三井サービススイート」第一号物件となる。

クアラルンプール(KL)中心市街地の大規模街づくりプロジェクト「BBCCプロジェクト」内に所在し、LRT・モノレールの「ハントゥア」駅に直結している。「ハントゥア」駅からは、主要ターミナルの「KLセントラル」駅まで3駅・6分という高い交通利便性を備えている。また、BBCC プロジェクト内で三井不動産グループが開発・運営を行い、日系の店舗や飲食店、生活必需品まで幅広くそろえている「三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)」(2022年開業)にも直結している。

45階建の「三井サービススイートBBCC」は、 駐在員向けの賃貸住宅として、1ベッドルーム(BR)から 3BRの多様な間取り構成の全269 戸を用意。家具・什器・備品を備え付け、高い居住快適性を提供する。プール、大浴場、サウナ、フィットネスジム、キッズルーム、ラウンジなど充実した共用施設も設置し、日本語を含む多言語対応のコンシェルジュをはじめ、部屋清掃・リネン交換(有償対応)などの充実したサービスも備えている。今後、隣接する「ららぽーとBBCC」と連携したサービスも検討するという。