【クアラルンプール】 デジタル省傘下の研究開発組織マレーシア・マイクロエレクトロニクス・システム研究所(MIMOS)は16日、仮想通貨(暗号通貨)のワールドコイン財団、その開発組織であるツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH)、電子政府サービスの現地企業MyEGサービシズとの間で覚書(MoU)を締結した。仮想通貨「ワールドコイン」の虹彩スキャン技術を個人認証やデジタルIDに活用する。

「ワールドコイン」は、生成人工知能(AI)開発に携わる米オープンAIの創設者であるサム・アルトマン氏らが立ち上げたもの。MIMOSは、TFHの最先端虹彩認証デバイス「オーブ」を活用することで、国内のデジタル認証を改善できるとしている。また、「オーブ」の共同製造、ワールドチェーンとマレーシアの国家ブロックチェーン・インフラの接続、ワールドコイン技術のオープンソース利用などについても検討する。

TFHはオーブやアプリに関する技術知識とサポートを提供し、MyEGは技術統合とハードウェア展開に取り組む。

ワールドコインは欧州やラテンアメリカなどでサービス拡大を行っているが、一部の国では生体認証データの収集に関する懸念も高まっており、香港やスペインなどでプライバシー条例違反の疑いでサービス停止に至っている。一方、ワールドコインは5月、生体認証データシステムを一般公開することで、ユーザーが古い虹彩コードを安全に削除できると発表し、一時サービスを停止していたケニアでは利用が再開されている。

(コインテレグラフ、クリプトステート、8月16日)