【クアラルンプール】 タイの日刊紙「ザ・ネーション」が、米テスラがマレーシアを含む東南アジアに工場を建設する計画を断念したと報じたことについて、テンク・ザフルル投資貿易産業相は、「テスラがマレーシアでの工場建設を約束したことはない」とそもそも決まっていた話ではなかったと説明した。

ザフルル氏は同報道について、「匿名の情報源を引用しているだけで、テスラからの公式な声明は含まれていない」と指摘。投資貿易産業省はテスラがマレーシアに工場を開設するとは一度も発表していないとし、「投資誘致についてテスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏と協議したことはあるものの、テスラはマレーシアに工場を開設するとは一度も約束していない」と述べた。

その上でザフルル氏は、テスラはマレーシアの電気自動車(EV)エコシステム強化を目的とした政府のイニシアチブには参加していると指摘。これまでのところ、このイニシアチブへの参加を申請し承認されたのはテスラだけだとした。

イニシアチブ参加条件には、180キロワット時(kWh)以上の容量の急速EV充電器を少なくとも50台設置すること、マレーシアで設置した急速EV充電器の少なくとも30%を一般利用に開放すること、EV充電サービス産業エコシステムの開発で少なくとも10社の地元企業と協力することなどが含まれているという。

アンワル・イブラヒム首相は昨年7月、テスラおよびマスク氏のハイテクベンチャー企業、スペースXからマレーシアへの大規模投資を発表し、これにより数万人規模の高付加価値雇用が創出されると述べていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、8月8日)