東南アジア最大の集積回路設計ハブ、セランゴール州で開設

【プチョン】 セランゴール州プチョンで、6日、東南アジア最大規模の集積回路(IC)設計パークが正式に開設された。

4月の「KL20サミット2024」でアンワル・イブラヒム首相が発表していたもので、総面積は6万平方フィート。ソフトバンク傘下の英アーム、仏ウィーロック、台湾ファイソン子会社のマイストレージ、中国・深セン芯邦科技(チップスバンク)、スカイチップ、センソレム・テックなどが入居する。5―10億リンギの経済効果が期待されている。

発表会に出席したラフィジ・ラムリ経済相は、輸入に頼り続けるのではなく、国内で半導体設計能力を開発する必要があるとし、特に相手先ブランド設計・製造(ODM)分野が重要だと言明。将来的には国内データセンターへの国産半導体チップ導入を目指すと述べた。経済省では、国内でのIC設計を拡大させるための取り組みを他にも進めているとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、8月6日)

ベルジャヤフード、北欧3カ国でスターバックスの運営権取得

【クアラルンプール】 ベルジャヤ・グループのF&B(飲食)部門、ベルジャヤ・フードは5日、海外事業部のベルジャヤ・フード・インターナショナル(BFI)がアイスランド、デンマーク、フィンランドの北欧3カ国におけるカフェチェーン「スターバックス」の運営権を獲得したと発表した。

マレーシアのF&B上場企業が北欧市場に参入するのはこれが初めて。BFIは声明で「BFIは現地での雇用と調達に注力するとともに、料理と運営のノウハウを提供する」と述べた。

ベルジャヤ・フードのシドニー・キーズ最高経営責任者(CEO)は「当社の専門知識と情熱を北欧のコーヒー文化に持ち込み、温かいマレーシアのおもてなしを紹介し、スターバックスの「サードプレイス(第3の場所)」コンセプトの体験を提供できることを嬉しく思う」と述べた。

ベルジャヤ・フードは現在、スターバックスのほか、▽ケニーロジャース▽クリスピークリームドーナツ▽パリバゲット――の各飲食チェーンを運営。今年4月にフィリピンで「パリバゲット」の1号店をオープンし、シンガポールでも運営契約を締結した。

現在、マレーシアとブルネイで400店舗を超える「スターバックス」を運営しており、マレーシア国内では「パリバゲット」5店舗、「ケニーロジャース」 70店舗、「サラ」7店舗、シンガポールでは「ジョリビーン」34店舗を構えている。
(ザ・スター電子版、エッジ、8月5日)

農業展示会「MAHA2024」、 9月11日―22日開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 駐日マレーシア大使館農務部は5日、100周年を迎えるマレーシア最大の農業展示会「MAHA 2024」を9月11日―22日に開催すると発表した。

農業食糧安全省が主催する「MAHA」 は、隔年で開催される農業、園芸&アグロツーリズム分野の大型イベント。「MAHA2024」のテーマは「夢が咲く明日を収穫する」で、国際的な参加を増やし、食糧安全保障分野における回復力の開発を促進し、若者が農業業界を収入源として考えられるためのイベントを目指す。

前回の「MAHA2022」はパンデミック後の制限のため、オンライン・オフライン(会場)両方のハイブリッド形式で行われ、来場者延べ120万人、オンライン来場者25万人を集客した。「MAHA2024」では来場者300万人、販売額4,000万リンギ、出展社数2,000社を目標として掲げている。

9月11―13日は業界関係者向けトレードショー(事前登録が必要)となり、9月14―22日が一般公開日となる。開催場所は、セランゴール州セパンの農業公園「MAEPSセルダン」で、入場料は無料。

駐日マレーシア大使館農務部は声明で、「MAHA2024」は日本の農業および食品業界関係者にとり、マレーシアの同業者と新たなビジネス、市場の見通し、投資機会を探求するための場となるとし、今後のマレーシア製品の日本市場での展望について共有し、マレーシアで日本製品を宣伝する最適な機会となると述べた。

セカイマルシェが5.1億円を資金調達、サービス展開加速へ

【クアラルンプール】 東南アジアにおける生鮮食品のサプライチェーンを構築するセカイ・マルシェ(本社・東京都、 グローバル拠点・クアラルンプール、シンガポール)は5日、総額5.1億円のシリーズA資金調達を完了したと発表した。

