BMWマレーシアがEV充電施設4カ所設置、年内に再増設へ

【クアラルンプール】  独系BMWグループ・マレーシアは、ディーラーおよび電気自動車(EV)充電施設運営会社(CPO)と提携し、首都圏、ネグリ・センビラン州セレンバン、パハン州クアンタンに合計4カ所のEV充電施設を設置したと発表した。BMW車に限らず、全EVが利用できるという。

首都圏では、セランゴール州ペタリンジャヤのショッピングモール「カーブ」の地下駐車場に47キロワット(kW)の直流(DC)充電器を2基、クアラルンプール(KL)の5つ星ホテル「インペリアル・レクシスKL」に22kWの交流(AC)充電器を3基、それぞれ設置した。

セレンバンでは、CMHスペシャリスト・ホスピタルに「BMW i 」ウォールボックス(AC7.4kW)を2基設置し、病院スタッフが無料で充電できるようにした。クアンタンでは、5つ星ホテル「ゼニス・ホテル・クアンタン」に160kWのDC急速充電器を設置した。

BMWによると、さまざまなCPOとの提携により、これまでに国内で2,020カ所以上の充電施設が利用可能になっている。また、正規ディーラーの店舗でも100カ所以上の「BMW i」および「MINI」の充電施設が利用でき、年内にさらに多くの充電施設を追加する予定だとした。

(ポールタン、モタオート、8月22日)

グラブペイ、9月11日よりクレカ入金に1%の手数料

【ペタリンジャヤ】 配車サービス大手のグラブは22日、9月11日より、クレジットカードからイーウォレット「グラブペイ」にチャージする際に1%の手数料を課すと発表した。

チャージ手数料が必要となるのはクレジットカードのみ。銀行振込、デビットカード、メイバンクとグラブの共同ブランドである一部のメイバンク・クレジットカード、グラブが主導するデジタル銀行GXバンクの口座からのチャージに関しては、引き続き無料となる。

決済サービスのTNGデジタルの「TNGイーウォレット」も今年2月、クレジットカード入金に対して1%の手数料を導入している。TNGはその理由として、クレジットカード入金対応に多額のコストがかかっており、またクレジットカードのショッピング枠の現金化が見られるためだとした。

(ザ・スター電子版、8月22日)

【総点検・マレーシア経済】第503回 ゆっくりと高度化するマレーシア経済

 

第503回 ゆっくりと高度化するマレーシア経済

マレーシア政府は現在、高所得国入りを目指して新産業マスタープラン2030(NIMP2030)などを定め、産業の高度化を進めています。1971年の新経済政策(NEP)以来、マレーシア政府は雇用創出を重視し労働集約的な産業を好ましい産業として誘致してきました。しかし、1990年代に入って人手不足が深刻化すると、第7次マレーシア計画(1996-2000年)で知識経済・高付加価値産業の移行を打ち出しました。

2000年代には資源ブームもあって産業高度化は停滞しましたが、ここ10年、再び産業の高度化がゆっくりと進みつつあるとの印象を筆者は受けています。8月上旬にはそうした近年のマレーシア経済を象徴するニュースが相次ぎました。

8月8日、独の半導体メーカーであるInfineon社がクダ州クリムの第3工場の開所式を執り行いました。200mm径のSiCウエハーが製造されますが、これは主に電気自動車用のパワー半導体などに用いられます。これは、いわゆる前工程に属するもので、クリム第3工場は同社が2022年2月に発表した20億ユーロ(3200億円)の工場拡張計画に対応するものです。今後、同社はさらに5年間で50億ユーロ(8000億円)を投じて工場を拡張することを発表しています。

同日、米国の新興電池企業Enovix社はペナン州サイエンスパーク内に同社初の蓄電池の量産工場を開設し、今後15年間にわたり、12億米ドル(1700億円)を投じることを発表しました。同社は小型高性能バッテリーの生産技術を持つ企業で、製品はスマートフォンやIoTデバイス向けに用いられることが想定されます。

さらに同日、中国の奇瑞(チェリー)汽車はスランゴール州シャーアラム工場からASEANに向けた自動車の輸出を年末までに開始し、マレーシアをASEANの自動車生産・輸出ハブにすることを発表しました。同社は10億リンギ(320億円)を投じてマレーシアでの生産能力を拡張することを発表しています。また、同社はシャーアラム工場を右ハンドル車のハブとし、R&D機能を持たせることを計画していると伝えられています。

7月31日、世界銀行はスランゴール州の一人当たり所得が14,291米ドルに達し、世銀の高所得国の基準である14,005米ドルを上回ったことを発表しました。これで、州レベルで高所得国入りの基準を超えているのは、KL、ペナン、サラワクに続いて4つ目となりました。

このように、マレーシア経済はゆっくりとではありますが、確実に産業高度化に向けて進みつつあると言えるでしょう。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所海外調査員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

イオンクレジットが6回目のイスラム債を起債

【クアラルンプール】 イオンクレジットサービス(M)は22日、3億5,000万リンギ相当のワカラ方式のスクーク(イスラム債)を発行した。

先に設定したイスラム式コマーシャルペーパー(短期の約束手形)プログラム(発行枠10億リンギ)にもとづくもので、これが6回目の起債となる。3億5,000万リンギのうち1億3,000万リンギは5年満期、2億2,000万リンギは6年満期となっている。

調達資金はイスラム法に準拠した融資資金のほか、既存の借入金の借り換えや発行済みスクークの借り換えに充当する。

ワカラ・スクークはエージェント契約に基づくスクークで、出資者はワキールと呼ばれる代理人に資金を提供し、ワキールが出資者の代わりに資金を運用する。

(ザ・スター電子版、エッジ、8月22日)

米テスラ代表と投資貿易相が協議、改めて支援の意向を確認

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は22日、米テスラの代表団と協議を行い、テスラから改めて電気自動車(EV)充電インフラの開発にマレーシア企業9社を関与させることを通じて、マレーシアのEVエコシステムに対する支援の意向が伝えられたと明らかにした。

ザフルル氏によると、同日の議論はグローバルバッテリー電気自動車(BEV)輸入許可(AP)スキームの進捗と実施に焦点が当てられ、テスラからは充電インフラ開発のほか、ノウハウ移転と人材育成のためにマレーシアの高等教育機関と協力する予定であることも伝えられたという。

ザフルル氏は、「テスラとの協力により、マレーシアは地域の主要なグリーンテクノロジー拠点となることが期待される」と言明。「共同の取り組みが今後も拡大し、我が国の経済、技術、持続可能なエネルギーに大きな利益をもたらすことを願っている」と述べた。

テスラは2024年7月末までに、マレーシア半島部で総容量250キロワット(kW)のスーパーチャージャー充電器52基、壁コネクタ交流(AC)充電器54基、家庭用充電器4,500基以上を設置。投資額は1,350万米ドル(5,906万リンギ)に達している。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月22日)

米AWSがデータセンター開設、38年までに292億リンギ投資

【クアラルンプール】 クラウドサービス大手の米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)は22日、アジア太平洋(マレーシア)リージョン(データセンター)を正式に立ち上げた。同時に2038年までにマレーシアに約62億ドル(292億リンギ)を投資する計画も発表した。

AWSの声明によると、新リージョンはマレーシアの国内総生産(GDP)に約121億米ドル(573億リンギ)寄与し、2038年までに建設、メンテナンス、エンジニアリングなどの分野で年平均3,500人以上のフルタイム従業員の雇用を生み出すという。

国内ではブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)、通信のアシアタやセルコムDigi、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)などの大手企業、ドローン・サービスのエアロダイン、中古車仲介サイト運営のカーサムなどの新興企業、統計局、郵便サービスのポス・マレーシアなどの公共部門がAWSを利用しており、マレーシア・リージョンの立ち上げにより、遅延の減少や可用性の向上などの恩恵を受けられるとしている。

AWSは現在、世界で34リージョンを運用しており、今後、メキシコ、ニュージーランド、サウジアラビア、台湾、タイ、欧州でも新規リージョンを立ち上げる計画だ。

(ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、8月22日、AWS発表資料)