ベンチャーテックが東証と提携、日本市場への上場後押し

【クアラルンプール】 政府系投資会社のベンチャーテックは東京証券取引所との戦略的提携を発表した。有望なマレーシア企業の東証への上場を後押しする。

成長性のあるアジアの有力企業に新規株式公開(IPO)先として東証を選択してもらう「東証アジアスタートアップハブ」を東証が立ち上げたことに対応したもの。アジアスタートアップハブではアジアの有力企業に対し、日本での事業・資金調達支援、IPO準備支援など、それぞれの企業のニーズに応じた支援を通じ、東証でのIPOを後押しする。

世界の金融センターとしての地位強化もハブ立ち上げの狙い。東証は日本関連事業を手掛ける、あるいは成長の潜在性が大きいアジア企業に、ビジネスマッチング、知名度引き上げ、投資家紹介などのサービスを提供する。

ベンチャーテックのアハマド・レズアン最高経営責任者(CEO)は「マレーシア企業は日本の資本市場に参入することで業務を急拡大し、投資を呼び込み、世界でのプレゼンスを高めることができる」と述べた。スタートアップハブは第3四半期に支援対象企業の募集を開始する。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月3日、ベルナマ通信、デジタル・ニュース・アジア、9月2日)

筑波大学、マレーシア校をマラヤ大学内に開校 

【クアラルンプール】 筑波大学は1日、海外で初めて日本の学位を授与する大学として、筑波大学マレーシア校(UTMy)をクアラルンプール(KL)で開校。2日にザンブリ・アブドル・カディル高等教育相や髙橋克彦駐マレーシア大使を招いて開校式および入学式を行った。

UTMyの設立は、マレーシア政府の要請に基づくもので、日本の大学の学位授与を通じて、日本文化や日本的勤労観・価値観の育成などを促すことが目的。所在地はマラヤ大学の研究開発(R&D)複合施設内で、「学際サイエンス・デザイン専門学群」と称する。

カリキュラムは多様で、データサイエンス、自然科学、人文科学、日本語・日本文化が含まれる。生命と環境、情報技術、比較文学、政治学、サブカルチャーなどさまざまな分野を専門とする14人の教員が配置される。

開校後初の学生オリエンテーションは3日に開始される。初年度はマレーシア人7人、日本人6人の合計13人の学生が入学する。

(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月2日、筑波大学発表資料)

西海岸高速道バンティン―SKVE間が開通、1カ月間通行料無料

【クアラルンプール】 西海岸高速道路(WCE)のセクション1・バンティン料金所から南クランバレー高速道路(SKVE)間(全長約12.5キロメートル)が8月31日深夜零時に開通した。アレクサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相が8月30日の開通式に立ち会った。

独立記念日と開通記念ということで9月29日まで1カ月間、区間通行料金は無料となる。WCEの建設は4つのセクションを残すだけとなっており、セクション1に続くセクション2は12月にも完成する見通し。全線開通すれば1日あたり約1万台の車両が通行すると見込まれている。

ナンタ氏は「新区画の開通は、セランゴール州南部、特にクアラ・ランガット地域の経済発展と進歩のきっかけとなる」と言明。バンティン周辺の住民がプトラジャヤ、バンギ、カジャンなど首都圏クランバレー南部の主要都市に行くための利便性が向上し、さらに物流ネットワーク、特にクラン港やクアラルンプール国際空港(KLIA)などの主要港からの輸送力向上に貢献すると述べた。

(ザ・サン電子版、ポールタン、エッジ、ベルナマ通信、8月30日)

ジョムチャージ、シンガポールSPとEV充電で提携

【ジョホールバル】 電気自動車(EV)充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションは8月29日、シンガポールの電力会社SPグループのEV充電部門SPモビリティとの提携を発表した。

EVコネクションの声明によると、両社のEV充電器をシームレスに利用可能にし、航続距離への不安を払拭するという。サービス統合は段階的に行われ、第1段階では、中国・広州汽車集団(GACモーター)傘下の広汽埃安新能源汽車(GACアイオン)のEVのみが利用可能となる。マレーシアでSPクレジットを購入する場合には、当初はGACアイオン店舗に赴く必要がある。最終的には、車種を問わず、両社の専用アプリのいずれかをダウンロードするだけで、マレーシアとシンガポールでEV充電を利用できるようにするという。

EVコネクションのリー・ユエンハウ社長は、ジョホール州とシンガポールを結ぶコーズウェイ(連絡道)が世界で最も通行量の多い国境のひとつであり、また両国でEV導入が急速に進んでいることから、SPモビリティとの提携は時宜を得ていると述べた。

マレーシアでは、2024年上半期のEV販売台数が前年同期比約150%と急増しており、シンガポールでも、今年1-5月に登録された新車の3台に1台がEVで、昨年のほぼ2倍に達している。

(ポールタン、8月29日、EVコネクション発表資料)

【イスラム金融の基礎知識】第551回:マレーシアのムスリムの投資傾向

第551回:マレーシアのムスリムの投資傾向

Q: マレーシアのムスリムはどのような投資傾向がありますか?

A: マレーシアのムスリムの約半数が投資を行っており、政府系の投資信託など比較的安全性の高い投資商品を好むことが、マレーシアのイスラム銀行の調査で明らかとなった。

調査を行ったのはホンリョン・イスラム銀行で、18歳から77歳までのマレーシア人ムスリム690名を調査対象とした。対象者のほとんどが月収1万リンギ以下で、マレーシアの月収の中央値に近かった。

調査結果によると、投資を行っているムスリムは47%で、投資対象の内訳は政府系の投資信託であるASBファンド、メッカ巡礼資金を運用するタブン・ハッジ、そして金への投資が中心となっており、これに続くのが株式投資と高額貯蓄口座であった。イスラム金融商品に対してはローリスク・ローリターンという認識が高く、実際に株式投資のような投機性の高い商品よりも投資信託といったものがムスリムから好まれる傾向が示された。

さらにムスリムの65%は、イスラム金融商品のみを選択している。これは、従来型金融商品のみ、あるいは従来型とイスラム式の両方を選択するムスリムは3分の1にとどまっていると示唆している。他方で、回答者の84%は豊かになりたいと思ってはいるものの、ファイナンシャル・プランを立てて文書化しているムスリムは23%にすぎないことも、同調査で明らかとなった。

この調査は学術調査ではないため、非ムスリムとの有意な違いを明らかにすることは目的にしていないものの、マーケティング調査として同銀行のイスラム金融商品のあるべき方向性は示している。同銀行の幹部は調査記録を踏まえた上で、イスラム金融商品がリターンを高めることで従来型銀行の商品と同じような競争力を持つ必要があることと、個人資産の運用についてのより適切な知識をムスリムにいかに提供できるかが重要であるとの認識を示した。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

上場企業のバーチャルのみの株主総会、来年3月から禁止

【クアラルンプール】 マレーシア証券委員会(SC)とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)は8月30日に共同声明を発表し、2025年3月1日以降、上場企業(PLC)によるバーチャルのみの株主総会は禁止すると発表した。ブルサは今後、詳細を発表する。

バーチャルのみの株主総会は、新型コロナのパンデミックを受けて認められるようになったが、パンデミックが終息したにもかかわらずバーチャル開催は慣例化し、2024年上半期には上場企業の半数以上がバーチャルのみで年次総会を開催していたという。今後、上場企業は対面による株主総会、もしくは対面とバーチャルのハイブリッド方式の株主総会の開催が義務づけられる。

SCのモハマド・ファイズ・アズミ会長は、パンデミックの間は完全なバーチャル総会は目的を果たしたが、上場企業はハイブリッドまたは対面式の会議形式に移行する時期が来ていると言明。株主総会、特に年次総会は、経営陣・取締役を出席させる重要な会議だとし、「国内外の投資家もハイブリッドまたは対面での会議を好んでいる。透明性確保と説明責任を果たさせる事で企業のガバナンス強化につながる」と述べた。

ブルサのムハマド・ウマル最高経営責任者(CEO)は、アクセシビリティと対面の適切なバランスをとるハイブリッド方式を支持していると言明。上場企業は少なくとも対面による総会を開催するよう努めるべきであり、これによりテクノロジー障壁が排除され、株主の権利が確保され、株主総会のプロセスの完全性が維持される」と述べた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、8月30日)

イオン全国店舗に台湾食品・飲料の専門コーナーを設置へ

【クアラルンプール】 台湾の貿易振興機関である台湾貿易センター(TAITRA)は、イオン・マレーシアの全国店舗に、台湾食品・飲料を集めた「台湾セレクトコーナー」を設置すると発表した。取り扱うのは40ブランド以上の150品目で、年末までの4カ月間の取り組みとなる。

TAITRAによると、「台湾セレクト」は台湾食品業界の再ブランディングの一環で、マレーシアが初の展開国となるという。各店舗では、飲料、スナック、ソース、惣菜、健康食品などの多様な商品を取り揃え、試食も行うが、特にミッドバレー店、チェラス・セラタン店、ブキ・ティンギ店の3店舗を重点店舗として販売を強化する。また、11月15-19日には各店舗でポップアップイベントも行うという。

「台湾セレクト」は10月には米国西海岸都市でもプロモーションを実施する。

(ベルナマ通信、8月31日)

マレーシア発高級ブランド「ボニア」、銀座に公式店を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 大西時計店(本社・北海道旭川市)は8月30日、東京銀座に日本初となる、マレーシア発ラグジュアリーブランド「ボニア」の公式フラッグシップを9月10日付けで正式オープンすると発表した。

「ボニア」 は創業以来、バッグ、アクセサリー、フットウェア、時計、アイウェアなどのコレクションを発信し続けている。日本に初上陸したのは1997年で、以来15年間、順調に日本でのファンを増やしていたが、2013年に契約上の理由から一度日本市場から撤退した。今回が再上陸となる。

銀座の公式フラッグシップは、世界共通の最新コレクションや銀座でしか手に入らない限定アイテムの展示・販売を行うだけでなく、ファンとのコミュニケーションイベント、世界中のバイヤーとのビジネスネットワーキングなどを実施するコミュニティスペースとしても機能する。

営業時間は午前11時―午後6時。土・日曜は休業となる。10日―13日は新規オープンを記念してプレゼントなどの特別企画を実施する。

フォーブスアジアの注目新興企業100社にマレーシア4社が選出

【クアラルンプール】 米経済誌「フォーブス」のアジア部門「フォーブス・アジア」は26日、アジアの注目すべき新興企業100社を発表。マレーシアからは4社が選出された。

非公開の営利企業であり、8月7日までの年間収益が5,000万米ドル以下、総資金調達額が1億米ドル以下であることが条件。オンラインでの投票と、アクセラレーター、インキュベーター、大学、ベンチャーキャピタルなどからの推薦に基づいてアジアの16カ国・地域から100社が選出された。インドが20社でトップとなり、シンガポール(15社)、中国(10社)、日本(9社)、インドネシア(8社)が続いた。

マレーシアから選出されたのは、▽アップルクランビー(ベビー用品販売)▽アイモーターバイク(中古オートバイの売買プラットフォーム)▽リブイン(若年層向け長期滞在型賃貸)▽ペイウォッチ(早期給与受け取りサービス)――。

アップルクランビーは塩素無使用のおむつなどのベビー用品を販売し、定期購入システムを導入している。アイモーターバイクは、170項目にわたる検査と返品保証により中古バイクの信頼性を保証。リブインは、手頃な価格の住宅を求める若い専門職を対象に、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシアの物件の紹介を行っている。ペイウォッチは、マレーシア、韓国、インドネシア、フィリピン、香港の従業員に給与の早期受け取りサービスを提供し、雇用主に対しても、従業員の勤務時間を追跡しタスクを割り当てるツールを提供している。

(マレー・メイル、8月27日、フォーブス発表資料)

イオン(M)、第2四半期は減収減益

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)は29日、第2四半期(4-6月)決算を発表。売上高が前年同期比1.2%減の10億2,000万リンギ、純利益が7.7%減の2,790万リンギになったと明らかにした。

小売事業の売上高が祝祭シーズンにも関わらず3.1%減の8億3,680万リンギとなった。一方、不動産管理サービス事業では、入居率の改善や賃貸契約の更新により、売上高が8.9%増の1億8,410万リンギとなった。2024年上半期(1-6月)の売上高は、2.3%増の21億8,830万リンギ、純利益は24.7%増の8,520万リンギに達している。

岡田尚也社長は、今年イオン・マレーシア設立40周年を迎え、販促イベントや特典を用意していると言明。さらに、顧客の多様なニーズに応えるため、より幅広い品揃えを各店舗で展開していくとし、既存店舗の改装も行っていくと述べた。

同氏によると、今月はセランゴール州のバンダル・プチョン店とクアラルンプールのデサパークシティ内のイオン・マックスバリュ・プライム店の改装を完了し、他に3店舗改装が進行中で、ネグリ・センビラン州セレンバンでは、23エーカーの敷地に2階建ての新しいモールを建設する開発計画が進行しているという。さらに、プライベートブランドや地域コミュニティ内でのイオン・リビングゾーンの拡大、デジタル化や持続可能性への取り組み、運用コストの最適化も行っていくとした。

(エッジ、8月29日、イオン(M)発表資料)