投資したのは、▽ベンチャーキャピタルのビヨンド・ネクストベンチャーズ(追加投資)▽同スパイラルベンチャーズ・アジア・ファンド(追加投資)▽三菱UFJキャピタルが運営するファンドの三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合▽食領域のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドであるフューチャーフードファンド2号投資事業有限責任組合▽海事系商社・石油販売・CVCの常石商事▽青果物流の福岡ソノリク▽生鮮流通のフーディソンの山本徹 代表取締役兼最高経営責任者(CEO)――。

セカイ・マルシェは、今回調達した資金を、フルフィルメントセンターの拡充、人工知能(AI)を活用した需要予測のさらなる精度向上、ラストワンマイルの自動化・最適化に活用する。また、体制構築費およびマーケティング活動にも充てる。本資金調達を皮切りに、東南アジアのマーケットシェアを一気に拡大していく計画だ。

出光興産、ペトロナスと気候変動緩和プロジェクトを共同検討へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 出光興産(本社・東京都千代田区)は6日、グループ会社の出光インターナショナル(アジア)(出光アジア、本社・シンガポール)が、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のPETCOトレーディング・ラブアン(PTLCL)との間で、マレーシア国内外における気候変動緩和プロジェクトの探索と事業化に向けた共同検討に関する覚書(MoU)を締結したと発表した。

出光アジアとPTLCLは、本MoUの締結により、発電・輸送・農業・廃棄物を含むさまざまな分野においてGHG排出削減に寄与するプロジェクトを共同で探索する。また両グループが石油・石油化学事業で長年培ってきた強固なパートナーシップと、グループ内でトレーディング機能を担う出光アジア・PTLCL両社の強みを生かし、カーボンクレジットを含む環境証書の創出などを通じた事業化を共同検討する。

出光アジアは、出光興産グループのトレーディング拠点として、石油・石化製品および低炭素商材のトレーディング・事業開発を担っている。出光興産グループにてオフセットで使用するボランタリーカーボンクレジットの調達のほか、高品質なカーボンクレジットの創出を目的としたプロジェクトの探索・開発を行っている。

三菱重工、サラワクで発電タービン2台を受注

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三菱重工(本社・東京都千代田区)は5日、サラワク州に建設される総出力約50万キロワット(kW)の天然ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所向けに、M701F形ガスタービン1台と蒸気タービン1台を受注したと発表した。

サラワク州政府が100%出資する石油ガス企業、ペトロリアム・サラワク(ペトロス)が同州ミリで計画しているGTCC発電所プロジェクトに向けたもの。発電所の完工後は、ペトロス傘下のペトロス・パワーが所有・運営する。三菱重工はこのほど、プロジェクトのEPC(設計・調達・建設)取りまとめを行う中国水利水電建設集団(シノハイドロ・コーポレーション)との間で機器供給契約を締結した。2027年の運転開始を予定している。

三菱重工は、プロジェクトの中核機器であるガスタービンおよび蒸気タービン各1台、ならびに関連補機類を供給する。ガスタービンは、30%の水素を含む燃料で運転できるよう将来を見据えた計画となっている。三菱重工はこのほか技術員を派遣して据え付け・試運転を支援する。商業運転開始後は、ペトロスと直接締結した長期保守契約(LTSA)を通じて、発電所の安定的な営業運転をサポートする。発電機は三菱ジェネレーター製を採用する。

大型量販店ロータスズ、プチョンに新業態店舗をオープン

【クアラルンプール】 大型量販店「ロータスズ」は、セランゴール州プチョン店をリニューアルオープンした。一般消費者のみではなく、食品小売、フードサービス、ホスピタリティなどの業界の企業や慈善団体などもターゲットとする新業態の店舗となる。

20週間の改装工事を経て生まれ変わったプチョン店は、5,000平方メートルの面積に、1万3,500点の商品を取り揃えており、そのうち600点は、日用品、調理用品、生鮮食品、家庭用洗剤、缶詰などのホスピタリティ業界向け商品となっている。大量購入専用の支払いレーンや事前注文サービスも用意する。オープンを記念して、抽選会やプレゼントなどのキャンペーンを期間限定で実施する。

