第502回 マレーシアの2024年第2四半期のGDP成長率、6%前後か

7月19日、マレーシア統計局は2024年第2四半期のGDPの事前予測値を前年同期比5.8%増と発表しました。これは、第1四半期の4.2%から大幅に伸びており、8月16日に発表される実際の数値もこれに近ければ、通年成長率の政府予測のである4.0%〜5.0%の達成が確実になるとともに、それを上回る可能性も出てきます。

産業別に見ると、製造業は第1四半期の1.9%増から4.7%増に、サービス業は第1四半期の4.7%増から5.6%増へと加速しています。建設業については、第1四半期の11.9%増から17.2%増と非常に高い伸びを示すことが予想されています。

統計局は8月9日には6月の製造業生産指数を前年同月比5.2%増(5月:4.6%増)と発表し、結果、第2四半期の同指数は4.9%増(第1四半期:2.1%増)となりました。前日の8月8日には6月の卸売・小売り数量指数が発表され、前年同月比4.5%増(5月:5.7%増)となりました。結果、第2四半期の同指数は6.7%増(第1四半期:4.5%増)となっています。

こうした結果を踏まえると、マレーシアの2024年第2四半期のGDP成長率は事前予測値の5.8%を上回り、6%台に乗ること可能性もあると筆者は考えます。マレーシア経済が好調な理由としては、サービス業の伸びが堅調なことに加え、輸出型製造業の回復によって製造業全体も好調になっていることがあげられます。

図は2023年1月〜24年6月までの製造業生産指数の推移です。6月の輸出型製造業の生産指数は前年同月比5.4%(5月:3.7%)となり、内需型製造業の4.6%(5月:6.4%)を上回りました。輸出型製造業の伸びが内需型を上回るのは2022年11月以来、実に1年7ヶ月ぶりとなります。

マレーシアの輸出の主力である電子・電機産業の生産指数が5月の6.9%増から6月には3.7%増へと下落していることが気になるものの、現在のところ、マレーシアの景気は内外需とも概して好調といえるでしょう。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp