ソーシャルメディアのライセンス制、ネット連盟が停止要請

【クアラルンプール】 マレーシア政府によるソーシャルメディアのライセンス制導入を受け、テクノロジー大手が加入するアジア・インターネット連盟(AI)が、ライセンス制反対の意向表明および同制度の一時停止を求める内容の公開書簡をアンワル・イブラヒム首相宛てに送ったことを明らかにした。

AICには▽グーグル▽ヤフー▽楽天▽X▽リンクドイン▽アップル▽アマゾン▽メタ▽グラブ――などが加入しており、経済への影響を考慮してライセンス制度を一時停止し、政府が推進するより広範な経済目標とどのように一致するかを慎重に検討してから行うべきだとしている。

AICは、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が導入した規制は業界にとって実行不可能であり、企業に過度の負担をかけることでイノベーションに悪影響を与えると指摘。またコンプライアンスの複雑さとコストにより、将来の投資を妨げることになるとしている。

またAICは、2024年8月1日に情報ペーパーとFAQが公開されるまで、ライセンス制度に関する正式な公聴会は行われなかったと指摘。議論が行われなかったことにより、義務の範囲などの解釈を巡って業界に混乱を生じさせたとし、こうした状況下ではライセンス登録はできないとしている。

MCMCは7月27日、800万人以上のマレーシア国内ユーザーを抱えるすべてのソーシャルメディアおよびメッセージ・サービスに対してライセンス申請を求める新たな規制枠組みを発表。8月1日よりライセンスの導入を開始し、2025年1月1日から正式に施行するとしていた。

ライセンスなしで運営を続けた場合、「1998年通信マルチメディア法」違反とみなされ、有罪となれば50万リンギ以下の罰金、または5年以下の禁固、あるいはその両方を科される可能性があるという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、8月26日)

マレーシア航空の一時減便、関空・成田線など13路線が対象

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)が24日に発表した、マレーシア航空の一時減便について、対象となる13路線が明らかとなった。いずれもクアラルンプール新国際空港(KLIA)発着路線となる。

日本線では、東京(成田)線が週12便から10便に、大阪(関西)線が9便から7便に減便となる。

その他、▽バンコク(スワンナプーム)線が42便から37便▽デンパサール線が22便から18便▽ホーチミン線が20便から19便▽ジャカルタ線が42便から40便▽ジッダ線が9便から7便▽メダン・クアラナム線が15便から12便▽ムンバイ線が10便から9便▽ソウル(仁川)線が13便から8便▽上海(浦東)線が10便から9便▽シンガポール便線が68便から66便▽ヤンゴン線が6便から4便――に減便される。減便は8月25日より順次開始される予定。

MAGは傘下のマレーシア航空、ファイアフライ(格安航空)、アマル(巡礼便)の3社の運航便数を12月まで一時的に削減すると発表。直近の運航遅延やフライトキャンセルなどの問題を受け、長期的な信頼性を確保し、混乱を最小限に抑えるための是正措置を実行するために、運航の縮小が必要だとしている。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月26日)

【人生の知恵・仕事の知恵】Think out of the pattern

Think out of the pattern

★なぜなぜ分析の傾向

先日のマレーシアでの某社研修でなぜなぜ分析を行った時のことです。

なぜを繰り返し追求する途中で、「人材不足」を原因としたところから、分析が止まってしまいました。

マレーシアを含め、諸外国でなぜなぜ分析を行うと、決まってというほどit is human problemと結論づけ、「人間は完璧ではない」というアリバイ作りに陥りがちです。

★人の問題に帰結させる理由

方法論を掘り下げない傾向の理由は、良く言えば個人攻撃をしたくない心理状態ともいえますし、意地悪くいえば、責任を取りたくないという意識も働いています。

従って、なぜなぜ分析を行うにあたっては「これは誰かの責任を問うために行うわけではありません」と説明します。

実際、そうして説明をしてなぜなぜ分析を行い、意外な原因を発見できることができると、受講者のなぜと問いて原因を掘り下げることへ理解も深まります。

★並行して教えること

現地社員が方法論をなぜと掘り下げない別の理由は、マニュアルをベースに仕事をする傾向が強いからです。マニュアルが常に完璧という前提であるため、仕事で失敗をすれば、人の責任になりがちで、仮にマニュアルが問題とすれば、それを修正するのは、マネジメントの責任という発想になります。