ロータスズ・マレーシアのネイル・グルサミー店舗責任者は、新業態店舗は、既存の顧客を大切にしながら、ビジネス分野の新しい顧客を開拓できるとし、プチョン店の実績を評価した上で、同様の試みを全国に展開することを検討すると述べた。
(ラクヤットポスト、ベルナマ通信、8月2日)

9月17日は自動的に振替休日とはならず=首相府

【クアラルンプール】 今年の9月16日はマレーシア・デーと預言者ムハンマドの誕生日(マウリドル・ラスル)の祝日が重なっているが、首相府は翌9月17日が自動的に振替休日にはならないと発表した。

内閣・憲法・政府間関係部門のウェブサイトによると、「1951年祝日法」(第369号法)では、祝日が重なった場合について自動振替休日を規定していないためで、ただし政府は必要に応じて別の日を祝日として指定することができるとして、今後政府の意向で祝日を設ける可能性を残している。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、8月2日)

【イスラム金融の基礎知識】第549回:インドネシアの有力イスラム団体が巨額資金を移動

第549回:インドネシアの有力イスラム団体が巨額資金を移動

Q: ムハマディアの動向がインドネシアのイスラム銀行市場で注目を集めているようですが?

A: インドネシアの有力イスラム団体が1,200億円以上の預金を特定のイスラム銀行から引き上げたことに、注目が集まっている。社会貢献活動を活性化させ、イスラム銀行の買収や新銀行設立も取り沙汰されている。

今回の騒動の中心は、インドネシアで2番目に規模が大きいイスラム団体であるムハマディアだ。ムハマディアは、1912年設立の近代改革派グループで、1926年に設立された最大の保守派団体ナフダトゥル・ウラマーにつぐ勢力である。ムハマディアは、社会活動に力を入れており、数多くの学校や病院を運営していることで知られている。

そのムアマディアが6月、インドネシア最大のイスラム銀行であるバンク・シャリア・インドネシア(BSI)から、約13兆ルピア(約1,265億円)の預金を引き下ろして、他のイスラム銀行に分散させたことが明らかになった。BSIの2024年第1四半期の財務諸表によれば、同行が引き受けていた預金残高は70兆ルピアであることから、実にその18%が引き下ろされた計算になる。

今回の措置の理由についてムハマディア関係者によれば、一つは預金を集中させることで生じるリスクを分散させることと、もう一つは代わりに預金を引き受けた他行が融資を積極的に行うことで、多様な社会貢献が行なえるとしている。またこの措置は、BSIが2021年に合併した当時から検討していたとしている。

インドネシア金融庁(OJK)は7月、ムハマディアがより直接的に銀行業に参画できるよう、銀行買収や新銀行設立を支援することを明らかにした。13兆ルピアは、イスラム銀行の総資産トップ10入りできる規模である。巨大な資金を持つイスラム団体が自ら銀行を運営するという、新しい局面も視野に入りそうだ。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

プロトン初のEVを「e.MAS7」と命名、早ければ年内発売

【シャアラム】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは2日、同社の電気自動車(EV)ブランド「e.MAS」から近く発売を予定している最初のモデルの名前が正式に「e.MAS7」に決まったと発表。早ければ2024年末にも発売開始すると明らかにした。

「e.MAS7」はCセグメント・スポーツ車(SUV)で、サイズは全長4,615ミリメートル(mm)、全幅1,901mm、全高1,670mm。その他のスペックや価格については明らかにされていないが、プロトンに出資している吉利汽車が5月に発売した「ギャラクシーE5」をベースとしているとみられる。

プロトンのロスラン・アブドラ副最高経営責任者(CEO)は、発売を早めるため、中国で生産した完全組立(CBU)モデルを輸入するとし、現地組立(CKD)モデルへの移行にはマレーシアのエコシステムの開発が必要で、これは将来の目標だと述べた。またプロトンのEVはより広範なマレーシア市場に対応するという使命に沿って、手頃な価格のセグメントをターゲットにしていると言明。長期的に市場に浸透する持続可能な製品を投入していくつもりだと強調した。

プロトンは今年6月に「e.MAS」ブランドを発表し、EV5車種を発売予定であることを公表。当初18カ所だったプロトンのEV販売子会社プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(プロネット)の販売店は現在、29カ所に増加している。
(ザ・スター電子版、ポールタン、エッジ、ベルナマ通信、8月2日)