ジェトロKL、総合食品見本市の東マレーシア版に出展へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は24日、マレーシアの総合食品見本市「フード・ホテル・マレーシア(FHM)」が東マレーシアで初開催する「FHMボルネオ・エディション」に出展すると発表した。

同見本市の会期は9月26日―28日で、会場はサバ州コタキナバルにあるサバ国際コンベンションセンター。ジェトロは、食品をはじめとする日本産商品の東マレーシアでの販路拡大を目的として、オンラインカタログサイト「Japan Street」の広報ブースを出展する。「Japan Street」はジェトロが招待した海外バイヤー専用のオンラインカタログサイトで、バイヤーは登録するだけで日本企業8,546社・6万280製品を閲覧でき、希望に応じてオンライン商談も行うことができる。

また、カタログ掲載商品の参考として、マレーシア食品市場でニーズの高い菓子類、飲料、加工食品、調味料などのハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得済み商品や今後ハラル認証取得を検討するノンポーク・ノンアルコールの商品のサンプルを展示紹介する。

タピオカティーの「ティーライブ」、来年インドネシアに進出へ

【クアラルンプール】 タピオカティー・チェーンの「ティーライブ」を運営するルーブ・ホールディングスは、来年にはインドネシアに進出する計画だ。

同社は現在、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、豪州、カンボジア、ブルネイ、モーリシャス、カナダに進出している。フィリピンには現在75店舗を出店しており、目標である100店舗を達成した段階で、インドネシアへの進出を行うという。

ブライアン・ルー最高経営責任者(CEO)は、クアラルンプールのメダン・パサールでの新店舗の開設式典で、インドネシアでは都市部に10店舗を構えることを当初の目標とし、その後、段階的に第2、第3の都市へと進出していくとした。

ルーブは2017年に設立。世界中でティーライブを1,000店舗以上展開しており、毎月500万人の顧客にサービスを提供している。

(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、9月20日)

オートゲートのデラックス、国内最大のショールームをオープン

【クアラルンプール】 オートゲートとセキュリティドアのデラックスは、創業20周年記念に合わせ、セランゴール州プチョンに旗艦店をオープンした。

建築面積は1万9,788平方フィートと、国内最大のオートゲート・セキュリティドアのショールームとなり、マレーシアの新記録をまとめている「マレーシア・ブック・オブ・レコード」からも最大であるとの認定が行われた。

ショールームにはモダン住宅のレプリカが展示され、実際の利用シーンをイメージすることができる。フルアルミニウム製セキュリティドア「アルテックドア」20点以上、アルミニウム製トラックレス折りたたみオートゲート「ユニゲート」10点以上も展示。暗室では8種類のLEDオートゲートの展示を行い、キッズルームも完備している。

デラックスの全製品は国内で設計・開発・製造されており、セキュリティ機能と美観を両立させた、洗練されたデザインが特徴だという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月20日)

鋼板のマイクロンスチール、JFEのグリーン鋼材を採用

【クアラルンプール】 冷延鋼板を製造するマイクロン・スチールは、日本の製鉄大手JFEスチールのグリーン鋼材を製造プロセスに取り入れることで合意し、20日、覚書を交わした。

取り入れるグリーン鋼材はJGreeX(ジェイグリークス)。鉄鋼製造プロセスにおける二酸化炭素排出量を大幅に削減した鋼材で、二酸化炭素排出削減量を特定の鋼材に割り当てるマスバランス方式を適用し、排出量を大幅に削減したとみなすもの。価格は従来品より高くなるが、持続可能性への意識の高まりを背景に、グリーン鋼材の需要はこの先5年間で2.5倍の増加が期待できるという。

マレーシア企業によるJFEのグリーン鋼材使用は初めて。ロスハン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、マスバランス方式を利用し、同社独自のグリーン鋼材を開発すると表明。太陽光など再生可能エネルギーによる電力の調達を望んでいるが、低価格での入手が困難なのが課題だとした。

マイクロン・スチールはマレーシア工科大学(UTM)とも地球温暖化ガス(GHG)をモニターするシステムの開発で提携しており、GHG削減を図る。

(エッジ、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、9月20日)

英国のCPTPP加盟を承認、英国と初の自由貿易協定に

【クアラルンプール】 マレーシアは、英国の包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を批准した。CPTPPは多国間自由貿易協定(FTA)で、マレーシアにとり英国との初のFTAとなる。

英国は2024年5月に批准手続きを完了した。締約国では日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルーが批准手続きを終えており、発効の条件が満たされていた。12月15日までに発効の見込みだ。

英国の加盟でCPTPP参加国の国内総生産(GDP)は計15兆4,000億米ドルになり、世界GDPの15%を占める。

投資貿易産業省によると、パーム油、ココア、ゴム、電気・電子製品など、マレーシアは英国への輸出品の94%について関税ゼロの適用を受ける。テンク・ザフルル大臣は、英国市場への参入が容易になると述べた。

CPTPPにはほかに、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、メキシコ、ニュージーランドが加盟している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、9月20日)

AIのガバナンスと倫理に関するガイドラインを発表=副首相

【プトラジャヤ】 ファディラ・ユソフ副首相は20日、「人工知能(AI)のガバナンスと倫理に関する国家ガイドライン(AIGE)」を発表。政策立案者、AI企業、利用者が倫理基準を守るための枠組みだとした。

ファディラ副首相は、AIGEは「安全で倫理的、かつ公共の福祉を重視したテクノロジーのエコシステムを確立する」という政府の取り組みの一環だと強調。安全性、プライバシー、自由、人権への配慮が含まれており、AIの開発・利用のあらゆる段階で透明性、説明責任を確保し、公平性・公正性を損なわないようにするとした。また、AIシステムによるデータの収集、保存、利用の方法を含め、個人のプライバシー権を尊重し保護していくとし、AIは新たな雇用機会を生み出し生産性を向上させる可能性がある一方、特定の分野における労働機会を奪う可能性があるため、引き続き警戒していくとしている。

チャン・リーカン科学技術革新相は、AI法案の策定には時間がかかるため、それまでの間のガイドラインとしてAIGEが機能することを期待すると述べた。

ゴビンド・シン デジタル相は、AIGEは、「2024年サイバーセキュリティ法」や、「2010年個人データ保護法」など、既存の法律を強化するものであり、デジタル省は年内に公共機関間のデータ共有を規制するためのデータ共有法案の草案も提出する予定だと述べた。

(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、9月20日)

マレーシア人訪日者数、8月は前年同月比11.2%増の1.9万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年8月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は1万7,200人となり、前年同月比で10.4%減、前月比でも10.9%減少した。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行への人気の高まり、スクールホリデー時期の変更等の影響もあり、前年同月を下回った。なお、新型コロナ感染拡大前の2019年同月との比較でも13.2%減となった。 クアラルンプール―成田間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月水準を維持している。

8月の世界全体の訪日者数は、前年同月から36.0%増の293万3,000人、2019年同月からは16.4%増となり、7カ月連続で同月の過去最高を記録した。 台風7号による航空便欠航等の影響が見られたものの、前月に引き続き学校休暇による訪日需要もあり、東アジアでは中国、東南アジアではシンガポールとインド、欧米豪・中東地域では米国などで訪日外客数が増加したことが押し上げ要因となった。1―8月の累計では 2,400万7,900人となり、前年同期比58.0%増となった。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。

フォレストシティ金融特区の優遇措置を発表

【ジョホールバル】 ジョホール州の人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」の金融特区(SFZ)の開始式典が20日に開催された。

フォレスト・シティのSFZ計画はアンワル・イブラヒム首相が昨年8月に発表したもので、優遇措置を導入し、SFZでの事業費を抑制することで高コストのシンガポールとの差別化を図り、投資を呼び込むのが狙い。

開始式典に出席したアミル・ハムザ・アジザン第2財務相は優遇措置について、富裕層を対象に資産管理および運用サービスを提供するファミリーオフィスに対し、課税額をゼロにすると発表。国内では初の措置だとした。その他にも、法人税率を0―5%に、フォレスト・シティ内で働く知識労働者やマレーシア人労働者に対する個人所得税の税率も15%にするとした。