しかし、なぜと問いて発見する喜びを味わえれば、仕事に向き合う姿勢も変わります。

なぜなぜ分析の目的は、問題の根本原因の発見を通して、仕事の成果は、自らのやり方次第で帰られることに気がつくことです。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

 

 

パナソニック製造(M)、第1四半期は減収減益に

【クアラルンプール】 パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは、今年度第1四半期(2024年4―6月期)決算を発表。前年同期比で減収減益となったと明らかにした。

同期の売上高は3.2%減の2億2,096万リンギ、純利益は12.9%減の1,779万リンギにとどまった。

熱暑の影響による国内市場および他の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国(特にタイ、ベトナム、フィリピン市場)での家庭用給湯機の売上減、価格競争の激化によるベトナム市場への掃除機の輸出減、中東市場での掃除機需要低迷が売上減に影響した。一方で熱暑によるベトナムやシンガポールなどの一部のASEAN諸国での扇風機の好調が売上減を緩和した。

収益性の低下については、利益率の高い製品の販売減、ここ数カ月のリンギの対米ドル高などが影響したが、鉄鋼などの材料費の低下が収益性の低下を緩和した。

パナソニックは、今年度(2024年4月―2025年3月)の事業環境は引き続き不安定になると予想した上で、同グループは事業競争力を維持するために、水関連事業での新製品の開発と現行製品ラインアップの拡大に向けた取り組みを強化し続けると強調。生産コストを削減し収益性を向上させるためのコスト削減策を継続的に実施する一方で、生産性と効率性を向上させるために、製造施設におけるテクノロジーの活用をさらに進めているとし、機動性と回復力をもって今後の課題に取り組んでいくと述べた。

(エッジ、8月26日)

トロピカナ、ジョホール州の土地をNTTデータ法人に売却

【クアラルンプール】 不動産開発のトロピカナ・コーポレーションは26日、ジョホール州ゲラン・パタにある68.457エーカーの土地を3億8,313万リンギで売却する旨の売買契約(SPA)をNTTグローバル・データ・センターズ・ホールディング・アジアとの間で締結したと発表した。

トロピカナがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、SPAはトロピカナ・コーポレーションの完全子会社トロピカナ・ファーストワイド(TFSB)とNTTデータ・グループの間接子会社7社の間で締結された。

当該土地は約1億4,319万リンギでトロピカナが購入していたもので、売却益はトロピカナ・グループの運転資金や不動産開発資金、借入金返済に充てる。売却はイスカンダル・プテリ市議会の承認と2025年5月31日までの土木工事の完了を条件としており、取引は2026年第1四半期までに完了する予定。

トロピカナによる大規模な土地売却は過去9カ月間でこれが4件目。先の3件は全てIOIプロパティーズ・グループへの売却によるもので、売却額は合計11億1,500万リンギに上る。

(ザ・スター電子版、エッジ、マレーシアン・リザーブ、8月26日)

デジタル少額金融のビーインフォマティカ、7100万円を調達

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシアの小規模事業者向けデジタル少額金融ソリューション「ファンディング・ビー」を展開するビー・インフォマティカ(本社・東京都墨田区)は23日、シードラウンド(創業直後の新興企業が行う資金調達)を実施し、第三者割当増資により総額7,100万円の資金調達を実施したと発表した。

引受先は、ベンチャーキャピタルのデライト・ベンチャーズなど、合計14の企業・投資家。創業以来の資金調達累計額は約1.1億円となった。

調達した資金は、マレーシアにおけるカフェ飲食業や小売などのスモールビジネス向け少額融資事業の拡大やデジタルライセンス取得のための開発費用、有担保(車両)ローンスキーム創生と実行のほか、今後進出を計画している東南アジア諸国の市場調査に充てる。組織拡大に伴う新規採用も予定しているという。

マレーシアなどの東南アジアでは、スモールビジネスが仕入れや事業展開などの事業性資金を必要とするタイミングで、信用スコアや担保不足のため、銀行から資金を借りられないことが課題となっている。ビー・インフォマティカは、こうした銀行融資までのギャップを埋めるため、独自の信用スコアリングを用いたマイクロファイナンス事業を行っている。