同氏は、優遇措置は、企業、金融機関、富裕層を誘致し、同地を投資先として強化するためのもので、2025年第1四半期までの運用開始を目指すと述べた。

(ザ・スター、9月20日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

マレーシアみずほ銀行、イスラム金融窓口を開設

【クアラルンプール】 みずほ銀行の現地法人マレーシアみずほ銀行は20日、リンギ建てのイスラム金融商品の提供を行うイスラム金融窓口(IBW)を開設したと発表した。

同行は声明で、IBWの開設はマレーシア政府が目指す「イスラム金融のリーダーとなる」という取り組みに沿ったものであり、同行のマレーシアにおける11年間のイスラム金融サービス提供実績をさらに積み重ねるものだと述べた。

同行は2013年に外貨建てイスラム金融取引を可能にする国際通貨ビジネスユニットを立ち上げ、現地企業へのサービス提供、資金調達オプションの拡大、ハラル(イスラム教の要件を満たした)関連企業の支援などに取り組んできた。IBW業務の開始により、マレーシア経済・社会の発展に向け、より質の高い、よりインパクトのある支援を提供できることを期待しているという。

マレーシアみずほ銀行は、法人金融、貿易金融、外国為替およびデリバティブ、キャッシュ・マネジメント、多国籍企業および法人顧客へのアドバイザリー業務などの金融サービスも提供。2023年末時点での資産運用額は185億リンギに達している。

(エッジ、9月18日、みずほ銀行発表資料)

【総点検・マレーシア経済】第505回 ブミプトラ経済変革計画2035とは何か(2)

第505回 ブミプトラ経済変革計画2035とは何か(2)

マレーシア政府は2024年8月19日、ブミプトラ経済変革計画2035(PuTERA2035)を発表しました。この計画は2035年までの約10年間で実施され、ブミプトラの経済参加・所有・支配を拡大し、他の民族との経済格差を縮小することを目的としています。

アンワル首相はPuTERA2035の前文や発言で、それがブミプトラ以外の人々の利益を脅かさないものであることを強調しています。実際に、PuTERA2035の多くの数値目標は、ブミプトラの経済水準を多民族に関係なく引き上げることを目指すもので、例えば「ブミプトラの極度貧困率を0%にする」というようなものです。一方で、連載第504回で指摘した3つについては、民族間の分配の問題にかかわるものです。

中でも、「ブミプトラ個人および機関による株式所有比率を2020年の18.4%から2035年に30%に引き上げる」という目標は重要です。これは、1971年の新経済政策から掲げられてきたブミプトラの株式所有比率を30%にまで引き上げる、という目標を引き継ぐものです。このブミプトラの株式所有比率30%の目標については、2006年にマハティールに近いシンクタンクが「既に30%目標は達成されている」という試算を発表して物議を醸しました。というのも、もしこれが達成されていれば、ブミプトラ優遇政策を続ける根拠のひとつが失われてしまうためです。

このブミプトラの株式所有比率には「個人といくつかのブミプトラ委任機関による保有が含まれる」とありますが、具体的にどのような機関による保有が含まれるかは明記されていません。おそらく、PNBや巡礼基金は含まれるが、カザナ・ナショナルやEPFは含まれない、というようなことだと筆者は推測します。つまり、政府の株式保有はブミプトラによる株式保有とイコールではない、というのが、いまだに30%目標が達成されていないとされる大きな理由であると考えます。

PuTERA2035の中では、この目標を達成するための具体策として、イスラム信託基金の強化やブミプトラ企業の業績を向上させるためのファンドの設立、上場企業の民族別株式保有比率の公開義務づけ、ブミプトラ企業の上場の促進などがあげられています。

こうしてみると、PuTERA2035は民族間の分配問題に最も関係している、ブミプトラの株式所有比率を30%に高めるという目標についても、具体的な政策はブミプトラ企業の支援が中心で、民族間の再分配的な政策ではないことが分かります。つまり、PuTERA2035をブミプトラ政策の強化としてことさらに警戒する必要はないと筆者は考えます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp